テレビ報道に見る産業・経済月報(平成26年1月)

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テレビ報道に見る産業・経済月報
(平成26年1月)

「アベノミクスの行方は?・経常収支・過去最大5928億円の赤字」

 

今月の特徴は1.経常収支過去最大の赤字、2.TPPの動き、3.エネルギー関連の動きになった。

 

1.経常収支過去最大の赤字

1/30東京株式市場は平均株価が前日比一時500円以上値を下げ、1万5000円割れするなど全面安の展開になった。米国・連邦準備制度理事会が量的金融緩和縮小を決めたことで、トルコなど新興国経済への懸念が再び強まったことが要因となっている。2013年1月から12月までの貿易統計によると輸出から輸入を差し引いた貿易収支は11兆4745億円の赤字で3年連続。これまで最大だった2012年の6兆9410億円からおよそ65%増え過去最大となる。輸出は自動車などが伸び1年前に比べて9.5%増と3年ぶりに増加した。これは原発停止の影響で引き続き石油や液化天然ガスなどのエネルギーの輸入が拡大し円安の影響も加わって輸入額全体を押し上げたものだ(テレ東)。信州大学経済学部・真壁昭夫教授は「輸入が伸び、輸出が伸びにくい状況だと貿易赤字が定着する。そうなると日本経済の足を大きく引っ張る」と指摘した(テレ朝)。一方、貿易収支と所得収支などを合算して出す「経常収支」は5928億円の赤字(去年11月)で過去最大となった。甘利明経済再生大臣は「貿易立国の原点が揺らいでいる」などと懸念を示した。日本企業の海外生産が進み円安効果が出にくい背景がある(テレ朝)。

 

2.TPPの動き

TPP・環太平洋経済連携協定の閣僚会合は、秋に中間選挙を控えた米国の強い働きかけで2月22日から4日間シンガポールで開催する方向で最終調整している。甘利明経済再生担当大臣は「交渉を妥結させるという決意を持ってすべての国が臨むべき会合だと思う」と述べた。妥結の鍵を握るコメなど重要5項目をめぐる日米間の関税交渉は平行線が続いており、次回の閣僚会合で交渉が妥結できるかは不透明な情勢(日テレ)。

 

3.エネルギー関連の動き

政府は日本の中長期エネルギー基本計画で原発を「基盤となる重要なベース電源」と位置付けていたが、茂木経済産業相はこの表現を修正する考えを明らかにした。茂木大臣は「ベース電源」という言葉は変更しないとした上で、「前後の脈略の中でベース電源が量的に非常に多い電源であるとか、優先順位が高い電源と捉えられることもあるので、全体の脈略そのものを変更することも考えたい」と述べた(フジ)。東京電力は下河辺会長が4月に退任し後任にJFEホールディングス相談役・数土文夫が就く人事を正式に決定した。数土次期東電会長は「賠償、廃炉、安定供給のためには東電は経営を変えないと難しい」と話した(TBS)。この他、原発事故の風評被害に苦しむ福島市の土湯温泉で、旅館経営者達が温泉の蒸気を利用した地熱発電事業(バイナリー発電)を始めることになり、観光客の誘致を進めたいとしている(NHK)。また、ソフトバンクが電力小売事業に参入することを発表。今年春から大口顧客の企業向けの販売を始め、電力小売の全面自由化が予定されている2016年には一般家庭向けにも販売するとしている。ソフトバンクは携帯電話などを中心におよそ5000万件の顧客を抱え、通信サービスとのセット割引なども実際に検討しており、通信業界の価格競争を主導してきたソフトバンクの参入で電気料金の引き下げが進みそうだ(TBS)。

 

●注目点                                                        

「次期経団連会長・東レ榊原会長に」

団連は次期会長に、東レの榊原会長が内定したと発表した。経団連・米倉会長は、「最もふさわしい人になっていただくのが、経団連にとっても日本経済にとっても必要だ」と述べた。榊原次期会長は「OECD諸国、アジア諸国並みの25%近くまで法人実効税率を低減することを確実に早期に実行していただきたい」と述べ、海外の企業に日本への投資を促すため法人税の実効税率25%への引き下げを求め、会長就任に向けて榊原次期会長は、「経団連として自ら先頭に立ちリスクを取って設備投資、研究開発など成長基調を作り出していくことが課題だ」と抱負を述べた(TBS)。

 

●新潮流

「アベノミクスの明暗」

本経済は公共事業と円安効果で、あたかも元気になっているかのように見えるが、例えて言うならば筋肉増強剤を打ち栄養剤を飲み続けて一時的に元気になっているように見えるだけで、健康な体に戻って自立的な回復を歩みだしたわけではない。アベノミクスの第1の矢である「大胆な金融緩和政策」で生まれたのが円安。日銀・黒田総裁は円安により企業収益が改善し、設備投資が伸びるとしている。確かに自動車など輸出関連の企業業績は改善し、海外への投資には熱心だが、国内は依然慎重だ。長い間投資を手控えた結果、機械が古くなった会社が新しい機械に取り替えるという更新需要に期待しているが、中々うまくいかない。本当に設備投資が動き出すかどうかは、アベノミクスに対する信用を占う踏み絵になるだろう。円安効果で一番期待された輸出自体が、余り伸びていないのも気がかりだ。ひとつの理由は車や電気などのメーカーはすでに海外に拠点を移し、以前ほど日本から輸出しなくなっていることがある。また、力のある電子部品や機械などの資本財の業界も、得意先のアジア経済がぱっとしない為、円安でも輸出を伸ばすことが出来ないという事情もある。輸出が伸びないのはそもそも日本企業に競争力がない為という厳しい見方もあり、円安に多くを望むことは難しい。アベノミクスの第3の矢は「成長戦略」だが、いくつかのメニューが用意されたものの、具体的に動き出したものはひとつも無く、将来の展望を見出すことは難しい。第1、第2の矢は当面の景気てこ入れにつながるが、日本経済が力を付けるには「成長戦略」を着実に推進するしかなく、これをいかに展開できるかがアベノミクス成功の鍵となる。この反面教師が米国。米国は大胆な金融緩和で景気を回復させたと言われているが、実体経済は思うように回復していない。株価や地価があがり、資産家は潤うものの、資産を持たない人との格差が広がり社会に溝を作っている。日本でも金融緩和で株価が一本調子で上がり、6年ぶりに1万6000円台に乗せたが、企業業績と比べると割高になっていて、年初来の下げは行き過ぎの反省から市場が調整した形。こうした不安定な市場の動きを見るにつけ、円安株高による資産バブルに頼るのではなく、経済が自力回復して、多くの人が仕事を手にしてきちんと賃金がもらえる経済の必要性を痛感する(NHK)。

 

1月のランキング(企業別テレビ報道CM価値換算一覧全国版より)

「第1位・三井不動産、第2位・東武鉄道、第3位・トヨタ自動車」

月は「ららぽーと新三郷」「東京ミッドタウン」「ららぽーと豊洲」等の紹介で三井不動産が27億1600万円で第1位となった。第2位は、「東武野田線・愛称は東武アーバンパークライン」などの報道で、東武鉄道が獲得した。第3位は、「トヨタ6年ぶり最高益」などの報道でトヨタ自動車となった。

第4位は、「高価格・居心地・外食産業に新たな動き」などの報道で日本マクドナルドホールディングス、第5位は、「旅行会社に聞く・ソチ五輪・まだ間に合う?」などの報道でエイチ・アイ・エス、第6位は、「2013年12月オープン・話題のイオンモール幕張新都心」などの報道でイオンモールになった。第7位は、「京王れーるランド・本物に触れて体験」などの報道で京王電鉄、第8位は、「サントリー米国ビーム社買収・相次ぐ海外企業買収のワケ」などの報道でサントリー食品、第9位は、「店の商品情報・スマホで見える化」などの報道で三越伊勢丹ホールディングス、第10位は「官民ファンド出資・産廃ベンチャー」などの報道で森ビルとなった。

 

1月の人物ランキング

「第1位・経団連・米倉弘昌会長、第2位・ローソン・新浪剛史社長、第3位・日本銀行・黒田東彦総裁」

第1位・経団連・米倉弘昌会長45件(経団連会長に東レの榊原会長が内定など)、第2位・ローソン・新浪剛史社長33件(企業トップに聞く・アベノミクスの評価は?など)、第3位・日本銀行・黒田東彦総裁31件(異次元緩和・出口戦略に自信など)、第4位・トヨタ自動車・豊田章男社長26件(日本経済成長へのカギは?など)、第5位・東京電力・広瀬直己社長22件(新潟知事と東電社長会談など)、第6位・ジャパネットたかた・高田明社長19件(ズバリ賃上げどうなる?など)、第7位・東芝・田中久雄社長18件(伸び悩む輸出・背景はなど)、第8位・セブン&アイホールディングス・鈴木敏文会長14件(今年の日本経済・経営者はどうみる?など)、第9位・日産・志賀俊之副会長13件(企業トップに聞く・給料UP?など)、第10位・サントリーホールディングス・佐治信忠社長10件(サントリー米国ビーム社買収・相次ぐ海外企業買収のワケなど)。

 

                                                         

●テレビの窓

「経済3団体恒例の新年祝賀パーティーが開催」

年の日本経済には最大のハードル消費税増税が控えている。こうした中、経済3団体による恒例の新年祝賀パーティーが行われ、会場には安倍首相や企業経営者など約1850人が参加した。ほとんどの経営トップが今年の景気は良くなると予測、消費税率引き上げで景気がやや落ち込んでも次第に回復するとの考えを示した(日テレ)。安倍首相は「経済3団体の皆様に賃金を引き上げていただくようにお願いした」と賃金引き上げを要請、これに対し企業のトップからは前向きな回答が目立った。トヨタ自動車・豊田章男社長は「企業業績が上がったら税金を納めるのは当然。従業員とそれを分かち合うのは経営者として当然」と述べた。またジャパネットたかた・高田明代表取締役は「お金は循環しなくてはいけない。全社員に3%賃上げした」と発言した。西武ホールディングス・後藤高志社長は「デフレからの脱却には収入を増やすことが絶対に必要。海外からの客が1000万人突破し、これをさらに加速させ、観光立国から観光大国を目指す」とコメントした。三井不動産・菰田正信社長は「(安倍首相には)さらなる規制緩和をお願いし、その先は我々が頑張っていかなければならない」と政府に注文をつけた。ファミリーマート・中山勇社長は「1989年は団塊の世代が40代半ばで一番消費が多い。今度はその子供たちが同じ年代に入っていて、親子2代にわたって日本経済を支えてもらいたい」、三菱ケミカルホールディングス・小林喜光社長は「民間にボールが投げられた。企業が研究開発、投資なりを決断していくべき」、伊藤忠商事・岡藤正弘社長は「(アベノミクスの)評価は高い。当面は円安が戻らないように時間をかけて進めてもらいたい」と述べた(TBS)。

 

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