テレビ報道に見る産業・経済月報(平成28年4月)

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テレビ報道に見る産業・経済月報
(平成28年4月)

「日銀金融政策決定会合・追加緩和見送りで円高株安急加速」「地震の影響は?」

 

今月の特徴は1.日銀の動き、2.消費増税の動き、3.TPP先送り、4.米国利上げの動き、5.エネルギーの動向となった。

                                                                                                

1.日銀の動き

日銀は28日の金融政策決定会合で、物価上昇率2%の目標達成時期を半年程度先送りする一方、金融政策の現状維持を決めた。追加緩和を期待していた市場では失望感が広がり、急速な円高株安が進み円相場は4円近く急騰、海外市場で一時1ドル=107円台後半まで上昇した。また、日経平均株価は600円超下落した。流通経済大学教授・龍崎孝は「4回目の先送り。今回より深刻なのは原因が原油安ではなく、成長率が上がらないということ、給料の上昇が下振れしてきたことと、アベノミクスそのものに問題があるというふうに若干なってきたことにある」と述べた(TBS)。

 

2.消費増税の動き

来年4月に10%を予定している消費税率。熊本などでの地震を受けて来年4月の消費税率10%への引き上げが見送られる公算が大きくなった(日テレ)。その一方で自民党・稲田朋美政調会長は「まず1%上げるという考えもある」と述べた。消費税について安倍総理大臣は「リーマンショック、または大震災級の事態にならない限り予定通り引き上げていく」と述べている(TBS)。そんな中、IMF(国際通貨基金)は日本の今年の経済成長率の見通しを引き下げ、0.5%と予想し、主要国では最も低い水準で、消費税の引き上げを予定する来年は0.1%のマイナス成長になると予想している(日テレ)。

 

3.TPP先送り

自民党と公明党は、TPPの承認案と関連法案について、今国会での承認と成立を断念し、次の国会に先送りすることを正式に決定した。交渉過程の情報公開や西川委員長が出版予定だった書籍に野党が反発したことと、熊本地震の対応を急ぐため、今国会では十分な審議時間確保ができないと判断したため(フジ)。 

 

4.米国利上げの動き

米国の4月の雇用統計は予想以上に弱い内容で、市場では米国経済の先行きを懸念する見方が強まっている。4月の非農業部門雇用者数は前月比で16万人の増加で、20万人と見ていた市場の予想を大きく下回った。雇用の拡大を示す20万人を下回るのは3か月ぶりで失業率は横ばいだった。バンクオブアメリカメリルリンチ・マイケルハンソン氏は「今回の統計が雇用悪化トレンドの始まりだとすると、FRBが年2回の利上げをできなくなるリスクが高まる」とコメントした(5/6テレ東)。

 

5.エネルギーの動向

原子力規制委員会は石川県にある志賀原発の1号機の真下にある活断層について「活断層」だと判断した専門家会合の評価書を受け取った。今後、北陸電力が活断層ではないとする十分なデータを示さない限り、再稼働できず、1号機は廃炉となる可能性が高くなった。また、既に再稼働に向けた審査の申請がされている2号機のタービン建屋の真下の断層について「活断層の可能性がある」と指摘している(日テレ)。

 

 

●注目点

「“ドル箱”羽田⇔米国線・ライバル2社に明暗」

際化が進む羽田空港で昼間の米国路線について国土交通省が配分を決めた。ANAホールディングス・片野坂真哉社長は「適正に配分していただきたい」とコメント。日本航空・植木義晴社長は「我々も希望していたし非常に貴重な枠」とコメント。羽田国際線のドル箱枠をめぐる争いで新たな展開。石井啓一国土交通相は「羽田空港の昼間の時間帯に米国路線が就航する」とコメント。国土交通省は羽田と米国を結ぶ新たな発着枠を配分した。今回初めて割り振られた昼間の米国路線はドル箱と呼べる枠。この枠を活用すれば今は直行便がないニューヨークなど東海岸の各都市へも昼間に羽田を出発し現地の昼間に到着することが可能となるため、ビジネス客などの需要が見込める。“ドル箱枠”が全日空に手厚く配分されたのは、日本航空が経営再建の際に公的資金の投入など手厚い支援を受けたことが「競争環境をゆがめた」という指摘があることを国交省が重視したため。この秋から羽田からニューヨークやシカゴへの新規路線を検討しているANAでは「深く感謝申し上げたい」としている。日本航空は「配分を決めるのは国土交通省なのでしかたないが残念」とコメント(TBS)。

 

 

●新潮流

「熊本地震・日本経済への影響・企業の取り組み」

本県を中心に相次ぐ地震。トヨタ自動車は地震の影響で部品が不足しているとして、愛知県豊田市の主力工場など国内の組み立て工場の殆どで、生産ラインを段階的に停止し始めた(5月6日から再開)。影響が九州以外の工場まで拡大したのは、自動車部品メーカー・アイシン精機の熊本市にある子会社などの工場が被災し、調達している部品が不足していることが主な要因。熊本は製造業の集積地(NHK)。ソニーは、スマートフォンなどに使われる「画像センサー」を生産する熊本県の工場が被災し、操業を停止。現時点で地震による業績への影響を見極めるのは難しいとして、28日に予定していた来年3月期の業績見通しの発表を見送った。また、熊本県にある二輪車の工場が被災したホンダも、業績予想などの確定に時間がかかるとして、28日予定していた今年3月期の決算発表を5月13日に延期(TBS)。一方、企業や自治体の間で被災地への支援の輪が広がっている。大手小売り各社は自治体との協定を踏まえて、支援物資を提供している。日本貨物鉄道(JR貨物)などの物流大手も物資輸送で協力。イオンは日本航空と共同で緊急避難用大型テントや毛布を輸送。セブン&アイホールディングスは水やおにぎり、生理用品、紙コップなどを提供。その他、明治日清食品花王日本通運などが協力している(TBS)。財務省が20日発表した2015年度の貿易統計速報によると、貿易収支は1兆792億円の赤字となった。5年連続の赤字だが、原油安で赤字は2014年度から大幅に縮小。中国経済の減速や熊本県を中心とする地震が輸出に影響する可能性もあり、収支改善が続くかは見通しにくい状況。過去最大の赤字は2013年度の13兆7563億円。財務省は「現時点では判断できないが、サプライチェーンの寸断が長引けば輸出に響く可能性がある」としている(TBS)。

 

 

4月のランキング(企業別テレビ報道CM価値換算一覧全国版より)

「第1位・三井不動産、第2位・東急不動産ホールディングス、第3位・よみうりランド」

月のCM価値換算値は三井不動産が、「東京ミッドタウンのライトアップ」「ららぽーとTOKYO」「三井不動産スポーツアカデミー for Tokyo2020」などで34億8300万円で第1位に輝いた。第2位は「GW注目!最新商業施設・新宿&銀座に初上陸店続々」などの報道で東急不動産ホールディングスになった。第3位は、「よみうりランドの新エリア!グッジョバ!!をツウに遊び尽くす!」などの報道で、よみうりランドが獲得。第4位は、「食パンのやわらかな食感」などの報道で、山崎製パン、第5位は、「引っ越しのプロ・1万件の家族を世界へ」などの報道で日本通運、第6位は、「“走る美術館”・新潟~越後湯沢・“現美新幹線”運行始まる」などの報道で東日本旅客鉄道になった。第7位は、「着回し抜群!春アイテムレースガウン・アレンジ&コーデNo.1に選ばれるのは?」などの報道で、東京ドーム、第8位は、「セブン&アイ柏市に巨大商業施設オープン」などの報道でセブン&アイ・ホールディングス、第9位は、「羽田空港の新施設・地方の朝どれ魚介が集結」などの報道で東京空港事務所、第10位は「特集・新宿駅南口“春の陣”勃発!」などの報道でルミネとなった。

 

 

4月の人物ランキング

「第1位・三菱自動車工業・相川哲郎社長、第2位・セブン&アイホールディングス・鈴木敏文会長、第3位・日本銀行・黒田東彦総裁」

第1位・三菱自動車工業・相川哲郎社長161件(三菱自動車・受注台数・約半分になど)、第2位・セブン&アイホールディングス・鈴木敏文会長79件(セブン&アイ新体制・鈴木敏文会長はなど)第3位・日本銀行・黒田東彦総裁67件(黒田総裁・“政策の効果見極め”など)、第4位・セブン-イレブンジャパン・井阪隆一社長39件(セブン&アイホールディングス社長に昇格へ・セブン-イレブンジャパン・井阪隆一社長など)、第5位・鴻海精密工業・郭台銘会長33 (台湾巨大企業・シャープ買収・豪腕トップのモーレツ列伝など)、第6位・シャープ・高橋興三社長22件(要注目・「シャープ社員」たちはどうなる?鴻海精密工業・郭台銘会長など)、第7位・日本航空・植木義晴社長11件(“ドル箱”羽田⇔米国線・ライバル2社に明暗など)、第8位・トヨタ自動車・豊田章男社長10件(震度7「熊本地震」企業にも広がる影響・工場の操業停止相次ぐなど)、第9位・ローソン・玉塚元一社長9件(インフラとしてのコンビニなど)、第10位・北陸電力・金井豊社長7件(志賀原発・下の断層・“動く可能性否定できず”など)。

 

 

●テレビの窓

「三菱自動車燃費不正・3度目の不祥事・影響は?」

菱自動車は燃費に関する試験で不正行為があったと認め、対象車種の生産、販売を停止すると発表した。不正があったのは日産自動車向けも含む軽自動車4車種・「eKワゴン」、「eKスペース」、「デイズ」、「デイズルークス」、合わせて62万5000台。試験の際、燃費を実際より良く見せるためにデータを操作していた。三菱自動車・相川哲郎社長は会見で「この操作は意図的なものであると考えている」と述べた。国土交通省は三菱自動車に対し今回の不正の全容を27日までに報告するよう求めた。日本総研・寺島実郎は「三菱自動車の焦り。この会社は繰り返している、敢えて言うならば、性能検査をメーカー企業に任せ信頼させる仕組みそのものに限界が来ているのではないか」と述べた(TBS)。

 

 

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