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CMの研究

第8回 読売新聞は冒険したのか?
 そして日本の家族を映すCMが興味深い。


 この正月特に印象に残ったCMがある。それが「読売新聞」のものだ。最初何の情報もなく、白い犬と黒人のダンテ君と樋口可南子が演技をしている、てっきりソフトバンクの新作CMと思い、いつ携帯電話が出るかと見ていると最後まで出てこない。「おかしいな?」と思っていたら結局読売新聞のCMだった。
 
 ダンテ君がバナナを電話に見立てて話をするところなんかなかなか「小技」が効いている。しかも、新聞を読むとガムが食べたくなったりと、改めて新聞の広告効果を訴えているところが抜け目ない。それにしてもなぜ読売新聞がこのメンツでソフトバンクと同じ設定でCMを作ったのかと不思議だった。下手をすればソフトバンクのCMの一つって思われてもしょうがないような内容だ。

 そのヒントは、クリエイティブ・ディレクターがソフトバンクとか「そうだ京都行こう」、矢沢永吉の「サントリー・BOSS」を作った元電通の佐々木宏氏だったからだ。佐々木氏はACCグランプリ、カンヌ国際広告フェスティバル金賞など数々の広告関連の賞を受けている。氏はかつて電通の新聞雑誌局からくりていたというから、読売新聞に仲のいい人がいて話を通したのかもしれないが、なかなか冒険ではなかっただろうか。

 それにしても、父が犬で息子が黒人という想像を絶する家族構成に最初は戸惑ったが、今は慣れてしまった。このCM、「里見八犬伝」がルーツかいなとふと思ったほど。しかし、確かに見た目は異常な家族だが、日本の家族も引きこもりや、家庭内暴力、DVなどある異常な家族が増えているわけで、ソフトバンク家族もある意味「正常」かなと思ってしまう。ひよっとしたら、佐々木氏は「外見をとりつくっていても、多くの家族はきわめていびつな状態になっているんだよ」と皮肉を利かせているのかもしれない。

 そういえば最近、CMで「磯野家のその後」をやっていたが、これもなかなか興味深い設定だった。ひょっとしたら、CMの世界では日本の家族の新しい形への「模索」が始まっているのかもしれない。

 例えばサントリーのCMで、国村準が娘のことを本当に大事にしている父親を演じていたが、CMの多くが親子関係を極めて重要なテーマとしている。例えば「仲良し型」「バラバラ型」「○○型」とCMの家族関係を分類し、そのタイプごとにどんなスポンサーがついているのかを分けても面白いかもしれない。仲良し家族には家庭用品のスポンサーが多いだろうというのは見当がつくが、それ以外にどんなのがあるかが気になってくる。