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テレビ報道に見る産業・経済月報
(平成30年2月)

「28年ぶり・GDP8期連続プラス」

 

今月の特徴は1.GDP8期連続プラス、2.日銀の動き、3.景気の動向、4.エネルギー関連の動きとなった。

                                                                                                

1.GDP8期連続プラス

内閣府の発表によると去年10月から12月までのGDP(国内総生産)の改定値は年率に換算した実質の伸び率がプラス1.6%となった(3/8NHK)。バブル景気以来のおよそ28年ぶりとなる8四半期連続のプラス成長となる(TBS)。

 

2.日銀の動き

日銀は金融政策決定会合で、目標とする2%の物価上昇率の実現に向けて、マイナス金利政策を含む現在の大規模な金融緩和策を維持することを決めた。これは消費者物価指数の上昇率が、直近で0.9%にとどまっているため、大規模な金融緩和を進め、物価を押し上げていく必要があると判断したため(3/8NHK)。一方、4月で任期を終える日銀・黒田総裁について、政府が続投させる方向で最終調整に入ったことが分かった。人事案は今月中に国会に提示するという。続投であれば次の5年間のタームを見据えた政策運営が重要になる(テレ東)。

 

3.景気の動向

財務省の発表によると日本が海外との貿易や金融取引などでどれだけ稼いだかを示すことし1月の経常収支は6074億円の黒字となった。経常収支が黒字となるのは、43か月連続となる(3/8NHK)。一方で財務省が発表した1月の貿易統計では、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は9434億円の赤字で、8か月ぶりの赤字となった。原油価格の上昇や医薬品の増加により輸入額が増えたことなどが主な要因(TBS)。

 

4 エネルギー関連の動き

内閣府と経済産業省、国土交通省は、洋上風力発電の導入拡大に向け、新法案を来月にも国会に提出する方針。法案は、政府が予め洋上風力発電を重点的に整備する海域を指定し、事業者が最大30年間利用できるという。政府は、法案成立すれば洋上風力を重点整備する海域を全国5か所に設定する方針(NHK)。

 

 

●注目点

「トランプ大統領・日本車市場は閉鎖的・経団連会長が強く反論」

トランプ大統領は21日、議会に提出する“経済報告”を公表。日本の自動車市場では米国メーカーの参入が妨げられているとの強い懸念を示した。経団連・榊原会長は「欧州の車が売れて米国の車が売れていない実態があるが、消費者の選択だ」と述べた上で強く反論した。榊原会長は「日本は主要国で唯一関税ゼロの国。乗用車も0%、トラックも0%、関税障壁はまったくない、むしろ日本が最もオープンな国。実態をよく理解してほしい」と反論した(NHK)

 

 

●新潮流

「“未来の移動サービス”実験・無人カーがお迎えに」

産自動車DeNAが自動運転車を活用した移動サービス「Easy Ride」を共同で始める。スマートフォンアプリで目的地や乗車時間を設定すると配車されるというサービスで、実験では安全のため運転席に人が乗っているが、ハンドルやブレーキなどの操作は全て自動。移動中には車内モニターに周辺の店舗情報などが表示される。2020年代前半に運転手が乗らない完全自動運転での実用化を目指し、来月から横浜市内で一般モニターを乗せて実験を開始する予定(TBS)。この実証実験では飲食店などで使えるクーポンを約40件配布するというが、今後到来する自動運転の時代では車体で差をつけるのではなく、いかに付加価値をつけるかが重要になってくるという(テレ東)。

 

 

2月のランキング(企業別テレビ報道CM価値換算一覧全国版より)

「第1位・安楽亭、第2位・RIZAPグループ、第3位・イオンモール」

月分の「テレビ報道CM換算値ランキング」では、焼肉チェーンの「安楽亭」が31億4200万円となり第一位に輝いた。26日(月)テレ朝「帰れま10」に出ずっぱりで、この数字を稼いだ。2月は平昌冬季五輪に関する番組が多くの時間を占めていたことも影響し、例月とは異なる状況が作られた。第2位は「高級車やブランド品に興味なし・“年商1000億円社長”のこだわり」などの報道で、RIZAPグループになった。第3位は、「オリンピックに続け!カラダを動かして楽しむSPOT大特集」などの報道で、イオンモールが獲得した。第4位は「セブン&アイ・1万人の時差出勤」などの報道で、セブン&アイ・ホールディングス、第5位は「梅沢富美男、藤あや子・家電を買う」などの報道でビックカメラとなった。第6位は「総合スーパー“コラボ”で復活なるか」などの報道でユニー・ファミリーマートホールディングス、第7位は「すかいらーく従業員マニュアル動画に」などの報道ですかいらーく、第8位は「リンガーハット新業態・野菜不足の20代30代に」などの報道でリンガーハット。第9位は、「情報収集衛星・打ち上げ成功」などの報道で宇宙航空研究開発機構、第10位は「パナソニック・サングラスでも顔認証」などの報道でパナソニックとなった。

 

 

2月の人物ランキング

第1位・日本銀行・黒田東彦総裁、第2位・コインチェック・和田晃一良社長、第3位・ソフトバンクグループ・孫正義社長」

第1位・日本銀行・黒田東彦総裁72件(日銀・黒田総裁再任へ・副総裁は“リフレ派”早大教授など)、第2位・コインチェック・和田晃一良社長23件(コインチェック・日本円は出金再開など)、第3位・ソフトバンクグループ・孫正義社長18件(300年間成長し続ける会社を作りたいなど)、第4位・経団連・榊原定征会長11件(日本の自動車市場・トランプ大統領の懸念に経団連会長が反論など)、第5位・RIZAPグループ・瀬戸健社長10件(“落ちこぼれ”から年商1000億円!ライザップ社長の激動半生など)、第6位・ソニー・平井一夫社長8件(ソニー社長交代・CFOが昇格など)、第7位・聖護院八ッ橋総本店・鈴鹿且久社長6件(京都の老舗銘菓SP・人気No.1八ッ橋の新戦略など)、第8位・愛知ドビー・土方邦裕社長5件(町工場が生んだ“魔法の鍋”バーミキュラ・美味しさの秘密など)、第9位・ワークマン・栗山清治社長5件(働く人を幸せにする店・北関東からユニクロ追撃など)、第10位・LINE・出澤剛社長5件(LINE・仮想通貨事業に参入など)。

 

 

●テレビの窓

「QRコード決済規格・大手3銀行・統一へ」

融大手の三菱東京UFJ、三井住友、みずほの3行はスマートフォンなどで手軽に支払いができるQRコード決済で連携する方針を固めた。QRコードの規格を統一するとともに、必要なシステム投資などを共同で行う新会社を設立することも検討している。実現すればコンビニやスーパーなどでの買い物代金をスマートフォンを通じて銀行口座からすぐに引き落とすことができ、利便性が高まる。3行は早期のサービス開始に向けて協議を急ぐとともに、ほかの銀行にも統一規格の採用を呼びかけていく考え。QRコード決済は中国で爆発的に普及していて、キャッシュレスサービスは欧米各国など世界的に広がりを見せている。日本は根強い現金志向を背景にキャッシュレスの動きが遅れているだけに、今回多くの顧客を抱える大手3行がQRコード決済で足並みをそろえることで、日本のキャッシュレス化に弾みがつくことになるのかが注目される。

 

JCC株式会社