テレビ分析から見る2011年

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テレビ分析から見る2011年


年末にあたり、今年を振り返ると日本にとっても極めて大変な年であったことが蘇る。
先ず、3月11日に突如発生した「東日本大震災」が鮮烈な衝撃を与えた。
4月には、福島原発事故が「レベル7」に引き上げられ不安が増大した。
電力不足の夏は、同時に超円高に見舞われ、世界同時株安の洗礼を受けた。
10月は「タイの洪水」があり、12月には「金正日死去」のニュースが世界を飛び駆った。遡れば2010年に、GDPで日本は中国に抜かれ第3位に凋落したと2月に報じられた。

2011年は日本という国に大きな試練がきた年と言わざるを得ない。

JCCでは、こうした私たちを囲む今年1年の報道・情報をテレビにフォーカスして、首都圏だけで、1か月延べ4千番組という巨大なデータベースから、次のような分析を試みた。

1. 2011年のテレビに見るキーワードベスト100

順位 キーワード 回数
1 米国 49016
2 東日本大震災 36826
3 福島第一原発 36570
4 菅首相 33150
5 福島 32463
6 中国 28275
7 宮城 24291
8 津波 16572
9 岩手 16201
10 映画 15786
11 野田首相 15093
12 放射性物質 14960
13 地震 13106
14 小沢元代表 13068
15 千葉 12860
16 警視庁 12685
17 震災 12538
18 原発 12230
19 大阪 11669
20 北朝鮮 11243
21 茨城 10923
22 復興 10653
23 神奈川 10535
24 放射線量 9187
25 巨人 8787
26 AKB48 8686
27 埼玉 8519
28 フランス 8373
29 沖縄 8290
30 オバマ大統領 7766
31 日本ハム 7674
32 病院 7580
33 地元 7386
34 節電 7376

順位 キーワード 回数
35 英国 7344
36 ドイツ 7262
37 北海道 7008
38 殺害 6700
39 公明党 6598
40 横浜 6536
41 石川遼 6532
42 リビア 6526
43 気象庁 6458
44 原発事故 6442
45 大相撲 6433
46 渋谷 6304
47 捜査 6302
48 ゴルフ 6219
49 枝野官房長官 6172
50 ロシア 6018
51 タイ 5950
52 結婚 5949
53 栃木 5878
54 東北 5771
55 3号機 5729
56 汚染水 5690
57 ソフトバンク 5625
58 楽天 5534
59 原子炉 5522
60 斎藤佑樹 5487
61 計画停電 5466
62 厚生労働省 5458
63 日本人 5347
64 日本代表 5317
65 静岡 5311
66 エジプト 5301
67 仮設住宅 5301
68 辞任 5151

順位 キーワード 回数
69 工場 5142
70 俳優 5083
71 プレゼント 5037
72 国会 5037
73 自治体 5029
74 農家 4974
75 イタリア 4933
76 広島 4910
77 放射性セシウム 4863
78 株価 4812
79 自衛隊 4764
80 ギリシャ 4598
81 MLB 4591
82 TPP 4571
83 原子力安全保安院 4566
84 携帯電話 4565
85 メール 4559
86 カダフィ大佐 4510
87 東京市場 4472
88 中日 4424
89 ドラマ 4175
90 2号機 4157
91 岡田幹事長 4124
92 野菜 4062
93 デモ 4060
94 値上 4010
95 1号機 3984
96 DVD 3819
97 大雨 3769
98 阪神 3767
99 電力 3695
100 成田空港 3628

2.東日本大震災の各キー局による報道時間の推移と株価との関連性

  • 地域:首都圏  検索語:震災  対象範囲:2011-01-01 ~ 2011-12-26

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【東日本大震災以降の株価と報道の相関関係をグラフから読み解く】

3月11日以降の震災の「首都圏全局合計放送時間報道量」のグラフと「日経平均株価」のグラフとの間には相関関係が見られるが、2か所のポイントで特徴的な大きな乖離があることが見てとれる。ひとつ目のポイントはグラフで見ると、5月1日の山(株価は9940.71円)。2つ目のポイントは7月3日で10033.53円をつけている山。この2つのポイントを挟んだ期間に限定して、震災の「首都圏全局合計放送時間」と「日経平均株価」の相関関係のグラフに着目して見ていくことにする。株価上昇の第1のポイント(5月1日)の背景をJCCのデータベースでリーサチし、読み解いていくと、米軍特殊部隊によるオサマビンラディン容疑者の殺害による株価上昇が背景にある(TBS、テレ東)ことがわかる。「アルカイダ・オサマビンラディンの死亡が報じられると、米国の景気の先行き不安が退いたという見方から買い注文が広がり、平均株価は1万4円20銭で取引を終え、3月11日以来となる1万円台を回復した」とTBSでは伝えている。5月1日のポイント以降、「日経平均株価」のグラフは下降線を描き、株安の局面に入ったことが見て取れるが、株安になった要因には、ギリシャの債務問題が横たわっていたことがわかる。「格付け会社のフィッチレーティングスがギリシャの国債を3段階引き下げし、ノルウエーがギリシャに対する4200万ドルの融資を中止したことを明らかにし、米国を筆頭にした世界景気の減速懸念が出てきた」ことをテレ東では伝えている。また、TBSでは「欧州財政問題への不安、そして米国や中国の景気先行きへの不透明感が徐々に株価を押し下げていた」と伝えている。一方、震災の「首都圏全局合計報道時間」のグラフに着目していくと震災の報道量が3月11日を境にピークアウトしてきているものの、5月22日から6月12日にかけて、首都圏全局合計放送時間のグラフにおいてゆるやかな山が出てきている。これは「菅総理が震災対応をめどに辞任する」という政局報道がまとまって報道されたことによるものとみられる(JCCデータベース参照)。5月31日のTBSでは「国内の政治情勢の混迷が相場の重石となっている」との報道があったが、グラフからは不安定な国内情勢の山と、欧州債務不安の谷が一時接近していくのが見て取れる。つまり、株価下落の方では震災の報道量との相関性が見られるということになる。再び、「日経平均株価」のグラフを見ていくと、JCCデータベースによれば、「日経平均株価上昇の2つ目のポイント(7月3日)の背景には「米国の景況感の改善による米国の株価上昇に加えて、2日にユーロの財務相がギリシャへの支援を決めたことなどから株価が上昇した」(テレ東)ことがわかる。以上をまとめると、東日本大震災以降、株価上昇に関しては日本の震災報道量とは関係なく国際的な大きなイベント(オサマビンラディン殺害、ギリシャ債務問題、世界景気の減速懸念)に対して株価が反応していること、一方において、株価下落局面については、震災がらみの不安定政局と世界景気の減速懸念の動きに関連性がみられたことなどが読み取れるといえる。

3.代表的企業「トヨタ」の各キー局による報道時間の推移と株価の関連性

  • 地域:首都圏  検索語:トヨタ  対象範囲:2011-01-01 ~ 2011-12-26

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4. テレビに見る2011年・産業・経済


●1月の特徴
「日本国債格下げ・菅総理・平成の開国を表明」
菅総理はダボス会議で、「平成の開国を実現する」と述べ、環太平洋経済連携協定TPPについて「6月をめどに交渉参加に関する結論を出す」と明言した(NHK、日テレ、テレ朝)。米格付会社S&Pが日本の長期国債の格付けを「ダブルA」から「ダブルAマイナス」に1段階引き下げた(全局)。NECと中国のレノボ・グループがパソコン事業で提携を正式発表、キリンホールディングス、中国食品大手の華潤創業と中国の清涼飲料事業で提携を発表、恒例の新年祝賀会には日本を代表する企業のトップ約1500人が集結などの話題があった。チュニジアのジャスミン革命、エジプトの政情不安(全局)が伝えられた。

●2月の特徴
「中東・アフリカ情勢不安・中国が日本を抜き、世界2位の経済大国に」
中国が2010年のGDPの規模で日本を抜き、世界2位の経済大国になったという衝撃的なニュースを伝えた(NHK、TBS、テレ朝、テレ東)。一方、チュニジア、エジプトの政変から始まった中東・北アフリカの情勢不安を各局が取上げた。テレビ朝日ではこうした状況について「原油価格高騰は先行きの供給不安を引き起こし、先進国の金融緩和による余剰資金をそこに呼び込んで、原油高は天井が見えない状態になっている。情勢不安がリビア以外に拡大すれば原油輸入の9割を中東に頼る日本の調達に支障が出かねない」と報じた。米国運輸省はトヨタリコール問題でトヨタの電子系統に問題はなかったと結論付けた(テレビ東京)。その他、JR東日本の新型車両「はやぶさ」が話題になった。NHKとフジは日本とインドがEPAを締結したことを伝えた。また、日本経団連・米倉会長は「日本とASEANの貿易自由化を進める必要がある」と発言した(NHK)。

●3月の特徴
「日本経済を襲った未曾有の災害・東日本大震災・福島第一原発事故」
リーマンショックから立ち直りつつあった日本経済に東日本大震災、福島第一原発事故が襲いかかった(全局)。追い打ちをかけるかのように円相場が高騰。一時、東京外国為替市場で1ドル76円25銭まで上昇し、史上最高値を更新、東京株式市場では日経平均株価8962円67銭となり、G7の異例の協調介入(全局)となった。津波と地震により引き起こされた福島第一原発事故(地震と津波で電源喪失。1、3、4号機が水素爆発)は日本の原子力史上最悪の事故となり、日本の原子力発電の安全性への信頼が根底から揺らいだ。外国の大使館、企業は次々と首都圏、日本から脱出した(全局)。テレビ東京は「被災地の工場閉鎖で世界の供給に影響がでる懸念がある」と伝えたウォールストリートジャーナルの記事を紹介した。原発事故に伴う電力不足で東京電力は計画停電を実施。JR・私鉄各社が一部区間の運休や運行本数を減らすなどの対応に迫られ、首都圏は大混乱に陥った(全局)。各局は「東京電力・勝俣会長が福島第一原発で発生した放射性物質の拡大など一連の事故について謝罪した。1号機から4号機を廃炉にする考えを表明」と報じた。

●4月の特徴
「レベル7の衝撃・電力不足・日本経済への影響は?」
12日、政府が福島第一原発事故を国際評価尺度でレベル4からチェルノブイリと同じレベル7に引き上げたことが、世界に衝撃を与え、放射能の恐怖による風評被害の問題が水産物、農産物などの食品や観光業、工業製品に至るまで国内外に波及(28の国と地域が日本からの輸入品に規制)し始めたことが報じられた(NHK、日テレ、フジ、テレ朝)。東日本大震災と原発事故の影響で多くの原子力発電所や火力発電所が運転停止に追い込まれ、夏場の電力不足への懸念が東日本のみならず全国に広がり始めた。政府は夏場に予測される電力不足に対応するため、企業などの電力使用を強制的に制限する対策案を取りまとめ、各企業は夏場の電力不足に向けた節電対策に追われたことを各局が一斉に伝えた。また、震災による東北の自動車部品工場などのサプライチェーンの寸断が日本ばかりかアジア、米国の製造業にまで影響を与えていることが明らかになり始めたことを各局が伝えた。フジでは「もう東北にはサプライチェーンを作らない方がいいのではないかという意見もある」(報道局専任局長・平井文夫)と指摘した。東京ディズニーランドも液状化の被害が出たが、震災時のオリエンタルランドの危機対応に注目が集まった。「ソニー・プレステ個人情報流出で賠償2兆円!?」(日本テレビ)「プレステ個人情報流出・米国でも波紋広がる」(フジテレビ)などソニーの個人情報流出事件が各局で取上げられた。

●5月の特徴
「浜岡原発全面停止・産業界への影響は?」
9日、菅総理は浜岡原子力発電所を全面停止するよう中部電力に要請したことを明らかにした(全局)。震災の影響、電力不足など様々なリスクに直面している日本経済に、浜岡原子力発電所の全面停止という新たなリスク要因が加わった。浜岡原発の停止は生産を国内において移転する動きにも影響を与える(NHK)。検査中の原発が運転再開できない場合、夏場には国内の商用原子炉54基のうち停止要請を受けた浜岡原発をはじめ42基の原発が止まることになり、定期検査の後にも稼動できないようであれば、2012年の4月には日本の54基の原発が全部止まり、それによる電力不足が企業の海外移転を加速させ、産業を空洞化させるという懸念がある(TBS、フジ、テレ朝)。一方で菅総理は日本の発電の割合における自然エネルギーの比率を2020年代の早い時期に少なくとも20%にすると国際公約を行なった。この他、米国ニューヨークの名物タクシー「イエローキャブ」の次世代車両として日産自動車のミニバン「NV200」が独占採用されることが決定したとの報道があった。最初はNV200ガソリン車で導入され、2017年からNV200の電気自動車に切り替えていくという。電気自動車の「リーフ」の実績と技術が買われた形(日本テレビ、TBS、フジテレビ、テレビ東京)。

●6月の特徴
「回復の兆し見せる日本経済・予断許さぬ電力不足」
東日本大震災で工場が被災して滞っていた部品調達に一定のめどがたってきたことで自動車各社とも、生産を震災前の水準に回復させるとする動きが出てきた。NHKは「自動車生産が回復し始めているさなかの節電をどう乗り切るかが今後のV字回復のカギで夏の節電が企業収益に与える影響いかんによっては、秋以降の回復力が大きくなったり、限定的になったり差がでてくる」と分析した。東京電力の株主総会は大荒れになったが、福島原発事故の影響は世界に及びはじめ、ドイツ、スイス、イタリアの自然エネルギー推進派と米国、英国、ロシア、フランス、中国などの原発推進派に世界を2分した。日本でも各社のエネルギーをめぐる考え方が問われた。楽天・三木谷浩史社長は、今後のエネルギー政策の在り方などを巡り、経団連と方向性が異なるとして、退会したことを正式に明らかにした(NHK)。日立製作所は、原発事業は維持しながらも自然エネルギーにも力を注いでいく新たな経営方針を発表した(日テレ)。また原子力に代わる新しいエネルギーとしてシェールガスが世界的に注目を集め始めた(NHK、テレ東)。この月の注目される日本企業の動きとして東芝、ソニー、日立製作所が液晶パネル事業統合計画を発表したことが挙げられる(NHK、テレ朝、テレ東)。

●7月の特徴
「超円高、電力不足・加速する海外移転」
日銀短観では、震災直後の最悪期から日本企業がV字で回復する流れが示された。一方で超円高が日本企業を苦しめ始めた。29日のニューヨーク市場で円相場は一時1ドル76円72銭をつけ、戦後最高値の76円25銭(3月17日)以来、約4ヶ月ぶりの円高水準となった。日立製作所・三好崇司副社長は「これ以上に円高になるともっと海外展開しなければコスト競争力がなくなっていく。非常に大きな問題だ」と述べた。日立製作所は今回の決算で円高の影響だけで営業利益が前年比150億円減少したことを明らかにした。マツダ・尾崎清副社長は「77円が続くことに太刀打ちできる製造業があったら正直教えてほしい。このレベルで推移してもらっては困る」と困惑を隠さない。商船三井は「円高の影響が非常に強く、大幅に下方修正になった」、三菱電機「80円を超える円高ということで非常に憂慮している」と反応するなど日本の輸出企業から悲鳴が挙がり始めたことを各局が伝えた。一方、電力使用制限令が開始(東京電力、東北電力管内)され、自動車メーカーでは平日に工場を休みにする代わりに電力需要が下がる土日に工場を稼働する週末操業が始められた。電力不足の長期化が懸念され、企業が海外移転を加速させる中、各局は日本の女子サッカー「なでしこJAPAN」のW杯優勝が日本中を勇気づけたことを取上げた。中でもテレ朝は「なでしこの経済効果・3兆円」と伝えた。13日、ソフトバンク・孫社長のメガソーラー構想(全国の休耕田や耕作放棄地などに大規模太陽光発電所を建設)に全国35の知事が賛同した。14日には再生可能エネルギー法案(自然エネルギーで発電した電力の買い取りを電力会社に義務づける法案)が審議入りしたことを全局が報道した。この他の報道としてWTOが中国のレアメタル輸出規制はルール違反との判断を出した(日テレ以外全局)などがあった。

●8月の特徴
「米国債格下げショック・進行する世界同時株安」
米国はデフォルト危機を土壇場で回避したが、政府の歳出削減への取り組みが不十分であるとして大手格付け会社・スタンダード&プアーズはこれまで70年間、最高位にあった米国国債の格付けを初めてAAAからAA+に引き下げた(各局)。世界同時株安と超円高が日本企業を苦しめた。日本テレビは「円高の影響についての企業アンケート」で「円高がマイナスになる企業は約4割で、機械や鉄鋼、金属など輸出型産業が並んでいる」と伝えた。各局は日本政府・日銀が円売り介入を実施するも、ニューヨーク外国為替市場で円が急騰し一時1ドル75円台に突入(19日)し、対ドルで戦後最高値を更新したことを伝えた。一方で超円高が日本企業による買収を後押ししたことを各局が取上げた。日本電産・永守重信社長は、歴史的円高を「100年に1度のチャンスだ」「超円高の今、海外に活路を見出すしかない」と、インタビューで力説した(NHK)。この他、グーグルがモトローラ携帯を9600億円で買収したことを各局が伝えた。また、政府が原発の輸出をこれまで通り続けることを発表した。

●9月の特徴
「出口見えない欧州財政金融危機・止まらない円高・第2のリーマンショックか?」
IMFの諮問機関であるIMFC(国際通貨金融委員会)は24日、「世界経済は危険な局面に入っている」との声明を採択した(TBS、テレ東)。各局は世界的な景気減速の懸念から市場の混乱が続き、26日には東京市場で一時8400円台を割り込み年初来の最安値を記録し、ギリシャを始めとした欧州財政危機や米国の景気後退懸念など、市場が不安を払しょくできない状況が続いたことを伝えた。フジは安住財務大臣の「ある意味でリーマンショックより深刻だ」との発言を取上げた。日本の自動車メーカー各社の間では円高や欧米経済の減速で輸出の減少が懸念されることから、市場の拡大が続く東南アジアで事業を強化する動きなどが相次いだ。注目される動きとして「新日鉄と住友金属が合併・世界2位の粗鋼生産になる」、「全日空が世界に先駆けてボーイング787を導入」などがあった。フジは「ボーイング787機は日本人サイズに設計されており、日本のニーズに合わせて作られていて、主翼が三菱重工、胴体の一部、車輪収納部などは川崎重工、胴体、主翼、尾翼は東レ、中央翼は富士重工が担当するなど日本の技術力が結集されていて、日本製部品が全体の35%を占めている。炭素繊維複合材を使用することにより強度も上がり機体の軽量化を実現させ、燃費もよくなったことに加え、最新鋭のエンジンを搭載する事で燃費効率が約20%向上した」と伝えた。

●10月の特徴
「歴史的円高の日本企業にさらなる激震・タイ洪水被害・サプライチェーン再寸断の追い打ち」
日本企業が海外進出の拠点にしていたタイで大洪水が発生したことを各局が一斉に報道した。新日本製鉄の中間決算(連結)は売上高2兆278億円、最終利益487億円。JFEホールディングスの中間決算(連結)は世界的な株安で有価証券の評価損を計上し最終利益は243億円の赤字となった(日本テレビ)。また中国など新興国の成長がにぶることやタイの洪水の影響などを考慮して両社とも2012年3月期の業績が減益になるとの見通しを発表した(テレビ東京)。欧州ではイタリア、スペインの国債格下げや、欧州金融大手デクシア、MFグローバルホールディングスが経営破綻するなど欧州の信用不安の影響(全局)が吹き荒れた。31日のオセアニア外国為替市場で円相場が一時1ドル=75円32銭へ急騰し、ニューヨーク市場で27日につけた戦後最高値を更新した。最高値更新は21日以降で5回目。円高に加え、テレビ事業の採算が一段と悪化したことなどが主な要因。輸出関連企業の収益悪化を通じて日本経済に打撃を与えかねない円高の阻止に向け日本政府、日銀が単独の市場介入(過去最大・10兆円規模)を行った。また、「オリンパスの巨額の損失隠し」や「大王製紙資金引出し問題」など日本企業のコンプライアンスを問われかねない事件が起った。IT企業「アップル」前CEOスティーブジョブズが亡くなったが、iPhoneにKDDIが参入、ソフトバンクとの全面戦争になった(全局)。

●11月の特徴
「日経平均株価最安値を更新、政府TPP交渉参加方針表明」
欧州の危機が収まる気配は見えない。23日には、欧州で最も安全な金融資産とされるドイツ国債の札割れが発生し世界に衝撃を与えた。この動きが日本の株安に繋がり、日経平均株価は25日、今年の最安値を更新し、約2年8ヵ月ぶりに8200円を下回った(全局)。歴史的円高による損失は約3300億円(大手8社)となり、自動車業界を取り巻く環境は悪化している。円高やタイの洪水の影響で多くの上場企業の2012年3月期連結経常利益が10%を超える減益となる公算が大きいことがわかった(フジテレビ)。ソニーは2012年3月期決算の純損益で4年連続の赤字に陥る見通しになった。トヨタ自動車・豊田章男社長は、歴史的円高が続いていることについて、「日本のものづくりは空洞化を超え、崩壊してしまう兆しすらある」と強い危機感を示した(テレビ東京)。また、「このまま円高が続けば生産を日本から米国へシフトしていく」との考えを示した(フジテレビ)。歴史的な円高に歯止めをかけるため政府日銀は、10月31日、円売りドル買いの市場介入に踏み切ったが、財務省は政府日銀が10月末からの1ヶ月間に行った為替介入の額が9兆916億円だったことを発表した(日本テレビ)。電機などの輸出企業の間では今後も、1ドル70円台の円高水準は続くとして事業の見直しを急ぐ動きが相次いでいる。TDKは円高などによる収益環境の悪化から海外を含めたグループ全体で1万1000人の人員を削減する方針。パナソニックは兵庫県のプラズマパネル2工場、千葉の液晶パネル工場の操業を今年度中に停止するなど国内の生産体制の縮小を打ち出した(NHK)。一方、14日、ハワイ・ホノルルで開かれたAPEC首脳会議で野田首相は、「TPP交渉参加に向けて関係国と協議に入る」との政府方針を各国に伝え、カナダ、メキシコも交渉への参加を表明した(全局)。この他、日テレ、フジ、テレ東が企業のコンプライアンスが問われる問題としてオリンパス、大王製紙の問題を取上げ、各局が「東京証券取引所と大阪証券取引所は22日、国際的な競争力を強化するため再来年1月をメドに経営統合する事を正式に発表した」ことを伝えた。

●12月の特徴
「日本が京都議定書から2013年以降不参加の方向・金正日総書記死去」
北朝鮮・金正日総書記が死去したことを各社一斉に報道した。フジ以外全局は「金正日総書記死去のニュースを受け日経平均株価は下げ幅を拡大し、終値は8300円を割り込んだ。為替市場では有事のドル買いが起こり、一時1ドル78円台まで円安ドル高が進んだ」ことを伝えた。一方、地球温暖化対策を話し合う国連のCOP17では「ダーバン合意」が採択され、2013年以降、日本は新たな枠組みが発効するまで削減義務を負わないことになった(NHK)。坂野経団連環境安全委員長は「今の京都議定書は非常に大きな役割を既に果たした。世界のCO2の26%しか出していない国々だけでこんなことをやっていても、CO2は減らないというのが日本の基本的スタンスだ」と述べた(TBS)。この他、NHKでは「WTO・貿易自由化交渉ドーハラウンドについて、近い将来の妥結は困難だとする議長声明を採択して閉幕した」と伝えた。また、NHK、TBS、テレ東は「公正取引委員会は新日本製鉄と住友金属工業の合併を一部条件付で承認すると発表」したことを伝え、テレ朝以外全局が「米国議会の上下両院で可決する見通しとなっているイランへの制裁法案で、日本とイランとの金融取引が出来なくなり、日本の原油輸入に影響が出る恐れが出ている」と伝えた。また、会場を幕張から東京に移して開催された東京モーターショー開幕の話題を全局が報道した。原発関連では、野田首相が原発事故収束(ステップ2の終了)を宣言したことを全局が報道した。

JCCのデータベースより

5. 2011年グッドブランド100(2012年1月10日予定)