テレビ報道に見る産業・経済月報(平成27年1月)

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テレビ報道に見る産業・経済月報
(平成27年1月)

「5か月連続で経常収支黒字、貿易収支4年連続赤字」

 

今月の特徴は1.5か月連続で経常収支黒字、貿易収支4年連続赤字、2.株価・円安の動き、3.スイスフランショック、4.原油安の動き、5.エネルギー関連の動きとなった。

                                                                                                

1.5か月連続で経常収支黒字、貿易収支4年連続の赤字

財務省が発表した去年11月の経常収支は、4330億円と5か月連続で黒字となった。原油価格の値下がりに伴い、原油などの輸入額が前年同月比20%以上減少し、貿易収支の赤字幅が縮小したのが大きな要因。所得収支の黒字額が、比較可能な1985年以来11月として過去最大になった(TBS)。一方、財務省が発表した2014年の貿易統計によると、輸出から輸入を差し引いた貿易収支は12兆7813億円の赤字だった。貿易赤字は4年連続で、比較可能な1979年以降最大の赤字額。円安などを背景に、液化天然ガスをはじめとする燃料の輸入額が膨らんだ。一方、10月以降は原油価格の下落などで赤字幅の縮小が続いていて、2015年は貿易収支が改善するとの見方が増えている(テレ東)。 

 

2.株価・円安の動き

日銀が金融緩和の一環として、株式の買い入れを行っている。1月に買い入れたETF・上場投資信託の総額はおよそ3400億円と単月としては過去最大。日銀は2014年10月末、追加の金融緩和に踏み切った際、年間3兆円のETFを買い入れると宣言している。それ以来買い入れ額は増加傾向で、1月は約3443億円と単月で過去最大となり、年間の買い入れ額の1割以上をわずか1ヵ月で使った計算で、多額の日銀マネーが株式市場に流れ込んでいる構図が鮮明となった。日銀は個別銘柄を買うことはできないため、TOPIX(東証株価指数)に連動したETFを買っているとみられる。買い入れのタイミングは主に日経平均が下落した日で、金額としては1月5日の374億円の買い入れが一番多くなった。こうした中央銀行による株の買い入れは世界でも極めて異例の措置で、株価を押し上げる効果を持つ一方、市場の役割をゆがめているとの批判も出ている(テレ東)。一方、為替の動きだが、ECBの量的緩和の内容の発表直後、マーケットでは為替について1円ほどユーロに対して円高が進んだが、その後急激に円安に振れるなど乱高下が続いている(テレ朝)。大和総研チーフエコノミスト・熊谷亮丸は今年の株価と為替について「年末にかけて為替は円安、120円台後半を目指していくのではないか。為替については中央銀行にスタンスの差がある。日銀はまだまだ追加の金融緩和をしていくが、米国は出口戦略で、徐々に金利を引き締めていく。米国経済が着実に回復をするので、ドル買い需要が継続していく。基本的な流れは円安で株価についていえば、2015年度の企業収益は1割くらい伸びてくる。GPIFなどといった、公的年金などが日本の株を買っていくので、大きな流れとしては2万円を目指した株高になる。波乱要因としてはヨーロッパや中東などの海外の動向」と述べた(テレ東)。 

 

3.スイスフランショック

住宅ローン金利に影響する10年物国債の利回りは19日、0.035%下がり、ついに0.2%ちょうどと史上最低を更新した。2015年は特に、日本がかつて経験したことのない超低金利状態が続いている。日本の金利を引き下げる背景となったのがスイスフランショック。スイス国立銀行が自国通貨の変動を抑えるための為替介入を事実上停止したことによりスイスフランが急騰し、世界のマーケットが混乱、投資マネーが日本国債に向かったことが影響している。このスイスのフランショックがもたらしたのは、金利の低下だけではない。スイスフランを売買するFX会社の一部では、多額の損失が出ているほか、経営破たんする会社も出てきている。英国に拠点を持つFX会社・アルパリUKは、スイスフランの急激な変動で顧客の損失を肩代わりすることができず、経営破たん。米国・FXCMは、顧客の損失約260億円を肩代わりする状態となる中、株価が暴落。その他海外の大手銀行でも、数十億円規模の損失が出る可能性があると指摘されている。日本でもSBI証券マネックスグループが、国内投資家の損失のうち、約100万円が未回収。ただ経営への影響はないという(テレ東)。

 

4.原油安の動き

大手鉄鋼メーカーの新日鉄住金は出資しているブラジルの会社が原油価格の下落の影響でシームレス鋼菅パイプ販売事業の収益が悪化するとして680億円余の損失を計上(去年4月~先月までの決算で686億円の特別損失を計上)すると発表。今年度決算最終利益見通しも1800億円に下方修正した。太田副社長は会見で、原油安の影響は来年度以降も続くとみられるとしコスト削減・他事業の収益強化を急ぐ考えを示した。一方、石油元売大手・東燃ゼネラル石油昭和シェル石油は原油価格の下落によって備蓄している石油在庫の価値が下がったことから評価損が膨らみ、いずれも年間営業損益が5年ぶりの赤字になる見通しとなったことを発表した。東燃ゼネラル石油は去年12月期の1年間の決算見通しで連結の営業損益が729億円の赤字となる見通し。石油元売会社では70日分の石油の在庫備蓄を法律で義務付けられていて原油安で石油在庫の価値下落による865億円の評価損を計上した。昭和シェル石油も石油在庫の評価損が発生し520億円を計上したため去年12月期の1年間の決算見通しで連結営業損益が180億円の赤字に転じる見通し(NHK)。

 

5.エネルギー関連の動き

15年後、日本をどのようなエネルギーで支えるのか、電源の組み合わせ方を定めるエネルギーミックスの策定に向けて議論される経済産業省の有識者会議が始まった。原発利用に慎重な世論が根強い中、エネルギーの安定供給や温暖化対策など様々な観点を踏まえながらどのように原発の割合を決めていくかが焦点となる。会議では安定供給・コスト・環境負荷・安全性の4つの観点から議論される。日本は国連の地球温暖化対策の会議に向け温室効果ガス削減目標を早期に求められていたため、電源組み合わせをどうするか結論が急がれている。経産省は温室効果ガス削減に向け2030年の時点で原発と水力含む再生可能エネルギーを合わせて50%程度にしたい考え(NHK)。

 

 

●注目点                                                        

「炭素繊維普及へ・カギはコストダウン」

素材として注目されている炭素繊維を樹脂で固めたものは軽いが非常に丈夫で、鉄よりも強い素材になる。鉄を炭素繊維に置き換えることによって例えば車のボディの重量を5分の1にすることが可能。炭素繊維はその特徴を生かして航空機やロケットの一部などに使用され、最近では自動車の骨格の素材としても採用されている。環境対策の面でも更なる燃費向上が求められる中、軽い炭素繊維が注目されている。導入が進んだ背景には加工のしやすさもある。鉄の巨大市場に炭素繊維がどれだけ食いこめるのか、各メーカーの開発競争が加速している。炭素繊維のデメリットはコストが高い事。高度な技術と複雑な工程が必要なため、生産コストは鉄の10倍以上する。炭素繊維メーカーサイドは車体を軽くすることで燃費向上につながると自動車メーカーに訴えている。帝人複合材料開発センター・石原敏雄所長は「近い将来、世の中全部カーボン(炭素繊維)の車になると期待している。車の組み立て方も劇的、革命的に変わることが期待されている。色々なテーマで共同開発しようという話が増えている」と話した。これまで航空機向けの素材が主力商品だった世界最大手の炭素繊維メーカー・東レも自動車分野への売り込みを強化。去年20億円をかけ、滋賀県に自動車向けの最新鋭の生産工場を建設した。自動車メーカーのニーズに適した素材の供給体制を整備しており、生産量が増えれば、コストが下がるとみている。東レ・大西盛行専務は「買収した会社はイタリア・ミラノ近郊」と述べ、欧米の炭素繊維関連企業を次々買収。環境規制が厳しいヨーロッパや経済が好調な米国の自動車メーカーに販路を拡大する布石を打っている。大西専務は「究極の目的、ゴールは量産車に炭素繊維を大量に使ってもらうことだ」と話した(NHK)。

 

 

●新潮流

「燃料電池車の特許・トヨタが無償提供」

月5日、トヨタ自動車が燃料自動車の普及に向けトヨタが持つ燃料電池に関する特許約5700件を無償で提供すると発表。今回トヨタが無償で提供するのは単独保有する特許、燃料電池車に関する特許合わせて約5680件で、これらの特許の期限は2020年までになる。燃料電池は水素と酸素を化学反応させ電気と水を出すシステムで、燃料電池車はこの電気を使ってモーターを動かす。水素は水素ステーションで補充することができる。太陽光や風力などの再生可能エネルギーによって水を分解し水素を取り出すことができれば二酸化炭素ゼロで燃料を供給できると期待されている。トヨタは燃料電池車「MIRAI」を去年12月に世界で初めて一般発売したが、ホンダは今年販売予定で、日産自動車は2017年販売予定、マツダ富士重工業三菱自動車は未定。課題は燃料電池車の開発にすべての自動車メーカーが積極的なわけではないことで、水素ステーションの整備が思うように進んでいないのが現状(TBS)。

 

 

1月のランキング(企業別テレビ報道CM価値換算一覧全国版より)

「第1位・オリエンタルランド、第2位・宇宙航空研究開発機構、第3位・トヨタ自動車」

1月は、「アナとエルサのフローズンファンタジー」と成人式等のイベントによりオリエンタルランドが36億8900万円で第1位に輝いた。第2位は、「あかつき再び金星へ」「はやぶさ2・生命の起源に迫る旅は」などの報道で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が獲得した。第3位は、「トヨタ・3年連続販売世界トップ・年間初の1000万台超え」などの報道でトヨタ自動車となった。第4位は、「変幻夢幻!TOKYOベイエリア」などの報道で日本郵船、第5位は、「三越伊勢丹が豪華バス・本格的に旅行業参入」などの報道で三越伊勢丹ホールディングス、第6位は、「東京駅100周年・限定Suica予約受付用紙を配布」などの報道で東日本旅客鉄道になった。第7位は、「負担増す宅配の現場・便利な暮らしの陰で」などの報道でSGホールディングス、第8位は、「極楽・山本復帰ライブ・一部始終」などの報道で京王電鉄、第9位は、「鉄の王国を追撃せよ!」などの報道で新日鐡住金、第10位は「錦織・所属契約更新・日清食品と10億円も」などの報道で日清食品ホールディングスとなった。

 

 

1月の人物ランキング

「第1位・経団連・榊原定征会長、第2位・日銀・黒田東彦総裁、第3位・トヨタ自動車・豊田章男社長」

第1位・経団連・榊原定征会長66件(経団連の労使交渉方針・ベアも選択肢の一つなど)、第2位・日銀・黒田東彦総裁50件(遠のく日銀2%物価目標など)、第3位・トヨタ自動車・豊田章男社長23件(トヨタ「世界ラリー選手権」・18年ぶり復帰へなど)、第4位・サントリーHD・新浪剛史社長21件(賃金引き上げ見通しはなど)、第5位・セブン&アイHD・鈴木敏文会長18件(企業トップに聞く景気・物価の見通しはなど)、第6位・大和証券グループ本社・日比野隆司社長15件(企業トップを直撃・今年の景気・給料は?など)、第7位・東京電力・広瀬直己社長15件(年度内の汚染水処理断念・東電・3月中に新たな目標など)、第8位・ローソン・玉塚元一社長13件(進化系コンビニが続々…)、第9位・ジャパネットたかた・高田明社長10件(ジャパネット高田社長・低い声で「引退します」など)、第10位・東芝・田中久雄社長9件(大手企業トップに直撃・賃上げ行方は?景気見通しは?など)。

 

 

●テレビの窓

「トップに聞く今年の日本経済」

日都内のホテルニューオータニで経団連などが主催した恒例の新年祝賀パーティーが開かれた。日本の景気は良くなるかとの質問に対しサントリーホールディングス・新浪剛史代表取締役は「デフレ脱却感を本当に感じるのは来年になってから」、トヨタ自動車・豊田章男社長は「アベノミクスを中心に日本国民全員がデフレからの脱却、未来に向けて景気回復の流れを作る年になる」、ローソン・玉塚元一社長は「2015年の中盤くらいから流れも変わるのではないかとみている」、伊藤忠商事・岡藤正広社長は「去年の1年間でエンジンをあたためて今年は一気に加速する年にしていきたい」とコメントした。実質賃金は17カ月連続マイナスという状況の中、企業トップからは今年は消費も持ち直すとの意見が多く聞かれ、取材した14人中全員が景気が良くなると回答。安倍総理がパーティでの挨拶に登場し「企業がしっかりと賃上げにも応じてくれたようだし設備投資も行って競争力も強くなった。雇用の状況もより一層改善している。もっとやって欲しい」と檄を飛ばした(日テレ)。賃上げについてセブン&アイHD・鈴木敏文会長は「過去から成果配分方法をとっている。昨年も賃上げしたし、今年も当然上げることになっていくと思う。個人消費は昨年の暮れ辺りから思ったより好調に推移している」と述べた。サントリーHD・新浪剛史社長が「賃上げは100%。継続的に上げるなら社員は消費もしていくことになる」、オリックス・宮内義彦シニアチェアマンは「有能な人を取ることが労働力も労働人口も減っているため難しくなっている。賃上げ方向に行かないといい人に来てもらえない」と語った(テレ朝)。

 

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