テレビ報道に見る産業・経済月報(平成26年12月)

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テレビ報道に見る産業・経済月報
(平成26年12月)

「景気はまだら模様・日銀短観2期ぶりに悪化」「株価1年で7.1%上昇」

 

今月の特徴は1.日銀短観2期ぶりに悪化、2.株価・円安の動き、3.ムーディズ日本国債1段階格下げ、4.エネルギー関連の動きとなった。

                                                                                                

1.日銀短観2期ぶりに悪化

12月の日銀短観は、大企業・製造業で+12と前回比1ポイント下落で、小幅ながら2四半期ぶりに悪化した。大企業・製造業の3カ月ぶりの景気の先行きに関しても+9と前回比3ポイント下落で悪化。急速に進む円安と原油安による先行きへの不安感が浮き彫りになった(TBS)。日銀短観で見えてきたのはまだら模様の景気であり、経済同友会・長谷川閑史代表幹事は「まだら模様に一喜一憂してもしょうがないし、傾向としては今も緩やかな回復基調にあるということで、安倍政権には持続的な経済成長に必要な改革の断行を期待している」と述べた(テレ東)。

 

2.株価・円安の動き

東京証券取引所では今年最後の取引となる「大納会」が開かれた。日経平均株価は大きく値を下げ、大納会としては22年ぶりの下げ幅で取引きを終えた。今年の終値は去年の大納会の終値に比べ7.1%上昇。今年の東京株式市場は前半で不安定な相場が続いたものの、10月末に日銀が追加の金融緩和を決めると急速に円安が進み、株価は一気に上昇した(日テレ)。菅義偉官房長官はアベノミクスに伴う円安について「良い面と悪い面があるが、全体としては国益にかなっている」と述べた(TBS)。急速な円安に伴う原材料の上昇で中小企業などは影響を受けていて、金融機関の間では円安の対応策に的を絞って一斉に取引先を回ったり、緊急の相談窓口を設置し支援する動きがある。円安の対応を巡っては地銀や信金でも相談窓口を緊急設置する動きなどが相次いでおり、りそな銀行・来英一郎は「円安以外にもいろいろな要素が経営に影響しているとわかった」と語った(NHK)。 

 

3.ムーディズ日本国債1段階格下げ

米国格付け会社「ムーディーズインベスターズサービス」は日本の長期国債の評価をAa3からA1へと1段階引き下げた。トーマスバーン日本国債担当アナリストは格下げの主たる理由として消費税増税の延期を挙げた(TBS)。もうひとつの米国格付け会社「フィッチ」も日本国債の格付けを引き下げる方向で見直すと警告。格付けの方向性を「ネガティブ」にした。理由として消費増税の延期により日本の財政再建の行方が不透明になったことを挙げており、来年前半にも格付けを判断するとしている。ウォールストリートジャーナルは「財政再建は経済成長と物価上昇をめざす安倍政権にとって大きな課題であり財政再建計画の来夏発表では遅すぎる。日銀がさらなる金融緩和を行いづらくなった」と指摘した。(テレ東)。

 

4.エネルギー関連の動き

青森県に建設中の大間原発について電源開発は建設中の原発として初めて原子力規制委員会に安全対策の審査を申請した。大間原発は使用済み核燃料(プルトニウム)を再処理して取り出すMOX燃料だけを炉心の全てに使って運転を目指す世界で初めての商業用原発で規制委員会は慎重に評価する方針。一方、原子力規制委員会は、関西電力・高浜原発3、4号機について、審査に事実上合格したことを示す審査書の案を了承した。審査を合格した原発について政府は再稼働させる方針で、地元の同意が得られれば来年春以降、再稼働する見通しになっている(TBS)。

 

 

●注目点                                                        

「とまらない原油安・日本経済への影響は?」

PEC減産見送りにより原油は、日銀の追加緩和後3割も下落した。日銀・黒田総裁は最近の原油価格の大幅な下落について短期的に物価を下押しするものの、今後景気や物価を押し上げるとして原油安が日本に与える効果を強調し、10月に決めた追加の金融緩和について「個人消費などの弱さに加え原油価格の下落が続けば今後物価が上がっていくという人々の予想が影響を受ける恐れがあり追加緩和を決めた。その後、物価予想は落ち着いており金融市場も好意的に受け止めている。原油価格の下落はこの先、日本経済にとって良い影響をもたらすだろう」と述べた(NHK)。一方原油安の影響で、世界のエネルギー事業や新興国通貨などで運用する投資信託の価格が急落している。ロシアやエネルギーに関連する投信は12月に1~2割値下がりした。個人投資家の問い合わせも増え、運用会社は市況見通しを臨時で公表するといった対応に追われている。原油安は経済全般や家計にはプラスでも、個人マネーの萎縮を招く可能性もある。野村証券・若生寿一は「シェールガス関連の社債などは影響を受ける可能性がある」と述べた(テレ東)。ロシアだけではなく、原油安はブラジル、メキシコ、南アフリカなどの資源国の通貨に影響を与え、世界的な通貨下落を引き起こしている。原油安が招いたこの状況に1970年代の原油高によるオイルショックとは逆という意味で「逆オイルショック」といった言葉も聞かれる。ここまで原油の値段が下落した背景には工場での生産や流通に欠かせない原油の需要が今後減るのではといった世界経済への先行き不安がある(TBS)。

 

 

●新潮流

「“第4の産業革命”人工知能によるネットワーク管理」

たな産業革命と呼ばれる動きが世界各地で出てきている。目指すのはネットワークでつないだ情報を人工知能で管理し、生産や流通現場をほぼ完全に自動化しようというもの。電力を活用した第2の産業革命、コンピューターを活用した第3の産業革命に続く第4の産業革命と言われている。日本でも目標に向けた画期的な取り組みが始まっている。港区の大手IT企業では、最新技術で日本のものづくりを大きく変える革新的開発が進んでおり、この夏に販売を開始したシステムでは、完成品のイメージを立体映像で確認することができる。航空機のエンジンを内部から見ることも可能で、このシステムを使えば設計段階で改善すべき点を見つけやすく、試作品を何度も作らなくてすむという利点がある。さらに設計情報を工場とネットで共有すれば、製品化にかかる時間やコストを大幅に削減できるようになるとして期待されている。富士通ものづくりビジネス担当・熊谷博之は「リアルタイムの情報をものづくりの中に含めながら、最短で製品を出荷していく。それが第4の産業革命に進む方向ではないか」と話した(NHK)。

 

 

12月のランキング(企業別テレビ報道CM価値換算一覧全国版より)

「第1位・宇宙航空研究開発機構、第2位・オリエンタルランド、第3位・東日本旅客鉄道」

12月は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が88億3600万円で第1位に輝いた。要因としては「はやぶさの打ち上げ成功」や小型宇宙機「しんえん2」、温室効果ガス観測衛星「いぶき」の話題などで2位のオリエンタルランドを大きく引き離した。第2位は、「“東京ディズニー”開園待ち大混雑」などの報道で、オリエンタルランドが獲得した。第3位は、「騒動の東京駅Suica・希望者全員に販売へ」などの報道で東日本旅客鉄道となった。第4位は、「東京・大手町を再開発・カルガモ親子も帰ってくる?」などの報道で三井不動産、第5位は、「最上級バスで行く!マル得はとバスツアー・東京スカイツリーの展望デッキで夜景満喫」などの報道で東武鉄道、第6位は、「どうなる?ニッポン家電・見えない大手の未来」などの報道でソニーになった。第7位は、「プロの歌手に挑戦!歌うま芸能人オーディション」などの報道でシダックス、第8位は、「全国140店舗イオンモール攻略法・ぜいたく食材&福袋…お得にゲット!」などの報道でイオンモール、第9位は、「イオン方式を日本標準に」などの報道でイオン、第10位は「日本航空・燃油サーチャージ値下げへ」などの報道で日本航空となった。

 

 

12月の人物ランキング

「第1位・日本銀行・黒田東彦総裁、第2位・経団連・榊原定征会長、第3位・吉野家・河村泰貴社長」

第1位・日本銀行・黒田東彦総裁45件(原油安で逆風“黒田日銀”物価上昇へ春闘に期待など)、第2位・経団連・榊原定征会長34件(軟化?朴大統領・経団連と面会など)、第3位・吉野家・河村泰貴社長33件(牛肉取引価格上昇・吉野家・牛丼値上げなど)、第4位・朝日新聞社・渡辺雅隆社長25件(朝日新聞社・木村社長が辞任・新社長に渡辺雅隆など)、第5位・朝日新聞社・木村伊量社長17件(朝日新聞社第三者委員会報告書・経営が編集に過剰に介入など)、第6位・大塚ホールディングス・大塚明彦会長12件(ボンカレー発案者・大塚明彦会長死去など)、第7位・オリエンタルランド会長兼CEO・加賀見俊夫10件(知られざる「オリエンタルランド」成功の理由は“日本流”など)、第8位・トヨタ自動車・豊田章男社長9件(トヨタの“カイゼン”アプリで共有など)、第9位・関西電力・八木誠社長6件(関西電力・電気料金値上げ申請など)、第10位・ベネッセHD・原田泳幸会長兼社長4件(ベネッセHD・希望退職300人募集など)。

 

 

●テレビの窓

「東京五輪に向け・翻訳製品開発の動き」

020年の東京五輪・パラリンピックで日本を訪れる外国人の増加が見込まれるとして、通信や電機機器関連企業などでは、外国語を自動的に翻訳する製品を開発する動きが活発化している。NTTが開発したスマートフォン向けのソフトは、電車の遅れなどを示す日本語の電子表示に特別な画像データを組み込み、スマートフォンをかざすと英語、中国語、韓国語に翻訳でき、駅構内の案内図にかざせば、電車の乗り場などを案内できるという。NTTは2020年までの実用化を目指し、来年度中に実証実験を開始する計画。NTTサービスエボリューション研究所・川添雄彦所長は「(2020年は)非常に大きなチャンスで新しいビジネスを発展できるタイミング。ニーズにあったものを提供していきたい」と話した。パナソニックは、音声を翻訳する機能を備えた小型端末の開発を進めていて、2020年までには携帯できる製品を実用化したい考え(NHK)。

 

JCC株式会社

 

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