テレビ報道に見る産業・経済月報(平成24年4月)

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テレビ報道に見る産業・経済月報
(平成24年4月)

 

●今月の特徴

「日銀5兆円の追加金融緩和・日の丸家電総崩れ」

今月の特徴は、①日銀追加金融緩和、②エネルギー関連の動き、③円高の動きとなった。

 

①【日銀追加金融緩和】

日銀は、金融機関から国債などを買い入れる基金の総額を5兆円ほど増やして、70兆円程度にする追加の緩和措置を決めた。短期の政策金利は、0~0.1%と実質的なゼロ金利を継続することを決め、長期金利については、資金供給枠を65兆円から70兆円に拡大することと、国債の条件緩和を2年から3年以下まで認めることを決めた。2つの措置によって、企業や家庭に資金が流入し、デフレからの脱却を後押ししたい考えだが、日銀が繰り返し金融緩和を行ってもデフレ脱却は難しく、日銀の金融政策は無力、日銀は無策という厳しい指摘もある。それでも金融政策に多くを依存せざるを得ないところに、今の日本経済の置かれた厳しい現状がある(NHK)。

 

②【エネルギー関連の動き】

 

●電力値上げの影響

東京電力が企業向けなどの電気料金の値上げを実施して1ヶ月、対象となる23万件余りの利用者の内、同意を得られたのは全体の45%余りに留まっている。このため東京電力は同意が得られていない利用者に対し、直接訪問するなどして引き続き理解を求めるとしている。電気料金の値上げの影響は企業から企業へと波及する恐れが出ている。例えばある納豆製造会社が懸念しているのはプラスチック容器の値段で、2円20銭の容器が40銭値上げされるだけで、年間140万円のコスト増となる。他にも薬味のからしや醤油、商品名を入れたフィルムなどが値上がりする恐れもある。資材費の値上がりに加え、工場の電気料金の値上げ分40万円を加えると利益の4%が減少すると試算している(NHK)。一方、今夏の電力需給状況を検証する政府の第三者委員会の初会合が行われ、国内の電力会社9社が今夏の需給見通しを提示した。原発の再稼働がなくおととし並みの猛暑だと、西日本で3.6%の不足、東日本で3.7%の余剰と算出された。関西電力管内では16.3%の電力不足になるとされている(フジ)。

 

●原発の動き

2011年度の貿易収支は4兆401億円の赤字と、第2次石油危機直後の1979年度を上回り、過去最大の赤字額となった。5月には全国の原発すべてが停止する可能性が高く、LNG・液化天然ガスの輸入がさらに伸び、貿易赤字を膨らませる可能性がある(TBS)。東京電力福島第一原発の1~4号機が廃止され、日本国内の原発は50基となる。北海道・泊原発が停止により、5月5日から日本国内のすべての原発が42年ぶりに完全停止になる。こうした中、関西電力・八木誠社長は、大飯原発の再稼働に向けた新たな安全対策の実施計画を枝野経済産業相に提出した。実施計画では免震重要棟の設置時期を1年前倒しして2015年度としたほか、フィルター付きベント装置設置を2015年度と明記した(TBS)。

 

●注目されるシェールガス

原子力発電の代わりとして注目されているのが天然ガス。中でも注目されるのが米国での生産が急増しているシェールガス。これをLNGにして輸出しようというプロジェクトが相次いでいる。東京ガス住友商事は米国東部のメリーランド州に建設されるLNG生産施設から、日本などに輸出する計画に参画する事で現地企業と合意。5年後の2017年の輸出開始を目指し、今後米国政府の許可を求めていく。また世界最大の総合エネルギー企業・エクソンモービルは米国で生産した天然ガスを海外に輸出する検討を始めた事を明らかにした。米国政府は天然ガスの輸出に慎重だが、エクソンモービルという米国のエネルギーの巨大企業が米国からの輸出に前向きな姿勢を見せたことは注目される(NHK)。

 

●自然エネルギーの動き

一方、企業や家庭が自然エネルギーを利用して発電した電気を電力会社に対して一定期間固定価格で買い取らせる制度が7月1日から開始される。経済産業省では消費税込みで太陽光で42円/kW時とする原案を決めた。風力では57.75円、地熱では42円。建設中のSBエナジーソーラーのメガソーラー発電所では640世帯分の発電量を賄える。固定価格買取制度のスタートは家庭向けの太陽光パネルの需要も押し上げている(TBS)。

 

●注目される地熱発電

自然エネルギーの中でも火山国、日本で特に注目されているのは地熱発電。再生可能エネルギーの全量買い取り制度をきっかけにして、別府温泉では中小企業による温泉の蒸気で電気を作る「湯けむり発電」という実験が行われている。地熱発電には企業を惹きつける魅力がある。太陽光や風力と違い、天候や時間帯に左右されない地熱発電。日本の地熱資源は原発20基分に相当するが、割合は全体の0.3%にすぎない。地熱資源の8割は国立公園の中にあり、環境や景観保護のため規制されてきたが、政府は今月、国立公園での地熱発電の開発を条件付きで認める規制緩和を決定した。企業連合が吾妻山の周辺に国内最大の地熱発電所を作る開発計画を持ち出し、環境省に協力を求めた。企業連合は秋までに調査開始の意向。しかし地元は温泉への悪影響を懸念している(テレ朝)。

 

③【円高の動き】

外国為替市場の円相場は30日、1時、1ドル79円90銭台で取引された。1ドル80円を突破するのは今年2月24日以来、約2ヶ月ぶりとなる。円高やタイの洪水の影響で鉄鋼製品の需要が減った為、JFEホールディングスの今年3月期の決算は、最終損益が366億円の赤字と会社の創設以来初の最終赤字となった。こうした中、東京都は産業の空洞化を防ごうと物作りを支える中小企業の競争力の強化に取り組む都内の市区町村を対象に、新たな財政支援を始めることになった。都内にある中小企業では、歴史的な円高の影響で厳しい経営が続き、操業を停止したり生産拠点を海外に移すケースが出始めている(NHK)。

 

●注目点

「日の丸家電総崩れ・ソニー巨額赤字・過去最大の5200億円」

2012年3月期連結決算の純損益赤字額はパナソニックが7800億円、ソニーが5200億円、シャープが3800億円になった。こうした中、ソニーは1万人規模の人員削減を発表、業界に衝撃が走った。テレビ事業は国内に加え米国でも韓国メーカーなど海外勢との価格競争が激しくなり厳しい状況にある。専門家はテレビの低価格がメーカーの赤字を生み出していると指摘している(テレ朝)。ソニー平井一夫新社長はソニーの主要事業からテレビを外すことを経営方針説明会で明らかにした。ソニーのテレビ事業は8年連続で赤字が続き建て直しが急務となっている。このためテレビ事業の位置づけを主要事業から外し機種数を4割減とし来年度の黒字化を目指すという(日テレ)。ソニーは、テレビ事業の黒字化に向けて中国や台湾の大手と提携交渉を進めていると一部で報道されている。また、平井新社長は、マーケティングにおける創造性の模索の大切さを強調し、今後の復活に向けたカギのひとつとされるインターネットサービスの強化に向け、ネット関連企業の買収も辞さない姿勢を強調している(テレ東)。

 

 

●新潮流

「千葉・木更津に巨大アウトレット誕生」

今、アウトレットモールの出店が相次いでいる。関東のアウトレットモール(日本ショッピングセンター協会調べ)はすでに10店舗以上ある。今月13日には、千葉県木更津市に首都圏最大規模のアウトレットモールがオープンした。21万5000平方メートルの敷地に171店舗が並ぶ。競争を勝ち抜くための強みは東京湾アクアラインにある。アクアラインを使えば羽田空港から車で最短25分で到達する。おととし国際化した羽田空港を利用する外国人客の誘致を狙う。2年前から専門部署をつくり、海外の展示会で営業を行うなどして呼び込みを図っている。木更津市のアウトレットモールでは、中国で使われている銀れんカードに全店舗が対応。日本語を中国語・英語と対照させたシートも用意している(NHK)。

 

●4月のランキング(企業別テレビ報道CM価値換算一覧全国版より)

「第1位・東武鉄道、第2位・三井不動産、第3位・オリエンタルランド」

4月の「GOOD BRAND10」は、東武鉄道が「天皇皇后両陛下の視察」等、東京スカイツリー開業前の各局の取材で96億7700万円という圧倒的な存在感で、今月も第一位に輝いた。第2位は「アクアラインに最大規模アウトレット誕生」などの報道で三井不動産が獲得した。第3位には「値下げ&イベント・逆風克服・オリエンタルランド最高益」などでオリエンタルランドが輝いた。第4位は「渋谷ヒカリエオープン・渋谷を大人の街へ」などで東京急行電鉄となった。第5位は「“低価格”“短時間滞在”羽田空港内に“新”ホテル」などで東京空港事務所、第6位「嵐・有楽町・阪急MENS’S TOKYOを貸し切ってコーディネート対決」でエイチ・ツー・オーリテイリング、第7位「コンビニ“大人向け”弁当大人気」でセブン&アイ・ホールディングス、第8位「激安中華店で帰れま10」で幸楽苑、第9位「箱根ふれあいゆるり旅」で小田急電鉄、第10位「新名所に百貨店は“セール・展示会”で対抗」などでそごう西武になった。

 

●4月の人物ランキング

「第1位・東京電力・西澤俊夫社長、第2位・ソフトバンク・孫正義会長、第3位・ソニー・平井一夫社長」

4月度の1位は、「電気料金値上げ」がらみの報道で東京電力・西澤俊夫社長になった(17件)、2位は「発電ビジネス相次ぐ参入」の報道でソフトバンク・孫正義会長(16件)、3位は「注目されるソニーの経営方針発表」でソニー・平井一夫社長(15件)、4位は「ジェットスタージャパンに事業認可」の報道でジェットスタージャパン・鈴木みゆき社長(8件)、「格安住宅作る脅威のシステム」でアキュラホーム・宮沢俊哉社長(8件)、「世界企業が目指す理想とは」でスターバックスCEO・ハワードシュルツ(8件)。7位・三井住友信託銀行・常陰均社長(三井住友信託銀行が発足)(3件)、ファーストリテイリング・柳井会長兼社長(日本の富豪40人)(3件)、ローソン・新浪剛史社長(外国人を採用する企業など)(3件)、10位・新日鉄・三村明夫会長(東電会長人事)(2件)となった。

 

テレビの窓

「スマホ向け放送局・NOTTV開局」

民放各局とNTTドコモが協力する日本初スマートフォン向け放送局「NOTTV」が開局した。総合編成チャンネル「NOTTV1」「NOTTV2」と、ニュース専門チャンネル「NOTTV NEWS」の3つの放送チャンネルで、高画質の映像を視聴できる。全番組の6割以上が生放送。高速無線通信による中継システムなど、新しいテレビとして大きな期待を集めている。情報番組「notty★live7時間」では、“つぶやき”をオンエア中に流しているが、実情はツイートの数が少なく、ソーシャルメディアが十分活用されていない。また対応機種が2つしかないことや、月額料金に見合う番組がないことも課題とされている。

 

 

 

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