> 私の視聴室 第1回

logo.gifテレビ情報のデータベース化、知識化、ネット情報の収集、多角的分析が現実世界を浮き彫りにします

印刷用表示 |テキストサイズ 小 |中 |大 |

HOME > TV allcover free > 私の視聴室 > 私の視聴室 第1回

会社概要MAP採用プライバシーお問い合わせ

私の視聴室

テレビ放送の今後について、今日様々な意見が交わされている。経済状態が悪化の一途を辿っている昨今、CMスポンサーの具体的な様子をみると、その将来は明るくないとの意見も多い。インターネットや携帯電話が盛んになり、テレビを見る時間が減ったとも言われている。そうはいってもマスメディアとしてのテレビの存在はまだまだ見捨てられてはいない。一方新聞がそうであるようにテレビもマスメディアとしての影響力を失って行くのではないかという見方もある。

テレビには視聴率という番組の人気度を占う尺度があるが、誰がどんな動機でその番組を視聴しているのか、またその番組が社会に与える影響はどんなものかという、いわゆる質を計る視聴質という尺度が必要であることはかなり前からいわれているが、具体的にはどう計測したらいいのか決定打が未だにない。単純な方法だが、全世帯の中でどのくらいの割合の視聴者がどの番組を見ているのかという評価に変えられるものは現実にはないといえる。そうしたことを踏まえて、敢えて一人称で面白いと思われる番組を一定のサイクルで捜し求めて、面白い番組があればその評価をするという単純な方法で、テレビ番組の質的評価をする事にした。そのようにすることによりテレビ番組の質的価値がどの位あるのかを論じてみたい。


LinkIcon第1回 「心の東京画の10年」「ミニミニ映画大賞」「ETV50教育テレビの逆襲」
LinkIcon第2回 政治とカネ・「新報道2001」「日曜討論」「サンデープロジェクト」
LinkIcon第3回 「シリーズJAPANデビュー・第3回・通商国家の挫折」

第1回 「心の東京画の10年」
    「ミニミニ映像大賞」
    「ETV50教育テレビの逆襲」

2月11日は毎年建国の日であるが、昼下がりに私はたまたまNHKの番組を視聴した。13時5分からの「心の東京画の10年」、その後の2番組は再放送で「ミニミニ映画大賞」(15時5分)「ETV50教育テレビの逆襲」(16時)の合計3番組であった。この3番組は、それぞれ個性があって実に素晴らしいものであった。

「心の東京画の10年」は、画家とその仲間が絵画で東京のこの10年を表現するものでその中味は、東京の激しい移り変わりであった。何か懐かしい東京の風景を背景に都市の変貌とその中の人間を描いた傑作であった。

「ミニミニ映像大賞」のテーマは「明日のエコでは間に合わない」で、素人ないしは新進の映像作家が25秒で作品を作り大賞を競うというもので、映像作品を審査する側の人間も真剣勝負で見応えのあるものであった。大賞を勝ち得た作家は意外にも顔にニキビが浮かぶ高校2年の男子生徒であった。ご褒美としてNHKの番組で監督デビューすることになるという。

次の番組「ETV50教育テレビの逆襲」は、戦後から現在まで、その時代を風靡した「湯川秀樹」「加山雄三」「開高健」「石原裕次郎」「手塚治」「本田総一郎」などの人物映像とコメントをダイジェストし、各時代を表現した。加えてこれらの登場人物が「幸福論」と「地獄論」を通して人間そのものの本質に迫ろうとする野心的な番組であった。

休日の午後のこうした番組は、何日か前テレ朝の50周年記念番組の中にも見られたが、日本社会が大きな曲がり角にある今日、明日を考える際の大きな助けになる。