テレビ報道に見る産業・経済月報(平成26年10月)

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テレビ報道に見る産業・経済月報
(平成26年10月)

「日銀追加金融緩和・日経平均株価一時1万7000円台・円安進行一時115円台」

 

今月の特徴は1.日銀が追加の金融緩和、2.貿易収支過去最大の赤字、3.消費税10%への動き、4.エネルギー関連の動きとなった。

                                                                                                

1.日銀が追加の金融緩和

31日、黒田日銀総裁は会見を開き「日本銀行は2%の物価目標の早期実現を確かなものにするため、量的質的金融緩和の拡大を決定した」と追加の金融緩和を発表した。東京市場で日経平均は急上昇し一時、1万7000円台(11/5)とほぼ7年ぶりの高値を付け、為替相場は一時1ドル115円台をつけた。これは金融機関からの国債の買い取りを通じ、供給する資金の量をこれまでより年間で最大20兆円ほど増やし80兆円にする前代未聞の措置(テレ東)。米国ではFRB(連邦準備制度理事会)が量的緩和の終了を決定し、米国と日本との金融政策の違いが鮮明になったとして、金利の上昇が見込まれるドル買い円売りが加速している(NHK)。クレディスイス証券チーフマーケットストラテジスト・市川眞一は「黒田総裁下の日銀は、市場にサプライズをもたらすことに関しては非常に長けている。当面は株価もあがりプラスの面もあるが、長期的に考えると心配な面もある。円安がコストを上げていく形になり、コストを上げて2%の物価上昇率が達成される時、日銀は米国FRBがやったように出口戦略を考えないといけない。日銀は出口なき金融緩和に踏み込んだ可能性が高い」と指摘した(テレ東)。

 

2.貿易収支過去最大の赤字

財務省が発表した先月の貿易収支によると、輸出額が前年同月に比べ6.9%伸びたものの、輸入額も6.2%増え、輸出から輸入を差し引いた貿易収支は9583億円の赤字となった。貿易赤字は27ヶ月連続の赤字になり、統計が比較できる昭和54年以降ではもっとも長い期間を更新した。また4月から先月までの今年度上半期の貿易収支も5兆4271億円の赤字となり、赤字額は年度の上半期としてはこれまでで最も大きくなった。これは中国向けの金属加工機械や自動車の輸出額が伸びたものの、オーストラリアやロシアなどからのLNGの額が膨らんだことが主な要因。財務省は「電力需要の拡大のため、燃料の輸入の増加は構造的に続いている。先行きは世界経済の状況に影響を受けるため注視する必要がある」と話している(NHK)。

 

3.消費税10%への動き

来年10月に予定される消費税10%への引き上げに慎重な自民党議員らが勉強会を開き12月の安倍総理大臣の判断を前に、早くも自民党内での綱引きが始まっている。慎重派の勉強会には党内の1割にあたる約40人が参加。自民党・山本衆院議員「特にデフレから脱却するこの時期で(引き上げ)というのは危ない」とコメント。勉強会では増税延期を訴える本田参与が講師。引き上げを1年半先送りする方向で議論。慎重派の勉強会は菅官房長官らの意向との見方もあり、党内の「増税ありき」の風潮に水を差す狙い。税制調査会も、財政再建の必要性を訴える勉強会を開き、引き上げ推進派を増やしたい考え。足元の経済情勢と共に二分された党内情勢を見極めながら安倍総理大臣は難しい判断を迫られることになる(テレ朝)。 

 

4.エネルギー関連の動き

鹿児島県の川内原発の再稼働について、伊藤知事が同意する考えを示した(11/8)。川内原発を巡ってはすでに地元の薩摩川内市が再稼働への同意を決めており新規制基準のもと立地自治体と県が再稼働に同意したのは初めて。再稼働の時期は原子力規制委員会による認可などの手続きが残されているため、年明け以降になる見通し(NHK)。一方再生可能エネルギーについても新たな動きがあった。これまで太陽光発電など民間で作った再生可能エネルギーを電力会社が買い取ることが義務付けられてきたが、九州電力が新たな電力の買い取りの中断を発表し、事業者から怒りや不満の声があがっている。おととしスタートした再生可能エネルギーの買い取り制度は、発電事業者から電力会社が固定価格で買い取るよう国が義務付け、買い取り費用は電気料金に上乗せされた電力が一般家庭に送られるしくみになっていた。九州電力管内では土地の安さなどから参入する事業者が殺到し、実際の電力需要を上回る恐れがあるとして新規買取りを中断した。北海道電力東北電力四国電力沖縄電力でも新たな電力の買い取りの中止の動きがあり、九州電力を含め5社で買い取りの中断を発表する事態となった。経済産業省は新規買い取り中断について会議をスタートさせ、年内をめどに対応策をまとめる方針(日テレ)。

 

 

●注目点                                                        

「リクルートホールディングス・時価総額1兆9000億円余・ことし最大の上場」

クルートホールディングスが東京証券取引所に上場、時価総額1兆9100億円余りと今年最大の上場になった。リクルートホールディングス・峰岸真澄社長は「国内での持続的な成長と共に積極的に海外へも展開していく。中長期の成長戦略を達成する一環として上場することを意思決定した」と述べた。業績のけん引役となっているのが、就職情報以外での生活関連のさまざまな情報サービス。まとめて入手できることが難しかった情報を提供することで利用者を伸ばしている。旅行情報誌「じゃらん」の年間発行部数は約500万部。30歳代の編集長など若手を積極的に登用している。リクルートは昭和35年、故・江副浩正が創業。就職情報誌などで急成長、昭和63年にグループ会社の未公開株を政財界や官僚に渡したリクルート事件の影響などで業績悪化し一時、ダイエーの傘下で経営を立て直した。その後、新たなビジネスモデルを打ち出すことに成功し、情報サービスの対象を拡大、インターネット事業も展開、業績は徐々に改善した。情報を掲載する企業を増やすことで安定した広告収入を得る方法も軌道に乗った。ことし3月期の売上は1兆1900億円余りと過去最高となった(NHK)。

 

 

●新潮流

「“新幹線を売り込め!”初・JR4社が団結」

R4社が共同で設立した高速鉄道国際会議がはじめて開かれた。米国、オーストラリア、インド、ベトナムなど11か国、約300人が出席。鉄道アナリスト・川島令三は「JR4社などによるオールジャパンは画期的なこと」と述べた。JR東日本・東北、上越、長野新幹線、JR東海・東海道新幹線、JR西日本・山陽新幹線、JR九州・九州新幹線の総延長距離は約2400km。日本はこれまでにも新幹線をPRしてきたが、実現した輸出先は台湾のみ。世界の高速鉄道市場は20兆円。安倍政権はインフラ輸出を成長戦略の柱の1つとして掲げている。安倍首相は「超電導リニアをはじめ新幹線技術を広く海外に展開できればと考えている。オバマ大統領に対し日米協力のシンボルとして米国北東部への新幹線の導入を提案している」と述べた。安倍首相はこれまで、インドやマレーシアにもアピール。今年4月、米国・ケネディ駐日大使とリニア中央新幹線に試乗するなどトップセールスを行っている。チャンスを狙うのは日本だけではない。フランス高速鉄道TGVやドイツ高速鉄道ICE、中国などのライバルと激しい競争が繰り広げられている(TBS)。

 

 

10月のランキング(企業別テレビ報道CM価値換算一覧全国版より)

「第1位・オリエンタルランド、第2位・三井不動産、第3位・東海旅客鉄道」

10月は、オリエンタルランドがハロウィーンイベントや「アナと雪の女王」をテーマにした大型施設の計画、今後10年の開発構想の発表などで、44億2480万円でトップに輝いた。第2位は、「東京圏特区の素案発表」などの報道で、三井不動産が獲得した。第3位は、「東海道新幹線・開業50年」などの報道で東海旅客鉄道となった。第4位は、「日本の地下鉄と路線バス」などの報道で東京地下鉄、第5位は、「開発約半世紀ぶり・国産旅客機MRJ公開」などの報道で三菱重工業、第6位は、「ユニクロの新戦略“ネット通販”強化するワケ」などの報道でファーストリテイリングになった。第7位は、「鉄道の裏側SP・鉄道合コンに超潜入」などの報道で東武鉄道、第8位は、「消費不振を打ち破れ・イオン“地域密着”で勝負」などの報道でイオンモール、第9位は、「はやぶさ2・来月30日打ち上げへ」などの報道で宇宙航空研究開発機構、第10位は「スマートホーム・システムの米国最大手・東京急行電鉄と提携」などの報道で東京急行電鉄となった。

 

 

10月の人物ランキング

「第1位・日本銀行・黒田東彦総裁、第2位・ソフトバンク・孫正義社長、第3位・アップル・ティムクックCEO」

第1位・日本銀行・黒田東彦総裁105件(日銀が追加緩和決定“サプライズ”に株価急騰など)、第2位・ソフトバンク・孫正義社長21件(ソフトバンク3年ぶり日本一になど)、第3位・アップル・ティムクックCEO20件(アップルCEO・同性愛者と公表など)、第4位・ファーストリテイリング・柳井正会長兼社長19件(ユニクロのフリース20周年・最新モデル発表など)、第5位・楽天・三木谷浩史社長13件(楽天“格安スマホ”販売・競争激化も参入するワケなど)、第6位・経団連・榊原定征会長12件(経団連会長「消費増税と経済対策を」など)、第7位・NTTドコモ・加藤薫社長11件(ドコモ営業益で初の3位転落へ・通話定額プランで減収など)、第8位・イオン・岡田元也社長7件(イオン・ドラッグストア展開・国内ナンバーワン目指すなど)、第9位・日本マクドナルド・サラカサノバ社長7件(日本マクドナルド・黒バーガー登場など)、第10位・ベネッセホールディングス・原田泳幸会長兼社長7件(ベネッセHD・対面型店舗11月オープンなど)。

 

 

●テレビの窓

「加熱する格安スマホ市場」

・三木谷浩史社長が格安スマートフォン事業に参入することを発表。この他、富士通イオンが組んで格安スマホを販売すると発表した他、ビックカメラなどの小売りも参入して格安スマホ業界は盛り上がりを見せている。自前の通信網を持たない格安スマホは、大手携帯会社の回線を借りることで設備投資を抑え基本料金を安くしている。ネットの通信速度に制限を設ける一般的な格安スマホとは違う快適なネット環境で差別化を図る。楽天の格安スマホ端末は台湾のASUS製・ZenFone5で2万6400円(税抜)。機種代を除いた月額料金は通信容量が月2.1GBまでの通信プランだと1600円、月30分通話すると月2200円(楽天でんわ利用)。楽天・三木谷浩史社長は「現在3つの大手携帯キャリアは全社横並びの状態だが楽天モバイルは3分の1くらいの料金にしていく。積極的にプロモーションしていきたい」と話した。ネットを多く使う人向けに7GBまでのプランも用意し、楽天の9000万人の会員を基盤にした大きな販売目標を掲げ「3年程度を目標に1000万台、第4のキャリアという形を打ち出していきたい」としている(テレ東)。

 

JCC株式会社

 

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