テレビ報道に見る産業・経済月報(平成23年11月)

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テレビ報道に見る産業・経済月報
(平成23年11月)

●今月の特徴

「日経平均株価最安値を更新、政府TPP交渉参加方針表明」

今月の特徴は、①日経平均株価・今年の最安値割り込む、②歴史的円高、③TPP交渉参加表明・ASEANとの経済連携、④タイ大洪水・日本経済への影響、⑤震災の影響・復興の動きとなった。

 

①【日経平均株価・今年の最安値割り込む】

16日、日銀・白川総裁は金融政策決定会合で「欧州の債務問題が日本経済にとって最大のリスクになる」と述べ、欧州債務問題が日本経済に与える影響に懸念を示した。23日には、欧州で最も安全な金融資産とされるドイツ国債の札割れが発生し世界に衝撃を与えた。この動きが日本の株安に繋がり、日経平均株価は25日、今年の最安値を更新し、約2年8ヵ月ぶりに8200円を下回った。東京債券市場では25日朝から日本国債が売られ、10年ものの利回りが1.03%と約1ヵ月ぶりの高い水準となった。今年に入って、ユーロ圏の財政危機に瀕する国でのリーダー交代はギリシャ・パパンドレウ首相、イタリア・ベルルスコーニ首相の辞任など5か国にのぼっている。ユーロ圏財務相会合が29日に開かれ、財政危機にある国々の危機状態を救済するための基金・EFSFの融資能力を4400億ユーロから最大で7500億ユーロまで拡大することで合意したが、欧州の危機が収まる気配は見えない。アセットベストパートナーズ・中原圭介社長は「「今や欧州の財政再建が長引くというのは分かっている。このままいくと日本の財政危機は間違いなく起きてしまう。景気が回復しない過程でも日本は財政再建を進めるしかない」と日本にも警鐘を鳴らしている。

 

②【歴史的円高】

歴史的円高による損失は約3300億円(大手8社)となり、自動車業界を取り巻く環境は悪化している。円高やタイの洪水の影響で多くの上場企業の2012年3月期連結経常利益が10%を超える減益となる公算。電気、鉄鋼など主要企業でも業績の下方修正が相次ぎ20%以上の伸びを見込んでいた下期の利益もほぼ前年並みに減速となった(フジテレビ)。ソニーは2012年3月期決算の純損益で4年連続の赤字に陥る見通しになった。トヨタ自動車・豊田章男社長は、歴史的円高が続いていることについて、「日本のものづくりは空洞化を超え、崩壊してしまう兆しすらある」と強い危機感を示した(テレビ東京)。また、「このまま円高が続けば生産を日本から米国へシフトしていく」との考えを示した(フジテレビ)。マツダは自動車市場の成長が期待されるロシアで現地メーカー・ソラーズとの合弁会社の設立に向け協議を始めたことを発表した。これにより、来年の秋にもロシア・ウラジオストクで乗用車の組み立てを始める見通しだ(NHK)。歴史的な円高に歯止めをかけるため政府日銀は、10月31日、円売りドル買いの市場介入に踏み切ったが、財務省は政府日銀が10月末からの1ヶ月間に行った為替介入の額が9兆916億円だったことを発表した(日本テレビ)。電機などの輸出企業の間では今後も、1ドル70円台の円高水準は続くとして事業の見直しを急ぐ動きが相次いでいる。TDKは円高などによる収益環境の悪化から海外を含めたグループ全体で1万1000人の人員を削減する方針。パナソニックは兵庫県のプラズマパネル2工場、千葉の液晶パネル工場の操業を今年度中に停止するなど国内の生産体制の縮小を打ち出した(NHK)。

 

③【TPP交渉参加方針表明・ASEANとの経済連携】

14日、ハワイ・ホノルルで開かれたAPEC首脳会議野田首相は、「TPP交渉参加に向けて関係国と協議に入る」との政府方針を各国に伝え、カナダ、メキシコも交渉への参加を表明した。世界経済の4割を占める巨大な経済連携が実現すれば、成長センターであるアジア地域の生産性を一段と引き上げる中核の枠組みとなる。ただ、米国を中心に厳しい条件が出されることも予想され、今後の関係国との事前協議では日本の外交通商能力が問われることになる(NHK)。TPP交渉参加の際の事前協議の議題として、米国側が日本の自動車市場の開放を求めていることに関して、自動車工業会の志賀会長は、「米国は自動車の輸入に関税をかけているが、日本は関税も規制もない」と指摘した。また「日本ではコンパクトカーが主流のため、大型の車は簡単に売れない」と述べ、米国の要望に反論した(日本テレビ)。一方で野田首相はASEANとの一連の会議の中で、ASEAN・東南アジア諸国連合など他のアジア地域との枠組みでも経済連携を推進したいという意欲を示した

 

④【タイ大洪水・日本経済への影響】

タイの洪水が、タイに拠点を置く日系企業に大打撃を与えている。日立製作所は業績に与える影響はまだ見通せないとしている。TDKは今後2年で全従業員の13%の1万1000人を削減すると発表。円高で収益が圧迫されていることに加え、洪水でハードディスク工場が大きな被害を受けたことが原因だという。パナソニックは5箇所あったテレビのパネル工場を2箇所に縮小した。シャープも液晶テレビの生産を大幅縮小し、大型液晶や中小型液晶ディスプレーへシフトするなど、各メーカーは主力事業の縮小を余儀なくされた。現地の工場の操業を停止する日本メーカーが相次ぐ中、自動車メーカー3社(三菱自動車日産自動車マツダ)は1か月ぶりに生産を再開した。工場が被災したホンダは工場再開のめどは立っていないとしている。新日鉄は、タイの洪水や世界経済の減速によって、今後、鉄鋼製品の需要の減少が見込まれることから、国内の製鉄所で減産に踏み切ることにした。新日鉄が高炉の休止を伴う減産に踏み切るのは、世界的な金融危機以来2年ぶりのこと。また、洪水による工場の被災や部品不足を受けて、クリスマス商戦に影響が及ぶ恐れが出ている。デジタルカメラではソニーが年末商戦の目玉となる新製品の発売を延期した。タカラトミーの「プラレール」も品不足となる可能性がある。また、タイからの輸入品が多い洋ラン「デンファレ」も年末年始の需要期に向けて品不足の可能性があるという(日本テレビ)。一方、日本政府は、タイで被災した日系企業の代替生産支援のため、緊急措置としてタイ人従業員の日本での就労を認めた。この措置を受け、タイ人従業員の受け入れを決める動きが相次ぎ、LIXILは、日本向け住宅用アルミサッシの主力工場の操業が止まっていて、700~1000人規模で年内に国内の複数の工場で受け入れる考え昭和電工は、今月中に120人規模を、パナソニック電工は25人のタイ人技術者を受け入れることにしている。

 

⑤【震災の影響・復興の動き】

9月の景気動向指数は、景気の現状を示す一致指数は前月より1.4ポイント低下した。2カ月連続で悪化し、震災前の水準に届かなかった。震災の生産回復が一服し、円高や海外経済の減速が重荷となっている。7~9月のGDP国内総生産は東日本大震災で大きく落ち込んでいた輸出、個人消費が回復し1年ぶりのプラス成長になった。内閣府が発表したGDPの伸びは実質で前期比+1.5%、年率+6.0%、プラス成長は去年7~9月以来で震災前の水準になった。自動車などの輸出が+6.2%、自粛ムード緩和で個人消費は+1.0%。10~12月期は世界経済の減速、タイ洪水の影響などで成長率が鈍化する可能性が大きいとした。オリエンタルランドの9月中間決算は震災の影響で前年同期に比べ315億円減少し、1481億円となった。“2施設が地震後1ヶ月余り休園し入園者数の落ち込みが大きく影響”したとみている。一方9月中間決算は、コスト削減をしたうえ夏場に客足がもどり7月から9月にかけて過去最高の入園者数を記録したことから営業利益が204億円と過去2番目の多さとなった。一方、NHKは拠点を海外に移転させる被災地の中小企業の動きを取材し、「中国に活路を求める被災地の中小企業の動きは、国内では先行きが見通せないという復興の厳しい現実を示している」と指摘した。

 

●注目点

「巻き返しなるか・東京モーターショー2011」

来月3日からの一般公開に先駆けて東京モーターショーが報道陣に公開された。東京モーターショーは、世界五大モーターショーの一つとされてきたが、前回は世界的な自動車産業の不振で出展した海外乗用車メーカーは3社に激減、参加した企業も128となり、2000社以上が参加した北京モーターショー、上海モーターショーとは対照的なものとなった。一方、今年は海外14社を含む174の企業や団体が参加。日本が世界の最先端を行くエコカー市場であるということから注目が戻ってきた(NHK)。来場者を増やそうと、会場を千葉から24年ぶりに東京に移し行われている。今回のモーターショーには世界13の国と地域から34社が約400台出品している。ホンダは電気自動車に折りたたみ式電動バイクが組み込まれた車(マイクロコミューター)を紹介した。また、三菱自動車は電気自動車から取った電気を家電につなげる車を提案、日産はスマートフォンを使用し、無人で迎えに来る未来車を出展している。トヨタ自動車は車体に特殊な素材を使いスマートフォンで取り込んだ画像を車体に映し出すことができるコンセプトカーを出展した(日本テレビ)。日本の自動車メーカーは東日本大震災による部品不足や超円高など苦境にあるが、その逆風をはねかえすべく各メーカーは威信をかけ東京モーターショーに臨んでいる(フジテレビ)。自動車メーカー各社は最先端の車をアピールして低迷する国内販売の起爆剤にしたい考えだ(テレビ東京)。

 

●新潮流

「東証・大証が経営統合を発表」

京証券取引所と、大阪証券取引所が経営統合することで合意した。世界2位の取引所が誕生する2013年1月に「日本取引所」を設立する東京証券取引所大阪証券取引所の統合協議は、今年3月にスタート。2008年のリーマンショック以降、世界的に投資が減り、証券取引所の再編が加速。東京証券取引所大阪証券取引所は、システム投資を効率化し、使いやすい取引所にしないと、投資が日本から逃げるという危機感で一致していた。今回、欧州危機で景気が悪化・株式相場を低迷させたため、経営統合を加速させた。東証平均株価の終値は、経営統合発表の日に2日連続で今年の最安値を更新した。

 

●11月のランキング(企業別テレビ報道CM価値換算一覧全国版より)

「第1位・宇宙航空研究開発機構、第2位・ディー・エヌ・エー、第3位・東武鉄道」

月はCM価値換算29億9387万円で「身近にある宇宙開発技術」「古川宇宙飛行士・帰還へ」「あかつき・再び金星軌道目指す」等の報道露出により、宇宙航空研究開発機構が第1位に輝いた。第2位は「DeNAが95億円で球団買収」「横浜DeNAベイスターズ誕生へ」などの報道でディー・エヌ・エーが獲得した。第3位は「東京スカイツリー世界一で認定証」「東京スカイツリー・開業まで半年」などの報道で東武鉄道が輝いた。第4位は「中間決算・営業損益325億円の赤字」「タイ洪水でトヨタ国内生産約10万台減へ」などの報道でトヨタ自動車となった。第5位は「新型ASIMO・4年ぶりに登場」「ホンダ再開まで半年・タイ洪水被害」などの報道でホンダになった。第6位は「年賀はがき・販売開始」「高齢者の買い物を支援・新サービス」などの報道で日本郵政、第7位は「大人の女性が買うぬいぐるみ・そのワケは?」「クリスマス商戦にも打撃・タイの大洪水」などの報道でタカラトミーになった。第8位は「テレビ市場・再建なるか・ソニーの活路は?」などの報道でソニー、第9位は「被災地の食品を積極的に販売へ」などの報道でハウス食品、第10位は「しまむらブランドで首都圏攻略に挑む」などの報道でしまむらが獲得した。

 

テレビの窓

「問われる日本企業のコンプライアンス」

外投資家の日本株売り要因として挙げられるのが、1位・オリンパス疑惑、2位・欧州危機の拡大懸念、3位・タイの洪水、4位・TPP交渉問題、5位・円高デメリット。米国・エンロン、ワールドコムの破綻のようにオリンパスのケースもショックが続く可能性があると外国投資家はみている(テレビ東京)。増田寛也元総務大臣はTBSで「東京電力もそうだし素晴らしい企業が立て続けに失態を犯している。格好だけはオリンパスも企業統治を強めた格好にしているが、全然実を伴っていない。今回はっきりと刑事告発して司法に判断を委ね、厳正な対応をしなければ日本企業に対する不信感がだんだん強まっていく」と語った。読売巨人軍の内紛ではコンプライアンス上、重大な件と伝えられたため投資家が警戒感を抱き、巨人軍の本拠地である東京ドームの株価は一時10%以上も下落し、読売新聞グループの日本テレビ株も売られた。オリンパス大王製紙など相次ぐ企業の不祥事を連想して売りが出た格好で投資家も敏感になっている(テレビ東京)。

 

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