テレビ報道に見る産業・経済月報(平成28年5月)

logo.gifテレビ情報のデータベース化、知識化、ネット情報の収集、多角的分析が現実世界を浮き彫りにします

印刷用表示 |テキストサイズ 小 |中 |大 |

JCCトップ > TV allcover free > 産業経済月報 > 産業経済月報2016-05

会社概要MAP採用プライバシーb-toiawa2.png

テレビ報道に見る産業・経済月報
(平成28年5月)

「安倍首相“新しい判断”で消費増税2年半再延期」

 

今月の特徴は1.消費増税2年半再延期、2.GDP年率換算1.9%増、3.為替・株の動き、4.企業の決算、5.マイナス金利の影響、6.熊本地震の影響となった。

                                                                                                

1.消費増税2年半再延期

安倍総理が消費増税を2年半延期することを正式表明。安倍総理は「内需を腰折れさせかねない消費増税は延期すべきと判断した」と述べた。2年半の間にアベノミクスを一段と加速し税収を増やし、2020年度のプライマリーバランス黒字化をめざすとしている。一方、社会保障の充実策については優先順位をつけ財源確保に努める考えを示した。また「再延期はこれまでの約束と異なる新しい判断で解散が頭をよぎったことは否定しない。参院選挙を通して国民の信を問いたい。国民の信を問う以上、めざすのは与党で改選議席の過半数獲得」と述べた(テレ東)。

 

2.GDP年率換算1.9%増

1月-3月期GDP改定値は年率換算で1.9%増。数字こそ高めだったがうるう年によるかさ上げ分を除くと実勢は0%台半ばの成長に留まると分析。大和証券・石黒英之は「増税先送りや追加緩和などの政策が求められている」とコメントした(テレ東)。

 

3.為替・株の動き

仙台市で開かれていたG7主要7か国の財務相中央銀行総裁会議では為替政策をめぐり日本は「急激な円高には市場介入も辞さない」とする一方、米国は「円相場の動きは秩序的だ」とけん制し合った(NHK)。フィナンシャルタイムズは「日本は円を売るほかにやることがある。日銀、ECBの金融緩和による円安やユーロ安は金融政策の結果で、安倍総理は円安誘導の批判をかわせるが、為替介入すれば自らアベノミクスの失敗を認めることになり、国際社会での立場が危うくなる」としている(テレ東)。

 

4.企業の決算

13日は企業の決算集中日だった。本業の儲けを示す営業利益ベースで増益を確保してきた日本企業だが、企業の業績は曲がり角に来ている。今日、決算を発表した企業は747社。上場企業全体の3割に当たり、1日の発表としては過去最多。ゼネコンは東京五輪・パラリンピックの特需に沸いている。大成建設の純利益は770億円と前の年に比べ約2倍になり、24年ぶりの最高益となった。また去年、米国の大手保険会社を買収した第一生命保険も1785億円と過去最高益となった。東証1部に上場する企業全体を見ると、2016年3月期は営業利益ベースで5年連続の増益を確保する見通し。今期はどうなのか。SMBC日興証券投資情報部・太田千尋部長は「この先の環境が好転しないと増益を継続するのは厳しい。円安メリットが消えて為替がアゲインストになっている。営業利益ベースだと1桁台中ごろの減益ではないか」と話した(テレ東)。 

 

5.マイナス金利の影響

日銀・黒田総裁はマイナス金利付きの量的質的金融緩和は歴史上最強の金融緩和と言った。ただ日本はマイナス金利が効きにくい。マイナス金利が効くのは需要の前借り。住宅ローン金利が下がれば頭金は少なくなるが、前借りする分がなくなってきている。超低金利でも消費が伸びていない。住宅ローンは借り換えが専らで、新規貸出の伸びは高まっていない。スイス、スウェーデンではバブルになるほど。これは人口動態の違いもある。日本は生産年齢人口が急減していくが、スイス、スウェーデン、デンマークはほぼ横ばい。日本は将来の需要が縮小していくので前借りできるものがあまりない。高齢者の比率が高い社会は貯蓄に依存する人が多い社会で、金利が下がってもマインドが明るくなりにくい。日銀は物価が2%になるまで続けるといっているので、効果が出ないまま長期化する可能性がある(テレ東)。

 

6.熊本地震の影響

財務省の発表によると4月の輸出額は5兆8892億円、去年同月比で10.1%減った。これは米国向け自動車や中国向けの鉄鋼など輸出額が減少したためで、財務省は米国向けの自動車の減少は熊本地震で一部工場の操業停止の影響が現れたとみている。輸入額は原油価格の下落の影響で原油やLNGなどの減少が続いているため去年同月比より23.3%減少し、5兆657億円となった。4月の貿易収支は8253億円の黒字となり、黒字は3ヶ月連続。財務省は「輸入額では原油価格の下落の影響がしばらく続くと見られる。輸出額に熊本地震の影響が続くか注視したい」と話している(NHK)。

 

 

●注目点

「三菱自動車・日産の傘下へ・スズキでも不正が発覚」

月12日、燃費データの改ざんで販売が落ち込んでいる三菱自動車は日産自動車からの2300億円余の出資を受け入れ、日産の傘下で経営の立て直しを図ることになった。三菱自動車・益子修会長は「日産自動車との資本業務提携は私どもにとって信頼の回復、経営の安定を目指す上で重要な道筋と考えている」と述べた。日産自動車・カルロスゴーン社長は「我々のサポートにより三菱は信頼を取り戻せると確信している」と述べた。しかし三菱自動車に続いてスズキでも自動車の燃費データ不正が発覚した。「走行抵抗値」の本来の算出法は、屋外のテストコースで惰行運転しながら走行抵抗値を算出するが、スズキのテストコースは海に近く風の影響を著しく受けるため、測定結果のばらつきが大きく測定を何度も繰り返す必要があり不正をしてしまったという。スズキの不正は、屋内で空気抵抗を測定し、タイヤや変速機など部品ごとに抵抗値を積み上げた(TBS)。

 

 

●新潮流

「トヨタ自動車が米国のウーバーと提携検討」

ヨタ自動車はライドシェアを展開している米国IT企業「ウーバー」との業務提携に向け検討している。ウーバーはスマートフォンアプリを使った配車サービスを米国など世界70か国で展開。登録の一般ドライバーが自家用車に客を乗せ収入を得て、利用者はタクシーに比べ割安となるため急成長を遂げている。日本は「白タク」にあたるとして原則禁止でトヨタは海外での拡大を見込んでいる。今後トヨタは金融子会社を通じ出資、ドライバーにトヨタ車をリースすることや車載アプリの共同開発も検討している(NHK)。ATカーニー日本法人会長・梅澤高明は「バークレイズが出したレポートでカーシェアやライドシェアが普及すると新車販売が4割減るかもしれないと言われている。カーシェアやライドシェアで社会にある車の稼働率が上がり、新車を買う人が減る。所有から利用へという流れになっていく。トヨタにとっては大きな脅威となるためインサイダーになり新車の製造販売だけでなく様々なサービスを取り込むことなどを学びに行っているのではないだろうか」とコメントした(テレ東)。

 

 

5月のランキング(企業別テレビ報道CM価値換算一覧全国版より)

「第1位・日産自動車、第2位・三井不動産、第3位・オリエンタルランド」

月のCM価値換算値は日産自動車が、「日産自動車・三菱自動車に2000億円出資し傘下に収める」「日産リーフ、電気自動車で世界一の販売実績」などの報道で44億1200万円で第1位に輝いた。第2位は「ロンドンは“不動産バブル”?・値上がりが続くワケは…」などの報道で三井不動産になった。第3位は、「ディズニーシー15周年・ヒットを生む5つの数字」などの報道で、オリエンタルランドが獲得。第4位は、「日本最大級のレシピサイト・クックパッドに潜入!」などの報道で、クックパッド。第5位は、「東京スカイツリー・色とりどりの花・フラワーカーペット」などの報道で東武鉄道、第6位は、「羽毛布団メーカーに産地証明求める動き」などの報道でJ.フロントリテイリングになった。第7位は、「中小型ビルのユニーク戦略・女性に人気・庭付きオフィス」などの報道で、東急不動産ホールディングス、第8位は、「超速報・カンヌで日本作品が受賞」などの報道で東宝、第9位は、「よみうりランドのアトラクション、グルメを紹介」などの報道でよみうりランド、第10位は「特集・新宿駅南口“春の陣”勃発!」などの報道でビックカメラとなった。

 

 

5月の人物ランキング

「第1位・三菱自動車・益子修会長、第2位・日産自動車・カルロスゴーン社長、第3位・三菱自動車工業・相川哲郎社長」

第1位・三菱自動車・益子修会長123件(三菱自動車・役員人事・日産から開発部門トップ)、第2位・日産自動車・カルロスゴーン社長89件(三菱自動車・日産傘下へなど)、第3位・三菱自動車工業・相川哲郎社長81件(三菱自動車・新役員人事・開発担当に日産元副社長など)、第4位・日本銀行・黒田東彦総裁71件(追加緩和・躊躇せずなど)、第5位・スズキ・鈴木修会長58件(不適切な燃費データ測定・スズキ・テストコース改善の意向)、第6位・楽天・三木谷浩史社長49件(ココまで来た!・初のドローン配送開始へ・心配も)、第7位・ソフトバンクグループ・孫正義社長36件(羽生善治×人工知能など)、第8位・JR東日本 冨田哲郎社長23件(JR東日本・再配達荷物ロッカー設置へなど)、第9位・セブン&アイホールディングス・鈴木敏文会長18 (セブン&アイ・24年ぶりトップ交代など)、第10位・セコム・飯田亮取締役最高顧問16件(ついに公開・パナマ文書の内容など)。

 

 

●テレビの窓

「グーグルの最新戦略とは」

ーグルは人工知能を使った新たな製品とサービスを発表した。遊園地のようなグーグルの発表会場にはスマホで撮影すると似顔絵を描いてくれるロボットなど若手技術者が手掛ける実験的な取り組みが並ぶ。ここではグーグルが次の成長の柱として狙う人工知能と自動車の2つの分野で戦略が示された。グーグルが開発している人が乗れる自動運転車では、アクセル・ブレーキ・ハンドルを操作するのは人工知能。検索エンジンで蓄えたビックデータを活用し人工知能をビジネスの柱に育てたい考え。新たに発表された「グーグルホーム」は対話型の人工知能・グーグルアシスタントを搭載した情報端末で、指示を理解し音楽を流したり家電などを操作でき、予約情報の確認や変更も可能。グーグル・サンダーピチャイCEOは「人工知能とその学習能力の進化に驚き、興奮している」とコメント。もう一つの戦略“グーグルのコンセプトカー”アンドロイドNを使って車内の情報端末を作った。自動車メーカーは無料で公開されているアンドロイドNを使えば開発コストを抑えることが可能。自動車がいつもインターネットに繋がることで渋滞情報や運転履歴など大量の情報が集めやすくなる(テレ東)。

 

JCC株式会社

LinkIcon産業経済月報・最新版

TV All Cover

テレビット

TV All Cover (有償サービス)

Net News

System

All Channel Recorder

DataBase

Science&Technology

Reseach&Analysis