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CMの研究

第21回 チラシあるいは啖呵売の口上のような
作品が増えるデフレ下のテレビCM


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 政府は日本がデフレに陥りその回復の見込が立たないことを認め、為替が1ドル80円台と90年代の水準の円高ドル安となった。国内の景気低迷で消費が伸びず、輸入品の価格下落であらゆる商品の値段が低迷している。安ければいいと喜べないのは収入も「デフレ」になるからだ。2009年の年末を明るく締めたいがいい材料が見当たらない。その影響はCMにも当然現れている。

 クルマのCMではもう飽きるほど減税で安くなると言い続けているし、家電販売の大手などは連日安売りの告知をしている。
 例えばヤマダ電機は「暮らし元気宣言!ヤマダが日本の歳末を熱くします!」としながら政府エコポイントで家電を買うとお得とし、ビックカメラは消費者の味方!ここが安さのビックカメラ」と言ってやはりエコポイント対象商品を紹介している。あの西友は地デジ対応の32型液晶テレビが39800円を前面に出して「安い!は愛だ」と訴えている。
 こうなると前からディスカウントで有名なジャパネットたかたが張り切ることになる。最近のCMでは女の子が「花咲かじいさん」の本を読でいると灰の中からチラシを持った高田社長が現れて、10万円とか5万円のクーポンを持って「利益還元」を訴えている。
 食べ物関係で目立つのは、例えばすき家の牛丼まつり。祭衣装の男たちが走りに走ってすき家に飛び込み、牛丼をワシワシ食べるというもので、通常300円以上の牛丼並盛をキャンペン価格299円で販売を訴える、また回転寿司のかっぱ寿司は1皿94円を強調するために、会議でホワイトボードにランチの値段を94円と書きながら他の男性と協議するなどして平日ランチ一皿94円を印象つけようとする。
 この不況下に業績がいいことで話題になっているホーム用品のニトリはこたつふとんを「裏も表も使えてあったか」と具体的に紹介しこたつとふとんで11800円などと訴える。

 少し前ならこれほど価格を前面に押し出して「安いよ安いよ」と訴えるものはここまで多くなかったはずだ。こういうCMを見ていると新聞に入るチラシをテレビで放送しているだけのように思える。また映画「男はつらいよ」で寅さんが毎回「赤木屋、白木屋で紅おしろいつけたお姉さんから買うと○○円はくだらない商品だ。今日はそんなにもらわない。なんと○○円だ」などといわゆる啖呵売(たんかばい)をするが、その啖呵売をも思わせる。デフレが続くならこういう一連のCMの放送も続くだろうが、ただ安いということだけを訴えるのは食傷してしまう。できればCMとしての面白さを生かす作品を作ってくれることを望みたい。