テレビ報道に見る産業・経済月報(平成25年10月)

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テレビ報道に見る産業・経済月報
(平成25年10月)

「日銀短観・3年連続で改善、リーマンショック以降の最高水準」

 

今月の特徴は1.景気の動向、2.エネルギー関連、3.TPPの動きになった。

 

1.景気の動向

政府は月例経済報告を発表し、景気の基調判断を先月と同じ「緩やかに回復しつつある」に据え置いた。大企業を中心に引き続き収益が改善していることに加え、企業の業況判断もさらに良くなっているとしている。先行きも家計所得の増加などが続き、「景気回復の動きが確かなものとなることが期待される」としている(テレ東)。9月の日銀短観は、大企業の製造業ではプラス12で、3年連続で改善し、リーマンショック以降の最高水準となった。中小企業の製造業は、マイナス9ポイントだった(NHK)。日銀短観で大企業製造業の景気判断がリーマンショック以降最も高い水準になったことをうけて、安倍首相は「経済政策パッケージの実行により消費税率を引き上げたとしてもその影響を極力緩和することができ、日本経済を再び成長軌道に回復することが可能」と述べ、来年4月から消費税率を5%から8%に引き上げる考えを表明した(日テレ)。東京証券取引所の一部に上場している企業の中間決算の発表がピークを迎え、決算発表を終えた企業のうち29%の企業が上方修正し、上場企業全体ではリーマンショック後最高の利益に達する見通しとなった(NHK)。日銀の10月の地域経済報告で、日銀は全国全ての地域で景気情勢を引き上げた。全地域での上方修正は今年4月以来2期ぶり(フジ)。労働組合の全国組織「連合」は、来年の春闘でボーナスや手当ではなく基本給そのものを1%以上引き上げるよう企業側に求める方針を決めた。いわゆる「ベースアップ」を求めるのは5年ぶりで、連合・古賀伸明会長は「国民所得を景気回復、物価上昇と同時に上げていかなければならない」と述べた(日テレ)。一方、日本の輸出は米国向けの自動車が増えたことなどから、前年同期比で9.8%多い35兆3199億円と5期ぶりに増加したものの、急速な円安で火力発電の燃料になるLNG・液化天然ガスや原油の輸入が膨らんだことから、輸入は前年同期比13.9%増えて、40兆3919億円となり、輸入額が輸出額を上回った。財務省によると9月の貿易収支は9321億円の赤字となった。これは9月としては過去最悪の数字で、第2次オイルショック時を上回る15か月連続の過去最長の赤字となった。2013年度上半期の日本の貿易赤字はおよそ5兆円と過去最大で、上半期では比較可能な1979年以降で最大の赤字(TBS)。財務省は「貿易赤字が縮小する兆しは見えるものの貿易収支の赤字傾向が当面続く可能性が高い」と話している(NHK)。

 

2.エネルギー関連の動き

東京電力が、柏崎刈羽原発7号機に原子力規制委員会の安全審査の対象となるフィルター付きベントの設置工事を開始した。フィルターベントは大事故の際、原子炉格納容器爆発を防ぐため放射性物質を減らしながら蒸気を外部に放出する装置。東電は今年度中に設置を完了したいとしている(テレ東)。一方、福島第一原発で汚染水をめぐるトラブルが相次いでいることを受けて、原子力規制委員会の田中委員長は東京電力の広瀬社長と面会、この後の会見で広瀬社長は「福島第一原発をまずしっかりしないといけないというのが基本認識」と述べた。東京電力は新潟県・柏崎刈羽原発の安全審査を申請しているが、原子力規制委員会は面会結果を踏まえて判断する方針(日テレ)。ところで今月、小泉元首相が「原発はゼロを目指すべきだ」と爆弾発言を行ったが、これに対し安倍首相は「原発ゼロだと毎年4兆円近くが火力発電の燃料費にかかる」と指摘し、「今の段階で原発ゼロを約束することは無責任だと思う」と語った(テレ朝)。海外への原発輸出で動きがあった。安倍首相のトルコ訪問に合わせて三菱重工業など日仏企業連合がトルコ側と原発の建設で正式に合意した(テレ朝)。原発以外の動きでは、シェールガスの輸出について、日本とカナダが連携して日本向けの輸出に取り組んでいくことになり、日本は日本企業参画のシェールガス田開発に加え、LNGにする施設や港湾などにも資金支援を行う。カナダ西部の液化天然ガスプロジェクトで日本企業が持つ権益は年間860万トン。再生可能エネルギー関連では、海に浮かべた風車で発電する国内最大規模の「洋上風力発電」施設が長崎県五島列島沖に完成し、環境省は実用化に向けて全国で初めて本格的な実証実験を開始した(NHK)。

 

3.TPPの動き

東京都内で行われていたTPP(環太平洋経済連携協定)の知的財産を巡る中間会合が終了し、大江首席交渉官代理は本格的な協議をはじめるメドがたったとの見方を示した。知的財産分野では医薬品の特許期間や映画などの著作権の延長などを巡り各国の利害が対立していて、今回の会合を経て妥結に向けた交渉を本格化させる(テレ東)。

 

●注目点       

「航空会社間の競争が激化」

年春から1日当たり40往復分増える羽田空港の国際線発着枠について、国土交通省は日本航空よりも全日空に多く配分することを正式に発表した。日本航空が経営再建の過程で公的資金による支援を受けたことを踏まえて判断したとしている。日本の航空会社に割り当てられる予定の20往復分のうち、全日空に11往復分、日本航空に5往復分を配分することを正式に明らかにした。新たな発着枠のうち英国、フランス、中国、シンガポール、タイへの便が、全日空、日本航空それぞれに、ドイツ、ベトナム、インドネシア、フィリピン、カナダへの便は全日空にのみ配分。配分をめぐり日本航空は均等な割り当てを主張。全日空は「経営再建の過程で公的資金による支援を受け、今も法人税免除などの優遇を受けている」として自らに多く配分するよう主張していた。国土交通省は全日空側の主張に配慮した形。国際線発着枠に差が出ることで、収益面にも影響するとみられる(NHK)。一方LCC格安航空会社の動きも活発になってきている。ピーチアビエーションは27日、関西-成田路線を就航させ、初の首都圏乗り入れを果たした。同じ関西-成田路線を就航しているジェットスタージャパンとの競争が激化されるとみられる(フジ)。ところで、去年8月ANAとエアアジアが共同出資して就航したLCC格安航空会社のエアアジア・ジャパンが就航から1年3カ月でラストフライトを迎えた。集客の伸び悩みや経営方針の違いから、ことし6月に業務提携の解消が発表され、今後全日空の100%子会社となる。新社名「バニラエア」で12月20日から沖縄、札幌、台北などレジャー・リゾート路線を中心に就航予定、日本で受け入れられるサービス目指す(日テレ)。

 

●新潮流

「シーテックジャパン開催」

年で14回目を迎えるアジア最大級の最先端技術の展示会シーテックジャパン2013。千葉市・幕張メッセに世界の約600の企業や団体が集まった。来場者は20万人。NTTドコモによる英語などを日本語に翻訳するメガネ(韓国語、中国語にも対応)や、パナソニックのタフパッド4Kテレビなどが紹介され来場者が直接体験した(テレ朝)。東芝はハイビジョンテレビより4倍キレイに映る注目の4Kテレビを紹介した(テレ東)。NECはスマートフォンやタブレット端末などで遠隔操作が可能なコミュニケーションロボットを紹介した。日産自動車は東京五輪・パラリンピックが開催される2020年の実用化を視野に入れた人工知能を搭載した自動運転車を紹介した(TBS)。シーテックジャパン関連の話題ではないが、自動運転関連で、今月、トヨタ自動車が高速道路での自動運転技術を数年以内に自社製品に導入すると発表した。前を走る車両と無線で通信して追突を防いだり、白線をセンサーで読み取って車線をはみ出さずに走れるようにする仕組み。トヨタはこの技術によって、渋滞の緩和や事故の減少につながることを期待しているという(テレ東)。

 

10月のランキング(企業別テレビ報道CM価値換算一覧全国版より)

「第1位・三井不動産、第2位・ローソン、第3位・ココスジャパン」

10月は「ららぽーと横浜」「三井アウトレットパーク・オータムフェア」「三井ガーデンホテル」「アーバンららぽーと豊洲」「東京ミッドタウン」等の露出により広告換算値が24億500万円となり、三井不動産が第一位となった。第2位は、「ローソン・薬販売に本格参入へ」などの報道で、ローソンが獲得した。第3位は、「赤字覚悟!ファミレスマル得サービス」などの報道でココスジャパンとなった。第4位は、「コンビニ競争激化顧客取り込みに新サービス」などの報道で、セブン&アイ・ホールディングス、第5位は、「人気ファミレスVS人気ドーナツ店で帰れま10」などの報道でダスキン、第6位は、「トシヨロイヅカが本音で選ぶNO.1コンビニスイーツとは?・ファミリーマート編」などの報道でファミリーマートになった。第7位は、「朝・昼・晩・ディズニーに密着・まさかがいっぱいのハロウィーンを“査察”した!!」などの報道でオリエンタルランド、第8位は、「海外投資・呼び込むカベとは」などの報道で森ビル、第9位は、「カレーを家庭に広めた創業者・大公開!ハウス100年の心得」などの報道でハウス食品グループ本社、第10位は「知られざる羽田空港裏側2・何のため?飛行機体重測定」などの報道で東京空港事務所となった。

 

10月の人物ランキング

「第1位・みずほ銀行・佐藤康博頭取、第2位・阪急阪神ホテルズ・出崎弘社長、第3位・東京電力・広瀬直己社長」

第1位・みずほ銀行・佐藤康博頭取174件(みずほ…頭取陳謝も辞任否定など)、第2位・阪急阪神ホテルズ・出崎弘社長150件(各地のホテルで・誤表示相次ぐなど)、第3位・東京電力・広瀬直己社長41件(汚染水漏れ改善策・東電社長に要請など)、第4位・日本銀行・黒田東彦総裁40件(影響力ある日本人トップは黒田日銀総裁など)、第5位・経団連・米倉弘昌会長28件(経済好循環実現に協力など)、第6位・ソフトバンク・孫正義社長22件(ソフトバンク・営業最高益など)、第7位・日本航空・植木義晴社長21件(日本航空・初めてエアバス機導入など)、第8位・ファーストリテイリング・柳井正社長17件(売上高1兆円・ユニクロの戦略とはなど)、第9位・日立製作所・川村隆会長11件(産業界から賃上げに前向きな発言など)、第10位・NTTドコモ・加藤薫社長9件(ドコモ・巻き返し策など)。

                     

●テレビの窓

「JR九州の豪華寝台列車・ななつ星効果」

州で走り出したJR九州の豪華寝台列車「ななつ星」の車内は高級ホテルと見まごうばかりの空間が広がる。一方、東北では三陸の絶景を走るミシュランの星を獲得したシェフの料理を堪能できるレストラン列車も運行を開始。最新技術でもスピードでもなく、鉄道の旅そのものを最大の売りにしている。「ななつ星」の1番列車の乗客は14組28人で倍率7倍の抽選で選ばれた。「ななつ星」は日本初のクルーズトレインで目的地に急ぐのではなく、九州各地をゆっくりと周遊する。「ななつ星」の成功にはJR九州が過去に開発した9つの観光列車の存在があった。「ななつ星」の国内販売分は来年6月まで埋まっているが、JR九州には更なる戦略があり、日本だけでなく海外の富裕層に「ななつ星」と九州を売り込むことがJR九州の狙いだという。既に香港の旅行会社と団体向けのチャーター契約が決まったという(テレ朝)。

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