テレビ報道に見る産業・経済月報(平成28年2月)

logo.gifテレビ情報のデータベース化、知識化、ネット情報の収集、多角的分析が現実世界を浮き彫りにします

印刷用表示 |テキストサイズ 小 |中 |大 |

JCCトップ > TV allcover free > 産業経済月報 > 産業経済月報2016-02

会社概要MAP採用プライバシーb-toiawa2.png

テレビ報道に見る産業・経済月報
(平成28年2月)

「実質GDPマイナス1.1%・2期ぶりマイナス成長」

 

今月の特徴は1.実質GDPマイナス1.1%、2.マイナス金利の余波、3.企業の決算、4.エネルギー関連の動きとなった。

                                                                                                

1.実質GDPマイナス1.1%

内閣府は去年10月から12月の実質GDP改定値を年率でマイナス1.1%と発表。速報値のマイナス1.4%から小幅な上方修正となった。不動産やサービス業などの設備投資や在庫調整がプラスに影響。エコノミストは「(GDP改定値は)消費低迷と景気足踏みを再確認する内容だ」としている(テレ朝3/8)。一方、ウォールストリートジャーナルは「アベノミクスが上手くいっていないことを示す最新の証拠。消費が伸びないのは2年前の消費増税が尾を引いているから。伊勢志摩サミットで各国が財政出動し世界経済を支えることができるかが焦点になる」、ニューヨークタイムズは「世界市場の振れ幅が大きいままなら、日本は本当に景気後退になるかもしれない」と伝えている(テレ東)。

 

2.マイナス金利の余波

日銀がマイナス金利を導入した。株安、円高の動きにストップをかけ、経済再生、デフレ脱却への動きを後押ししようというのが狙いで、導入直後は狙い通り株高、円安に動いた。ところが世界的な金融市場の混乱、国内でもマイナス金利の効果への疑問が広がり、あっという間に株安、円高に逆戻りした。黒田総裁は、必要であれば追加緩和に踏み切るという姿勢を示しているが、株安、円高の勢いを止められないほど、日本経済の先行きには次から次へと雲が立ちこめている。その雲の1つは世界経済への懸念。IMFは先月、今年の世界経済の予測を3.4%と下方修正した。中国の経済の低迷が長引くとの見通しで、中国に依存しているアジアなどの新興国にも影響が広がっている。また、原油や資源価格の下落でロシアや中東などの資源国も大きな打撃を受けている。追い討ちをかけるように、これまで堅調で世界経済を支えてきた米国経済への懸念が広がっている。米国の2015年10-12月期のGDPは+0.7%と減速。好調だった日本企業の業績にもブレーキがかかり始めている(NHK)。

 

3.企業の決算

上場企業の2015年4~12月期の決算が出そろった。昨年夏までの円安効果の貯金や好調な北米市場、インバウンド消費に沸く内需を原動力に連結経常利益は前年比6%の増益を確保した。この期としては4年連続の増益。ただ、資源安や中国の減速など世界的な逆風下で、企業収益にも息切れ感が強まっている。今年3月期通期の増益率は2%まで圧縮されそうだ。トヨタの2015年4-12月期決算は純利益が過去最高(テレ東)。東洋ゴム工業は去年12月期の1年間の決算で問題装置を取りかえる費用などで466億円の特別損失を計上したことを明らかにした(NHK)。日本マクドナルドHDは、2015年度決算が最終損益約347億円、上場以来最大の赤字となった。異物混入問題で客足が減少、店舗閉鎖の費用がかさんだのが要因。グループ全体の売上高は1894億円、約15%減少(前年比)(日テレ)。不正会計の問題後、家電事業の構造改革を進めている東芝は、過去最大の7100億円の最終赤字になる見通し。室町正志社長は会見で「業績予想を修正することにさせてもらった。深くお詫び申し上げる」と述べた。東芝が4日発表した去年4~12月のグループ全体の決算では営業損益2295億円の赤字に転落。パソコンやテレビの販売不振などで収益が悪化し、家電事業の構造改革にかかる費用が増加したことなどから、今年3月期の1年間の最終損失はさらに膨らみ、これまで予想していた5500億円の赤字から過去最大の7100億円に拡大する見通しになった(NHK)。

 

4.エネルギー関連の動き

再稼働した福井・高浜原発4号機が送電開始作業を開始したが、原子炉が自動停止した。関西電力は原因について変圧器を保護する機器に通常より大きな電流が流れたことが原因とみられると説明している。今月末に予定していた営業運転は4月にずれ込む可能性もある(TBS3/6)。一方で平成22年に新たに電力小売り事業に参入した、いわゆる新電力の日本ロジテック協同組合は業績悪化を理由に3月末で事業から撤退することを経済産業省に届け出た。取引先は全国の企業や自治体など1200を超え、今後大手の電力会社かほかの新電力への契約変更を迫られることになる(NHK)。

 

 

●注目点

「シャープ・鴻海・交渉期限延長」

営再建中のシャープは25日の臨時取締役会で台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の傘下に入ることを決定した。しかしその後、鴻海側はシャープから新たに受け取った重要情報を精査するため、正式な買収契約を延期すると発表した(テレ朝)。この後、鴻海はシャープの債務リスクの精査を終え、将来発生する可能性の債務は数百億円程度の見通しとした。ただ債務リスクが現実化した場合の銀行の支援について詰めの交渉が残されている。債務リスクを受けて、鴻海が金融機関から買い取るシャープの優先株1000億円から引き下げる案も出ているが、金融機関による別の支援の方法があるのか詰めていく(日テレ3/8)。

 

 

●新潮流

「新日鉄住金・日新製鋼を子会社化へ」

鋼国内大手の新日鉄住金が4位・日新製鋼を買収し、子会社化を検討することで合意したと発表した。日新製鋼への出資比率を引き上げ、来年3月をめどに子会社化する方針。両社は国際競争力向上のため規模の拡大やコスト削減が必要との考えで一致。新日鉄住金が日新製鋼を子会社化すれば、原料から鉄を作る国内の「高炉」メーカーは、新日鉄住金とJFEホールディングス神戸製鋼所の3陣営に集約されることになる(フジ)。

 

 

2月のランキング(企業別テレビ報道CM価値換算一覧全国版より)

「第1位・三井不動産、第2位・宇宙航空研究開発機構、第3位・マルハニチロ」

月のテレビ報道のCM換算値第1位には三井不動産が、42億9800万円で輝いた。具体的には「ららぽーと」関係や「東京ミッドタウン」でのイベント情報が大半であった。第2位は「中年の星・宇宙を語る!油井亀美也・生出演」などの報道で宇宙航空研究開発機構になった。第3位は、「世界一“魚”を食べるニッポン人」などの報道で、マルハニチロが獲得した。第4位は、「東京ディズニーランド新アトラクションオープン」などの報道で、オリエンタルランド、第5位は、「経営者・森ビル元社長・森稔」などの報道で森ビル、第6位は、「レアメタル・把握に新技術“自動で広範囲を”」などの報道で海洋研究開発機構になった。第7位は、「JR東が降灰対策の装置開発」などの報道で、東日本旅客鉄道、第8位は、「羽田空港で爆発物想定訓練」などの報道で東京空港事務所、第9位は、「ユニクロ・今から春まで使えるお得アイテム・益若つばさ・最旬トレンド&オトナ着回し術」などの報道でファーストリティリング、第10位は「証言記録東日本大震災・第51回・宮城県石巻市・復興の煙をあげろ!製紙工場の挑戦」などの報道で日本製紙となった。

 

 

2月の人物ランキング

「第1位・日本銀行・黒田東彦総裁、第2位・鴻海・郭台銘会長、第3位・シャープ・高橋興三社長」

第1位・日本銀行・黒田東彦総裁220件(日銀・黒田総裁・物価目標継続までマイナス金利など)、第2位・鴻海・郭台銘会長205件(シャープ買収交渉・ホンハイ「期限設けていない」など)、第3位・シャープ・高橋興三社長129件(シャープ・鴻海・交渉期限延長など)、第4位・イーエスピー・高橋美作社長33件(軽井沢事故・バス事業会社に許可取り消しなど)、第5位・アップル・ティムクックCEO18件(アップルvsFBI・個人情報かテロ捜査かなど)、第6位・日本マクドナルド・サラカサノバ社長15件(マクドナルドが過去最大の赤字など)、第7位・ソフトバンクグループ・孫正義社長13 (台湾ホンハイ会長・SB・孫社長と極秘会談など)、第8位・マックアース・一ノ本達己CEO11件(“スキーの羽生”を育てろ!スター誕生へ熱血作戦など)、第9位・ファーメンステーション・酒井里奈社長9件(無農薬米から生まれたオーガニック製品など)、第10位・ピーターパン・横手和彦社長6件(パンも人材も愛情で育つ!客もスタッフも幸せになど)。

 

 

●テレビの窓

「フィンテックが変えるお金の未来」

融サービスの新たな可能性を切り開くフィンテック。今、米国で急拡大している。きっかけはリーマンショックで経営が悪化した大手金融機関が貸し渋り、低所得者や中小企業が融資を受けにくくなったこと。これをチャンスと捉えたIT企業が新たな発想で融資などの金融サービスに乗り出した。急拡大中のフィンテックだが、その可能性を評価する米金融当局もフィンテックが銀行の経営に打撃を与え、金融システムを揺るがしかねないとして警戒している。サンフランシスコ連邦準備銀行・マークゴールド副総裁は「技術革新の中には、金融のあり方を破壊しかねないものもある。長期的にどんな影響があるのかは考えねばならない」とコメントした。いままで銀行は相手を見て融資をしていたが、フィンテックはビッグデータを分析し、人工知能で判断する。高い性能でやっているので、それなりの信頼度はあるが、もう少し時間が経たないと、どのくらいの不良債権になるのかなどは分からない。セキュリティレベルをどう上げるかも課題(NHK)。

 

 

JCC株式会社

LinkIcon産業経済月報・最新版

TV All Cover

テレビット

TV All Cover (有償サービス)

Net News

System

All Channel Recorder

DataBase

Science&Technology

Reseach&Analysis