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テレビ報道に見る産業・経済月報
(平成30年3月)

「GDP8期連続プラス」「日銀短観・大企業製造業で2年ぶりに悪化」

 

今月の特徴は1.GDP8期連続プラス、2.日銀短観・大企業製造業で2年ぶりに悪化、3.景気の動向、4.エネルギー関連の動きとなった。

                                                                                                

1.GDP8期連続プラス

内閣府の発表によると去年10月から12月までのGDP(国内総生産)の改定値は年率に換算した実質の伸び率がプラス1.6%となった(3/8NHK)。バブル景気以来のおよそ28年ぶりとなる8四半期連続のプラス成長となる(TBS)。

 

2.日銀短観・大企業製造業で2年ぶりに悪化

日銀短観(企業短期観測調査)は、代表的な指標とされる大企業の製造業の景気判断が、プラス24ポイントと、前回の調査より2ポイント下がり、8期(2年)ぶりに悪化した。このところの原材料価格の高騰などで、化学や鉄鋼でとりわけ悪化し、大企業の非製造業も、プラス23ポイントで、前回より2ポイント下がり、6期(1年半)ぶりに悪化した。先行きに不透明感がみられる理由として、「金融市場の変調」が挙げられる。2月以降、米国発の「世界同時株安」が度々市場を揺るがし、為替市場では円高ドル安が進んでいる。さらに懸念されるのが、米国・トランプ政権が発動した異例の輸入制限措置で、日本企業への直接的な影響に加え、この先各国が対抗措置を講じる「貿易戦争」が現実となれば、世界経済の成長に急ブレーキがかかりかねない(4/2NHK)。

 

3.景気の動向

30日、日経平均株価は2万1454円30銭となり、年度末としては27年ぶりの高値となった(TBS)。財務省の発表によると日本が海外との貿易や金融取引などでどれだけ稼いだかを示すことし1月の経常収支は6074億円の黒字となった。経常収支が黒字となるのは、43か月連続となる(3/8NHK)。一方で財務省が発表した1月の貿易統計では、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は9434億円の赤字で、8か月ぶりの赤字となった。原油価格の上昇や医薬品の増加により輸入額が増えたことなどが主な要因(TBS)。

 

4 エネルギー関連の動き

内閣府と経済産業省、国土交通省は、洋上風力発電の導入拡大に向け、新法案を来月にも国会に提出する方針。法案は、政府が予め洋上風力発電を重点的に整備する海域を指定し、事業者が最大30年間利用できるという。政府は、法案が成立すれば洋上風力を重点的に整備する海域を全国5か所に設定する方針(NHK)。一方、今月再稼働した九州電力の玄海原発3号機で、30日、配管から蒸気が漏れていることが発見された。九州電力は「4月24日に予定されていた営業運転の開始は遅れる見通し」とし、4号機の再稼働についても「影響はゼロではない」としている(4/2TBS)。

 

 

●注目点

「日本も対象・トランプ大統領が鉄鋼・アルミの“輸入制限”を発動」

23日、トランプ政権は鉄鋼に25%、アルミニウムに10%の高い関税を課す輸入制限措置を発動した。制限の理由として「米国の産業が衰退すると軍用資材の調達に影響し、安全保障上の脅威となる」ことを挙げている。主な輸入制限対象国は中国(米国輸入先順位10位)、ロシア(6位)、日本(8位)。その一方で除外されている国はカナダ(1位)、EU(2位)、ブラジル(3位)、韓国(4位)、メキシコ(5位)。不思議なことに日本より米国に多く輸出している国が除外されているにも関わらず、日本が対象国となっている。中部大学特任教授・細川昌彦は「これはWTO違反になると思う」と指摘した(TBS)

 

 

●新潮流

「“未来の移動サービス”実験・無人カーがお迎えに」

産自動車DeNAが自動運転車を活用した移動サービス「Easy Ride」を共同で始める。スマートフォンアプリで目的地や乗車時間を設定すると配車されるというサービスで、実験では安全のため運転席に人が乗っているが、ハンドルやブレーキなどの操作は全て自動。移動中には車内モニターに周辺の店舗情報などが表示される。2020年代前半に運転手が乗らない完全自動運転での実用化を目指し、来月から横浜市内で一般モニターを乗せて実験を開始する予定(TBS)。この実証実験では飲食店などで使えるクーポンを約40件程度配布するというが、今後到来する自動運転の時代では車体で差をつけるのではなく、いかに付加価値をつけるかが重要になってくるという(テレ東)。一方でこうした自動運転技術の実用化に向けた動きに水を差すような事故も米国で起きている。18日、アリゾナ州の公道で試験走行中の「Uber」の自動運転車が歩行者をはねて死亡させた。事故を受けて「Uber」は米国、カナダ4都市で行う公道試験を中止した(日テレ)。

 

 

3月のランキング(企業別テレビ報道CM価値換算一覧全国版より)

「第1位・三井不動産、第2位・イオン、第3位・すかいらーく」

018年3月度のテレビ報道CM換算値では、三井不動産が30億2400万円で第一位に輝いた。具体的には「東京ミッドタウン日比谷」のグランドオープンの話題や、「日本橋桜フェスティバル」等の露出効果が貢献した。第2位は「イオン・温室効果ガス・実質ゼロ目標に」などの報道で、イオンになった。第3位は、「24時間廃止・ちょい飲み・ファミレス進化で業績アップ」などの報道で、すかいらーくが獲得した。第4位は「東京ディズニーランド開園へ25年の挑戦・仰天秘策!1000億円の資金繰り」などの報道で、オリエンタルランド、第5位は「自動運転車のイメージを公開」などの報道でパナソニックとなった。第6位は「寿司チェーンさらに“ファミレス化”」などの報道でくらコーポレーション、第7位は「JR三江線ラストラン・乗り納めに鉄道ファンら殺到」などの報道で西日本旅客鉄道、第8位は「待ち時間を大幅短縮・トヨタが充電の仕組み新たに検討」などの報道でトヨタ自動車。第9位は、「衣料品ネット通販・競争過熱・アマゾンにライザップまで」などの報道でRIZAPグループ、第10位は「ANAがロボット技術で旅行体験サービス提供へ」などの報道でANAホールディングスとなった。

 

 

3月の人物ランキング

第1位・日本銀行・黒田東彦総裁、第2位・ソフトバンク・孫正義社長、第3位・神戸製鋼・川崎博也社長」

第1位・日本銀行・黒田東彦総裁77件(基礎的財政収支・想定より6.9兆悪化など)、第2位・ソフトバンク・孫正義社長40件(ソフトバンク・太陽光発電に21兆円・サウジアラビア政府と協力など)、第3位・神戸製鋼・川崎博也社長38件(神戸製鋼所・川崎社長が特任顧問になど)、第4位・アマゾンドットコム・ジェフベゾスCEO30件(世界長者番付1位・アマゾン・CEOのジェフベゾスとは?など)、第5位・コインチェック・和田晃一良社長25件(失ったNEM・日本円で返金・コインチェックなど)、第6位・楽天・三木谷浩史社長13件(球界や芸能界から1500人・闘将・星野仙一お別れの会など)、第7位・スペースX・イーロンマスクCEO12件(巨大ロケットが火星へ!世界が注目“第二の地球?”など)、第8位・経団連・榊原定征会長9件(裁量労働制削除に財界は失望感など)、第9位・フェイスブック・マークザッカーバーグCEO8件(フェイスブックCEO・個人情報流出で過ち認めるなど)、第10位・ファーストリテイリング・柳井正会長兼社長8件(ファーストリテイリング一足早い入社式など)。

 

 

●テレビの窓

「通勤ラッシュが変わる!?複々線化でスイスイ」

田急電鉄は小田原線で上り下りとも線路を2本ずつにする「複々線化」の工事が完成したことを受け、多摩線や江ノ島線も含めて全面的なダイヤ改正を行った。小田急電鉄新宿駅では新しいダイヤで走る新型特急の出発式が行われ、70000形と呼ばれるロマンスカーの車両がホームにお目見えした。小田急小田原線では朝の通勤ラッシュ時の電車本数がおよそ1.3倍に増え、車内の混雑率が150%程度に改善される予定。各駅と新宿の間の所要時間の短縮や多摩線、江ノ島線、東京メトロ千代田線との直通電車が大幅に増えることになる。小田急電鉄・星野晃司社長は「安心・安全・安定に快適、スピーディという要素を加えお客様に喜んでいただけ選んでいただけるような沿線を目指したい」と話した。鉄道ジャーナリスト・梅原淳は「複々線化は鉄道会社にとっては莫大な経費で、特に大都市圏では工事期間が長期にわたり鉄道会社にとっては負担の大きいプロジェクトとなる。一方で今のハード面の輸送力の増強策は限界まで来ているので、あとは利用者の協力をあおぐしかない」と話した。(NHK)。

 

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