テレビ報道に見る産業・経済月報(平成27年12月)

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テレビ報道に見る産業・経済月報
(平成27年12月)

「政府・過去最大96兆7218億円の来年度予算案を決定」「日本銀行・金融緩和の“補完措置”を導入」

 

今月の特徴は1.政府・来年度予算案を決定、2.税制改正大綱を決定・1兆円規模の軽減税率導入、3.日銀の動向、4.エネルギーの動向となった。

                                                                                                

1.政府・来年度予算案を決定

政府は、一般会計総額が過去最大の96兆7218億円となる来年度予算案を決定した。国債の発行額を今年度より減らすが、来年度末の残高は838兆円まで膨らみ、財政状況は一段と厳しさを増す。歳出では、社会保障費、地方交付税、国債費の3経費を合わせた額が全体の約4分の3を占め、他の政策への予算配分の余地が狭まる財政の硬直化が進んでいる。日本の財政は、歳入・歳出両面で深刻な課題を抱えており、経済成長による税収増加や制度改革を含めた大胆な歳出抑制など、財政健全化へ抜本的な取り組みが急務(NHK)。

 

2.税制改正大綱を決定・1兆円規模の軽減税率導入

来年度の「税制改正大綱」を自民党と公明党が正式決定。この中で軽減税率が消費税率を10%に引き上げる再来年4月に導入される。税率を8%に据え置くとしているのは「酒類」と「外食」を除いた「生鮮食品」、さらに「加工食品」と定期購読の契約をした週2回以上発行される「新聞」。必要と見込まれる約1兆円の財源については結論を先送りした。法人税の実効税率は、現在の32.11%から平成30年度には29.74%へ、段階的に引き下げるとしている(NHK)。

 

3.日銀の動向

日銀の金融政策決定会合では、日銀は年間約80兆円ペースで資金を供給する大規模な金融緩和策を維持していくことに決定した(日テレ)。双日総研・吉崎達彦は「日銀の補完措置は黒田総裁らしくない中途半端な感じになっている」と指摘。岡三証券・愛宕伸康は「債券市場を中心にQQEの限界説などが出ており、それへの露払い的なものではないか」とコメント(テレ東)。一方、日銀が市場に供給しているお金の量を示すマネタリーベースはデフレ脱却を目指して大規模な金融緩和を続けたことで2015年の1年間で29%増えて356兆円を超え、過去最高を更新した(NHK)。

 

4.エネルギーの動向

2016年から一般家庭に向けた電力の自由化が開始される。自由化に伴い大手電力会社だけでなく、様々な民間企業が電力を家庭に直接販売することが可能になる。ローソンは先月、三菱商事と共同で家庭用電力販売の新会社を設立した。この新会社は三菱商事が84%出資、中部電力の子会社「ダイヤモンドパワー」などから電力を調達する。すかいらーくは電力の調達先を大手電力会社から割安な新会社へ切り替えるとしている(フジ)。東京ガスは2016年4月からの電力自由化で、電力の販売開始に伴い、家庭向け料金プランを発表した。ガスと電気の契約を組み合わせた場合、最大で電気代が従来より5000円安くなるプランの他、インターネット料金を組み合わせてトータルで年間2万円以上割引くプランもある(日テレ)。一方、石油元売り最大手・JXホールディングスと3位・東燃ゼネラル石油は3日、2017年4月をめどに、経営統合することで基本合意した。統合比率は今後詰めるが、JXホールディングスの株式を東燃ゼネラル株と交換する方式を取る。両社は製油所の統廃合などの経営効率化で統合5年以内に年間1000億円以上の収益改善を目標としている。またガソリンスタンドの「エネオス」、「エッソ」などについては、名称は当面継続する方針。統合により、国内ガソリン販売シェアで50%を超える巨大企業となり、規模の拡大を背景にアジアなど海外進出に意欲を見せている。

●注目点

「エコノミストが予測する来年の日本経済は…」

016年は申年。証券業界では申年=騒ぐ年と言われ、株式相場に波乱が起きるという見方もある。気鋭のエコノミストの2016年の経済予測を紹介する。みずほ証券・上野泰也チーフマーケットエコノミストは「リスクは中国、原油、米国利上げ後の資金の流れを含む新興国の動き。リスク認識が高まれば円高になり、日本の株を直撃するリスクもあり、油断ならない年」とコメント(TBS)。モルガンスタンレーMUFG証券・チーフエコノミスト・ロバートAフェルドマンは「2016年は決断の年。歳出を抑制して、麻生大臣はあまり増税しなくてもいいようにしようと言っていたが、これが国民の気持ちに合ってるかどうかは2016年の選挙で決まる。(消費は)若干伸びる。賃金も着実に上がっているし、所得も増えている。雇用も上がっているから消費は上がる」、SMBC日興証券・末澤豪謙は「来年にかけ米国利上げが続き、中国の景気減速も継続し、欧州も景気鈍化や難民問題を抱えている。日本は消費が弱く、2万3000円以上の上昇は相当改革が進まないと厳しい」、武者リサーチ・武者陵司は「2016年後半の中国経済不安の顕著化に関して要注意」、野村証券・チーフエコノミスト・木下智夫は「(リスクになり得ることは)いくつか考えているが、1つは『米国の利上げによる新興国通貨の下落リスク』、と『中国不動産投資の急減によるリスク』、『日本の消費停滞のリスク』の3つがリスクシナリオになる。最初のポイントは、米国がどのようなペースで利上げをするかということ。景気がかなり回復してきて、利上げを頻繁に行うようだと新興国通貨がかなり下がって、その結果輸出にも影響が及んでしまう。中国は北京や上海などの一線級都市ではかなり不動産投資も戻っているし、そこだけ見るといいように見えるが、実は二線級、三線級といった比較的小さな規模の都市ではまだまだ減速が続いている。そういったところがこれから出てくれば、それに関わる資源関係の日本企業にも悪影響が及び、それに伴って消費マインドを押し下げてしまうというリスクが出てくる」とコメントした(テレ東)。

 

 

●新潮流

「大規模リストラへ・東芝5500億円・最終赤字の見通し」

正な会計処理の問題を受けて東芝は家電事業全体で大規模なリストラに踏み切りこれに伴う費用がかさむことから来年3月期の1年間のグループ全体の決算は、最終損失が5500億円と過去最大の赤字になるとの見通しを発表した。事業見直しで、家電開発拠点の青梅事業所を閉鎖、インドネシアの洗濯機の工場を閉鎖するとしている。さらにパソコン事業を分社化し他社との事業再編も視野に交渉する。こうした合理化とともに半導体事業などに投資を集中し経営建て直しを急ぐ。リーマンショック以降家電メーカーは業績が落ち込み、東芝も脱家電の対応が遅れていたが、家電事業で早期退職や配置転換していく代わりに、安定的な収益があげられる半導体、電力・社会インフラなどの企業向けのビジネスで収益をあげていこうと考えている(NHK)。

 

 

12月のランキング(企業別テレビ報道CM価値換算一覧全国版より)

「第1位・宇宙航空開発機構、第2位・大成建設、第3位・東武鉄道」

年、12月のCM換算値第1位はJAXA(宇宙航空開発機構)で、96億2800万円となった。具体的には「はやぶさ2号が進路変更成功」「だいち2号の紹介」「探査機あかつきが金星回る軌道への投入成功」「日本人宇宙飛行士・油井亀美也が任務を終えて地球に帰還し会見」等の露出効果があった。第2位は「新国立競技場・隈の“A案”に決定」などの報道で大成建設になった。第3位は、「栃木・日光・テーマパークで大掃除」などの報道で、東武鉄道が獲得した。第4位は、「設備投資回復の条件は?」などの報道で、森ビル第5位は、「沖縄にディズニーリゾートを!!普天間基地問題で賛否両論」などの報道でオリエンタルランド第6位は、「横浜マンションで臨時総会・全棟建て替え“2020年夏までに”」などの報道で三井不動産になった。第7位は、「東京駅に高級ラウンジオープン」などの報道で、東日本旅客鉄道第8位は、「羽田空港・客室乗務員のハンドベル演奏」などの報道で日本航空第9位は、「ホンダジェットの納入開始」などの報道でホンダ第10位は「イオン銀行・指紋認証だけでATM利用可能に」などの報道でイオンとなった。

 

 

12月の人物ランキング

「第1位・東芝・室町正志社長、第2位・日本銀行・黒田東彦総裁、第3位・トヨタ自動車・豊田章男社長」

第1位東芝・室町正志社長48件(東芝株6年9ヵ月ぶり安値・時価総額1兆円削減など)、第2位日本銀行・黒田東彦総裁45件(大規模金融緩和・マネタリーベース過去最高356兆円超など)、第3位トヨタ自動車・豊田章男社長30件(東京五輪組織委にまた激震・豊田社長・副会長を突然辞任など)、第4位JR東日本・冨田哲郎社長16件(JR羽越線脱線事故10年・追悼式典など)、第5位ビックカメラ・宮嶋宏幸社長12件(インバウンド・消費取り込みへ新たな動きなど)、第6位JXホールディングス・木村康会長7件(JX・東燃統合・アジア進出へ意欲など)、第7位トランジットジェネラルオフィス・中村貞裕社長6件(今年大行列!アイスモンスターの仕掛け人など)、第8位ソフトバンク・宮内謙社長6件(携帯3社新プランを検討など)、第9位ニコニコのり・白羽清正社長5件(おにぎらず専用のりで5億円・ニコニコのりなど)、第10位ビースタイル・三原邦彦社長5件(ビジネスで世の中を変えろ!急成長&大感動のベンチャーなど)。

 

 

●テレビの窓

「企業トップを直撃!来年の賃上げ・投資は?」

レビ東京日経新聞日本経済研究センターが主催する年末エコノミスト懇親会が開催された。この会の冒頭、安倍首相が、アベノミクスの停滞を指摘する声を牽制。さらに賃上げを経営者に求めた。安倍首相は「来年の4月(春闘)は特に重要だ」とコメント。清水建設・宮本洋一社長は「賃上げはできるだろう。業績も上昇しているので従業員に還元していく」とコメント。しかしスズキ・鈴木俊宏社長は、「国内の軽自動車の状況があまり思わしくなく、なかなか賃上げは難しい」とコメント。鉄道やホテル、不動産事業を展開する西武ホールディングス・後藤高志社長は今後の設備投資について、「今、赤坂プリンスホテルの跡地に東京ガーデンテラスを造っているが、この投資がこれから本格化していく」とコメント。森ビル・辻慎吾社長は「2020年のオリンピックに向けて(設備投資が)相当加速するだろう」とコメントした(テレ東)。

 

 

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