テレビ報道に見る産業・経済月報(平成28年6月)

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テレビ報道に見る産業・経済月報
(平成28年6月)

「英国EU離脱ショック・日本への影響は?」「日銀短観・大企業、製造業の景気判断は横ばい」

 

今月の特徴は1.英国EU離脱ショック・日本への影響は、2.日銀短観、3.消費増税延期の影響、4.株主総会の動き、5.エネルギーの動向となった。

                                                                                                

1.英国EU離脱ショック・日本への影響は?

英国のEU離脱をめぐり日本企業の懸念材料は大きく2つ。1つはEU内での人、モノ、カネの流れが滞ること。現状はEU内を自由に行き来可能なため世界有数の金融街を抱えるロンドンに多くのグローバル企業が拠点を置いているが、EU離脱で行き来がしづらくなるとロンドンの重要性が低下するのではないかと言われている。もう1つがEU共通のルールが使えなくなること。日本から製品を輸出しようとすると1つの基準を満たしていればEU各国で同じ様に輸出ができるが、仮に英国が独自のルールを作る事になると日本企業にとっては手間やコストが余計にかかり、日本企業の間ではこうした影響への懸念が広がっている。一方、安倍首相は、英国・キャメロン首相と電話会談して日本企業がこれまで通り英国で経済活動を行えるよう要請し、キャメロン首相は日系企業を守るためにあらゆる手段を講じると答えた(テレ東)。

 

2.日銀短観

日銀が発表した短観(企業短期経済観測調査7/1)によると代表的な指標とされる大企業の製造業の景気判断はプラス6ポイントと前回の調査から横ばい。日銀短観はおよそ3か月ごとおよそ1万1000の企業を対象に景気の見方を聞くもので、5月下旬から6月末まで調査を行った。景気が良いと答えた企業から悪いと答えた企業を差し引いた値は大企業製造業でプラス6ポイント。大企業非製造業でプラス19ポイントで前回と比べて3ポイント減少し、2期連続で悪化した(NHK)。実は企業からの回答の9割が英国の離脱が決定した24日より前に集まっていて、離脱ショックによる急激な円高は短観にほとんど反映されていないという(テレ東)。日銀・黒田総裁は全国の景気の現状について報告を受ける支店長会議で挨拶し、円高など経済や物価を取り巻くリスク要因を点検した上で、必要な場合には追加の金融緩和も辞さない考えを強調した(7/7NHK)。

 

3.消費増税延期の影響

3日、安倍総理は消費税率引き上げの再延期を表明。安倍首相は、消費税増税の“再延期”に関して参院選で国民の信を問うとしている。停滞する景気はアベノミクスの失敗によるものなのか世界経済の情勢からやむを得ないのか有権者に判断がゆだねられている(日テレ)。

 

4.株主総会の動き

出光興産の創業家は株主総会で昭和シェル石油との合併に反対を表明。創業家は拒否権を発動できる34%弱の出光株を保有している(テレ朝)。一方、東京電力は持株会社に移行してから初めての株主総会を都内で開き、冒頭で広瀬社長が福島第一原発事故の際、当時の社長が炉心溶融という言葉を使わないよう社内に指示したことについて、「社会の皆様にご迷惑とご心配をおかけした」と株主に対して謝罪した(TBS)。また、タカタが株主総会を開き、欠陥エアバッグのリコール問題を巡り、高田重久会長兼社長が辞意を表明。未だ問題が広がり続けている現状に株主からは厳しい指摘が相次いだ。さらに燃費データの不正問題が発覚したスズキの株主総会(静岡・浜松市)では鈴木修会長が「株主に心配とご迷惑をかけたことを深くおわびする」と陳謝し、自らもCEOを辞任して再発防止に全力を尽くすと述べた。株主からは「CEOだけでなく会長も退任すべき」との声も上がったが、鈴木会長は「責任の取り方も色々ある」と述べ、理解を求めた。一方、傾いた横浜市のマンションでの杭データ改ざん問題で揺れた三井住友建設も、問題発覚後初めての株主総会を本社(東京・中央区)で開いた(日テレ)。

 

5.エネルギーの動向

運転開始から40年が経過した福井県にある高浜原子力発電所1号機、2号機について、原子力規制委員会は最長20年の運転の延長を全会一致で認めた。原発事故後に導入された運転期間を原則40年に制限する制度のもとで、延長が認められるのは初めてとなる(NHK)。 

 

 

●注目点

「英国EU離脱・日本企業への影響」

英国がEUを離脱し株安・円高が進行。日本企業への影響も出てきている。急激に進んだ円高は輸出企業には大きな打撃となる。トヨタ自動車は1円の円高で年間の営業利益が400億円減となる。EU離脱による関税のルールが変わり、英国からEUへの輸出に関税がかかれば価格競争力が弱まり販売に影響も出かねない。英国に進出している企業の中には現在の拠点や人員の配置を見直す必要もある(NHK)。そうした中、経済産業省で林経済産業大臣と英国で事業を展開する日本企業との意見交換会が開かれ、トヨタ自動車日立製作所、伊藤忠商事、三菱東京UFJ銀行など14社3団体が集まった。意見交換会ではまず経産省側が今後想定される英国の離脱に向けたプロセスを説明し、その後、企業側から関税の問題や円高への懸念の声が相次いだ。経産省は今後、現地に職員を派遣するほか、国内企業にどの様な影響が及びそうかの情報収集を強化するとしている。三菱重工業・宮永俊一社長は「英国の拠点を外に移す事は今のところは考えていないし、極力現状で何とかなる事を願っている」、トヨタ自動車・早川茂取締役は「動きがまだ分からないので慎重にいろいろ検証していきたい」と話した(テレ東)。

 

 

●新潮流

「三菱東京UFJ銀行・来年以降に仮想通貨参入」

菱東京UFJ銀行が来年以降に仮想通貨を一般の利用者向けに発行する方向で調整していることが明らかになった。仮想通貨の名称は「MUFGコイン」で1円=1コインで交換可能で、専用のスマホアプリなどを通じて利用する。銀行では現在お金のやり取りの記録を大型コンピューターで一括管理しているがシステムへの投資が負担となっている。「MUFGコイン」は取引に参加している人の取引の情報を共有し、分散させることで信頼性を担保させるシステム“ブロックチェーン”を使う。これによりシステム投資や管理にかかる費用が抑えられ、海外への送金や振り込みのコストを安くできると見込まれる。三井住友銀行みずほ銀行もブロックチェーン技術の研究を進めていて、メガバンクの仮想通貨への参入が加速すれば普及に弾みがつく(テレ東)。

 

 

6月のランキング(企業別テレビ報道CM価値換算一覧全国版より)

「第1位・三井不動産、第2位・鳥貴族、第3位・東京空港事務所」

月のCM価値換算値は三井不動産が「大手町再開発プロジェクトの起工式」や「ダイバーシティ東京プラザ」の紹介などで40億5700万円となり第1位に輝いた。第2位は「復活!帰れま10」などの報道で鳥貴族になった。第3位は、「羽田空港最前線」などの報道で東京空港事務所が獲得。第4位は、「ファミレス・牛丼店が・・・とんかつの魅力とは?」などの報道ですかいらーく。第5位は、「イオン参入!最新共通ポイント・達人に密着!お得なマル秘テク」などの報道でイオン、第6位は、「絶対に欲しくなる!売れすぎキッチン家電」などの報道でヨドバシカメラになった。第7位は、「東武と台湾が鉄道で交流・互いの割引きサービス開始」などの報道で東武鉄道、第8位は、「原宿駅建て替えへ」などの報道で東日本旅客鉄道、第9位は、「東急プラザ銀座のツウな楽しみ方」などの報道で東急不動産ホールディングス、第10位は「クックパッドで話題沸騰!今週急上昇のレシピ」などの報道でクックパッドとなった。

 

 

6月の人物ランキング

「第1位・日本銀行・黒田東彦総裁、第2位・経団連・榊原定征会長、第3位・スズキ・鈴木修会長」

第1位・日本銀行・黒田東彦総裁66件(“EU離脱”で緊張の経済財政諮問会議など)、第2位・経団連・榊原定征会長51件(“財界総本山”経団連の力を解説など)、第3位・スズキ・鈴木修会長50件(スズキ・株主総会・会長改めて陳謝など)、第4位・ソフトバンクグループ・孫正義社長49件(なぜ?ソフトバンク副社長が突然退任など)、第5位・東京電力ホールディングス・広瀬直己社長31件(東電HD「メルトダウン」公表遅れを謝罪など)、第6位・三菱自動車・益子修会長29件(三菱自・株主総会で謝罪)、第7位・JTB・高橋広行社長23件(個人情報・最大790万人分流出か?など)、第8位・日産自動車・カルロスゴーン社長23件(ゴーン報酬・10億円超えなど)、第9位・シャープ・高橋興三社長12件(シャープ株主総会・「ホンハイ」の傘下入り正式決定など)、第10位・JR東日本・冨田哲郎社長10件(原宿駅建て替えへ・全貌が発表・あの駅舎はどうなる?など)。

 

 

●テレビの窓

「東京証券取引所・LINE来月15日の上場を承認」

京証券取引所は無料通信アプリを運営するLINEが7月15日に株式を上場することを承認した。LINEは7月15日に株式を上場する予定で時価総額はおよそ6000億円にのぼるとみられる。国内では去年、日本郵政グループ3社同時上場以来の大型案件で東証1部になる見通し。LINEはニューヨーク証券取引所での同時上場も予定していて「アジア市場での優位性を確固たるものにしグローバル展開に、より一層取り組む」とのコメントを発表した。上場で調達する資金はアジアなどでの事業の拡大やサービスの拡充に充てるものとみられる(フジ)。

 

 

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