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テレビ報道に見る産業・経済月報
(平成29年2月)

「10-12月期・GDP年率1.0%増加・貿易収支1兆869億円の赤字」

 

今月の特徴は1.GDP年率1.0%増加、2.貿易収支1兆869億円の赤字、3.トランプ政権・日本への影響、4.エネルギー関連の動きとなった。

                                                                                                

1.GDP年率1.0%増加

内閣府が発表した2016年10-12月期のGDP速報値(実質)は前期比プラス0.2%で、年率プラス1.0%。輸出はプラス2.6%だった。世界経済の緩やかな回復を背景に半導体や自動車の輸出が拡大したことが、主な要因とみられる。一方、公共投資はマイナス1.8%。個人消費はマイナス0.01%(4四半期ぶりのマイナス)。内閣府幹部は、「世界経済の不確定要素が多い」と懸念を示していて、内需の強化が今後の課題となる(テレ東)。

 

2.貿易収支1兆869億円の赤字

財務省が発表した1月の貿易収支は1兆869億円で5ヶ月ぶりの赤字となった。原油、石炭の価格が上昇し、全体の輸入額が約6兆5千億円と25ヶ月ぶりに増加したことが要因。米国・トランプ大統領が問題視する対米貿易黒字額は3993億円で、2か月連続で前年の水準を下回った(TBS)。

 

3.トランプ政権・日本への影響

米国・トランプ大統領は米国の製造業の経営トップを集めた会合で中国とメキシコを名指しして、米国内の雇用が奪われたと批判したが、貿易に関して日本については言及しなかった。またドル高や為替操作についても改めて言及し、特定の国の名指しはしなかったものの、為替政策への問題意識を持っていることをうかがわせた。一方、米国国内で雇用創出、投資を行う計画を発表した企業を紹介する中で、日本の通信大手ソフトバンクグループに触れ、米国に500億ドルの投資を行う、素晴らしいと述べ、日本企業による米国経済への貢献を評価した(NHK)。

 

4.エネルギー関連の動き

4月から、ガス自由化が始まる。ガス自由化では、消費者が自由に東京ガス東京電力・石油会社・携帯会社などからガス会社を選択することができ、価格競争でガス代が安くなる。そのまま東京ガスを使っても、電力自由化で東京ガスを選ぶと、年間1万1500円の得になる。ガス自由化は、英国・ドイツ・イタリア・フランス・米国などで実施。米国では、導入は州ごとの判断で、新規参入が少なく価格競争が活性化しない州もある(出典:日本エネルギー総合研究所)(TBS)。

 

 

●注目点

「どうなるメキシコの日本企業」

日空はボーイング787のエンジンを改修して日本の航空会社として初めてメキシコへの直行便を実現した。メキシコ大使館では直行便就航を祝うパーティーが開かれた。メキシコにはトヨタホンダ日産マツダ日立製作所三菱電機など日本企業1000社以上が進出していて、日本とメキシコを行きかうビジネス関係者は年間30万人に及んでいる。トランプ大統領はNAFTAを見直し、メキシコからの輸入品に国境税をかけるとしているが、これを受けて、メキシコ進出を表明していた日米の企業が撤退を表明し始めた(テレ東)。愛知県の自動車部品メーカー・イイダ産業のメキシコ工場はメキシコで生産した部品を、米国内のトヨタや日産に輸出、さらにメキシコ内の日産やマツダにも納めている。トランプ大統領は、米国に輸出する場合は多額の税金をかけるとしている。イイダ産業メキシコ工場・飯田拓治社長は「メキシコの労働者のコストが安かったからこそメリットがあった、これからどうしたらいいのかは不透明」と話し、新たにメキシコ内のフォルクスワーゲン工場に部品を納めるため新工場を作ったという(NHK)。

 

 

●新潮流

「ヤマト運輸・宅配・総量抑制へ」

マト運輸の労働組合が春の労使交渉で宅配便の総量の抑制を求めたことが分かった。人手不足とインターネット通販の市場拡大で長時間労働が常態化していることが背景にある。宅配便の多くを占めるのがアマゾンで、2013年に佐川急便がアマゾンとの取引から撤退して以降、アマゾンの宅配業務のほとんどをヤマト運輸が支えてきた。しかし、現在の人員体制では限界があるとして会社側も労働組合の要請に応じる方向。ネット通販会社など割引通販を適用する大口顧客に対し値上げを求め、交渉が折り合わなければ荷受けの停止も検討するという。ドライバーの労働負荷を高めている再配達や夜間の時間帯指定サービスなども見直しの対象となる可能性がある(テレ東)。

 

 

2月のランキング(企業別テレビ報道CM価値換算一覧全国版より)

「第1位・、第2位・、第3位・」

月のCM価値換算ランキングは東武鉄道が30億1800万円で第1位に輝いた。具体的には、東京スカイツリー関係の露出が多く「初日の出鑑賞イベント」や「ソラマチの郵政博物館での年賀状展」「特設リンクでのアイススケーティング」「成人式でのプロジェクションマッピング」等の露出効果が目だった。第2位は「トヨタ・米国中西部に投資へ・約700億円・400人雇用」などの報道でトヨタ自動車になった。第3位は、「災害時の車中泊支援でコンビニ活用検討へ」などの報道で、セブン&アイ・ホールディングスが獲得した。第4位は「“アナ雪”一色・新プロジェクションマッピング」などの報道でオリエンタルランド、第5位は「通信衛星「きらめき2号」打ち上げ」などの報道で宇宙航空研究開発機構となった。第6位は「すかいらーく・セルフレジを導入・ファミレス初」などの報道ですかいらーく、第7位は「食器片付けロボット・成田空港で実験始まる」などの報道で成田国際空港、第8位は「そごう西武の正月商戦・元日初売りで先行」などの報道でそごう西武。第9位は、「国際家電ショーCES開幕・“未来のクルマ”へ技術競う」などの報道でソニー、第10位は「ローソン・全店利用可能に・中国のスマホ決済」などの報道でローソンとなった。

 

 

2月の人物ランキング

「第1位・経団連・榊原定征会長、第2位・東芝・綱川智社長、第3位・トヨタ自動車・豊田章男社長」

第1位・経団連・榊原定征会長47件(労使トップが会談など)、第2位・東芝・綱川智社長46件(自・東芝社長のメッセージ入手・今年度末は債務超過もなど)、第3位・トヨタ自動車・豊田章男社長41件(日米首脳会談の裏で苦悩するトヨタなど)、第4位・日本銀行・黒田東彦総裁39件(日銀・成長率見通し上方修正など)、第5位・ソフトバンク・孫正義社長38件(米国に雇用取り戻す決意表明・トランプ・製造業CEOと会談)、第6位・日産自動車・カルロスゴーン社長27件(日産・ゴーンが社長退任など)、第7位・レオスキャピタルワークス・藤野英人社長11件(資産運用カリスマに密着・大儲け生む“お宝企業”探しなど)、第8位・スズキ・鈴木俊宏社長11件(トランプ砲…日本の為替にも“衝撃”円高ドル安すすむなど)、第9位・NTTドコモ・吉澤和弘社長7件(NTTドコモ×ダゾーン・スマホでスポーツ中継など)、第10位・全日空・篠辺修社長6件(直行便で予約殺到!メキシコ世界遺産の旅など)。

 

 

●テレビの窓

「プレミアムフライデーがスタート」

民挙げての「プレミアムフライデー」がいよいよスタートした。空いた時間を買い物や食事などに活用してもらい、低迷する消費を活気づける狙いがある。安倍総理も官邸を飛び出し、上野のミニコンサートに向かった。小池百合子都知事も丸の内で乾杯の音頭を取るなど政官総出で盛り上げている。一方、民間企業でも。ソフトバンクでは約1万6000人の社員にプレミアムフライデーを適用、午後3時に退社しても定時まで働いた事にする「みなし休暇」扱いとした。社員食堂ではビールやハイボールを100円で提供。また4月からは全社員に支援金として毎月1万円を支給するという。また日本航空では家族向けの職場見学会を開催。プレミアムフライデーは家族を見つめ直すきっかけにもなっている。出足は順調に見えるプレミアムフライデー。果たして消費拡大や働き方改革の起爆剤となるのか(テレ東)。

 

 

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