テレビ報道に見る産業・経済月報(平成26年4月)

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テレビ報道に見る産業・経済月報
(平成26年4月)

「TPPは道筋を特定・日豪EPAは大筋合意」

 

今月の特徴は1.消費増税、2.貿易赤字過去最高、3.TPP・EPAの動き、4.エネルギー関連の動きとなった。

 

1.消費増税

日銀が発表した短観(企業短期経済観測調査)によると、大企業の製造業の景気判断は5期連続で改善し、プラス17ポイントと6年3か月ぶりの高い水準となった。先行きについては消費税率引き上げの影響を見越して「今回より悪化する」と見込んでいる。政府が発表した4月の月例経済報告では、景気の基調判断について「緩やかな回復基調が続いている。消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動により、このところ弱い動きもみられる」と総括判断を下方修正した(テレ朝)。今後の景気は消費増税に伴った駆け込み需要の影響で落ち込みは避けられない。自動車業界は今年度の新車販売台数は15%減少と予測、電機業界は、今年度の白物家電の出荷が8.6%減と予測している。来年予定している消費税10%の引き上げについて安倍首相は7~9月の経済指標などを踏まえ年内に判断する考え(NHK)。セブン&アイHD・鈴木敏文会長は入社式で新入社員に対し、直面する最大の課題は増税への対応と訴えた。セブン&アイHDの価格戦略は業界全体にも大きな影響を与えるだけに増税後の方針が注目されていた。鈴木会長が打ち出したのは低価格競争からの脱却。自社ブランドの商品を見直し、価格にとらわれず質を重視することにした。鈴木会長は「価値の追求になれば結果として低価格競争から脱していけるのではないか」と述べた(NHK)。消費はいつ本格回復するか、経営トップは先行きを慎重に見極めようとしており、イオン・岡田元也社長は「影響が非常に軽くて終わるものと品ぞろえ自体を変えないと対応できない分野がある。今はそれがどのような姿で出てくるのか我々も想定できないので手探りの状態だ」、ローソン・玉塚元一次期社長は「(今後)商品としての品質や付加価値がものすごく重要」と述べた(テレ東)。

 

2.貿易赤字過去最高

財務省が発表した2013年度の貿易赤字は13.7兆円と過去最大になった。原油や天然ガス、スマートフォンなどの輸入が高止まりする一方で、輸出の低迷が続いているためだ。輸出は先月、再び減速、赤字解消の見通しは立たないままだ。大規模な金融緩和で円安にし、輸出を後押しすることで日本国内の生産や雇用を増やそうというアベノミクスの狙いは想定通りには進んでいない(フジ)。 

 

3.TPP・EPAの動き

オバマ大統領が国賓として来日し、焦点となっていたTPPは日米共同声明で「重要な課題について前進する道筋を特定した」という表現にとどまり、結局大筋合意には至らなかった(ただしTBS、読売新聞はTPP実質合意と報じた)。甘利TPP担当大臣は「大筋合意というわけではないが、進捗はあった」、自民党・西川TPP対策委員長は「完全に詰め切っていない。交渉官同士で詰め切れる範囲に来たと思う」とコメントした。日米共同声明には「TPP交渉での大きな節目になる」として各国への早期妥結呼びかけを盛り込んだ(テレ朝)。一方、安倍首相とオーストラリア・アボット首相との会談では両国間の経済連携協定・EPA交渉で大筋合意した。焦点は牛肉と自動車にかけられている関税の削減、撤廃で、協定発効後、冷凍牛肉は18年かけて19.5%に、冷蔵牛肉は15年かけて23.5%に段階的に引き下げることで合意した。自動車の乗用車関税は即時撤廃、トラックなどの大型車については3年で撤廃する(NHK)。

 

4.エネルギー関連の動き

日本の原発をトルコやUAEに輸出できるようにする原子力協定が、自民党、公明党、民主党などの賛成多数で可決した。安倍政権は原発輸出を成長戦略の柱のひとつと位置づけており原子力協定は今夏にも発効する見通しだ(日テレ)。一方、ウクライナ情勢をめぐって日本政府がロシア政府関係者23人のビザ発給を停止する追加制裁を科したことに、ロシア外務省は失望を表明し、対抗措置をとる方針を明らかにした。制裁が強化されればエネルギー分野への外国企業の参加を見直す方針も示した(フジ)。モルガンスタンレーMUFG証券・チーフエコノミスト・ロバートAフェルドマンは「ロシアはエネルギーで日本にガスを売らないというカードを持っている。日本が言い返すことは難しいだろうが、日本はメタンハイドレートという新しい資源を開発する力を持っている。非常に効率の高いエネルギーの使い方をしている。それらをさらに開発していくべき。脅されても言い返せるような技術開発、省エネ技術の開発が必要」と論じた。

 

 

●注目点                                                        

「日銀“異次元緩和”から1年・景気回復に効果は?」

・黒田東彦総裁による異次元の金融緩和から1年が経過した。異次元の金融緩和は2年間で市場に出回る資金量を2倍に増やし企業や個人が銀行から資金を借りやすくし、設備投資や個人の消費を活性化させようとするものだ。これにより市場では景気回復への期待が高まり日経平均株価はこの1年の間上昇基調だった。黒田総裁はこうした成果に胸を張り、金融政策決定会合でも異次元の金融緩和の継続を決定した。金融緩和で市場に出回るお金の量は約60兆円増えたものの、企業や個人に貸し出した額は10兆円増えただけで大半が銀行に眠ったままだ。多くの企業や個人は景気の先行きに不安を感じ借金をしてまで投資や消費をしようと思っていない。元日銀理事・平野英治は異次元緩和でも効果には限界があると指摘した(TBS)。 

 

 

●新潮流

「商船三井・中国側に40億円支払う」

日中戦争前の船の賃貸料をめぐる賠償訴訟で、中国の裁判所が商船三井の船を差し押さえた。商船三井は中国側に約40億円を供託金として支払い、差し押さえは解除された。中国外務省は「戦後補償問題とは関係ない」とはいうものの、現地では戦時中の強制連行をめぐり日本企業を相手取った訴訟が相次いでいる(日テレ)。日本政府は賠償請求権については日中共同声明で放棄され個人も含め存在しないとの立場だが、日中友好議連の幹部は「中国は司法権が独立しているというが、本当に独立しているのか疑問で、困った話だ」と相次ぐ強制連行訴訟の動きに困惑している。一方、中国に進出している企業の間では日中関係の悪化に加え、訴訟リスクの高まりで懸念が広がっている(テレ朝)。

 

 

4月のランキング(企業別テレビ報道CM価値換算一覧全国版より)

「第1位・三井不動産、第2位・セブン&アイ・ホールディングス、第3位・オリエンタルランド」

月は、三井不動産が東京ミッドタウンの桜並木の紹介や、三井アウトレットパークの話題などでCM換算値34億2500万円となり第1位に輝いた。第2位は、「消費増税・流通大手・脱低価格の戦略」などの報道で、セブン&アイ・ホールディングスが獲得した。第3位は、「デイズニーランドとシー・2013年度の入園者数が過去最高」などの報道でオリエンタルランドとなった。第4位は、「格安スマホ・イオンが販売のワケ」などの報道でイオン、第5位は、「JR東日本渋谷駅・大改造計画を発表」などの報道で東日本旅客鉄道、第6位は、「ドコモが“新料金プラン”発表」などの報道でNTTドコモになった。第7位は、「開湯1200年・初夏の奥日光・絶景!名湯めぐり」などの報道で東武鉄道、第8位は、「全日空・新制服を発表」などの報道でANAホールディングス、第9位は、「夢の超特急を解剖せよ・ミラクルボディーの秘密」などの報道で川崎重工業、第10位は「東京五輪を視野に計画・最大級の銀座再開発」などの報道で森ビルとなった。

 

 

4月の人物ランキング

「第1位・日本銀行・黒田東彦総裁、第2位・ミズノ・水野明人社長、第3位・セブン&アイHD・鈴木敏文会長」

第1位・日本銀行・黒田東彦総裁115件(日銀・大規模緩和の継続決定など)、第2位・ミズノ・水野明人社長39件(なぜ飛びやすく・メーカーの説明は?など)、第3位・セブン&アイHD・鈴木敏文会長24件(消費増税・流通大手・脱低価格の戦略など)、第4位・ファーストリテイリング・柳井正社長14件(ユニクロ・1万6千人を“地域正社員”採用など)、第5位・東京電力・広瀬直己社長10件(東京電力3年ぶりに入社式・新入社員380人など)、第6位・日産・カルロスゴーン社長8件(ルノー日産・経営統合の可能性はなど)、第7位・日本マクドナルド・サラカサノバ社長 7件(客単価アップのカギは家族・マクドナルド家族向け新商品発表など)、第8位・経団連・米倉弘昌会長7件(日本とEUはEPA交渉加速をなど)、第9位・トヨタ自動車・豊田章男社長6件(春本番・桜とともに新年度に決意・新入社員の前で社長が涙?など)、第10位・ピーチアビエーション・井上慎一社長6件(LCCピーチ・機長不足…航空業界で何がなど)。

 

 

●テレビの窓

「日本初上陸・ビットコインATM」

ットコインは、取引する世界中の人に取引データが共有され、使用者全員でお互いを監視し合っている。このため不正やデータ改ざんを防ぐことができる。マウントゴックスが倒産したことは記憶に新しいが、単に1取引所が倒産したということだけであり、ビットコイン自体の価値はなくなっていないし今でもビットコインは世界中で使える(テレ朝)。その仮想通貨ビットコインを使いやすくしようという動きが広がりを見せている。25日、ビットコインを現金に換えることができる機械・ビットコインATMが初めて日本に上陸した。地元の貿易会社が米国から輸入したもので、その場でビットコインを購入したり、換金して引き出すことが可能だ。ビットコインATMを利用するには、まず電話番号、免許証、手の静脈パターンを登録する。ネット上の認証プロセスなどがあるため、すぐに現金は出てこないが、1000円単位で引き出しが可能という。ビットコインATMは5月には都内の飲食店に納入予定だ。麻生財務大臣は「お金でないと財務省、金融庁の所管ではない」としているが、日本で通貨として認められていないビットコインを、現金化すること自体に問題はないのかが気になる。ビットコインATMを輸入した来夢・韓元徳社長は「管轄の官庁がない点は不安だが、弁護士と協議して違法性は無いと認識している」と述べた(テレ東)。

 

JCC株式会社

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