テレビ報道に見る産業・経済月報(平成26年6月)

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テレビ報道に見る産業・経済月報
(平成26年6月)

「新成長戦略を閣議決定・どうなる日本の“稼ぐ力”」

 

今月の特徴は1.新成長戦略を閣議決定、2.エネルギー関連の動き、3.株主総会の動きとなった。

 

1.新成長戦略を閣議決定

いわゆる骨太の方針と新成長戦略が閣議決定され、安倍首相がその内容を発表した。新成長戦略の主な内容は法人税減税(国と地方を合わせた実効税率34.62%を、来年度から引き下げて数年で20%台にすること)、公的年金の株式運用拡大(現在12%の公的年金の株の運用比率を20%にする)や混合診療の拡充、全国農業協同組合中央会が農協に経営指導などを行う現在の中央会制度を地域農協が創意工夫で経営できるよう新制度に移行する農業改革、女性の活用、成果に応じて賃金を支払う雇用制度改革などで、政府は今後骨太の方針に沿って来年度予算案の編成作業を進めるとともに、新成長戦略の実現に向けて制度設計や法案策定作業などを進める方針。新成長戦略が最大のメッセージとして掲げたのが“稼ぐ力を取り戻す”という言葉であり、これは企業が国際競争力を高めて稼ぐことに加え、日本が国としての魅力や競争力を高めることや国民それぞれの収入を増やしていくという意味合いがこめられている(NHK)。政府の成長戦略発表から一夜明け、株価の反応が注目されたが、「新たな材料なし」と株価を下げた。安倍首相の会見を見ていた三菱UFJモルガンスタンレー証券市場商品本部・グレンウッド特命部長は「法人税は“20%台”というが、何年?いつ?率はどのぐらい?と聞きたい。多くの資本、多くのグローバル投資家がまだ信じていない」と指摘した。ただこうした失望だけでなく市場では、「方向性は評価」、「今後の議論の詰めを見守りたい」との声も目立っていた(テレ東)。

 

2.エネルギー関連の動き

東京電力は火力発電のコストを削減し電気料金を引き下げるため他の企業と提携してLNG(液化天然ガス)などの燃料調達や老朽化した火力発電所の建て替えなどを検討しており、名乗りを上げている中部電力東京ガスなどとの提携を軸に交渉を本格化させている。東京電力は原子力発電所の運転停止により火力発電への依存が高まっているが、燃料費の増加や効率の悪い発電所の運転で経営が悪化している。火力発電所の建て替えについては7月にも入札の受け付けを開始、財務基盤が弱く単独では資金調達ができない東京電力では他企業と提携して応札することにしている。提携先については中部電力、東京ガス、大阪ガスJXホールディングス関西電力が名乗りを上げている(NHK)。一方、電力の小売りを全面自由化する改正電気事業法が、参議院本会議で可決、成立した。改正電気事業法は、大手電力会社に小売りの地域独占を認めていた規定を撤廃、再来年から一般家庭でも電気の契約先や料金メニューを自由に選べるようになる。経済産業省は「8400万件余の顧客、約7兆5000億円の市場が開放される」としている。通信会社や商社など、新規参入が活発になり競争が激化すると見込まれている。ソフトバンクは既に再生可能エネルギーによる発電事業を手掛ける子会社を設立しており、大規模な太陽光発電施設などを建設し、家庭向け電力販売にも参入を検討している。ソフトバンクの子会社・SBエナジー・藤井宏明副社長は「小売り全面自由化で多くの客が電力を選ぶという時代になると思う」とコメント。また丸紅は発電所を運営する企業を買収したほか、東京ガスは電力販売の専門部署を新設するなど電力小売りの全面自由化を見据えて動き出している(NHK)。

 

3.株主総会の動き

本年は株主総会の分散化が進み、集中日に総会を開く企業が初めて4割を下回った一方で、社外取締役を選任する企業が増加した。改正会社法の成立を受けて、社外取締役を導入しない企業には理由の説明が求められるようになるため、総会では社外取締役を選任する企業が増えている。東証1部上場企業の社外取締役の選任は、初めて70%を超えた(TBS)。また、業績の改善を反映して株主への配当を増やす動きも相次いでおり、任天堂でも社外取締役の選任を初めて株主に提案。配当総額は7兆600億円と過去最高。民間の信用調査会社・東京商工リサーチのまとめによると1億円以上の報酬を受け取った役員の数は181人。日産自動車の株主総会でカルロスゴーン社長は、2013年度の自身の役員報酬額が9億9500万円だったことを明らかにし、トヨタ自動車・豊田章男社長は2億3000万円と公表している(テレ朝)。沖縄電力を除く電力会社9社で株主総会が開かれ、関西電力の株主総会では筆頭株主である大阪・橋下市長が「再稼働が進まない場合のリスクを考えず原発に依存するなど将来の予測ができていない」として経営陣を批判し、経営陣の即刻交代を求めた。東京電力の株主総会では廣瀬社長が福島第一原発の汚染水問題について陳謝したが、原発廃止などを求める株主提案はすべて否決された(フジ)。三菱重工業の株主総会では、宮永俊一社長がフランスの重電メーカー大手・アルストムのエネルギー事業への買収提案が通らなかったことについて、株主に説明し、「提案が採用されず残念だが、エネルギー環境事業はこの提案に依存していない」として、引き続き戦略的に事業展開を加速することを表明した。ソフトバンクの株主総会で、孫正義社長は「まず世界を変えるという中で米国に大きく参入したい」と述べ、米国での事業拡大に意欲を示した。武田薬品工業の株主総会では英国の製薬会社出身で社長候補のクリストフウェバーの社長就任をめぐって創業家やOB株主など約110人が反対を表明、これに対し長谷川閑史社長がクリストフウェバーの社長就任の必要性を強調した(テレ東)。

 

 

●注目点

「創業家以外で初のトップ・サントリーHD社長に新浪氏」

ントリーホールディングスは、この秋にも新しい社長に大手コンビニチェーン・ローソンで長く経営トップを務めた新浪剛史会長を起用する人事を固めた。サントリーは近く取締役会を開いてこの人事案を決定し、新浪会長はことし秋にもサントリー社長に就任する見通し。サントリーは先月、米国の蒸留酒メーカー「ビーム」を買収しているが、国際展開が重要な経営課題となっていて、ローソンで国際化をけん引した新浪会長の実績を期待して社長に迎えることにしたものとみられる。一方、現在の佐治社長は代表権を持った会長として、引き続き経営全般の指揮にあたる。サントリーが創業家以外からトップを起用するのは初めて(NHK)。グローバル化などの課題を解決するため、こうした他社で経営者として実績を残した人材を迎え入れる動きが日本企業の間で広がっており、共同通信・久江雅彦氏は「有能と言われている方がこうやって動くということは、日本の経済システムが変わってきていることの象徴」と指摘した(TBS)

 

 

●新潮流

「“究極のエコカー”燃料電池車発売へ」

ソリン価格の高騰の中、トヨタ自動車は水素で動く燃料電池車を世界に先駆けて来月3月までに発売すると発表した。トヨタ自動車・加藤光久副社長は「今から10年後くらいの話で普及させていきたい」と述べた。価格は700万円前後。1960年代に米国・GM(ゼネラルモーターズ)が世界初の燃料電池車を開発。しかし、市販されるには至らなかった。2002年にはトヨタとホンダが世界初燃料電池車をリース販売し、当時の小泉純一郎元首相も試乗した。2009年にはトヨタ、ホンダ、日産が東京から福岡まで1100キロの長距離走行実験に成功。水素で動く燃料電池車には水素ステーションの設置という課題がある。岩谷産業・水素エネルギー部・松岡美治部長は「コストが高いというのが頭痛のタネ」としている。水素を使った燃料電池車はホンダが2015年、日産が2017年に発売を予定しており、経済産業省は将来的にはハイブリッド車並みの価格を目指している(TBS)。

 

 

6月のランキング(企業別テレビ報道CM価値換算一覧全国版より)

「第1位・森ビル、第2位・セブン&アイ・ホールディングス、第3位・ファーストリテイリング」

6月は、虎ノ門ヒルズの完成及びそのセレモニーや六本木ヒルズ等のイベントで森ビルが78億8500万円のCM価値を創り、第1位に輝いた。第2位は、「セブンイレブン・ドバイに進出」などの報道で、セブン&アイ・ホールディングスが獲得した。第3位は、「ユニクロ・秋冬物から値上げへ」などの報道でファーストリテイリングとなった。第4位は、「ソフトバンク・ロボットで攻勢」などの報道でソフトバンク、第5位は、「山手線新駅・品川~田町間に誕生へ」などの報道で東日本旅客鉄道、第6位は、「進化する格安スマホ・イオンは月額1980円」などの報道でイオンになった。第7位は、「客との接点を増やし中小型店舗を強化」などの報道で三越伊勢丹ホールディングス、第8位は、「渋谷大改造で思わぬ発見・懐かしの“昭和遺産”玉電」などの報道で東京急行電鉄、第9位は、「“究極のエコカー”燃料電池車発売へ」などの報道でトヨタ自動車、第10位は「小田急電鉄・脱線事故・脱線防止ガードなど対策へ」などの報道で小田急電鉄となった。

 

6月の人物ランキング

「第1位・経団連・榊原定征会長、第2位・ソフトバンク・孫正義社長、第3位・ローソン・新浪剛史会長」

第1位・経団連・榊原定征会長53件(甘利大臣と榊原経団連会長が会談など)、第2位・ソフトバンク・孫正義社長45件(ソフトバンク・米国事業拡大に意欲など)、第3位・ローソン・新浪剛史会長39件(サントリーHD・次期社長にローソン新浪会長など)、第4位・トヨタ自動車・豊田章男社長31件(豊田社長が東北で大決心!世界で勝つ車づくりの秘密など)、第5位・日産自動車・カルロスゴーン社長29件(ゴーン社長・報酬9億9500万円など)、第6位・サントリーHD・佐治信忠社長27件(サントリー社長に新浪剛史氏を起用など)、第7位・東京電力・廣瀬直己社長18件(東電・福島勤務の社員・給与アップなど)、第8位・JR東日本・冨田哲郎社長16件(東京が変わる!?山手線に新駅誕生など)、第9位・ソニー・平井一夫社長9件(ソニー社長・業績不振なのに収入アップなど)、第10位・ファーストリテイリング・柳井正会長8件(改革の狙いは・柳井社長単独インタビューなど)。

 

●テレビの窓

「虎ノ門ヒルズがオープン」

テルや住宅、オフィスや商業施設などを束ねた地上52階建ての超高層ビル・虎ノ門ヒルズが11日、全面開業し、およそ1000人の来場客が集まった。11日、営業を始めたのは日本初進出の高級ホテル「アンダーズ東京」や飲食店など24店舗。3階のオフィスゲートの前には、自宅でも会社でもない第3の場所をテーマに「ザ・サード」と名付けられたスペースがオープン。コンビニエンスストア「ファミマ!!」では通常の商品に加え、雑貨や書籍およそ1000点を販売。さらに店内には食事持ち込みが可能で、ミーティングもできるラウンジもある。虎ノ門ヒルズを開発した森ビルは、虎ノ門ヒルズ周辺を含む港区で、10年間で約1兆円規模の再開発事業を手掛ける方針(テレ東)。オープニングセレモニーには安倍首相、舛添東京都知事などおよそ700人が参加し、安倍首相は「みんなで東京を世界一の都市にしていく、この虎ノ門ヒルズのオープニングがその幕開けとなることを期待する」と述べた(日テレ)。

 

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