テレビ報道に見る産業・経済月報(平成23年12月)

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テレビ報道に見る産業・経済月報
(平成23年12月)

●今月の特徴

「11年ぶり1ユーロ100円切る・日本が京都議定書から事実上離脱・東電電力値上げ」

今月の特徴は、①歴史的円高、②日本が京都議定書から事実上離脱、③タイ大洪水・日本経済への影響、④震災の影響・復興の動きとなった。

 

①【歴史的円高】

 

30日の英国・ロンドン外為市場で、ヨーロッパの債務危機に対する懸念を背景にユーロ売りが加速し100円割れした。ニューヨーク外為市場でもユーロは下落を続け、一時1ユーロ=99円47銭をつけた。11年ぶりのユーロ安円高水準。年明けから大量の国債償還が予定されているイタリアなどの資金繰りへの不安が強く、安全な通貨として円が買われ対ドル相場では円は急伸し、約1か月ぶりに1ドル=76円台を付けた(テレ朝)。日経平均株価は、円高やヨーロッパの債務問題の影響でこの1年で17%値下がり、29年ぶりの安値水準で取り引きを終えた。2011年の東京株式市場は、東日本大震災やヨーロッパの信用不安の直撃を受け厳しい1年となった。取引先が生産拠点を海外に移した影響で受注が大幅に減って経営破たんに追い込まれるなど、超円高が原因で倒産した企業が2011年は2010年より30%以上増えていることが分かった。帝国データバンクによると2011年1月~12月21日までの間で、円高が原因で倒産した企業は79社。2010年1年間を36パーセント上回っている。金融庁は歴史的な円高、震災、欧州信用不安などで中小企業の経営環境は依然厳しいとして、期限を1年間延長する方針を固めた。期限が延長されるのは2回目。この法律に基づき、金融機関は今年9月末時点で中小企業を対象に延べ225万件の借金の返済猶予などの条件変更に応じているが、金融庁は今後中小企業への経営相談強化なども求めていくことにしている。一方で、歴史的な円高を追い風に日本企業が海外の企業を買収する動きが活発になっている。買収などに使われた資金は2010年よりおよそ70%増えた。企業買収や合併を仲介する専門会社・レコフによると、日本企業が2011年、海外企業に対し買収や出資を行った件数は12月下旬時点で449件。そのために投資した資金は6兆2500億円。日本企業が新興国への投資を急いでいることや、東京電力福島第一原発事故の後、発電用の燃料確保のため海外の資源関連企業を買収する動きを強めたことが原因とみられる(NHK)。 

 

②【日本が京都議定書から事実上離脱】

 

地球温暖化対策を話し合う国連のCOP17で「ダーバン合意」が採択され、2013年以降、日本は新たな枠組みが発効するまで削減義務を負わないことになった。坂野経団連環境安全委員長は「今の京都議定書は非常に大きな役割を既に果たした。世界のCO2の26%しか出していない国々だけでやっていても、CO2は減らないというのが日本の基本的スタンスだ」と述べた(TBS)。NHKは「COP17で一部は京都議定書延長で合意したが日本は不参加を表明。大排出国の中国、米国、インドは新たな枠組みを作り2020年スタートをめざし削減意向を表明したが、日本が京都議定書延長に加わらなかったことで、世界から日本の温暖化対策の姿勢が問われている」と指摘した。

 

③【タイ大洪水・日本経済への影響】

 

タイの洪水の被害で使えなくなった自動車が再利用のため解体された。ホンダは工場が浸水する直前に約3000台の自動車を国内線専用の空港に避難させたが1000台が間に合わず被災した。解体した部品は今後新製品の原料として活用するため細かく分類(NHK、テレビ朝日)。経済産業省が発表した、企業の生産活動を示す11月の「鉱工業生産指数」は、タイの洪水の影響が幅広い業種に及んだため2ヶ月ぶりに前の月を下回った。今後の見通しについては、タイの洪水の影響が除々に解消してくるとして、自動車の増産などで企業の生産活動は今月と来年1月はともに上向くことが予想されるとしている(NHK、テレ東)。総務省が発表した11月の完全失業率は前の月と同じ4.5%だった。また厚生労働省が発表した11月の有効求人倍率は前の月と比べて0.02ポイント上昇し0.69倍となった。2か月ぶりの改善。しかし業種によっては円高やタイの洪水の被害の影響もあり厚労省は雇用情勢について一部に持ち直しの動きがみられるものの依然として厳しい状況とみている(テレ東)。

 

④【震災の影響・復興の動き】

 

東日本大震災、東京電力福島第一原発事故、ヨーロッパ債務問題の影響で日本経済にとって厳しい一年となったが、大和総研・熊谷亮丸チーフエコノミストは「2012年は震災復興需要に支えられ、日本経済は底堅い拡大を広げるとみられるが、ヨーロッパが政策対応を誤った場合、リーマンショック以上のリスクも考えられる」と指摘した(TBS)。財務省が発表した法人企業統計によると金融業保険業を除く企業の設備投資は9.8%減少。震災などの復興事業で生産用機械などが増え、食料品や鉄鋼などが減った(テレ東)。10月の機械受注では、復興需要に加え鉄鋼など製造業からの発注が増えているためブルームバーグでは前月比+0.5%と2か月ぶりの増加を予想している(テレ東)。トヨタ自動車は2012年の生産と販売計画を発表し、この内生産は世界全体で865万台と2011年に比べて24%増加し、過去最高を見込んでいる。国内の復興需要に加え、中国やインドなど新興国の需要伸びを見込んでいる事が主な要因。また販売台数も世界全体で848万台と今年より20%余り増えて過去最高になると見込んでいて、新興国の売り上げが半数近くを占めるとみている(NHK)。一方、インターネットを活用して被災地の復興を支援する新たな取組みが始まった。新たにオープンした復興デパートメントは東北3県を中心とした被災地の海産物や工芸品などをインターネット販売する仮想商店街。店舗や工場を失った生産者や加工業者が自ら県外に売ることができる仕組みでヤフーなど15社の共同プロジェクト。販売の拡大により被災地で新たな雇用を生み出す狙いがある(テレ朝)。東日本大震災の津波で被災した宮城県石巻市にあるモビーディックは、ウェットスーツで国内20%のシェアを持つ。倉庫は全壊したが、幸い無事だった工場は生産を再開した。海上保安庁や自衛隊、消防のためのウェットスーツも手がけている。仮設住宅の被災者のため、素材の切れ端を使ったアクセサリーづくりという雇用もつくっている(テレ東)。普通車で10万円が支給されるエコカー補助金が復活。前回の「エコカー補助金」は約456万台を対象に総額6200億円を支給。その影響で自動車の売り上げが回復。しかし、円高や東日本大震災、夏の節電、タイの洪水などで再び低迷。復活したエコカー補助金に期待が集まっている(TBS)。テレ東は震災の塩害で苦しむ被災地に土壌改良材をまくことで塩害を受けた畑を蘇らせる取り組みが進められていることを紹介。「特許申請中の土壌改良材を開発した農業ベンチャー・マイファームで、土壌改良材をまいた畑では、NECNTTドコモも技術を提供し、農地の塩分濃度を24時間測定している。いま被災地の復興に特許を活用する動きが広がり始めている」と報じた。

 

●注目点

「車と街がつながるスマートモビリティシティ」

京モーターショーで今回、注目されたのが、「車と街がつながる」ことをテーマとしたスマートモビリティシティ。「スマートモビリティシティ2011」では自動車メーカーだけでなく電機メーカー、住宅メーカー(積水ハウスなど)も参加して行われた。経済ジャーナリスト・池原照雄は「スマートモビリティシティが注目されるようになったのは、3月の東日本大震災がきっかけだった。震災でガソリン不足の中、日産自動車三菱自動車の電気自動車が活躍したことと、次世代自動車の研究開発が加速化したことにより、住宅や電機、通信など様々な産業との関わりが増えたためだ」と言う。将来的に日産の電気自動車リーフは車から自宅からの電気を充電できるようになるという(フジ)。

 

●新潮流

「新日鉄と住金の合併を承認」

正取引委員会は新日本製鉄と住友金属工業の合併を一部条件付で承認すると発表。公正取引委員会は合併により一部の素材の国内シェアが高くなりすぎると指摘していたが、両社は事業一部譲渡などの対応策をとる方針を打ち出し、公正取引委員会は合併を承認した。今後海外当局からも承認されれば、来年10月に世界第2位の鉄鋼メーカー「新日鉄住金」が誕生することになる。

 

●12月のランキング(企業別テレビ報道CM価値換算一覧全国版より)

「第1位・東京地下鉄、第2位・東武鉄道、第3位・オリエンタルランド」

月は「来年度中にWiMAXが可能に」「ホームドア率40%」「日本最初の地下鉄・銀座線」「中野車両基地の紹介」等の報道露出により、東京地下鉄が第1位に輝いた(CM価値換算26億7800万円)。第2位は「特急スペーシア車両改装・スカイツリー色に変身」などの報道で東武鉄道が獲得した。第3位は「東京ディズニーリゾートの人気アトラクションがリニューアルオープン」などの報道でオリエンタルランドが輝いた。第4位は「新たなランドマーク誕生・渋谷ヒカリエ」などの報道で東京急行電鉄となった。第5位は「三井不動産・ロンドンで土地取得」「アウトレット新戦略・観光地と共存」などの報道で三井不動産になった。第6位は「トヨタ・来年の生産・販売計画過去最高見込む」「トヨタの新車“アクア”・被災地産ハイブリッド」などの報道でトヨタ自動車、第7位は「ソーシャルゲーム・急成長の秘密」「横浜DeNAベイスターズ誕生」などの報道でディー・エヌ・エーになった。第8位は「外国人が驚く!“日本流”クリスマス」などの報道で日本ケンタッキー・フライド・チキン、第9位は「年賀状の受け付け始まる」などの報道で日本郵政、第10位は「初売りで買いたい!女性が欲しい最新家電」などの報道でパナソニックが獲得した。

 

テレビの窓

「東電が企業向け電気料金を値上げ」

京電力は22日、企業向け電気料金を2012年4月から値上げすると発表した。32年ぶりの値上げとなる。福島第一原発事故後の各原発停止に伴う火力発電所の燃料費増加で悪化した収益構造を改善させるのが目的(テレ朝)。大手自動車会社幹部は諦め顔で、「受け入れざるを得ない」と語る。東電から新規の電気事業者に乗り換えようにも「量を調達できず、現実的ではない」といい、当面は節電を続けるがガスへのシフトも検討している。非製造業も戸惑っており、流通各社は今夏以降、これまでより2割程度節電したが値上げでほぼ帳消し。業界からは「生鮮を扱うので限界がある」(日本チェーンストア協会)との不満も出ている。ローソンの新浪剛史社長は「唐突過ぎる。もっと丁寧に説明すべきだ」と憤る。大和総研の熊谷亮丸チーフエコノミストは、「東電の値上げは国内総生産(GDP)を0.3%押し下げるだろう」と試算し、「産業空洞化が進む」とみている(TBS)。

 

 

JCC株式会社

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