テレビ報道に見る産業・経済月報(平成27年5月)

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テレビ報道に見る産業・経済月報
(平成27年5月)

「GDP改定値大幅に上方修正・1-3月・実質+3.9%」「円安加速・株価27年ぶりの12日続伸」

 

今月の特徴は1.GDP改定値、2.為替と株の動き、3.貿易収支、4.決算の動向、5.エネルギー関連の動向となった。

                                                                                                

1.GDP改定値

内閣府の発表によると、今年1~3月までのGDP改定値は企業の設備投資が大幅に伸びたことから年率に換算した実質の伸び率で+3.9%となり、速報値の段階の+2.4%から大幅に上方修正された(NHK)。個人消費はプラス0.4%で速報値と変わっていない。企業の設備投資は速報値のプラス

0.4%からプラス2.7%へ大幅に上方修正され全体の上方修正の大きな要因となった。内閣府は「設備投資の伸びについて景気はいい流れにある」としている(日テレ)。

 

2.為替と株の動き

GDP成長率が好調だったことに加え、FRB・イエレン議長の「今年のいずれかの時期に利上げを始めるのが適当」との発言を受け、日経平均株価は2万576円と11日連続で上昇、約12年半ぶりの円安になった(テレ東)。慶応義塾大学・竹中平蔵教授は「日本経済全体に関しては非常に悪い状況が続いていた中で良くなり始めている。株価は自民党政権ができる前の2.5倍ぐらいになっている。物価が上がりすぎているという批判があるが、実は日本はまだデフレに苦しんでいる。その中でようやく2%の物価水準目標を目指して新しい動きが出てきたということ。ドルと比べれば確かに円安に見えるがユーロに比べればまだ円はそんなに安くはない。まだこの円安の傾向はしばらく続く」と指摘した(日テレ)。

 

3.貿易収支

財務省によると先月の輸出額は6兆5515億円となり去年同月比で8%増加した。これは北米向け自動車や中国向け電子部品などが大幅に増加したことが要因。他方で先月の輸入額は6兆6049億円となり去年同月比で4.2%減少した。これは原油やLNG(液化天然ガス)が35%減ったため。この結果、先月の貿易収支は534億円の赤字となった。これで貿易収支は今年3月に2年9ヶ月ぶりの黒字となって以来、2ヶ月ぶりに赤字に転じるも、赤字額は1年前より93%余り減少し、縮小傾向が続いている。財務省は輸出が堅調な状況なため、今後も原油価格が前の年の同じ月を下回る水準が続けば赤字額の縮小傾向が続くと見ている(NHK)。

 

4.決算の動向

東京証券取引所に上場している企業の今年3月期の決算発表がピークを向かえ円安効果で輸出関連企業が業績を伸ばしたことなどで全体の経常利益は11%と大幅な増益となった。来年3月期の業績見通しも11%を超える増益を見込んでいる。SMBC日興証券が東証1部上場341社の業績をまとめたところ全体の経常利益は計13兆5890億円と前年度比で11.1%上回った。業種別では円安効果で海外での収益が拡大した電機で35.5%増益、機械で9.9%増益となった。また原油価格下落で海運が23.5%増益、空運が20.9%増益となっている。消費増税後の駆け込み需要の反動から小売17.6%減益となった。エネルギー関連事業では商社などで損失が膨らみ卸売24.5%減益となった。日本経済は昨年度、消費増税が響いて消費が落ち込み、マイナス成長に陥ったとみられており、家計に増税が重くのしかかり、多くの中小企業が原材料費の値上がりに苦しんでいる。大企業の牽引役となっているのは、円安や好調な米国経済の恩恵を受けた輸出企業。トヨタ自動車は営業利益約2兆7500億円と2年連続で最高益を更新。国内販売が落ち込んだ中、米国で販売台数が増加。加えて円安で

2800億円分の利益が押し上げられた。日立製作所も2年連続で過去最高益を更新。軸足を価格競争が激しい家電事業から社会インフラ事業に移した結果、海外での鉄道やエレベーターなどの事業が好調となった(NHK)。一方ソニーは今年3月期の決算が最終赤字になったことの経営責任を取るとして、平井社長ら8人の役員が賞与を全額返上することを決めた。ソニーはスマホ事業の不振で多額の損失を計上、グループ全体で1200億円あまりの赤字。来年3月期のグループ全体の決算の業績予想について、画像センサーやゲーム機の事業拡大が見込めるなどとして、最終損益が3年ぶりの黒字に転換する見通しを示している(NHK)。経営不振が続いているヤマダ電機は、全国36の店舗を一斉に閉鎖する。消費増税後の販売低迷に加えて、インターネット通販の普及などで売り上げが落ち込み、今年3月期の連結決算は最終黒字が93億円と前期の半分まで落ち込んだ。ヤマダ電機では外国人客の需要が見込める都市部の出店などを拡大し、収益性の改善を図りたい考え(TBS)。

 

5.エネルギー関連の動向

関西電力が全国で初めて運転開始からおよそ40年が経つ高浜原発1・2号機の運転延長を申請した。国は福島第一原発事故後原発の運転期間を原則40年に制限し、特例として最大20年の延長を認めている。関西電力・八木誠社長は「高浜1、2号機の特別点検をした結果、特に問題はない」とコメント。関電は美浜原発3号機についても運転延長するか判断することにしている(TBS)。石川県・志賀原発の敷地内を通る断層について、原子力規制委員会の専門家会合は「活断層である可能性が否定できない」との見解で一致し、今後評価が正式に決定すれば、志賀原発は廃炉となる可能性が出てきた(日テレ)。その一方で、原子力規制委員会は愛媛県の伊方原発について審査書の案を了承した(TBS)。一方、政府は経済産業省と環境省の合同会議で2030年の温室効果ガス削減目標について2013年から

26%削減する案を示し大筋で了承された。基準年を多くの国が採用する2005年に加え、原発事故後の2013年で削減幅を広げた(テレ朝)。

 

 

●注目点                                                        

「シャープ・資本金5億円に減らす方針」

ャープが経営再建計画を発表し、今年3月期の連結決算で2223億円の最終赤字に転落したと発表した。シャープは国内3500人の希望退職を募るほか、大阪本社の売却などを盛り込んだ経営再建策を公表。1200億円以上ある資本金を1億円まで削減して税法上の中小企業にするといった計画は断念し、中小企業とみなされない5億円にとどめるとしている。シャープ・高橋興三社長は「当社は資本資金の面で大変厳しい状態にある」とコメント。時事通信解説委員長・軽部謙介は「亀山工場はブランドであった、スピードが速くこうなるということは競争の激しさを物語っている」とコメントした。

 

 

●新潮流

「トヨタ&マツダ・ヤマダ&ソフトバンク業務提携」

ヨタ自動車マツダは環境技術や安全技術などを中心とした、包括的で中長期的な業務提携に向け、基本合意したと発表した。両社は提携に向け、今後委員会を立ち上げて具体的な協業内容を検討。環境技術ではトヨタは燃料電池車の技術を、マツダはガソリン車やディーゼル車のエンジンの低燃費技術の提供などを視野に検討する見通し。資本提携について豊田社長は「トヨタは大きな“財布”ではない」と否定し、あくまで対等の立場であることを強調した。自動車業界では世界的に環境規制が厳しさを増し、拡大する新興国市場の競争が激化していて、今後さらにメーカー同士のパートナーシップが加速する可能性がある(フジ)。また、ヤマダ電機ソフトバンクも資本業務提携すると発表。ソフトバンクは25日にヤマダの株式5%を約227億円で取得する。ヤマダは競争激化で収益が低迷するなか、スマホの販売強化へ。また最近力を入れているスマートハウス事業に、ソフトバンクが手がける自然エネルギー事業やロボット事業などを組み合わせる。一方、ソフトバンクはヤマダの店舗でスマホやネット接続サービス販売強化のねらい。ヤマダは筆頭株主に浮上した投資ファンドに対抗する狙いもある(テレ東)。

 

 

5月のランキング(企業別テレビ報道CM価値換算一覧全国版より)

「第1位・三井不動産、第2位・東武鉄道、第3位・新日鐵住金」

月は、三井不動産が65億4200万円で第1位に輝いた。その内訳は“三井アウトレットパーク木更津”や“東京ミッドタウン”、“ららぽーと富士見”、“アーバンドッグららぽーと豊洲”等の紹介情報であった。第2位は、「子供に人気・ペンギントレイン」などの報道で、東武鉄道が獲得した。第3位は、「ユネスコ諮問機関・明治日本の産業革命遺産・世界遺産登録を勧告」などの報道で新日鐵住金となった。第4位は、「日本ギフト大賞・話題の贈り物はあの“ライオン像”」などの報道で三越伊勢丹ホールディングス、第5位は、「日本の新幹線・タイに輸出」などの報道で東日本旅客鉄道、第6位は、「ニモ新アトラクション・東京ディズニーシー17年導入」などの報道でオリエンタルランドになった。第7位は、「インドネシアに開業・イオン大型ショッピングモール」などの報道でイオン、第8位は、「農業機械・アジア進出強化へ・インド企業と資本提携」などの報道で三菱重工業、第9位は、「悪臭・強風・抵抗を激滅!?空気を操る男」などの報道で宇宙航空研究開発機構、第10位は「スマホで“臨時”電話会議も・汗だく…コンビニ社長密着」などの報道でローソンとなった。

 

 

5月の人物ランキング

「第1位・日本銀行・黒田東彦総裁、第2位・シャープ・高橋興三社長、第3位・ソフトバンク・孫正義社長」

第1位・日本銀行・黒田東彦総裁59件(物価上昇2%目標・達成遅れるなど)、第2位・シャープ・高橋興三社長42件(シャープ資本金減資案を変更など)、第3位・ソフトバンク・孫正義社長29件(ヤフー孫正義会長退任など)、第4位・日本マクドナルドホールディングス・サラカサノバ社長21件(マック・復活のカギはファミリー層・新メニュー投入など)、第5位・経団連・榊原定征会長21件(2018年に消費再増税議論も・経団連・榊原会長が示唆など)、第6位・トヨタ自動車・豊田章男社長21件(トヨタ・マツダ・環境・安全で提携など)、第7位・東芝・田中久雄社長16件(東芝の不適切な会計処理問題・7月に第三者の調査結果など)、第8位・小西美術工藝社・デービッドアトキンソン社長12件(伝説のアナリスト・観光立国への提言など)、第9位・マツダ・小飼雅道社長11件(“オンリーワン”に挑む新型マツダ開発秘話など)、第10位・レベルファイブ・日野晃博社長10件(大ブーム妖怪ウォッチ・成功の法則など)。

 

 

●テレビの窓

「国内初のドローン展示会、一方で規制の動きも」

葉・幕張メッセで国際ドローン展が開催された。価格1万円台、警備用などのドローンが紹介された。貨物を運ぶドローンは将来的には救命胴衣などの運搬を視野に入れている。また農薬を散布するドローンは農薬5リットルを搭載可能で既に70機程が販売。ドローンは人が入れない場所の撮影や、災害現場で調査など様々な活用がされている。一方問題も起きていて先月は官邸にドローンが落下し、男が逮捕された。今月長野・善光寺でドローン落下。自民党はドローン規制法案をまとめ、首相官邸、国会議事堂、最高裁判所、皇居などを飛行禁止区域対象施設とした。また周囲約300mを飛行禁止区域とし、違反した場合、1年以下の懲役、もしくは50万円以下の罰金となる(日テレ)。

 

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