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CMの研究

第6回 デアゴスティーニ社に見る分冊百科のCM考


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<序>
 皆さんも、デアゴスティーニ社のCMをよく目にしているだろう。書店でも、しばしばこの専門コーナーがかなりのスペースを占有している。同社のように、週刊、隔週刊、月刊に分けてセットを販売していくものを「分冊百科」あるいは「パートワーク形式」と呼ぶ。そのルーツこそがデアゴスティーニ社である。


<歴史>
もともとは1901年に地理学研究所をローマに創設された地図や年表を出版する会社で、地理学者ジョバンニ・デ・アゴスティーニ(Giobanni de Agostini)の名前から社名が取られた。それが1911年にトリノ国際博覧会に全イタリア模型を出品し、1959年、分冊方式の「イル・ミリオーネ」を出版した。現在、世界33ヶ国に展開している。日本市場へ参入し活動を開始したのは1988年10月である。資本金1億1000万円であったが、2000年には年商80億円の大出版会社に成長している。
 かつては、紙メディアの分冊百科が中心であったが、近年はCD、DVD、さらにはプラモデルや金属パーツのキット、毎号のミニカーコレクションなどが付録につくようになってきている。
 同社はこれまでに100以上のタイトルを販売。総販売部数は3億冊にのぼるという。最近では「歴史のミステリー」は、創刊号の売り上げが100万部に達した。過去最高だった「ザ・クラシック・コレクション」(平成6年)の180万部に次ぐ記録となっている。
 企画から売れ行き予測など、時間をかけたマーケティング・リサーチ力や、売れなければ打ち切る判断力は外資特有である。常にストックとしてあたためている企画が多数あるのも日本の出版社にはない強みだ。

「デアゴスティーニシリーズ総売れ行きトップ10」
(1)「ザ・クラシック・コレクション」(94年)
(2)「そーなんだ!」(2005年)
(3)「インサイド・ヒューマンボディ」(01年)
(4)「グレート・アーティスト」(90年)
(5)「恐竜サウルス」(93年)
(6)「ガンダム・ファクトファイル」(94年)
(7)「ビジュアル日本の歴史」(00年)
(8)「メディ・ファイル」(97年)
(9)「スタートレック― ファクトファイル― 」(03年) 
(10)「鉄道データファイル」(04年)
1位は隔週刊、他は週刊。( )は創刊年
(2006.11.07 夕刊フジ紙面掲載情報から抜粋)

<CM展開>
 CM展開に関しては、TBS系で2月10日に放送されているので、詳しくは以下を参照いただきたい。
http://www.tbs.co.jp/gacchiri/oa20080210-mo2.html
 そのなかで、ポイントをピックアップしてみよう。
1)CMオンエアー期間と規模
 頻繁にテレビで見るデアゴスティーニのCMであるが、実は1つの商品に対してCMは2週間しか流していないということである。実際に弊社データベースで検証してみたところ、「科学忍者隊ガッチャマン DVDコレクション」では、初回オンエア-:2008/2/4、最終オンエア-:2008/2/18と、ピッタリ2週間となっていた。
では、なぜ同じCMを何度も見る気がするのか?同社は、商品企画の段階で、年齢ターゲットを定め、さらにその年齢層が好んで見るテレビ番組で該当するCMを集中投下しているのである。そのため、短期間しか流れていないのに何度も見ている印象が残るのである。
 これは、深夜の通販番組と対照的な手法である。深夜の通販番組は、CMを流し続けることで購買意欲を高めている。深夜という時間帯の脳の思考を上手く活用しているのである。逆に昼に同じCMを繰り返すのはかえってマイナス効果になるとされている。
2)CMの長さ
 15秒と30秒が基本パターン。ここ半年はこのパターンのみ。


<今年に入ってからのデアゴスティーニのCM>
   ( )内はCMオンエアー開始日
週刊 仮面ライダー オフィシャルデータファイル (2008年3/10~)
隔週刊 クール・ジャズ・コレクション (2008年2/25~)
隔週刊 世界名作劇場DVDセレクション (2008年2/18~)
隔週刊 科学忍者隊ガッチャマンDVDコレクション (2008年2/4~)
週刊 パティシエと作るケーキアンドデザート (2008年1/28~)
週刊 マイミュージックスタジオ (2008年1/21~)
週刊 歴史のミステリー  (2008年1/14~)
隔週刊 地球の鉱物 コレクション (2008年1/9~)
 ※デアゴスティーニ社の公式ホームページ(http://www.de-club.net/)の情報と見比べてみると、基本的には創刊日の前日からCMを流していることが分かる。


<競合会社>
 かつてはデルプラド・ジャパン社が競合会社であった。日本では2000年に日本法人としてデル・プラド・ジャパン株式会社を設立し、扶桑社と提携して約15シリーズを刊行していた。2004年3月期の売上高は約19億4200万円を誇り、市場を二分していた。しかし2004年11月24日に日本法人が約55億6000万円の負債を抱え自己破産したため、日本市場からは撤退している。

 2003年3月にはアシェット・コレクションズ・ジャパン が設立された。同社の販売シリーズは以下の通り。
 「週間タイタニック」
 「パズルコレクション」 (2006年9/6~ CMオンエア-)
 「国産名車コレクション」 (2006年1/18~)
 「古の時計」 (2006年9/6~)
 「体のふしぎ」 (2007年2/14~)
 「フェラーリコレクション」 (2007年8/29~)
 「まんがの達人」  (2008年1/23~)
 この「まんがの達人」は、漫画が上手に書けるようになるというオリジナリティも相まって、丸ペンなどがついた創刊号が10~20代を中心に売れ、44万部が完売した。

 付録こそないが、2005年からは小学館も分冊百科に進出している。
  「週刊 日本庭園をゆく」 (2005年9/29~CMオンエアー)
  「週刊 古寺を巡る」 (2007年1/23~)
  「週刊 新説 戦乱の日本史」(2008年1/22~)
  「週刊 日本の歳時記」 (2008年3/29~)
 このうち「新説 戦乱の日本史」は、小中学生から団塊世代まで幅広い世代に売れ、創刊号は40万部を販売した。

 講談社も付録なしの分冊百科を出している。
  「週刊ユネスコ世界遺産」 (創刊 / 2004年7月)
  「Rock in Golden Age 」(創刊 / 2005年3月、3/17~CMオンエア-開始)
  「週刊 ビジュアル日本の合戦」 (創刊 / 2005年6月)
  「週刊 日本の仏像」  (創刊 / 2007年5月、5/23~CMオンエア-)
  「週刊 昭和の鉄道模型をつくる」 (創刊 / 2007年7月、7/18~CMオンエアー)
  「週刊 花百科」
  「週刊 四国八十八ヵ所遍路の旅」
  「週刊 20世紀シネマ館」 
  「週刊 京都を歩く」 
  「週刊 鉄道の旅」