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CMの研究

第2回 「秋の新作公開シーズン到来!映画のテレビCM考」


 メジャー作品や全国ロードショー作品などは、封切り前からテレビCMを流し、集客アップを狙っている。一般的に封切り日は土曜なので、このタイミングを見計らってテレビCMが流されている。そしてその手法も、近年新しいものが出てきているので、それを研究してみた。

1:CMのパターン
パターン1
試写会の模様や舞台挨拶、試写会後の観客の感想を流すオーソドックスなもの。
例:『三丁目の夕日』、『HERO』

パターン2
日本語吹き替え版の収録模様や、声優を務めた有名芸能人のコメントを流す。
例:『レミーのおいしいレストラン』、『TAXi4』
考察)最近の劇場の日本語吹き替え版人気により、本数が増えている。

パターン3
キャスト別のバージョンを流す。
例:『HERO』計16バージョン
考察)パターン3は、『HERO』が初めて用いた手法だと思われる。

パターン4
映画解説者や有名人のコメントを流す。
例:『ヘアスプレー』の柳原可奈子、『エディット・ピアフ 愛の讃歌』のおすぎ
考察)映画解説者自らが特定の映画を宣伝するのは、おすぎが始めて行ったとされている。
※実際には同じ作品でも『HERO』のように上記のパターンが混在することもある。



2:時系列で見たCMのオンエアーパターン例
例1:『象の背中』の場合
cm-kenkyu02a.gif

考察1)
 「大ヒット」と銘打っているからには、前売り券の販売枚数など何かの基準があるのか気になるところだ。ひょっとして客入り状況を見て「好評上映中」「絶賛上映中」などと切り替えているのだろうか。
 この点を、東宝宣伝部に確認してみた。映画『HERO』を「大ヒット上映中」と宣伝している配給会社である。まず、「大ヒット」の表現であるが、これは全く基準がないとのことである。あくまでも各社宣伝の一環として行なっているものなので、公開前に作品の制作費の規模や宣伝効果から予測して「大ヒット」としているとのことである。そして、客入りを見て表記を変えてはいないということであった。よって「大ヒット上映中」も「好評上映中」も「絶賛上映中」(以下「○○上映中」と略す)も大差はないということになる。
 また早い場合には、テレビで正午あたりから「○○上映中」のバージョンが流れている。(『HERO』がその例。)一般的に第1回目の上映開始時間が、午前11時とか11時半あたりなので、これに合わせていると推測される。東宝宣伝部によれば、初回の客入りを見てCMパターンを切り替えることはしていない。実際に放送局の作業上の工程からしても、当日にCMパターンを入れ替えるのはタイミング的に不可能なことである。
 このようなことから判断して、視聴者としては、テレビのCMを見て「大ヒット上映中」だから見に行こう!と判断するのは、何の根拠もないことだということになる。

考察2)
 映画宣伝の特番に関しては、公開初日の昼から夕方にかけてが主流だが、『恋空』のように、公開前の週の日曜の夕方(TBS9月28日16:00~16:30)というパターンもある。この週はほかにも『オリヲン座からの招待』(テレビ東京)と『続・三丁目の夕日』(日本テレビ)も同じく公開1週間前の特番を組んでいた。このことからすると、今後は公開の前の週に特番を組むのが主流になるかもしれない。なおこのいずれも映画制作にテレビ局がからんでいる。このような場合には、大抵この特番が流れるとみていいだろう。



3:映画のCMに見られるキャッチコピーの典型パターン

パターン1
全米が涙した…、全米を震撼させた…
例:『恋空』 1600万人が涙したケータイ小説の最高傑作
考察)洋画でハリウッドものに多いパターン。かつては多かったが、最近は減少傾向にある。ベタな感じを与えることが影響しているのだろうか。

パターン2
○○のスタッフ、再集結
例:『ロケットマン』 『マッハ!』のスタッフ再び炎上
  『傷だらけの男たち』 インファナル・アフェアのスタッフが再び世界に送る感動のサスペンス
過去にヒットした作品の続編でもスピンオフでもないが、その時のスタッフ(キャストではない)が再集結して作られた作品。
似たものに、「総制作費○億円」というパターンがある。
考察)ストーリーその他で惹くネタがないので、スタッフで釣るしかないと酷評する人もいる。制作費をアピールする場合は、大物俳優のギャラや、大規模なセットに予算を投じたことを強調している。逆に言えば、ストーリーで惹きつけるには弱いということが言えよう。
例:『スパイダーマン3』
考察)大物俳優のギャラや、大規模なセットに予算を投じたことをアピールしている。逆に言えば、ストーリーで惹きつけるには弱いということが言えよう。

パターン3
○大スター競演
例:『インベージョン』 ニコール・キッドマン、ダニエル・クレイグ2大スター競演
考察)昔は、このように1つの作品内で看板スターは男女1人ずつというのが鉄則であった。増えるとクレジットの位置に苦労するからである。また、ギャラも当然ネックとなる。しかし90年代以降、この鉄則がゆるみ、最近では『オーシャンズ13』のように、大人数の看板スターが登場することも珍しくなくなった。

パターン4
衝撃のラスト…、ラスト○分は…
例:『パーフェクト・ストレンジャー』 ラスト7分11秒―「衝撃の事実」に、あなたは絶対騙される。
『キングダム 見えざる敵』衝撃のラスト、目をそむけてはならない。
考察)ラストにこだわるのはハリウッド映画に多い傾向である。ハリウッドでは制作段階から数パターンのエンディングを用意し、スニークプレビュー(覆面試写会)でタイトルを伏せて、観客の反応を見てどのエンディングにするかを決めることもある。DVDの特典映像に、使われなかったエンディングが収録されているのもこのためである。また、ヨーロッパ向け、アジア向けにエンディングを変えることも珍しくない。韓国映画でもエンディングのパターンを日本向けに変える場合もある。