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テレビ報道に見る産業・経済月報
(平成28年12月)

「月例経済報告・景気基調判断・緩やかな回復基調が続いている」

 

今月の特徴は1.景気の動向、2.FRB利上げの影響、3.日ロ経済の動向、4.エネルギーの動向となった。

                                                                                                

1.景気の動向

東京証券取引所で今年1年の取引を締めくくる大納会が行われた。日経平均株価1万9114円37銭。年末の終値としては5年連続で前の年を上回った(NHK)。政府は12月の月例経済報告で景気の判断を「一部に改善の遅れもみられるが緩やかな回復基調が続いている」として、1年9か月ぶりに上向きに修正した(日テレ)。今年7月から9月までのGDP(国内総生産)の改定値は、年率に換算した実質の伸び率で+1.3%になった。個人消費は+0.3%で速報値から上方修正された。住宅投資も、+2.6%で速報値から上方修正。しかし設備投資は、-0.4%で速報値から下方修正となった。輸出も+1.6%で速報値から下方修正された。内閣府は今回からGDPの算出方法を国際基準に沿って見直し、企業などの研究開発費を設備投資に加える新たな基準で改定値を発表した。新たな基準で平成27年度の名目GDPを算出した結果、31兆円あまり上がり、532兆1914億円となった。政府は、2020年の名目GDPを600兆円にする目標を掲げている(12/8NHK)。一方、日本銀行の発表によると、企業の間で取引される物の価格の動きを示す先月11月の企業物価指数は、平成22年の平均を100とした場合、98.7となり、前年同月比を2.7%下回り、19ヶ月連続で下落した。これは原油価格の水準が去年と比べて低い水準にとどまっている事や、円高が進み、輸入品の価格が下落した事などが主な要因。分野別にみると、円高の進行や中国などの経済が減速した事で、需要が減少した銅などの非鉄金属が11.5%下落した他、原油やLNGの値下がりで電力・都市ガス・水道が10.8%下落した(NHK)。

 

2.FRB利上げの影響

FRB連邦準備制度理事会は12月15日、1年ぶりに政策金利の利上げを決定した。「経済活動は緩やかに拡大している」として0.25%引き上げた。市場が注目する2017年の利上げ回数の予測についても2回から3回に引き上げた。FRBイエレン議長はトランプ次期大統領下での経済成長への期待感が影響したと指摘。市場では利上げのペースが速まることへの警戒感からニューヨーク株式市場は120ドル近く値を下げた(日テレ)。米国の利上げの影響で外国為替市場では、一時1ドル117円台後半になり、約10か月ぶりの円安水準に。輸出関連企業の業績が回復するとの期待から、日経平均株価は、一時今年最高値の1万9436円をつけた。その一方で、円安により食品やエネルギーの価格が値上がりし、家計の負担が増える可能性もある(TBS)。

 

3.日ロ経済の動向

日ロの経済界幹部らによる会合が行われ、日本とロシアの民間企業のトップら約600人が参加、経済協力について議論した。「中国と比べて日本企業の進出は進んでいない」という発言が出るなど、ロシア側は日本からの投資を引き出したいという意気込みを見せている。日ロ両政府は、経済協力を含めた十数件の合意文書を交わす見通し。民間同士でも約60の事業で合意する見通しで、三井物産などが進める天然ガス開発プロジェクト「サハリン2」の拡張も盛り込まれる。ただ、民間の合意事業の多くは、既に存在する事業の焼き直しの面も否めない。日本企業からは、ロシアの法的安定性を確保してほしいといった声が出ている(TBS)。経団連が400人もの企業経営者を集めて開いた日ロビジネス対話には、川崎重工業・村山滋会長や三井物産・飯島彰己会長のほかロシアのエネルギー会社、ガスプロムネフチ・デュコフ社長など錚々たる企業のトップらが参加した。さらに安倍総理とロシア・プーチン大統領も駆け付け、企業トップに積極的なビジネスの連携を呼び掛けた(テレ東)。

 

4.エネルギーの動向

IEA・国際エネルギー機関は、12月の月報を公表。来年上半期にも石油の供給過剰が解消し、需要超過になる可能性があるとの見方を示した。OPEC・石油輸出国機構の加盟国と非加盟国の減産合意を踏まえ、需給均衡は来年後半としていたものを前倒しした(テレ東)。政府は福井・敦賀市にある高速増殖炉もんじゅを廃炉にすると正式に決めた。運転再開には最低8年かかり5千億円以上必要なことが主な理由。しかし廃炉には30年で少なくとも3750億円かかるとみられている(TBS)

 

 

●注目点

「トランプ次期大統領・トヨタを“名指し批判”・米国に工場をつくれ」

国・トランプ次期大統領はツイッターでの情報発信に力を入れていることで知られているが、1月6日に衝撃的なニュースが入ってきたのでとりあげる。トランプ次期大統領は「トヨタが米国向けのカローラの生産工場をメキシコに建設しようとしている、ありえない」とツイート。標的となったのはトヨタ自動車がメキシコで計画している新工場建設計画。2019年の稼働をめざし2016年11月に起工式を終えた矢先だった。これを受け、東京市場では一時トヨタ株が下落し、マツダホンダなどの株も大きく売り込まれた。日本の自動車産業は米国での生産台数を拡大するなど米国で現地生産体制を築き上げ、多くの米国人労働者を雇用してきた。ただ、今月3日にはフォードがメキシコでの新工場建設計画の中止を発表したばかりだった(1/6TBS)。トランプ次期大統領に名指しで批判されたトヨタ自動車・豊田章男社長はデトロイトでのモーターショーに出席し、米国内の雇用に貢献していることを強調し、粘り強く理解を求めることにしている。大手自動車メーカーのフィアットクライスラーは、1000億円以上を投資して現地で生産する車種の一部を米国の工場でつくることができるようにすると発表(1/9NHK)。一方、GM・ゼネラルモーターズ・バーラCEOは「(メキシコでの生産計画は?)変更はない」と反論。GMは小型車の一部をメキシコで生産する一方、米国の工場で一時解雇を計画している(1/9テレ朝)。

 

 

●新潮流

「ホンダとグーグル・自動運転で共同研究へ」

ライバーが全く関与しない完全自動運転実現を目指し、共同研究にむけた検討を始めたとして、世界的な競争はますます激しさを増している。この車の自動運転の開発でホンダグーグルと手を組むことになった。発表によるとホンダはグーグルの持ち株会社傘下「ウェイモ」の自動運転用センサーやソフトウエアなどをホンダの車に搭載し米国内の公道で完全自動運転の実用化に向けた実証実験を進めることにしている。ホンダはこれまでほぼ単独で自動運転技術開発を進めてきたが、トヨタ自動車日産自動車グループの開発に比べて遅れが指摘されていた。一方、グーグルはIT技術を駆使し、完全自動運転の実現を目指していて、既に米国のフィアットクライスラーと提携している。新たな仲間を増やすことで自動運転システムのソフトウエアを多くの自動車メーカーに供給し、主導権を握る狙いがあるものとみられる。グーグルは人工知能のレベルを駆使し、いきなりレベル4・完全自動運転の車の開発をしようとしている(NHK)。

 

 

12月のランキング(企業別テレビ報道CM価値換算一覧全国版より)

「第1位・日本マクドナルド、第2位・東武鉄道、第3位・コメダホールディングス」

016年12月のCM価値換算ランキングは46億200万円で日本マクドナルドが第1位に輝いた。具体的には「サラカサノバ社長の原点回帰宣言」「ポケモンGOとの連携」「クリスマスキャンペーンにメイプル超合金やダンディ坂野に似た怪盗ナゲッツを乱入させる」等のPR効果が大きく貢献した。第2位は「半世紀ぶり東武鉄道でSL復活・集客の起爆剤に期待も…」などの報道で東武鉄道になった。第3位は、「コメダ珈琲店そっくり店舗・使用差し止め」などの報道で、コメダホールディングスが獲得した。第4位は「JR東日本・低コスト・新型ホームドア開発」などの報道で東日本旅客鉄道、第5位は「究極の真空吸着対決」などの報道で妙徳となった。第6位は「ドローンで目指せ!ソフトバンクは“救助”に活用」などの報道でソフトバンク、第7位は「三井不動産・豊洲に新施設」などの報道で三井不動産、第8位は「ドラゴンクエスト30周年」などの報道でスクウェア・エニックス・ホールディングス。第9位は、「大手電機メーカー各社・AI研究開発の人員・大幅増へ」などの報道でパナソニック、第10位は「クルマ開発の研究所を見学・豊田社長がマツコを案内」などの報道でトヨタ自動車となった。

 

 

12月の人物ランキング

「第1位・ソフトバンク・孫正義社長、第2位・日本銀行・黒田東彦総裁、第3位・ニトリホールディングス・似鳥昭雄会長」

第1位・ソフトバンク・孫正義社長108件(トランプ・孫に感謝・8千人の雇用創出など)、第2位・日本銀行・黒田東彦総裁51件(金利はどこまで上がる?日銀の“0%政策”の行方など)、第3位・ニトリホールディングス・似鳥昭雄会長19件(社長が選ぶ今年の社長2016など)、第4位・トヨタ自動車・豊田章男社長17件(マツコがクルマの開発現場を訪れるなど)、第5位・日産自動車・カルロスゴーン社長17件(三菱自動車・カルロスゴーン会長を承認など)、第6位・東芝・綱川智社長16件(東芝・数千億円損失計上など)、第7位・ヤッホーブルーイング・井手直行社長15件(経営者に聞きたい○○の話など)、第8位・甲賀流・田中由弘社長12件(どうやってもうけましたん?大忘年会SPなど)、第9位・おかやま工房・河上祐隆社長10件(絶品無添加パン誕生の秘密・若手時代の過酷労働…など)、第10位・アップル・ティムクックCEO9件(米国トランプ次期大統領・大手IT企業トップらと会談など)。

 

 

●テレビの窓

「孫社長×トランプ電撃会談・5兆円超の巨額投資」

国・トランプ次期大統領とソフトバンクグループ・孫正義社長が電撃会談を行った。この会談は孫社長が共通の友人を通じてトランプに申し込んで実現したもので、孫社長は米国で新興企業などに今後4年間で約5兆7000億円の投資を約束した。資金はソフトバンクがIT企業に投資する為に設立したファンドから拠出する。さらに孫社長は米国で5万人の雇用を創出する事も表明。孫社長がトランプに期待するのは規制緩和。孫社長はここ数年、事業の海外投資を加速させると共にインド・モディ首相や英国・メイ首相など各国の要人と相次いで会談。今回も孫流で世界中が注目するトランプにいち早く接触し、巨額の投資を世界にアピールした(テレ朝)。みずほ総研チーフエコノミスト・高田創は「トランプにとっては孫社長の提案は願ってもいない話だった。これまでトランプにはIT産業には厳しいのではないかとの印象があり株価もIT関連は伸びなかったが、そういう所に対しても1つのメッセージを与えた部分はある。孫社長の思惑は規制緩和への期待で「色々と買収を行ったが去年は規制でうまくいかなかった。今後これらの緩和によってスプリントを含めてうまくいくのではないか」とコメントした。ところで日ロビジネス対話にも孫社長が登場し、プーチン大統領と笑顔で会話を交わした。孫社長は「プーチン大統領から是非ロシアにも大きな投資をして欲しいと言われている」と話している(テレ東)。孫社長の今後の動きからも目が離せない。

 

 

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