テレビ報道に見る産業・経済月報(平成24年7月)

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テレビ報道に見る産業・経済月報
(平成24年7月)

●今月の特徴

「止まらない円高・ユーロ一時94円台・11年8ヶ月ぶり・対ドルで77円台突入・日経平均・大幅続落で

8300円台に」

今月の特徴は1.円高関連の動き、2.エネルギー関連の動き、3.震災の影響・復興の動きとなった。

 

1.【円高関連の動き】

2日、日銀が発表した短観・企業短期経済観測調査によると、欧州信用不安や厳しい円高が続いた影響から景気判断は3期連続でマイナスに留まった(NHK)。12日、日銀は追加緩和を見送り、予想の範囲内ではあったものの市場に失望感が生まれた。日銀が資産買入れ基金の内訳を変更したことは事実上「5兆円分の緩和効果」があるとみて一時円安が進んだが結局、円高の流れは変わらなかった(テレ東)。23日、東京外国為替市場では11年8ヶ月ぶりにユーロ一時94円台をつけ、対ドルで77円台をつけた。日経平均も大幅続落で一時8300円台をつけた。財務省が25日発表した今年上半期の貿易統計によると、貿易収支は2兆9158億円の赤字で、1979年以降半期ベースで過去最大の赤字額を記録した。原発事故を受けて、火力発電用の燃料となる原油などの輸入が増加した一方、欧州債務危機で円高が進み、輸出が低水準に留まったことが影響した(テレ東)。

 

①円高の影響・鉄鋼産業

円高や世界的景気減速を背景に、鉄鋼製品の価格が低迷したことが要因で経常赤字は住友金属工業

110億円、神戸製鋼所が104億円。経常利益は、新日鉄が92億円(83%減益)、JFEホールディングスが98億円(61%減益)となった(NHK)。

 

②円高の影響・自動車産業

長引く円高の影響は国内の自動車各社の生産再編を加速させた。三菱自動車はタイで生産した小型車「ミラージュ」の逆輸入を開始、トヨタ自動車は高級ブランド「レクサス」のスポーツ用多目的車(SUV)の生産を北米に一部移すと発表した。また、日産自動車は韓国のグループ工場にSUVの生産を移管を発表(フジ)。

 

③円高の影響・家電

ソニーパナソニックシャープの家電3社は、いずれも薄型テレビ事業の業績が下押ししている。薄型テレビ事業では、各社が2000年代後半に相次いで大型投資をした。パナソニックは兵庫県尼崎市にプラズマパネル、姫路市に液晶パネル工場を建設し、シャープは大阪府堺市に液晶パネル工場を建設した。パネルからテレビまで一貫して生産する垂直統合方式で、事業拡大を目指したが円高が裏目に出て、サムスン電子LG電子など韓国勢との競争もあり採算が悪化した。2012年3月期はパナソニックが7700億円、ソニーが4500億円、シャープが3700億円と過去最悪の最終赤字となった(テレ東)。 

 

④円高の影響・その他の産業

キヤノンは円高・ユーロ安の影響で今年1年間の業績予想を売上高3兆6900億円に、営業利益を

3900億円に下方修正、為替による業績への影響は売上高で755億円、営業利益で379億円になるとみている(日テレ)。円高などによる採算悪化でルネサスエレクトロニクスでは業績不振が続き、(NHK)合理化策として、3年以内をめどに山口・宇部市、山形・鶴岡工場など国内8工場を売却または閉鎖すると発表した。また、9月には5千数百人規模の早期退職者を募り、年間で約430億円のコスト削減予定。マイコン事業を強化し再建を目指すという(テレ東)。

 

2.【エネルギー関連の動き】

7月1日、再生可能エネルギーで作った電力の固定価格買取制度がスタートした。買取価格は太陽光42円/kwh、風力23~57円/kwh。制度は再生可能エネルギー普及が目的(日テレ)。コンビニ業界ではセブン-イレブンが、この秋までに、全国の店舗の半数近くの6500店舗で、太陽光発電を行うことになったほか、ローソンも、およそ2000店に太陽光パネルを設置し、発電した電力を電力会社に販売する計画を打ち出しており、自前で発電を行う動きが相次いでいる(NHK)。また、太陽光発電と縁が薄かった異業種からの参入も相次いでいるという(日テレ)。こうした中、関西電力大飯原発3号機が9日未明、フル稼働の状態に達した。首相官邸周辺では3月以降毎週金曜日、原発再稼働への抗議活動が行われている(日テレ)。関西電力・八木誠社長は25日、大飯原発に続いて、高浜原発3、4号機を優先的に再稼働させる考えを示した。これに対し枝野経済産業大臣は、安全性を優先すべきだと強い不快感を示した(フジ)。一方、政府の原子力損害賠償支援機構は31日東京電力に1兆円を出資し、実質的に国有化、機構が東電の発行する株式を引き受け議決権の過半数を保有。東電は今後政府の管理のもとで経営の合理化を進め、福島第一原発事故の賠償や廃炉、電力の安定供給に取り組む方針(日テレ)。

 

3.【震災の影響・復興の動き】

トヨタ自動車は国内生産300万台の維持を掲げ、東北に第3の拠点であるトヨタ自動車東日本を誕生させた。これは東北のグループ3社が合併したもので、2013年4月には技術者を育てる企業訓練校「トヨタ東日本学園」も開校予定。岩沼市にある自動車部品メーカーのウチダは大震災での被害総額が5億円以上だったが、去年秋に本社工場が回復し6月1日から新工場(宮城・名取市)も稼働している(テレ朝)。トヨタ自動車は去年、東日本大震災の影響による大規模な減産で3位に転落したが、年間での首位奪回に向け販売が順調に回復していることが明らかになった。今年上半期の世界販売は、前年比で34%増の497万台と過去最高となり、米国のゼネラルモーターズを抜いて、2年ぶりに世界トップに返り咲く可能性が高くなった(テレ東)。

 

●注目点

「スズキのインド工場で暴動」

ズキのインドの子会社・マルチスズキの工場で18日、従業員と上司の間で起きたトラブルをきっかけに一部の従業員が暴徒化し、インド人社員が1人死亡、日本人社員2人がけがをした。警察は従業員ら約100人を殺人未遂、放火などの疑いで逮捕した。生産設備に大きな影響は出ていないが、操業再開のメドは立っていない。インドでの自動車事業は、スズキにとってグループ全体の経常利益の約30%を占める。仮に操業停止が長期化すれば経営への打撃となるおそれがある。世界経済を引っ張る新興国として中国とともに期待されているインドだが、労使問題に加えインフレがインド経済に大きな影を落としている(NHK)。経済同友会の長谷川代表幹事は、今回の暴動について「リスクを全部避けては利益は取れない」と指摘、暴動への予防策や対応策を考えた上で、新興国への進出を続けるべきとの考えを示し、「日本企業の経営は従業員の要求にも丁寧に対応していると思う」と強調した(テレ東)。

 

●新潮流       

「日立製作所・英国・高速鉄道車両・5500億円受注」

国で進む高速鉄道計画をめぐり、日立製作所が車両の製造や保守義務などを一括受注することが決まった。総額で5500億円と大規模な契約になる。日立はロンドンオリンピックでメーン会場と市街を結ぶ高速鉄道の車両「オリンピックジャベリン」を受注した実績があり欧州へのインフラ輸出にさらなる弾みをつけた形。日立レールヨーロッパ・植田千秋会長は「欧州のプロジェクトを積極的に取り込んでいって、ここが車両の先端になるように発展させていきたい」と語り意欲を見せた(日テレ)。

 

●7月のランキング(企業別テレビ報道CM価値換算一覧全国版より)

「第1位・オリエンタルランド、第2位・セブン&アイ・ホールディングス、第3位・三井不動産

月は3D映像の新アトラクション「トイストーリーマニア」の公開、「ディズニー夏祭り」「株価・11年ぶりの高値」などの効果によりオリエンタルランドがCM価値換算30億8700万円で第1位に輝いた。第2位は「セブンイレブン・ジャパン・6500店舗で太陽光発電へ」「セブンイレブン・超小型電気自動車を使った宅配サービスを開始」などの報道でセブン&アイ・ホールディングスが獲得した。第3位は「臨海部の人気復活か」などの報道で三井不動産が輝いた。第4位は「東京スカイツリー・開業2か月で1000万人突破」などの報道で東武鉄道となった。第5位は「成田発着のLCC・ジェットスター国内線就航」などの報道でジェットスタージャパンになった。第6位は「ANA・2000億円増資・航空会社競争激しく」などの報道で全日本空輸、第7位は「大飯原発4号機が臨界」などの報道で関西電力になった。第8位は「イチロー背番号“31”で“サーティワンアイス”は大興奮!」などの報道でサーティワンアイスクリーム、第9位は「ミュージカル専用劇場国内最大オープン」などの報道で東京急行電鉄、第10位は「大人気ケーキ屋さん&京都SP」などの報道で不二家が獲得した。

 

●7月の人物ランキング

「第1位・東京電力・広瀬直己社長、第2位・野村ホールディングス・渡部賢一CEO、第3位・関西電力・八木誠社長

第一位:東京電力・広瀬直己社長64件(東電幹部謝罪・浪江町長激怒など)、第二位:野村ホールディングス・渡部賢一CEO40件(インサイダーで引責辞任など)、第三位:関西電力・八木誠社長25件(大飯原発再稼働など)、第四位:東京電力・下河辺和彦会長22件(福島第二原発を東電会長と社長が初視察など)、第五位:ジェットスタージャパン・鈴木みゆき社長21件(LCC・ジェットスタージャパンが就航など)、第六位:ソフトバンク・孫正義社長18件(新エネ参入など)、第七位:日本航空・植木義晴社長5件(JAL社長らがチラシ配りなど)、第八位:日立レールヨーロッパ・植田千秋会長4件(日立製作所・英国・高速鉄道車両・5500億円受注など)、第九位:ファーストリテイリング・柳井正会長兼社長3件(米国No.1ブランドが上陸・迎え撃つ日本勢)、第十位:スズキ・鈴木修会長兼社長2件(インド・スズキ工場暴動など)。

 

●テレビの窓

「オリンパスめぐり・争奪戦」

額な損失隠しがあったオリンパスをめぐって、大手メーカーが争奪戦。すでにソニーが内視鏡やデジタルカメラなどの提携を目指して交渉中だが、医療機器のテルモが経営統合を提案した。実現すればテルモは世界有数の医療機器メーカーとなる(テレ朝)。

JCC株式会社

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