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テレビ報道に見る産業・経済月報
(平成29年8月)

「実質GDP・年率2.5%のプラス成長・6四半期連続のプラス成長」

 

今月の特徴は1.GDP年率2.5%のプラス成長、2.経常収支リーマンショック前以来の高水準、3.7月の貿易収支・2か月連続黒字、4.企業物価指数・3年8か月ぶりの高い伸び率に、5.エネルギー関連の動きとなった。

                                                                                                

1.GDP年率2.5%のプラス成長

内閣府が発表した今年4~6月期のGDP・国内総生産の改定値は、実質で前期比+0.6%だった。この伸びが1年間続くと仮定した年率換算では+2.5%で、既に発表されている速報値の+4.0%から大幅に下方修正された。企業の設備投資の伸びが、速報値2.4%から改定値0.5%に縮小したことなどが要因(9/8 TBS)。

 

2.経常収支リーマンショック前以来の高水準

財務省によると今年上半期の経常収支は10兆5101億円で、リーマンショック前2007年以来の高水準となった。日本企業が、海外子会社などから受け取る配当金や、韓国からの旅行者が増加し、旅行収支が上半期として過去最高となった事などが主な要因(TBS)。

 

3.7月の貿易収支・2か月連続黒字

財務省が発表した7月の貿易統計によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は4188億円の黒字で2ヶ月連続の黒字。自動車や貨物船などの輸出が増えたことが要因。また米国に対する黒字額は前年同月比で9.1%増え、6470億円となり2ヶ月ぶりの増加となった(TBS)。

 

4.企業物価指数・3年8か月ぶりの高い伸び率に

日銀の調べによると7月の企業物価指数は原油や鉄鋼製品価格が上昇したことなどから、前の年の同じ月を2.6%上回り、上昇幅は平成26年4月の消費税率引き上げの影響を除くと3年8か月ぶりの高い伸び率になった。日銀は「世界各国の政治情勢など不安要因はあるが、市況は全体として安定的に推移している」と話している(NHK)。

 

5.エネルギー関連の動き

国の中長期的なエネルギー政策を示す、エネルギー基本計画の見直しに向け、国の審議会の議論が始まった。焦点は原発の扱いで、前回の計画では原発への依存度を可能な限り低減するとしたものの、再稼働は思惑通りに進まず、もんじゅも廃炉となるなど状況が大きく変わった。ただ、経済産業省は前回と骨格は変えないと説明している。今後、30基以上の再稼働は困難だとみる専門家もいるが、達成できない分の電力供給を火力で補うとすると、CO2の排出量が増え、日本のパリ協定での削減目標を達成できなくなる恐れもある。再生可能エネルギーを増やし、さらなるコスト削減も必要になる。各電源比率の再検証が急がれる(NHK)。

 

 

●注目点

「日本経済を左右するNAFTA再交渉」

AFTA・北米自由貿易協定の再交渉が始まったが、この行方は日本企業にも大きく影響する。NAFTAはカナダ、米国、メキシコの自由貿易協定で、3か国間では全物品の関税が撤廃されており、例えば自動車を日本から米国に輸出しようとした場合、関税がかかるが、日本企業がカナダやメキシコに一回出て、米国に輸出するのであれば関税はかからない。特にメキシコは人件費、土地が安いため、日本企業の多くがメキシコに出ている。外務省のまとめによると、メキシコに出ている日本企業は1111社ある。特に目立つのは自動車や部品メーカーでトヨタ自動車の場合、おととしメキシコで生産した車のうち95%以上を米国に輸出している。トランプ大統領はNAFTAによって貿易赤字が増え、米国の雇用が減ったと主張し、再交渉ではバイアメリカン(政策)を主張している。さらに米国は原産地規則のルールを変えようとしている(NHK)

 

 

●新潮流

「トヨタとマツダが資本提携・米国にEVの新工場を稼働させる方針」

、自動車業界は「100年に一度の変革期にある」と言われている。英国やフランスは2040年までにガソリン車、ディーゼル車の販売を禁止する方針を発表した。大気汚染が深刻な社会問題となっている中国も国内生産車のうち一定の割合をEV・電気自動車にすることを義務付ける予定。そうした中、EV参入に出遅れた感があるトヨタマツダが資本提携を結び、EVの共同技術開発を発表した。トヨタ自動車・豊田章男社長は「マツダと業務資本提携に関する合意書を締結した」と述べた。一方、マツダ・小飼雅道社長は「車の新しい価値創造と持続的成長を可能とする体制を整えるべく、互いに協力するためのものだ」と述べた。約500億円でお互いの株式を取得し、両社は約1700億円を投じ、米国にEVの新工場を稼働させる方針。米国のトランプ大統領はツイッターで「米国製造業への素晴らしい投資だ」と述べ歓迎している(NHK)。EV車について毎日新聞・小倉祥徳記者は「将来の日本経済や自動車業界を左右しかねない重要なこと。雇用全体にも将来的に影響が出てくる可能性がある」と指摘。ポイントは部品の大幅な減少で、小倉記者は「(EV車の普及によって)将来的に雇用が減っていく恐れもある」と述べた(テレ朝)。

 

 

●8月のランキング(企業別テレビ報道CM価値換算一覧全国版より)

「第1位・東京地下鉄、第2位・宇宙航空研究開発機構、第3位・トヨタ自動車」

月の「テレビ報道CM価値換算ランキング」では、東京地下鉄が25億3000万円で第1位に輝いた。具体的内容では、「新宿駅プロムナードの『くまのプーさん』公開40周年記念フォトスポット」や「東大前駅のホームなどに週刊少年ジャンプとコラボしたポスターの紹介」などがあり、業務的には「177駅のうち88駅のホームドアを2025年までに設置する計画」等の発表が貢献した。第2位は「月に挑む『HAKUTO』・鳥取砂丘で通信試験」などの報道で宇宙航空研究開発機構になった。第3位は、「踏み間違え急発進を防止する機能・トヨタが9割以上の乗用車に」などの報道で、トヨタ自動車が獲得した。第4位は「1つのシェアオフィスで親は働き・子どもは遊ぶ」などの報道で三井不動産、第5位は「東武鉄道・SL大樹・半世紀ぶりに復活」などの報道で東武鉄道となった。第6位は「ショッピングセンターで“遊び放題”導入のワケ」などの報道でイオンモール、第7位は「最先端・“インスタ映え”トレンドで新ビジネス・旅先の写真撮影“宿泊・交通費”支給」などの報道でエイチ・アイ・エス、第8位は「マツダが世界初ガソリンエンジン・EVシフトが進む中なぜ開発?」などの報道でマツダ。第9位は、「家電のプロが愛用する最新ナットク家電」などの報道でビックカメラ、第10位は「ディズニー大好き仲間がご案内!海賊たちのパーティーに参加できる!」などの報道でオリエンタルランドとなった。

 

 

●8月の人物ランキング

「第1位・スタートトゥデイ・前澤友作社長、第2位・東芝・綱川智社長、第3位・スーパーアキダイ・秋葉弘道社長」

第1位・スタートトゥデイ・前澤友作社長34件(紗栄子・破局していた・ZOZOTOWN・前澤社長となど)、第2位・東芝・綱川智社長28件(混迷!“東芝メモリ”の売却先・3陣営との交渉が続くなど)、第3位・スーパーアキダイ・秋葉弘道社長18件(打撃・家計を直撃“値上げの夏”・ビールの友に牛丼もピンチ?など)、第4位・トヨタ自動車・豊田章男社長18件(トヨタとマツダ・資本提携へ・エコカー開発激化ほか)、第5位・日本銀行・黒田東彦総裁18件(日銀総裁・人事の行方は?など)、第6位・ソフトバンク・孫正義社長15件(ソフトバンク営業利益拡大・米国通信会社再編に言及など)、第7位・マツダ・小飼雅道社長13件(トヨタ自動車とマツダ・資本提携で合意など)、第8位・高須クリニック・高須克弥院長12件(ブルゾンちえみ・竹内涼真の日常&高須克弥が大激怒最新!など)、第9位・花王・澤田道隆社長7件(感動商品を生むプロ集団・花王の神髄に迫る!など)、第10位・ドンキホーテホールディングス・大原孝治社長7件(ユニー・ファミマとドンキ資本・業務提携を発表など)。

 

 

●テレビの窓

「ユニーファミリーマートホールディングスとドンキホーテホールディングス・資本提携で合意」

ユニーファミリーマートホールディングスは、ディスカウントストアを展開するドンキホーテホールディングスと資本業務を提携することで合意したと発表した。苦戦が続く総合スーパー・ユニーをドンキホーテのノウハウで再生させられるかに注目が集まっている。ドンキホーテは買収したスーパー・長崎屋をMEGAドンキホーテに転換して再生させた実績がある。ドンキホーテHD・大原孝治社長は「新時代に向けたリテールをつくる」と述べた。ドンキホーテHDはユニーファミリーマートHDの子会社・ユニーの株式を11月を目途に40%取得する方針。来年にはユニー運営の6店舗にドンキホーテ流の陳列方法を取り入れるほか、閉鎖が予定されているユニーの店舗はドンキのブランドに転換させるという。ドンキが運営する店舗の一部にはファミリーマートを併設する。今回の提携はMEGAドンキの展開を更に進めたいドンキ側とユニーの再建に新たな業態を模索していたユニーファミリーマート側との利害が一致した形(テレ東)。

 

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