テレビ報道に見る産業・経済月報(平成24年2月)

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テレビ報道に見る産業・経済月報
(平成24年2月)

●今月の特徴

「日銀・インフレターゲット導入・エルピーダ破綻」

今月の特徴は、①日銀追加金融緩和・株高・円安の動き、②経常黒字・15年ぶりの低水準、③エネルギー関連の動き、④震災の影響・復興の動き、⑤タイ洪水の影響となった。

 

①【日銀追加金融緩和・株高・円安の動き】

14日、日銀は金融政策決定会合で10兆円規模の追加の金融緩和を決め、望ましい物価上昇率を当面は1%とする事実上の緩やかなインフレターゲットの導入も決めた(テレ東)。これを受けて、為替は円安に動き、株価も上がるなど市場では日銀の対応を評価する動きになった(NHK)。27日の東京外国為替市場では円安が進んだ。取引開始から円売り・ドル・ユーロ買いの動きが強まった(TBS)。円相場は1ドル81円台の円安を継続し、円安を好感して日経平均株価も6ヶ月ぶりに9700円台に回復した。自動車や電機メーカーを中心に株価が上昇している(テレ朝)。第一生命経済研究所・永濱利廣は(円安・株高の流れに対し)「景気上昇のムードが高まり、個人の消費や企業の投資が増える」と期待を寄せた。国際金融コンサルタント・菅下清廣は「4月に時価総額7兆円を超えるfacebookが米国市場に上場するため、今年後半、日本にバブル相場が再来するだろう。米国がITバブルになることで日本もバブル相場へ飲み込まれていくのではないか」と予測している(テレ朝)。市場では「日本の貿易赤字拡大や日本国債の格下げリスクから今後も円が売られる」として、円安基調が続くと見る向きが増えており、輸出企業を中心に歓迎する声が広がっている。ただ1ドル80円はまだ非常に厳しいレートだとする声もある。ただし、欧州問題は根本的に解決したわけではない。米国などの景気回復は本物なのかという懸念も残っており、1ドル80円前後の横ばいが続くとの声もある(フジ)。大和総研・熊谷亮丸チーフエコノミストは「日銀の積極的金融緩和で1万円台回復が視野に入ってきたが、ヨーロッパ情勢が悪化すると、再び円高、株安圧力が再燃する可能性がある」とコメントした(TBS)。

 

②【経常黒字・15年ぶりの低水準・経常赤字に転落する懸念も】

財務省が8日発表した2011年の国際収支速報によると、海外との物やサービスの取引状況を示す経常収支の黒字額はおよそ9兆6200億円で、15年ぶりに10兆円を下回る低い水準になった。1年前と比べるとおよそ44%のマイナスで、1985年の統計開始以来最大の減少率。震災や円高、海外経済の減速で自動車や半導体部品の輸出が減少したことが要因(テレ東)。将来は経常赤字に転落する懸念も出始めている。最大の要因は、今回の統計では48年ぶりとなる貿易赤字(テレ朝)。1月の貿易収支は1兆4750億円の貿易赤字で、リーマンショック後を超え過去最大。春節の影響で中国への輸出が落ち込み、原発停止で液化天然ガスの輸入が大幅に増えたことが赤字拡大の要因となった(テレ朝)。巨額赤字により、パナソニックやシャープの株価は31年ぶりの安値まで急落し、通期の業績見通しを下方修正した会社は289社で上方修正の倍近くになった(テレ東)。さらに、去年1年間のGDP・国内総生産の伸び率は前年比で-0.9%だった。マイナスになったのはリーマンショックで景気が大きく後退した2009年以来2年ぶりとなる。去年の日本経済は震災による企業の生産や輸出の大幅な落ち込みから夏場にかけて急速に持ち直したが、秋以降、歴史的な円高や世界経済の減速で伸び悩んだ。内閣府では震災の復興需要で今年は緩やかな回復が見込まれるとしているが、新たな懸念材料として、原発事故をめぐる電力不足や東京電力の打ち出している電気料金の値上げなどがあり、先行きの不透明感が強まっている(NHK)。

 

③【エネルギー関連の動き】

エネルギー、電力料金の引き上げ問題、外国に比べて高いとされる法人税など、企業にとって高コストの経営環境が収益を圧迫し、企業経営にとって大きな手かせ足かせとなっている。中でも、新たな懸念材料となっているのが東京電力の電気料金の値上げだ。電炉メーカー等は東電の値上げが実施された場合の試算を行った。試算では、メーカーが鉄を溶かすために大量の電気を使っているため、大幅な赤字になるとしている。対策として、灯油の比率を高めることや深夜操業を増やすなど電力を極力減らすことなどを進めているが、決定的な打開策にはつながらないとみられる(NHK)。こうした中、21日未明、関西電力は定期検査のため、福井県・高浜原発3号機を完全停止した。関西電力が所有する原発11基すべてが運転を停止したことになる。日本にある54基の原発のうち、稼働中の原発は新潟県にある東京電力柏崎刈羽原発6号機と北海道電力泊原原発3号機の2基のみになった。この2基も4月下旬までに定期検査入りする。一部シンクタンクは、原発全停止によりGDPで約10兆円換算の経済下押し圧力が働くと試算している。一方でトヨタグループのように自前で発電所を作る計画を立てている企業もある。電鉄会社やコンビニなどは、使用している照明器具を全てLEDなどに替える省エネ対策を徹底させている。極端な企業は、アジアでの生産に軸足を移してしまうことを検討しているという(テレ東)。今、日本経済や生活に直結するエネルギーを取り巻く環境が激変している。日本最大手の製紙会社・日本製紙では本社にエネルギー事業推進室を立ち上げ、様々なビジネスプランを検討している。保有する静岡・富士の自社工場には自家発電所があり、全国の工場に電力を供給している。この発電所の発電能力は170万キロワットであり、原発1.7基分に相当するという。作った電力は販売事業に活用させる。また、全国に予備、休止中の発電機がある工場が16か所あるので、これらを利用し電力を大量に生み出そうという計画。本業の紙の生産を休止したラインでも発電所は稼働させ、電力を販売していきたいとしている(NHK)。ユニバーサルエネルギー研究所社長・金田武司は「大口需要のところはPPS(特定規模電気事業者)も含めて、大手電力会社などから自由に選べるルールになっているが、送電網については各々地域の電力会社が持っていて、利用料が高く事実上電力会社の独占状態にある。電気料金を安くするには、送電網の自由化による競争できる環境づくり、多様化に伴う指揮者、安定供給が必要」と指摘する(フジ)。一方、火力発電用向けの天然ガスの需要が拡大していることから、三菱商事はカナダにあるシェールガスとしては世界最大規模の天然ガス田開発などの権利を40%取得し、日本への輸出を目指すことになった。投資額は約60億カナダドル(約4700億円)。今後、専用施設を現地に建設し、日本向けの輸出を目指す方針。日本の商社は歴史的円高を背景に、海外の石炭や銅など資源分野への投資を拡大している大震災以降、日本のエネルギーはLNGが約4割、石炭が25%、石油が25%になっている。日本の原油の8割を輸入エネルギーがホルムズ海峡を経由している為、今後のイラン情勢を注視する必要がある。石油は200日分の原油備蓄はあるが、LNGは2週間分しかない。日本はLNGを米国の6倍の価格で購入している。おそらくこれから原油が高騰する。こうした状況に対して貿易収支の悪化、赤字化、恒常化が出てくると日本経済全体がおかしくなり、国債の暴落やハイパーインフレという事にもつながる可能性も否定できない(NHK)。

 

④【震災の影響・復興の動き】

東日本大震災で大きな被害を受けたキリンビール仙台工場。ビールタンクの倒壊、津波の浸水被害もあり、閉鎖も危惧されていたが昨日、瓶ビールの生産再開で全面復旧を迎えた。この他にも岩手県の新日本製鐵釜石製鉄所、太平洋セメント大船渡工場は春以降の完全復旧の見通しがたったが、被災した多くの企業が復旧を果たせていない。中でも深刻なのは福島第一原発事故の20km圏内の警戒区域内にあった会社。自動車関連部品などを製造する藤倉ゴム工業は3つある工場の内1つが警戒区域内にあり立ち入りが一切できない。今回の震災では多くの自動車メーカーに影響が出た。震災から3ヵ月後、福島県田村市にある他の会社の用地を借りて操業を開始したが、借用期間が限定されていたために埼玉県加須市へ移転を決定し、4月19日の全面稼働に向け準備を進めている。単身赴任予定の従業員もいるという(フジ)。震災からの復興を目指す中小企業の資金繰りを支援するため、金融庁は、被災地の信用金庫が、資本増強を行いやすくする特例をつくり、活用を呼びかけてきた。その結果、東北の4つの信用金庫に対して特例を適用し、公的資金とともに、信金の全国組織「信金中央金庫」が83億円を負担して合わせて630億円の資本増強を行うことになった。具体的には、福島県の「あぶくま信金」に200億円、宮城県の「石巻信金」に180億円、「気仙沼信金」に150億円、岩手県の「宮古信金」に100億円が、それぞれ投入される見通しになった(NHK)。

⑤【タイ洪水の影響】

タイ・アユタヤにある7つの工業団地は洪水の被害が大きく、進出している日本企業のおよそ460社の工場が浸水し、現在も8割の企業が操業停止に追い込まれたまま。タイの大洪水で浸水した地域では多くの日本製の排水ポンプが大きな力を発揮した。一方、タイの洪水で被害を受けた日本企業に損害保険大手の3つのグループが支払う保険金の総額は、4000億円を超え、東日本大震災などに次ぐ3番目の規模となる見通しであることが分かった。三井住友海上あいおいニッセイ同和で作るグループ・MS&ADが2360億円。東京海上ホールディングスが、1100億円。損保ジャパン日本興亜で作るグループ・NKSJが1000億円となった。(NHK)。

 

●注目点

「会社更生法の適用を申請・大手半導体メーカー・エルピーダメモリ」

大手半導体メーカー・エルピーダメモリが経営破綻した。エルピーダメモリは、DRAM(記憶用半導体)を製造する国内唯一のメーカーだが、歴史的な円高や韓国との熾烈な争いなどを受け破綻、東京地裁に会社更生法の適用を申請した。負債総額は4480億円と、製造業としては過去最大規模。債権者向け説明会には約800人が出席し、エルピーダメモリ・坂本社長は「円高に加えてDRAMの価格下落や、タイの洪水の影響で業績が急速に悪化した」と破綻の経緯を説明し陳謝した。今後は経営再建に向け、支援企業の選定を進める方針で、日本企業に支援を求めるのか、外資系メーカーの傘下に入るのかが焦点となる。エルピーダが陥った構図は日本の産業界全体の構図に当てはまる。かつて世界を席巻していた日本のテレビや液晶パネルもいまや汎用品になり、人口減少が進む中、主戦場は安い製品が中心の新興国に移っている。コスト競争では韓国や中国メーカーに差をつけられ、ソニーなど各社は巨額赤字に陥る見通し。電機だけでなく自動車も技術力をつけてきた韓国や中国のメーカーの追い上げに遭い、厳しい競争を強いられている。時代の変化や客のニーズに合わせて、新製品・新サービスに事業を転換していく以外に日本の産業界の生き残る道はない。肝心なのは企業自らが決断する事で、政府の役割は企業を助ける為に規制緩和などの環境の整備をすること。日本のものづくりが総崩れにならないよう企業経営者にはエルピーダの破綻を教訓に一刻も早く過去の栄光を断ち切る事、そして思い切ったスピード、大胆な投資で次の成長事業の道を切り開く事を改めて期待したい(NHK)。

 

●新潮流

「三菱東京UFJ銀行・日本国債急落シナリオ」

菱東京UFJ銀行が日本国債の急落を想定した。2016年にかけ潮目が来るという。日本政府の借金総額は約1千兆円あり、このうち国債を発行して投資家から借りているのは約750兆円。国債の9割超は国内で買われ、4割を銀行が持っている。特に三菱東京UFJゆうちょ銀行をのぞき、最大の約42兆円を持ち、債券市場への影響力が大きい。日本の経済成長率や経常収支、為替など30指標をチェックし、想定した。計画では貿易赤字や海外収益の目減りなどで2016年にも経常赤字になる可能性があると推計している。このため2016年に近づくと国債の信用が落ちて格付けが下がり、(返済)期間10年の長期国債の金利(年率)は今の約1%から3.5%に上がる恐れもあるとした。3.5%になると国債の利払いだけで20数兆円に。いくら消費税率を上げても借金返済のための新たな借金が膨らみ、国の財政は「破綻」へ突き進むという(TBS)。

 

 

 

 

●2月のランキング(企業別テレビ報道CM価値換算一覧全国版より)

「第1位・東武鉄道、第2位・ソニー、第3位・三井不動産」

月は「東京スカイツリーが完成」「東京スカイツリーインフォプラザの紹介」「食の大北海道展」等、東京スカイツリーオープンに向けた話題により、東武鉄道が第1位に輝いた(CM価値換算40億3657万円)。第2位は「新社長に交代・“世界のSONY”復活は?」などの報道でソニーが獲得した。第3位は「スマートシティ・進む省エネの街づくり」などで三井不動産が輝いた。第4位は「半導体3社・事業統合交渉」「ジブリと深~い関係!ナゾの研究所に潜入」などでパナソニックとなった。第5位は「ユニクロ・国籍など問わず・通年採用に」「機能性衣料・異業種も参入」でファーストリテイリング、第6位「2012年宇宙の旅・ボクらは本気で月を目指す!」「はやぶさが見せた日本の技術力・人間力」で宇宙航空研究開発機構、第7位「広がる電子書籍・図書館が貸し出しへ」で角川グループホールディングス、第8位「進化するカップ麺・驚きの誕生秘話」で日清食品ホールディングス、第9位「日本一お弁当チェーンのウラ側・本当に待たせない?厨房に潜入調査!」でプレナス、第10位「NTTドコモ・ディズニーと新スマホ開発」「4月から携帯端末向け新放送」などでNTTドコモになった。

 

テレビの窓

「世界で最も持続可能性のある企業100社に日本企業12社がランクイン」

イスで開かれた世界経済フォーラム・ダボス会議で「世界で最も持続可能性のある企業100社」のランキングが発表された。日本の企業12社(ローソン・93位、トヨタ・21位、リコー日産sysmex、IBIDEN CO.LTD、Hitachi Chemical、大和ハウス、KOMATSU、YAMAHA、三菱重工、イオン・40位)がランクインした。ランクインした去年の国別企業数は日本が19社で1位だったが、今年は英国が16社で1位となった。ところで、木村太郎は「これは社会に優しい会社のランキング。ビックリしたのは100位以内にアップル社が入っていない。社会を引っ掻き回すようなたくましい会社はこの中に入っていない。いま日本に必要なのは力強い会社。このランキングではないランキングもありなのではないか」と注文をつけた(フジ)。

 

 

JCC株式会社

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