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テレビ報道に見る産業・経済月報
(平成29年7月)

「日EU・EPAが大枠合意」「日銀・2%物価上昇達成時期・6度目の先送り」

 

今月の特徴は1.日EU・EPA大枠合意、2.日銀の動き、3.米国産輸入牛肉にセーフガード発動、4.エネルギー関連の動きとなった。

                                                                                                

1.日EU・EPA大枠合意

内閣府が発表した1-3月期のGDP(国内総生産)の改定値は実質で年率プラス1.0%となった(6/8テレ東)。GDPがプラスとなるのは5期連続で約11年ぶり。個人消費が、全体を押し上げた。北朝鮮情勢や米国・トランプ政権など海外で不透明感が高まる中、景気をさらにテコ入れしデフレ脱却にどう道筋をつけていくのか、政府のかじ取りが問われる(NHK)。

 

2.日銀の動き

日本銀行は金融政策決定会合を開き、賃金の上昇が依然として鈍いことなどから、2%の物価上昇の達成時期を1年先送りにした。達成時期を先送りにするのは黒田東彦総裁が大規模金融緩和を導入して以来、6度目となる。黒田東彦総裁は会見で「見通しが何回も先送りになること自体は残念なことだが、今後の経済動向を踏まえて適切な見通しを作っていくことが重要」と述べ、来年4月までの任期満了までの達成を断念した形となった(TBS)。

 

3.米国産輸入牛肉にセーフガード発動

政府は来週火曜日から14年ぶりに米国産輸入牛肉へセーフガードを発動することを決定した。セーフガード発動の要因について農水省は中国の米国産牛肉の輸入再開で、価格上昇の思惑から輸入を増やしたためとしている。吉野家は値上げについて「ノーコメント」、松屋フーズは現時点で価格変更は考えていない、すき家を運営するゼンショーは値上げについては未定としている(テレ東)。

 

4.エネルギー関連の動き

OPEC石油輸出国機構の加盟国にロシアなどを加えた主要産油国は減産監視委員会を開き、減産期限を必要に応じて延長することを確認した。6月の減産について減産監視委員会は「6月の減産実績は目標の98%」と分析する一方で、すべての国に目標100%の達成を求めた。ロイター通信によるとナイジェリアは「生産引き下げの用意がある」と表明した。サウジアラビア・エネルギー相は8月の原油輸出が日量660万バレルになるとの見通しを示した(テレ東)。東芝は、環境に配慮したクリーンエネルギー事業を強化する一環として、太陽光発電で水素を作り工場などで走る車両のエネルギーに使うシステムを開発した。東芝は、東京都府中市の事業所でシステムを運用して試験を重ね、近く商品化するとしている。経営再建中の東芝は、新たな収益としてクリーンエネルギー事業を強化する方針(NHK)。

 

 

●注目点

「オフィス内に無人コンビニ・ローソン・今年度中に1000店!?」

ーソンがオープンした新業態、オフィス内コンビニ「プチローソン」。その特徴は電子マネーを使ったキャッシュレスな無人コンビニ。企業の担当者も電子マネーで買い物できる事が採用の決め手となった。ただ近隣店舗の売り上げに影響するのではとの懸念もある。ローソン運営本部・関根美紗子は「実証実験を7企業に協力してもらいやってきた。近隣のローソンに影響があるといったデータは得られなかった」と話している。今後は商品の補充を近隣の店舗に任せる事で、近隣店舗の売り上げ増に繋げていく事も視野に入れている。ローソンは無人コンビニを今年度末までに1000ヵ所設置する事を目標としている(テレ東)

 

 

●新潮流

「デビットカード500万枚突破!なぜ利用者が急増!?」

、買い物は現金ではなくデビットカードを使うケースが増えている。Visaデビットカードは加盟している世界中の店舗やネット通販で利用が可能で、買い物と同時に預金口座から利用額が引き落とされる。ATMで現金をおろす手間が省ける事から、忙しい働き盛りの男性を中心に利用者が増加し、2016年度の決済件数は約1億800万件と6年前の4倍に増えた(日銀、日本デビットカード推進協議会)。Visaにとってはデビットカードを広める事でクレジットカードに抵抗のある消費者も取り込めるチャンスがあり、クレジットカードと同様に加盟店からの手数料を得る事もできる。一方、提携先の銀行にとっては利用者の買い物データを活用でき、将来的には住宅ローンやキャンペーンの案内をより的確に送る事ができると見ている。まだまだ現金で支払う習慣が根強い日本だが、Visaはデビットカードを起爆剤にカード決済を米国並みの4割まで引き上げたい考え。日本総研理事長・高橋進は「高額な支払いをする場合はデビットカードのメリットが出てくる。多額の現金を持ち歩くのは嫌だし、ATM手数料もかかる。そうすると選択肢としてはデビットカードとなるのではないか。シンプルで堅実な生活をしたいという人にはデビットカードが合っている」とコメントした(テレ東)。

 

 

●7月のランキング(企業別テレビ報道CM価値換算一覧全国版より)

「第1位・三井不動産、第2位・セブン&アイ・ホールディングス、第3位・オリエンタルランド」

月の「テレビ報道CM価値換算」は、「ダイバシティ東京プラザのH&M紹介」や「各ららぽーとの紹介」「東京ミッドタウン」「都心の建設現場でドローンを使った測量の実証実験」等の露出により37億4100万円となり三井不動産が第1位に輝いた。第2位は「コンビニ・消費者のニーズ捉え“大きく変化”」などの報道でセブン&アイ・ホールディングスになった。第3位は、「東京ディズニーランドなど入園者・7億人に」などの報道で、オリエンタルランドが獲得した。第4位は「オフィス内に無人コンビニ・ローソン・今年度中に1000店!?」などの報道でローソン、第5位は「58年ぶりの復活!蒸気機関車~栃木県日光市~」などの報道で東武鉄道となった。第6位は「食パン・菓子パン・惣菜パン…和食文化になじむ独自製法とは」などの報道で山崎製パン、第7位は「テレ朝夏祭りナビ」などの報道でテレビ朝日ホールディングス、第8位は「六本木ヒルズ防災倉庫に潜入!」などの報道で森ビル。第9位は、「MUJIとUR賃貸がコラボした2LDKのリノベーション物件」などの報道で良品計画、第10位は「“ハワイ公認メニュー”で夏に勝負・ファミレスもコンビニも」などの報道ですかいらーくとなった。

 

 

●7月の人物ランキング

「第1位・日本銀行・黒田東彦総裁、第2位・高須クリニック・高須克弥院長、第3位・KDDI・田中孝司社長」

第1位・日本銀行・黒田東彦総裁52件(“2%物価上昇”達成時期・日銀が先送りへなど)、第2位・高須クリニック・高須克弥院長15件(高須院長“イエス!”は亡き妻の遺産…法廷で訴えなど)、第3位・KDDI・田中孝司社長13件(大手キャリアが新料金導入・スマホ市場“戦国時代”になど)、第4位・東京電力・小早川智明社長10件(柏崎市長が東電社長に対し廃炉計画を要請など)、第5位・ソフトバンク・孫正義社長9件(ソフトバンク孫社長“ロボットへの投資加速”など)、第6位・ラパンフーヅ・中道博社長9件(絶品を生む秘密を大公開!業界を変える人材育成術など)、第7位・インターステラテクノロジーズ・稲川貴大社長8件(国内初の民間宇宙ロケット・エンジン緊急停止・海上に落下など)、第8位・東京電力・川村隆会長8件(経営陣一新で東電は生まれ変わるかなど)、第9位・LINE・出澤剛社長6件(LINEが外食デリバリーサービス・LINEデリマを開始など)、第10位・アキダイ・秋葉弘道社長6件(輸入牛肉・値上げへ…焼き肉ピンチ・スーパーからも悲鳴など)。

 

 

●テレビの窓

「KDDIが新料金導入・スマホ市場値下げ競争に突入か?」

DDIは、新料金プラン「auピタットプラン」を発表した。5分以内の通話がかけ放題で、データ使用料が1ギガの場合の最安値が月額1980円となる。また使ったデータ量に応じた料金が自動的に適用されるため、多くの利用者にとって値下げになる。この背景にあるのが格安スマホの台頭。KDDIの推計では格安スマホ事業者のシェアが15%まで拡大していて、大手の強みである手厚いサービスや通信品質では差別化できなくなってきていることがある。KDDI・田中孝司社長は「お客様の声を分析して応えられるプランを出せた」と話した。KDDIは今回の値下げの影響を約200億円と見積もっていて、利益を削ってでも格安スマホへの利用者の流出を食い止めたい考え。大手ではNTTドコモも先月、特定機種の購入者を対象に月1500円の料金割引プランを始めた。大手3社でほぼ横並びだったスマホ料金。格安スマホの台頭を機に値下げ競争に転じる可能性がある(テレ東)。

 

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