テレビ報道に見る産業・経済月報(平成23年10月)

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テレビ報道に見る産業・経済月報
(平成23年10月)

経済・1月

●今月の特徴

「歴史的円高の日本企業にさらなる激震・タイ洪水被害・サプライチェーン再寸断の追い打ち」

今月の特徴は、①タイ大洪水・日本経済への影響、②歴史的円高の影響、③TPP交渉参加問題、④震災の影響・復興の動きとなった。

 

①【タイ大洪水・日本経済への影響】

タイの洪水により被災した日系企業はソニーニコン日産トヨタホンダマツダいすゞ三菱パイオニアHOYAなど約450社。(テレビ朝日)。専門家は「東日本大震災でサプライチェーンへの影響が大きかったところから、下期にかけてそれが回復して増産に踏み込もうとしていたところで、タイの洪水でサプライチェーンの問題に再び直面している」と指摘。ホンダはタイの洪水被害の影響が半年ほど続くとしている。SMBC日興証券はタイ洪水による日本企業への影響を上場企業の純利益3.9%減と試算。日銀は被害を受けている現地の日本企業を支援するため、工場の復旧工事などの支払いで必要になるタイの通貨バーツを確保できるよう、タイ中央銀行と連携することになった。新日本製鉄JFEホールディングスはそれぞれ決算会見を行いタイの洪水の影響が今後出てくると述べた。新日本製鉄の中間決算(連結)は売上高2兆278億円、最終利益487億円。JFEホールディングスの中間決算(連結)は世界的な株安で有価証券の評価損を計上し最終利益は243億円の赤字となった(日本テレビ)。また中国など新興国の成長がにぶることやタイの洪水の影響などを考慮して両社とも2012年3月期の業績が減益になるとの見通しを発表した(テレビ東京)。日本政策投資銀行はタイの洪水被害や歴史的円高などで経営環境悪化の日本企業を支援するため、通常より低金利で貸し付ける新融資制度を来月から再来年3月まで行うことを決めた。融資総額は5千億円規模でタイ洪水で被害の企業の復旧費用のほか、東日本大震災からの復興費用、円高で厳しい経営環境の企業の運転資金を融資する。円高を生かし日本企業が外国企業を買収するための資金も融資の対象となる(NHK)。

 

②【歴史的円高の影響】

イタリア、スペインの国債格下げや、欧州金融大手デクシア、MFグローバルホールディングスが経営破綻するなど欧州の信用不安の影響が吹き荒れている。27日、欧州ではギリシャ国債の元本の50%削減など政府債務問題の解決に向けて包括策を合意したが、欧米経済の先行き不透明感を背景に円に投資資金が流入している。31日のオセアニア外国為替市場で円相場が一時1ドル=75円32銭へ急騰し、ニューヨーク市場で27日につけた戦後最高値を更新した。最高値更新は21日以降で5回目。輸出関連企業の収益悪化を通じて日本経済に打撃を与えかねない円高の阻止に向け日本政府、日銀が単独の市場介入を行った。安住淳財務大臣は「一方的な投機的な動きが続いていたので介入した。納得がいくまで介入する」と強気の姿勢だが、「円高の原因が欧州や米国にあるので、介入の効果が長続きするかは不透明」と介入の効果を疑問視する声もあがっている。内閣府の景気ウォッチャー調査によると先月は景気の現状を示す指数が45.3と8月を2ポイント下回り、2か月連続で悪化した。これは円高の影響で輸出関連企業中心に採算悪化や従業員採用抑制の動きがでていることや残暑などで秋物商品の販売が落ち込んだことなどによるもの。先行きを示す指数は46.4と8月より0.7ポイント低く、3か月連続で悪化した。これについて内閣府は“円高や海外経済減速への懸念が強まっていることを背景に製造業だけでなく輸送など非製造業も景気の先行きを慎重に見る企業が増えている”と話している。(NHK)。

 

③【TPP交渉参加問題】

TPP・環太平洋経済連携協定について、民主党政権は当初参加に向けて今年6月までに判断するとしていたが、震災もあって先延ばしされている状態。TPPの交渉参加をめぐり、賛成派、反対派双方の議論がヒートアップしている。日本がTPPに参加すれば協定を結んでいる国々との間で関税をなくすことが話し合われることになり、関税がなくなれば消費者が輸入品を安く買えるほか、自動車などの輸出企業が相手国で製品を安く売ることができる。一方、輸入される農作物の価格が下がることで国産品が売れなくなり国内の農家が打撃を受ける可能性がある。現在、TPPでは知的財産権の保護など24の分野で話し合いが行われており、野田首相は交渉参加の方向で固めている。野田首相が重要政策の司令塔と位置づける国家戦略会議の初会合では、民間のメンバーから、「TPP・環太平洋経済連携協定への参加は産業空洞化の防止に役立つ」などと交渉参加を求める意見が相次いだ経済界はTPP交渉への参加を急いでいる。経団連・米倉会長は「政治の強いリーダーシップの下で、気を逸することなくTPP交渉への参加を決断いただきたい」と発言した。ファーストリテイリング・柳井会長はTPP(環太平洋経済連携協定)について「参加しなければ日本は衰退する」と述べた。

 

④【震災の影響・復興の動き】

企業が景気の現状と先行きをどうみているのかを示す9月の日銀短観企業短期経済観測調査で大企業の景気判断が6カ月ぶりにプラスに転じた。現在の景気についてよいと答えた企業から悪いと答えた企業の割合を引いた指数は大企業の製造業でプラス2と前回6月の調査より11ポイント上昇。これは震災の影響を受けた部品の供給網が復旧し、生産や輸出が回復した為で、中でも自動車はプラス13と調査開始以来最大の65ポイントの改善幅となった(フジテレビ)。内閣府が発表した8月の機械受注統計によると、民間企業の設備投資の先行指標となる船舶、電力を除く民需は前月に比べ11%増え8049億円となった。精密機械や情報通信機械などを中心に製造業の受注が増えた。内閣府は「機械受注は持ち直し傾向にある」との先月の判断を維持した。 機械受注が市場予想を上回る結果となったことを受けて、株式市場ではコマツファナックオークマ牧野フライスなどの機械株が上昇した(テレビ東京)。

 

●注目点

「オリンパス、大王製紙-問われる企業姿勢」

リンパスの社長を解任された英国人のマイケルウッドフォード元社長が、不透明な企業買収を告発し、米国のFBIも調査を開始した。英国の捜査当局も元社長が提出した資料を受理した。日本の証券取引等監視委員会も調査に入った。元社長が指摘するのは買収をめぐる金額の大きさ。英国の医療器機メーカー買収に伴い、オリンパスは米国の助言会社に約660億円支払ったという。これは買収額全体の3割。2006年からの化粧品会社など国内3社の買収についても、売上高が50億円余なのに、約730億円を投じている。約660億円の助言料は英国を通し、ケイマン諸島の団体に送金されているという。トムソンロイターによれば、この助言料は世界のM&Aで過去最高額とのこと。不透明な買収を知った元社長は、当時の菊川剛会長や副社長に手紙で詳細をたずねたが、納得のいく回答は得られなかった。会長らの辞任を求めたところ、逆に解任されたという。解任後、オリンパスの株価は急落した。社長に復帰した菊川は2週間たらずで辞任。高山修一・オリンパス新社長は買収額算定の甘さは認めたものの、買収は適切だと説明している。一方、大王製紙の前会長がグループ企業から100億円を超える資金を引き出していた事件で、特別調査委員会は背景には前会長らに絶対服従するという企業風土が根付いていたと指摘している。大王製紙は井川意高会長を特別背任の疑いで東京地検特捜部に告訴する方針で、財務担当の常務取締役が辞任したほか、佐光正義社長の減俸など、18人の役員を処分し、井川高雄顧問を解任した。今、改めて企業のモラルが問われている。

 

●新潮流

「日本ブランドを利用する中国企業」

国の日本企業買収は、もはや珍しいことではないが、かって日本のお家芸と言われた家電製品のブランド名までが中国企業に渡ることになった。中国の大手家電メーカー・Haierは、パナソニックから子会社の三洋電機が手掛ける洗濯機と冷蔵庫の事業のうち、日本と東南アジアの拠点を買収することで18日にも最終合意する見通しとなった。狙いの一つはSANYOブランドの信用力を活用したアジアでの事業展開。国内では三洋電機の「アクア」という商品ブランドをそのまま使い、洗濯機と冷蔵庫を来年1月から販売する。東南アジアではSANYOのブランドを使い冷蔵庫などの家電製品を販売。この動きは、中国のメーカーが日本メーカーのブランドを使い事業拡大を図る流れとして注目される(NHK)。

 

●10月のランキング(企業別テレビ報道CM価値換算一覧全国版より)

「第1位・セブン&アイ・ホールディングス、第2位・東武鉄道、第3位・KDDI」

月はCM価値換算52億2200万円で「食事宅配サービス・配送料無料」「おでん製造工場紹介」「中間決算過去最高」等の報道露出により、セブン&アイ・ホールディングスが第1位に輝いた。第2位は「日本一の眺望と新技術・スカイツリー展望台公開」「東京スカイツリー・入場券つきの宿泊旅行発売」などの報道で東武鉄道が獲得した。第3位は「KDDIでもiPhone4S」「KDDI参入でソフトバンクどうなる?」「ソフトバンクvsKDDI・iPhone予約開始で火花」などの報道でKDDIが輝いた。第4位は「世界最大店をNYに・ユニクロ勝負の舞台裏」「年間賃貸料は16億円・NY5番街にユニクロ」「海外に活路・世界狙うユニクロの戦略」などの報道でファーストリティリングとなった。第5位は「中国人ボスがやってきた・密着レナウンの400日」などの報道でレナウンになった。第6位は「ソフトバンク・インドで携帯コンテンツ」「通信速度が速いのはau VSソフトバンク?iPhoneを検証」などの報道でソフトバンク、第7位は「京急線で行く・世界の美食巡り」などの報道で京浜急行になった。第8位は「NTTドコモ・新機種・注目は“超高速通信”」などの報道でNTTドコモ、第9位は「マクドナルド・幻のメニュー・本国でも復活」などの報道で日本マクドナルドホールディングス、第10位は「絶品!秋のコンビニスイーツ・ファミリーマート売れ筋ベスト3」などの報道でファミリーマートが獲得した。

 

テレビの窓

「アップル創業者・スティーブジョブズ・死去」

5日、IT企業「アップル」前CEOスティーブジョブズが亡くなった。ジョブズ前CEOは「ハングリーであれ愚かであれ」を体現してきた。禅に大きな影響を受け、米国で布教活動をしていた著名な僧侶・知野弘文から禅の教えを学んでいた。ジョブズ前CEOが大切にしていた言葉は「初心」。卓越したプレゼンテーションでも注目され新製品の発表会では黒シャツにジーンズという出で立ちに独特の語り口でファンの心をつかんだ。ジョブズ前CEOはスマートフォンの先駆けとなったiPhoneやタブレット型端末・iPadなど革新的なアイデアで時代の一歩先行く商品を発表し続けた。ジョブズには独特のこだわりがあった。iPhone発売直前にデザイン変更を決めたり、ステンレスの「鏡面仕上げ」で世界最高クラスの技術をもつ小林研業に対して、iPod裏面に鏡と同等レベルの磨きをジョブズが要求したというのは有名な話だ。ジョブズ前CEOの出発点は自宅のガレージだった。1976年に米国シリコンバレーでアップルの前身会社を立ち上げた。1984年にマッキントッシュを発売し、一大ブームを巻き起こした。1985年に経営方針をめぐる社内での対立からアップルを追われた。1997年にアップルの経営に復帰し、iMacをヒットさせて以降、次々とヒット商品を生み出し今年7月には株式時価総額で世界一の企業に育て上げた。遺作となったiPhone4Sは世界全体での売り上げが3日間で400万台超の大ヒットとなった(NHK)。評伝「Steve Jobsスティーブジョブズ1巻」(講談社)が24日に世界同時発売されるが、重版がすでに決まった1巻の発行部数はすでに20万部を超えている。11月1日に発売予定の2巻も初版15万部を見込んでいるという(テレビ朝日)。

 

 

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