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『第3の目』
ドキュメント・アナライザー による分析

新潟県中越沖地震における
柏崎原発に関するテレビ報道の検証調査

 マグニチュード6.8と当初の想定よりもはるかに強い地震が、新潟県柏崎原発を襲った。この検証調査レポートでは、テレビ報道がこの事件をどのように扱ってゆくかについて調査分析を試みた。

 2007年7月16日10時13分頃(JST)に発生した新潟県中越沖を震源とする「新潟県中越沖地震」の影響で「柏崎刈羽原子力発電所」で相次いでトラブルが起こった事件をテレビメディアは時系列でどのように取材し放送を行ったかに重点を置き、特に定量的なデータを中心に「報道の変極点」を探ってみた。

 調査期間は、2007年7月17日から同年9月5日までとした。
 対象とするテレビ局は、東京地区のNHK、日本テレビ、TBS、フジテレビ、テレビ朝日、テレビ東京とした。

(調査レポート)

1.テレビ報道の総時間と各局の報道時間(日別)

2.今回の地震に関する報道の総時間と回数(日別)

3.その中での、柏崎原発に関する報道の時間と割合(日別、局別、番組別)

4.報道内容の変極点についての考察
①新潟県中越沖地震発生、3号変圧器の炎上による発煙シーンの放映。(7月16日)
②柏崎市長が原子力発電所施設の停止命令を出した。(7月18日)
③IAEA国際原子力機関のエルバラダイ事務局長が会見を開き、全面的な調査が必要である旨述べる。(7月18日)
④原子力発電所直下まで活断層が伸びていることが判明。(7月19日)
⑤柏崎原発から日本海へ放射能流出と報道。(7月22日)
⑥政府はIAEAの現地調査受け入れを決定。(7月23日)
⑦サンデープロジェクトへ東京電力・桝本晃章顧問が緊急生出演。(7月29日)
⑧IAEAの現地調査開始。(8月6日)
⑨IAEAの現地調査7原子炉すべての施設を視察し終了。(8月10日)
⑩IAEAの調査結果を「被害は予想より小さく、放射能漏れはごく少量で環境には影響がない」と公表。(8月16日)
⑪IAEAは原子力発電所再開まで数ヶ月から1年かかると発表。(8月16日)

5.この間の報道の経緯と背景


 報道そのものは、「新潟県中越沖地震」の発生から始まった。報道は大規模な地震を伝えると同時に、その地域に存在する「柏崎刈羽原発」に集中した。

 そのきっかけになったのは、3号機周辺にあった変圧器から立ち上っていた噴煙の映像であった。そこからテレビ報道と視聴者が「柏崎刈羽原発」の安全性について強い関心を持ちだした。そこに「放射能」が日本海に流れたと報道され、8月6日、9日の広島、長崎の原爆記念日の報道と相まって「放射能」問題が一気に関心を集めてしまった。

 この問題を結果として沈静させたのはIAEAの査察と「被害は予想より小さく、放射能漏れはごく少量で環境には影響がない」との8月21日の査察結果の発表であった。

 このところの国際社会の現実は、地球温暖化問題に直面し、しかも中国、インドの経済成長に伴いクリーンなエネルギーの大量供給が課題になっている。そこで世界の主要国が挙って原子力発電所の大規模な建設を計画し、地震国日本の安全な原子力発電所の建設・運用能力を期待している状況に今回の事件が重なった。

 ともあれ、IAEAによる柏崎刈羽原子力発電所に対する「安全宣言」と猛暑による「電力不足」という現実的な危機によりこの事件は収束していった。

【統計資料より抜粋】


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