テレビ報道に見る産業・経済月報(平成26年10月)

logo.gifテレビ情報のデータベース化、知識化、ネット情報の収集、多角的分析が現実世界を浮き彫りにします

印刷用表示 |テキストサイズ 小 |中 |大 |

JCCトップ > TV allcover free > 産業経済月報 > 産業経済月報2014-11

会社概要MAP採用プライバシーb-toiawa2.png

テレビ報道に見る産業・経済月報
(平成26年11月)

「消費増税1年半先送り」「GDP年率マイナス1.9%ショック」

 

今月の特徴は1.消費増税1年半先送り、2.GDP年率マイナス1.9%、3.エネルギー関連の動きとなった。

                                                                                                

1.消費増税1年半先送り

安倍首相は「税率を上げても税収が増えない事になっては元も子もない」として来年10月の消費税率10%の増税を見送った。理由として消費税増税の大きな判断材料とされていた7月から9月のGDPの成長率が年率で1.9%のマイナス(12/8発表改定値)で予想外に悪いものだったことを上げた。その大きな要因は個人消費の伸び悩みにあり、自動車、家電製品などに加え外食産業、レジャーもマイナスとなったことがある。さらに企業の設備投資も2期連続のマイナスだったことも追い打ちをかけた。本田内閣官房参与は「日本経済がものすごく失速している」と語り、甘利経済財政相は「(今回予想外に落ち込んだ)大きい要因は消費だった。プラスではあったが民間予測の半分だった」と話した(日テレ)。ただ1年半後の増税実施について安倍首相は、改正する消費税増税関連法案には、経済状況の好転を再増税の条件とする景気弾力条項を盛り込まず、2017年4月には「確実に引き上げる」と述べた。一方、生活必需品などの消費税率を低く抑える軽減税率について安倍首相は2017年4月の消費税率10%への引き上げと同時導入を目指すと明言。自民党・野田税調会長と公明党・北側副代表が会談し2017年4月の軽減税率導入を目指すことで合意した(TBS)。

 

2.GDP年率マイナス1.9%

内閣府が7-9月期の実質GDP・国内総生産の改定値を発表した。一年に換算した値でマイナス1.9%と先月17日速報値のマイナス1.6%より0.3ポイント下方修正した。エコノミストの多くが速報値よりも改善されるとの見方を発表したばかりでなく、財務省も改善すると自信を示していた。下方修正の要因は企業の設備投資がマイナス0.4%と速報値より0.2ポイント悪化したこと。大企業は設備投資を拡大しているが金融企業や中小企業など設備投資が弱かったことが影響(テレ朝)。 

 

3.エネルギー関連の動き

原油価格の値下がりが続く中、OPEC(石油輸出国機構)が総会を開いて原油の減産の見送りを決めた。原油価格は米国のシェールオイルの開発などで原油の供給過剰が進み、今年6月に比べ3割以上値下りしている。総会ではシェールオイルのシェア拡大を懸念するサウジアラビアなどが減産に消極的であったため見送りが決まった(TBS)。これまで燃料価格の高止まりに円安や消費増税も加わり物価高の全体を燃料価格が押し上げてきたが、OPECが減産をしないことは日本にとっては朗報で、第一生命経済研究所・永濱利廣主席エコノミストは「日本経済にプラスが9割、懸念材料が1割」と述べた(NHK)。原子力発電の動きでは、関西電力・八木誠社長が福井県にある高浜原子力発電所の1号機と2号機の運転期間を40年を超えて延長することを目指し、特別点検を行うと発表した。全国の電力会社のうち運転延長の方針を明らかにしたのは初めてで、関西電力は特別点検の結果を踏まえ原子力規制委員会に運転延長の認可を申請するか判断する(NHK)。再生可能エネルギーの動きでは、ホンダが環境対策の一環としてブラジル国内に建設していた風力発電所が完成し、今後現地での自動車生産に必要な電力をすべて風力発電でまかなうことになった。電力会社を経由して年間14万台の自動車生産に必要な電力をまかなうといい、風力発電によって二酸化炭素排出量を年間約2200トン削減できるという。自動車メーカーが生産に必要な電力をすべて風力だけでまかなうのは世界的に珍しい(NHK)。 

 

●注目点                                                        

「トヨタ自動車が世界で初となる燃料電池車を来月発売」

ヨタ自動車が世界で初となる燃料電池車「ミライ」の一般向け販売を来月から始めると発表した。価格は政府の補助制度を使うと約520万円。ホンダも燃料電池車の試作モデルを公開し、来年度中の発売を目指している。次世代エコカーの本命ともされる燃料電池車はタンクに積まれた水素と空気中から取り込んだ酸素が化学反応して発生する電気で走り走行中に排出されるのは水だけだという。しかし、例えば寒冷地で水が凍ると酸素の取り込みを邪魔して車が動かなくなるおそれがあるなどこれまで水は燃料電池車の障害であり続けてきたため市販化に22年もかかった。また、水素を入れる燃料タンクの開発も大きな課題だったが、カーボンファイバー(炭素繊維)をタンクに巻き付けて強度を確保し、軽量化、コストダウンも含めていくつもの条件を同時に満たすという難しい課題をクリアした。トヨタはラリーの会場で燃料電池車を走らせて十分な走行性能があることを示してみせた(NHK)。

 

 

●新潮流

「電機・通信会社など・医療関連分野強化の動き」

手電機メーカーや通信会社などの間では、将来的な成長を見込んで遺伝子情報の分析に技術力を活用することなどで医療関連の分野を強化する動きが広がっている。東芝東北大学と共同で遺伝子情報の解析にかかる時間を短縮し1週間程度で解析出来るシステムを開発、年内にも研究機関や病院向けに遺伝子情報解析サービスを開始し病気と遺伝子との関係などの研究に役立てたいとしている。NTTドコモは腕時計型の端末で測定した睡眠時間や運動量などのデータを基に東北大学の遺伝子解析技術を活用した共同研究を今月から始め、将来的には生活習慣病の予防などをビジネスへつなげていきたいとしている。またIT関連企業のヤフーDeNAも遺伝子検査の事業に参入。ただ、究極の個人情報といわれる遺伝子情報の管理や商業利用に慎重な意見もある(NHK)。

 

 

11月のランキング(企業別テレビ報道CM価値換算一覧全国版より)

「第1位・宇宙航空研究開発機構、第2位・ファーストリテイリング、第3位・トヨタ自動車」

11月は、JAXA(宇宙航空研究開発機構)が「はやぶさ2」の話題等で、45億5900万円で第1位に輝いた。第2位は、「世界に約1500店舗!ユニクロ潜入・知れば100倍お得!驚きの秘密公開」などの報道で、ファーストリテイリングが獲得した。第3位は、「燃料電池車・来月発売・開発の舞台裏」などの報道でトヨタ自動車となった。第4位は、「社内の人間関係を大改革!170社参加・日本初の大運動会」などの報道で三井不動産、第5位は、「コンビニvs専門店・コーヒーの次はドーナツ戦争?」などの報道でローソン、第6位は、「ドーナツ革命は起こるか・拡大“セブンカフェ戦略”」などの報道でセブン&アイ・ホールディングスになった。第7位は、「知って得する家電マル秘穴場情報を大公開!」などの報道でヨドバシカメラ、第8位は、「こだわりの店が集う尾山台」などの報道で東京急行電鉄、第9位は、「スカイツリーのおひざ元・繰り広げられる熱い戦い」などの報道で東武鉄道、第10位は「師走選挙に困った・忘年会・歳暮商戦に影」などの報道で三越伊勢丹ホールディングスとなった。

 

 

11月の人物ランキング

「第1位・日本銀行・黒田東彦総裁、第2位・朝日新聞・木村伊量社長、第3位・ソフトバンク・孫正義社長」

第1位・日本銀行・黒田東彦総裁144件(日銀総裁・円安マイナス面に言及など)、第2位・朝日新聞・木村伊量社長21件(朝日新聞社・社長が引責辞任など)、第3位・ソフトバンク・孫正義社長19件(フォーブス誌、世界で最も影響力のある人物を発表など)、第4位・ホンダ・伊東孝紳社長10件(バイクの生産・通算3億台など)、第5位・経団連・榊原定征会長9件(経団連・榊原会長が訪韓へなど)、第6位・セブン&アイホールディングス・鈴木敏文会長8件(「セブン&アイ」の集大成!?独占密着!“新型モール”誕生など)、第7位・トヨタ自動車・豊田章男社長8件(燃料電池車・来月発売・開発の舞台裏など)、第8位・星野リゾート・星野佳路代表6件(日本式サービス“主”のもてなしなど)、第9位・関西電力・八木誠社長4件(高浜原発1号機・2号機・特別点検へ)、第10位・日清オイリオグループ・今村隆郎社長4件(日清オイリオグループ社長のヴェネチアングラスなど)。

 

 

●テレビの窓

「世界最高水準の日本の無人ヘリ技術」

年活躍の場を広げる無人ヘリ。災害現場などでも活用され、広島での土砂災害でも上空から被災状況を撮影するなど、めざましい活躍が見られる。今後の無人ヘリの市場は8兆円規模との試算も出ており、災害現場や防災対策により生かされることが期待されている。産業用無人ヘリはヤマハが世界に先駆けて1987年に開発。農薬散布などに活用されてきた。現在では用途も広がり、福島第一原発事故後の放射線量測定や、4月に浜松市で起きた茶畑の崩落でも無人ヘリによる調査が行われた。海外ではこうした無人機は軍事目的で開発されているが、日本では産業用に特化されており世界最高水準にある。ヤマハは現在、無人ヘリを韓国やオーストラリアに輸出しておりさらなる海外進出を狙っている。一方でエンジン型の無人ヘリは極端な小型化が難しく、価格は1000万円前後と高価でオペレーションには訓練も必要になるとの欠点もある為、最近、急速に普及が進んでいるのがモーター駆動の無人ヘリ。エンジン駆動のものと違い、小型化が容易で価格も物によっては数万円とリーズナブル。屋内でも飛行が可能で一般の人でも操作できる。また米国ではアマゾン、英国ではドミノピザが宅配に活用しようと試みているなど注目が集まっている(TBS)。

 

JCC株式会社

 

LinkIcon産業経済月報・最新版

TV All Cover

テレビット

TV All Cover (有償サービス)

Net News

System

All Channel Recorder

DataBase

Science&Technology

Reseach&Analysis