テレビ報道に見る産業・経済月報(平成27年7月)

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テレビ報道に見る産業・経済月報
(平成27年7月)

「日銀短観・大企業製造業の景気判断・3期ぶり改善も景気は踊り場にあるのではないかとの見方広がる」

 

今月の特徴は1.景気の動向、2.株・為替の動向、3.決算の動向、4.エネルギー関連の動向となった。

                                                                                                

1.景気の動向

日銀が発表した短観で代表的な指標となっている大企業製造業の景気判断は円安の効果で好調な企業業績を背景に国内の設備投資が持ち直していることなども受けてプラス15ポイントと3期ぶりに改善した。大企業の非製造業も3期連続で改善した。これは外国人旅行者の活発な消費で観光関連産業の業績が上向いているうえ、大企業中心に賃上げの動きが広がり個人消費も持ち直しているため。いずれも消費増税前の去年3月以来の水準まで改善。先行きについては大企業製造業が1ポイントの改善、大企業非製造業が2ポイントの悪化が見込まれている(NHK)。一方5月の機械受注統計について大和総研・チーフエコノミスト・熊谷亮丸は「事前の市場の予想はマイナス4.9%だったが、出てきた数字はプラス0.6%で振れの大きい統計ではあるが、かなり強い数字。今回のデータ以外にもいろいろ設備については強いデータが揃ってきている。例えば日銀短観の中の、企業のアンケート調査だが、大企業製造業は2015年度の設備を18.7%増やしていくという非常に強気の計画。設備の判断DIというのがあって、今までは設備が相当余っていた。ところが設備が足りない状況になっているので、景気が良くなる中で企業は設備を減らすところまで減らしきって、そろそろもう設備を増やしていかないと生産ができないようなところまで来ている。売れること自体は徐々にアベノミクスによって増えているというのがあるし、全然設備の更新をしてこなかったので、老朽化して維持更新投資。(マインドも)少しずつ前向きになっているというところがあると思う」と述べた(テレ東)。

 

2.株・為替の動向

ギリシャ危機に関しては、いったん落ち着くような雰囲気になっている。また中国のバブル崩壊もこのところ沈静化してきたように見える。ただ中国は米国に次ぐ経済規模を持つだけに、その先行きはまだ予断を許さない。中国政府が発表した4-6月期のGDPは、速報値で7.0%増(予想は6.9%増)と市場予想を上回った。最近の株価暴落で、中国経済の先行きには不安も高まったが、このGDPが1つの安心材料となり、日経平均も3日連続で上昇した。今の為替相場について日本企業はどうみているのか。三菱東京UFJ銀行が16日開いた為替相場セミナーにはおよそ1000社の企業が参加した。今の相場について聞くと、製造業からは「現状くらいがいい」、「今の水準でちょうどいい」などといった声が聞かれた。円安の恩恵を受ける輸出系企業でさえも、さらなる円安を望む声はあまり聞かれなかった。専門家は今の円安は当面続くとする一方、年末には逆に円高に振れると予想しており三菱東京UFJ銀行・チーフアナリスト・内田稔は「年末にかけ、緩やかにドル安・円高が進み、1ドル=120円を割る展開もあり得る。年内は1ドル=117円くらいをみている」と指摘した(テレ東)。

 

3.決算の動向

上場企業の4~6月の決算発表は31日がピーク。大手証券会社がきのうまでに発表を終えた東証一部上場の370社の業績をまとめたところ、全体の経常利益は計4兆1600億円と昨年を32%大幅に上回ったが民間のエコノミストの間では景気は踊り場にあるのではないかとの見方が広がっている。日産自動車はグループ全体の決算が売り上げ、最終的な利益がこの時期としては最高となった。業績不振が続いていたソニーも最終的な利益が800億円を超えこの期間の決算としては過去最高。しかし来月17日に発表される4-6月GDP伸び率は民間調査会社や金融機関12社の予測では全社がマイナスになるとしている。景気が踊り場にあるのではないかとの見方が広がっている要因は消費低迷。実質賃金が上向かない中、消費者の間には根強い節約志向がある。回転寿司チェーンでは350円のカレーを全店で置いた。中国経済が減速し建設需要が落ち込み、建設用機械の売り上げは大幅に減少。日立建機コマツでは中国の売り上げが去年同期比で約40%減少(NHK)。

 

4.エネルギー関連の動向

鹿児島県にある川内原子力発電所1号機で、原子炉に核燃料を入れる作業が始まった。重要な安全設備の検査などを経て、九州電力は8月中旬に原子炉を起動させる計画。停止期間が長期に及んだ影響で、設備の不具合などが見つかる可能性があり、専門家は「慎重に進めることが重要」と指摘している(NHK)。一方、原子力規制委員会は愛媛・伊方原発の3号機に関する申請書類が新しい規制基準に適合しているとして事実上の「合格証」となる審査証を取りまとめた。再稼働に向けた合格証が出るのは川内原発1号機、2号機、高浜原発3号機、4号機に続き3例目。ただ地元の自治体の了解や実際の工事計画認可などのハードルは多く、四国電力は「一日も早い再稼働を目指したい」としている(テレ朝)。

 

 

●注目点                                                        

「東芝・不正会計処理問題で歴代社長3人が辞任」

の不正会計処理問題で、取締役16人のうち半数の8人が辞任した。歴代3人の社長経験者も退くこととなった。第三者委員会は2008年度以降、約7年間で1562億円の利益水増しがあったと指摘。報告書によると、東芝では2008年以降、「チャレンジ」と呼ばれる高めの利益目標が設けられ歴代3人の社長が部下に圧力をかける発言を繰り返していたという。本来、次の年に計上する利益を先食いしたり、損失を次の年に先送りしたりして利益を水増しするというもの。報告書によると、東芝には上司の意向に逆らえない企業風土があったと指摘している(TBS)。東芝の株価は不正会計問題で30%下落。欧米各紙も「東芝スキャンダル」を大きく報道。東証1部の株の売買状況を見ると、海外投資家が約6割。米国・シカゴのヘッジファンド・フェレンクスキャピタルマネージメント・クリスマグワイアCEOは「非常に失望。東芝は世界でサムスンLGソニーと厳しい競争に直面。不正会計をしてでも海外投資家を引きつけたかったのだろう。報道ですぐに東芝株を売却。日本企業に求めたいのは企業統治(コーポレートガバナンス)の改善。日本企業は投資家との対話の質が低い」とコメント(テレ東)。

 

 

●新潮流

「明治安田生命・米国中堅生保を買収」

治安田生命は、米国の中堅生命保険会社・スタンコープファイナンシャルグループを買収すると発表。買収額は6246億円で、国内生保による海外企業の買収では過去最大規模となる。国内市場は人口減少で成長が見込みにくい中で、安定的な成長と収益を見込める米国市場で事業基盤を強化したい考え。生保業界をめぐっては、第一生命保険が2月、米国中堅生保を5000億円以上を投じて買収するなど、海外展開が加速している(テレ東)。

 

 

●7月のランキング(企業別テレビ報道CM価値換算一覧全国版より)

「第1位・宇宙航空研究開発機構、第2位・三井不動産、第3位・オリエンタルランド」

月は、広告換算値48億7300万円でJAXA(宇宙航空研究開発機構)が第1位に輝いた。「宇宙飛行士・油井亀美也の乗るソユーズ打ち上げから宇宙での活動」や「火星衛星サンプルリターン計画」「ひまわり8号本格運用」、さらには「こうのとり」の話題等で注目を集めた。第2位は、「マレーシアで沸騰!日本初のアウトレット」などの報道で、三井不動産が獲得した。第3位は、「TDR・夏のイベント報道公開・3世代来園増で“1人勝ち”」などの報道でオリエンタルランドとなった。第4位は、「儲かるヒミツは運び人にアリ!?」などの報道でニトリホールディングス、第5位は、「富士急ハイランドお得な攻略法・おとといオープン!最新アトラクションを公開」などの報道で富士急行、第6位は、「安全と安心のヒミツ探検ツアー」などの報道で森ビルになった。第7位は、「豪華バスツアー人気“1億円バス”倍増へ」などの報道で三越伊勢丹ホールディングス、第8位は、「北斗星完全引退へ・プラチナチケット即完売」などの報道で東日本旅客鉄道、第9位は、「野本流!ダメ会社の再生術」などの報道で東急不動産ホールディングス、第10位は「世界遺産を巡る特別な年・日光」などの報道で東武鉄道となった。

 

 

●7月の人物ランキング

「第1位・東芝・田中久雄前社長、第2位・任天堂・岩田聡社長、第3位・日本エアロテック・小山純二社長」

 

第1位・東芝・田中久雄前社長149件(東芝・不正会計の衝撃・幹部が語る内実など)、第2位・任天堂の岩田聡社長49件(DS・Wiiの生みの親・逝くなど)、第3位・日本エアロテック・小山純二社長40件(小型機墜落・去年6月にスターター交換など)、第4位・日本銀行・黒田東彦総裁31件(黒田総裁と対決?・子ども政策決定会合など)第5位・東京電力・勝俣恒久元会長22件(東電元会長ら3人強制起訴へなど)、第6位・経団連・榊原定征会長17件(東芝不正で財界は?首脳に直接取材など)、第7位・龍角散・8代目社長・藤井隆太11 (龍角散・老舗が老舗である理由など)、第8位・トヨタ自動車・豊田章男社長9件(トヨタ自動車・ハンプ常務役員の辞任を発表など)、第9位・東急電鉄・野本弘文社長7件(憧れの街東急沿線・人気の秘密を大調査!)、第10位・日本マクドナルドHD・サラカサノバ社長6件(ファストフードに健康志向など)。

 

●テレビの窓

「日本経済新聞社がフィナンシャルタイムズグループを買収」

本経済新聞社が英国の有力経済紙・フィナンシャルタイムズグループを買収することが判明した。フィナンシャルタイムズには「日経は土壇場で1600億円を提示し、買収合戦に勝利した」という見出しが出た。日本経済新聞社の会見で日本経済新聞社・喜多恒雄会長は「欧米とアジアをカバーする真のグローバルメディアとして成長していきたい。日経と一緒になることで、フィナンシャルタイムズの良さが失われると心配する人がいるかもしれないが、フィナンシャルタイムズの経営や報道のスタイルを変えたいとは思っていない」と述べた。買収は年内にも完了する。1600億円の買収資金は自己資金と長期の借り入れで調達する。フィナンシャルタイムズは日経新聞から独立してこれまでどおり発行。買収の狙いとして、日本経済新聞社・岡田直敏社長は「デジタル戦略ではFTが一歩先に行っている。フィナンシャルタイムズの強い面を学んでいきたい」とコメント。日経新聞はデジタル事業に力を入れている。世界の主要メディアの有料読者数(電子版)は、ニューヨークタイムズ91.0万人、ウォールストリートジャーナル73.4万人、フィナンシャルタイムズ50.4万人、日本経済新聞43.0万人。デジタル事業に強みのある両社を合わせると、電子版の有料読者数は93.4万人となり、世界最大となる(テレビ東京)。

 

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