> CMの研究 第14回

logo.gifテレビ情報のデータベース化、知識化、ネット情報の収集、多角的分析が現実世界を浮き彫りにします

印刷用表示 |テキストサイズ 小 |中 |大 |

HOME > TV allcover free > CMの研究 > CMの研究 第14回

会社概要MAP採用プライバシーお問い合わせ

CMの研究

第14回 主婦に大歓迎となるか? 液晶テレビ・ブラビアの新しい節電方式

cm-research14.gif


 このところ自動車から家電まで「省エネ、環境保護」をうたったCMが溢れているが、ソニーがユニークな省電力方法を採用したCMを放送中だ。篠原涼子を起用した液晶テレビ・ブラビアの新型V5シリーズのもので、2バージョンある。ひとつは、テレビを見ていた女性が席を離れて長電話をしていると自動的に画面が消えるというもので、もうひとつはやはりテレビを見ていた女性が猫とソファで昼寝をしてしまうとこれも自動的に画面が消えるというもの。篠原はその機能の説明をする役目をしている。正確に言うと、人がテレビの前から離れると画面だけが消えて音声が聞こえるというものだ。どちらも初回の放送が4月11からで、それ以後ほぼ毎日のようにオンエアされている。CMでは家電の消費電力についてグラフを使って説明、家庭での電気代の25.2%がエアコンで、冷蔵庫が約16%、そして約10%がテレビの電気代としている。ここで視聴者は「ウーン、テレビの電気代もバカにならないな」と思うのではないか。 

 そう感じさせたところで、「世界初人感センサー搭載で消費電力50%OFF」と訴えられればなんだか気になってしまうではないか。人感センサーとはわかりやすいネーミングで、なかなか訴求力がある。そこで、メーカーのホームページにアクセスすると、画面が消えている時間の設定は5分、30分、60分と選べ、設定以上の時間が経過しても人が戻ってこないとスタンバイ状態(音声も消える)になりさらなる省電力になるという。 

 それにしても画面を消すだけで50%消費電力が節約できるというはなんだか意外な気もするが、液晶もけっこう電気を食うということか。センサーは防犯などで使われているものの応用だろうが、それをテレビの節電に使ったところがユニークだと思う。今の家電にはいろいろな節電機能があるが、この「人感センサー」は人間の動きに対応して省電力をするというところが新しい。確かに世界初だろう。しかし、自分でマメにスイッチを切らないずぼらな人向けの商品ではないかという疑問もあるだろう。

 以前長寿人気ドラマ「渡る世間は鬼ばかり」の脚本家・橋田壽賀子さんのインタビューをしたときに、あのドラマは出演者がなぜあんなに大声で何度も同じ事をいうのかを聞いてみた。すると橋田さんはニコニコしながら、「このドラマの視聴者は主婦が中心です。主婦は食事の後片付けや、子供の学校の準備などでテレビの前から離れることが多いんです。そんなときキッチンでお皿を洗いながら、画面は見えなくてもセリフは聞こえるように、出演者は大きな声で言い、もし聞き逃してもちゃんとさっきの話を繰り返すから、そのまま続けてドラマの世界に戻れるんです」と話してくれた。実に見事なマーケットリサーチ思い、あのドラマの高視聴率の秘密を垣間見た気がした。家族といっしょに見ていれば画面を消す必要もないが、夫はまだ帰宅せず子供は部屋にこもっていて主婦だけひとりで見ているという状況なら、この機能はとても有難いはずだ。確かに、CMではずぼらな人向けというイメージもあるが、それだけではなく、主婦を中心にこのブラビアの節電方法を素晴らしいと思う人は多いかもしれない。