テレビ報道に見る産業・経済月報(平成24年3月)

logo.gifテレビ情報のデータベース化、知識化、ネット情報の収集、多角的分析が現実世界を浮き彫りにします

印刷用表示 |テキストサイズ 小 |中 |大 |

HOME > TV allcover free > 産業経済月報 > 産業経済月報2012-03

会社概要MAP採用プライバシーお問い合わせ

テレビ報道に見る産業・経済月報
(平成24年3月)

●今月の特徴

「日経平均株価一時1万円台回復・迫る全原発停止、原油高」

今月の特徴は、①株高・円安の動き、②エネルギー関連の動き、③震災の影響・復興の動き、④タイ洪水の影響となった。

 

①【株高・円安の動き】

今年度最後の取引となった30日、日経平均株価はことし最大の上げ幅で1万255円を付けて震災当日の終値を上回り、株価は大きな節目を迎えた。トレンドは円安株高方向へ変わってきている。鉄鋼輸出にも回復の兆しが出ている。東京製鉄が約半年ぶりに中東やインドなどへの輸出を再開。新日本製鉄など高炉大手も輸出を中心に生産量の拡大を見込んでいる。円安やアジアの鋼材市況が改善してきたことが背景にある。金融株、不動産株も上昇している。日銀・白川総裁が2月に追加デフレ脱却へ強い姿勢を示したことで今後の追加緩和の期待が高まったことが不動産株上昇の背景になっているが、白川総裁は長期金融緩和には原油や食料価格の上昇などの副作用があると指摘した。円安で原油価格は日本がもっとも高くなっている。大和総研チーフエコノミスト・熊谷亮丸は今後の日本経済のリスク要因として欧州のソブリンリスク、原油価格の高騰、原発の停止、消費税引き上げに失敗することを挙げた(テレ東)。

 

②【エネルギー関連の動き】

財務省の発表によると、1月の経常収支は、3年ぶりの赤字となった。欧州の景気の低迷などで輸出が減る一方、原子力発電所の停止に伴う火力発電用の燃料の輸入が増えたことなどが要因(日テレ)。こうした中、柏崎刈羽原発6号機が定期検査のため停止し東電管内の全原発が停止となった。国内で運転を続けている原発は北海道電力泊原発3号機の1基のみ。このまま再稼働がなければ、5月には国内の原発54基すべてが停止することになる。政府は今夏、1割の電力需給ギャップが生じるとしている(日テレ)。一方、東京電力の企業向け電気料金値上げに企業から拒否の動きが出ている。日本商工会議所は、東京電力が4月から実施する企業向け電気料金の値上げについて、値上げの幅を圧縮するよう求める意見書を東電と政府に提出した(テレ朝)。エネルギーの今後の見通しが立たない中、丸紅は、世界最大級のオーストラリア西部の鉄鉱石鉱山の権益12.5%を取得し韓国の鉄鋼メーカーと共同で2年後から生産を開始することになった。さらに丸紅を始めとする10社と東京大学は、福島県沖で洋上風力発電の実証実験を受託したと発表した。住友商事は世界有数の火山国のインドネシアで大規模な地熱発電事業に乗り出すことになった(NHK)。原油高騰に加え原発の停止など日本がエネルギー政策をめぐって大きな岐路に立たされる中、伊藤忠商事は昨年末、米国のエネルギー開発会社のシェールガス開発へ約800億円の投資を決めた。掘削技術の劇的進歩で生産が急増、エネルギー危機の救世主になるのではと言われている。シェールガスは液体にすると輸送がしやすく、気体から600倍に濃縮されるため燃料としての効率もあがる。シェールガス事業への参入を目指し日本の商社がこぞって数百億~5000億円の大規模投資を続けている(日テレ)。

 

③【震災の影響・復興の動き】

3月の月例経済報告は、景気の基調判断は緩やかに持ち直しているとして、5カ月連続で据え置き。復興需要で公共投資が堅調(TBS)。日銀は金融政策決定会合で今月末が期限の成長基盤を強化する為の融資制度の延長と拡充を決めた。さらに小口の投融資を対象に5000億円の貸し付けを行うほかドル建てで1兆円の貸付枠も創設、被災地を支援する融資も一年延長する(NHK)。

 

④【タイ洪水の影響】

操業を停止していたタイ・ホンダの自動車工場が5カ月半ぶりに再開し、日系自動車全社の生産が正常化した(テレ東)。一方、タイのインラック首相が来日し、「日本の協力も得ながら洪水対策に力を入れる」考えを示し、タイ政府が日本円で約1250億円を基金として拠出し、企業の為の災害保険制度を整備する計画や、法人税率を20%まで引き下げる方針を明らかにした。タイに投資している日本企業の懸念払拭に努める考え(NHK)。

 

●注目点

「“業績悪化”シャープが台湾企業と提携」

今年3月期の決算で過去最大の2900億円の最終赤字に陥る見通しのシャープは経営基盤を強化するため台湾「鴻海精密工業」とグループ会社に対し第三者割当増資を行った。660億円余りの出資を受け、資本業務提携することで合意した。この結果、シャープに対する鴻海グループの出資比率は合わせて約10%となる。また大阪・堺市にある液晶パネル工場の運営子会社の株式の46%余りを鴻海側に譲渡し、将来的には鴻海がここで生産されるパネルを50%引き取る事で合意した。今回提携する鴻海はパソコンやスマートフォンなどの委託生産では世界最大手の企業。シャープはその資金力と低コストの生産技術を生かして工場の稼働を安定させると共に、先端技術の開発を進めて経営基盤の強化を図りたい考え(NHK)。今回の提携で、市場には驚きと評価の声が上がった。シャープには買いが殺到しストップ高まで上昇した。台湾株式市場では鴻海精密工業や関連企業の株価が上昇。一時115台湾ドル台を付け今年の高値を付けた(テレ東)。一方、NKSJホールディングスは、傘下の損保ジャパンと日本興亜損保の再来年度上半期の合併を発表した。国内トップの損保が誕生する(TBS)。

 

●新潮流

「ベトナム市場に本格参入・イオンの狙いは」

経済成長著しいベトナムの平均年齢は27歳。ここ数年若さなどを武器に5%台を超える高い成長を続け、ライフスタイルにも変化が生まれている。流通大手のイオンがホーチミンで開いた記者会見では、岡田社長自ら乗り込んでベトナム第1号となる大型施設の出店計画を明らかにした。出店させるのは市の中心部から車で30分の場所で、郊外の開発地域に大型店を展開するのがイオンの戦略。ベトナムには欧米や韓国資本の大型スーパーが相次ぎ進出、ライフスタイルの変化に合わせてコンビニも大型スーパーを上回るスピードで増加している。イオングループも去年12月、大型スーパー出店に先駆けて2店舗のコンビニを開業、今後も出店を加速する計画。イオン以外にも日本企業のベトナム進出の動きがある。ファミリーマートは既に18店舗出店していて、3年後には300店舗まで拡大する予定。また高島屋も日本のデパートとして初めて3年後に出店する。様々な規制もあるが、企業にとって人口9000万人というのは魅力的な市場。少しでも早く出店してブランドを確立しようという日本の小売り各社の動きはますます広がりそうだ(NHK)。

 

3月のランキング(企業別テレビ報道CM価値換算一覧全国版より)

「第1位・東武鉄道、第2位・ファーストリテイリング、第3位・セブン&アイ・ホールディングス」

3月の「GOOD BRAND10」は、東武鉄道が「東京スカイツリー完成」「東京スカイツリー竣工式」「各放送局がお天気カメラを東京スカイツリーに設置」「スカイツリーに予約殺到」「スカイツリー展望台抽選受付開始」「スカイツリー・すみだ水族館・珍獣捕獲で集客アップ!?」等、「東京スカイツリー」に関する話題でダントツのトップとなった(CM価値換算60億4700万円)。第2位は「ユニクロに1000人大行列・銀座銘柄が軒並みUP!」「総額7兆円!日本の富豪40人・ユニクロ社長1位」などの報道でファーストリテイリング が獲得した。第3位は「セブン&アイのプライベートブランド その人気の秘密に迫る!」などでセブン&アイ・ホールディングスが輝いた。第4位は「都心回帰する鉄道会社の開発」「東北新幹線はやぶさ・新型車両・E5系デビュー1周年イベント」などでJR東日本となった。第5位は「命名権の紹介」などでプレナス、第6位「東京ディズニーランド新サービス・シンデレラ城で結婚式」でオリエンタルランド、第7位「JR東海・設備投資計画を発表」でJR東海、第8位「日本初!格安航空ピーチ就航・・・安さの秘密」で全日本空輸、第9位「大人気!ローソン春の新弁当美味しいメニューランキング」でローソン、第10位「愛と誠・38年ぶりに復活」などで角川グループホールディングスになった。

 

テレビの窓

「格安航空ピーチが就航」

3月1日、全日空の格安航空ピーチが就航。破格の航空運賃が武器で、関空-福岡は3780円から、関空-新千歳は4780円からと、大手航空会社の普通運賃の半額以下に抑えた。旅行業界全体にも影響を与えそうだ。格安の裏には徹底した企業努力がある。機内サービスはすべて有料。座席は通常より2列増の180席。同じ機種で運航することも安さにつながっている。空港施設内の賃料の安い場所に無人チェックイン機を設置、事務所の部品は中古品だという(日テレ)。

 

 

 

 

JCC株式会社

LinkIcon産業経済月報・最新版

TV All Cover

テレビット

TV All Cover (有償サービス)

Net News

System

All Channel Recorder

DataBase

Science&Technology

Reseach&Analysis