テレビ報道に見る産業・経済月報(平成27年10月)

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テレビ報道に見る産業・経済月報
(平成27年10月)

「TPP大筋合意」「日銀・追加緩和見送り」

 

今月の特徴は1.TPP大筋合意、2.日銀・追加緩和見送り、3.中国経済減速、4.エネルギー関連の動き、5.マンションデータ改ざん問題となった。

                                                                                                

1.TPP大筋合意

TPP(環太平洋パートナーシップ協定)が大筋合意。10月20日、政府は合意内容を公表した。関税の撤廃では農産物全体の約8割、日本が例外を目指した牛肉、乳製品など重要5項目でも約3割で関税が撤廃される。自動車などの工業品も含めた全品目になると95%の関税が撤廃される。菅官房長官は「アベノミクス3本目の矢は失敗と言われてきたが、3本目の矢はTPP。TPPは大筋合意できたので実現するようにしたい」と述べた(TBS)。

 

2.日銀・追加緩和見送り

日銀は金融政策決定会合を開き、追加緩和を見送った一方で、日銀が目指す2%の物価上昇率を達成する時期については後ずれさせた(テレ東)。セントラル短資FX・伊藤雅博は「1ドル120円付近まで戻す動きを見せているので、依然として追加緩和期待を市場参加者が持っているということがうかがえる」とコメント。日銀が次回、今月30日の決定会合で追加緩和に踏み切ると予想する市場関係者は少なくない(NHK)。

 

3.中国経済減速

今年7~9月期の中国GDP成長率は前年同期比6.9%だった。7%を割り込むのはリーマンショック直後以来6年半ぶりで、株価が大幅に下落するなど中国経済は不安定感を強めている。中国の経済減速の要因は、製鉄や造船など重厚長大産業で顕著な過剰生産。東京商工リサーチによると、チャイナリスクが原因で倒産した日本企業は今年度上半期で前年同期の1.5倍に増えている(TBS)。大手自動車メーカー・ホンダは、中国経済の減速などを受けて、現地で検討していた新工場の建設を見送ることを決めた。ホンダは中国・武漢で現地企業との合弁会社・東風ホンダの新工場を年内にも着工する方向で調整していた。中国の新車販売台数は8月まで5ヶ月連続で減少していることなどから、新工場着工の見送りを決めた。ホンダは今月、中国国内の別の工場を増強したばかり(NHK)。

 

4.エネルギー関連の動き

来年4月に迫った電力の小売り自由化。自由化されると家庭の電気をどの会社から買うか選べるようになる。その自由化を控えて東京ガスが、電力小売への参入を発表した。エネットの株主は東京ガス、大阪ガスNTTファシリティーズが入っている。東京ガスは今自前の発電所まで次々と作っていて、本気で電力事業に取り組もうとしている。今日都内で会見を開いた東京ガスの広瀬道明社長は「全ての客が事業者を選択できる時代が来る。ガスを通して首都圏の1000万件の客との関係はよそに負けないような、客との信頼の絆はあるのではないか」とコメント。来年4月の電力小売の自由化に合わせ、家庭向け電力事業に参入すると発表。ガスと電気をセットで販売する他、インターネットの光回線をセットにしたサービスも提供。東京ガスは自前の発電所を持つ有力な電力会社でもある。出資するエネットは、すでに自由化されている大口向けで新規参入した会社の中ではシェア4割を持つ最大手。ガスの保持や点検で気付いたきめ細かい営業体制を武器に、東京電力から顧客を奪う狙い。(テレ東)。三井物産は24日までに、ブラジルの国営石油公社「ペトロブラス」の完全子会社で、ブラジル最大のガス会社である「ガスペトロ」の株式の49%を取得することが決まった。このガス会社に出資するための入札には、中国のガス会社も参加していたが、三井物産が約600億円で株式を取得することになった。これにより、三井物産は2億人の人口を抱えるブラジルのガス供給市場で、約半分のシェアを獲得することになる(NHK)。

 

5.マンションデータ改ざん問題

旭化成建材による杭打ちデータの改ざん問題は横浜市で2件、北海道釧路市で2件で合わせて4件出てきており、不安が広がっている。業界の構造的な問題という可能性すら強まってきた。東京新聞には業界が抱えている問題や実情が書かれており、施工不良や改ざん問題を元請のゼネコン側が見抜けないのはなぜなのかと問うている。東大生産技術研究所・野城智也教授は「ゼネコン側の現場を管理する能力が落ちてきており下請け業者に委ねざるを得ない実情がある」と指摘。「重要な部分は元請の正社員がしっかり見るなど現場の管理水準を上げておく必要がある」と話している(テレ朝)

 

 

●注目点

「三菱電機・自動運転技術・2020年以降の実用化目指す」

年開発競争が激しさを増している車の自動運転システム。こうした中、三菱電機が新開発の自動運転技術を発表した。報道陣に向けて公開したのは自動運転技術を搭載した試作車・EMIRAI3xAUTO。従来のGPSよりも正確に位置を把握できるシステムと、独自に開発した地図情報を活用することで、ドライバーがハンドルやブレーキを操作しなくても正確に走行することが可能。従来のGPS衛星よりも約10倍の精度で位置が把握できる「準天頂衛星」のデータを活用。誤差はわずか数センチ。地図情報は自社製のカーナビをもとに開発。さらに防犯カメラに使われている精密なカメラを搭載するなど、電気メーカーならではの開発力を生かした自動運転技術を導入している。またレーダーを活用することで、夜間でも歩行者を検知し、自動ブレーキをかけ事故を避けることが出来る。三菱電機は2年前に自動運転システムの開発に着手し、すでに日系自動車メーカーとの共同研究にも着手している。今後国内外の自動車メーカーに技術を売り込み、2020年以降の実用化を目指している。三菱電機自動車機器事業本部長・大橋豊専務執行役は「現在、各自動車メーカーが必ず自動運転を事業化しなくてはいけない状況にある。これからの新しい柱として自動運転に取り組んでいる」とコメントした(テレ東)。日産自動車社長・カルロスゴーンは「自動運転によっておそらく事故を90%減らすことが出来るだろう。ハンズフリーでどこでも好きなところに行く事ができ、ドライバーにとって恩恵をもたらすだろう。電話、メールもでき映画も見られるし新聞も読める。交通渋滞も自動車にまかせればいい。自動運転の最大の恩恵は年配者が運転を継続できることにある。若い人は18歳になるまで運転を待たなくても良くなるかもしれない。自動運転の大きなチャレンジは地図の質。リアルタイムの市街地の地図が必要。これが最大の課題。ひとつの条件として政府が自動運転を受け入れなければならない。今厳しい法律がある。出来れば共通の標準になってほしい」と語った(テレ朝)。

 

 

●新潮流

「シーテックが開幕・人工知能、IoTがテーマ」

ジア最大級の家電見本市・シーテック。今年はソニー東芝日立の大手電機メーカー3社が展示を見送った。かつてアジア最大の家電見本市と言われたシーテックだが、2007年をピークに参加企業は減少傾向にある。家電に代わって人工知能や、モノとインターネットをつなぐIoTがテーマとなっている。こうした中、経営再建中のシャープが、満を持して披露したのがロボット型の携帯電話。撮影した写真を額のプロジェクターに投影することも出来る。ロボット型携帯電話「ロボホン」は来年発売予定で、SIMカードを差し込んで使用する。シャープコンシューマーエレクトロニクスカンパニー・景井美帆は「売上げというよりはブランド力、“シャープ”という名前の向上に貢献できると思う」と述べた。去年初登場したオムロンの卓球ロボットはピンポン玉が着地するところを光らせて、人間に知らせてくれる。2台のカメラがボールの回転を認識し、人工知能がボールの軌道を予測し、相手が打ちやすい所に返す。現在オムロンの収益の4割は、工場などの生産ラインで稼働する機械が占めている。こうした動きを予測するロボットの開発を進めることで、収益をさらに上げたいとオムロンでは考えている(テレ東)。

 

 

10月のランキング(企業別テレビ報道CM価値換算一覧全国版より)

「第1位・三井不動産、第2位・オリエンタルランド、第3位・三越伊勢丹ホールディングス」

10月の、グットランキングは「三井不動産」が51億2100万円で第1位になった。しかしマンション杭打ちデータの流用事件で、その3倍以上の「バッド記事」が話題の中心となった。ちなみに第2位は「東京ディズニーシーで初!悪役勢ぞろいのハロウィーン」などの報道で「オリエンタルランド」で39億7100万円であった。第3位は、「全国の“農業女子”が集結・三越伊勢丹が農産品PR」などの報道で、三越伊勢丹ホールディングスが獲得した。第4位は、「海外売り上げ好調で・トヨタ販売台数世界首位」などの報道でトヨタ自動車、第5位は、「進化する羽田空港」などの報道で東京空港事務所、第6位は、「日本郵政・売り出し価格上限に」などの報道で日本郵政になった。第7位は、「ソニー5年ぶり黒字」などの報道でソニー、第8位は、「鳥取初セブンイレブンに大行列・ご当地限定商品も登場!」などの報道でセブン&アイ・ホールディングス、第9位は、「一般道路でも自動運転・開発競争が激化」などの報道で日産自動車、第10位は「総合検測車トークアイで行く東急架線検測ツアー」などの報道で東京急行電鉄となった。

 

 

10月の人物ランキング

「第1位・旭化成建材・前田富弘社長、第2位・旭化成・浅野敏雄社長、第3位・三井不動産レジデンシャル・藤林清隆社長」

第1位・旭化成建材・前田富弘社長201件(マンション・データ偽装・旭化成建材・社長“申し訳ない”など)、第2位・旭化成・浅野敏雄社長114件(傾いたマンション・旭化成社長ら会見・なぜ施工不良で建設)、第3位・三井不動産レジデンシャル・藤林清隆社長77件(傾いたマンションくい打ち不良・データ改ざん3000棟調査へなど)、第4位・日本銀行・黒田東彦総裁57件(日銀・追加緩和見送りも日経平均6日続伸など)、第5位・経団連・榊原定征会長44件(財界が新内閣に要望書など)、第6位・ソフトバンク・孫正義会長22件(日本一へ王手のソフトバンク・投打で圧倒など)、第7位・東芝・室町正志社長19件(他社との提携も…東芝・社長インタビューなど)、第8位・日産自動車・カルロスゴーン社長11件(膨らむ車!ハンドルなし!暮らし変える技術続々など)、第9位・トヨタ自動車・豊田章男社長8件(往年の名車・記念パレードなど)、第10位・東京ガス・広瀬道明社長7件(電力小売り・全面自由化・東京ガス・家庭向け電力事業に参入など)。

 

 

●テレビの窓

「ネット活用・カドカワが高校を開設へ」

コニコ動画などを展開するカドカワが、来年4月にインターネット高校「学校法人角川ドワンゴ学園・N高等学校」を開校する。インターネットで授業を受けて高校の卒業資格が得られるという。カドカワは昨秋、角川書店ドワンゴが合併して誕生。カドカワ・川上量生社長によると、不登校・引きこもりの人の中に優れた能力を持っている人たちがたくさんいることが教育に参入した理由だという。N高の学校生活は、映像学習→レポート提出(ネット上)→スクーリング(東京)&各科目の試験。文化祭や課外活動は、ニコニコ動画のイベントと連動している。制服は、アニメ・音楽のプロデューサーがデザイン。職業体験は、地方自治体や企業と連携している。川上量生社長は「ネットだけでなく、リアルでもつながることで、どんどん広がっていくような仕組みができればいいと思う」と語った。(日テレ)。

 

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