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テレビ報道に見る産業・経済月報
(平成29年5月)

「GDP改定値・1~3月・年率+1.0%・5期連続のプラス」「経常黒字・リーマンショック前に回復」

 

今月の特徴は1.GDP関連、2.経常黒字・リーマン前に回復、3.各社決算関連、4.エネルギー関連の動きとなった。

                                                                                                

1.GDP関連

内閣府が発表した1-3月期のGDP(国内総生産)の改定値は実質で年率プラス1.0%となった(6/8テレ東)。GDPがプラスとなるのは5期連続で約11年ぶり。個人消費が、全体を押し上げた。北朝鮮情勢や米国・トランプ政権など海外で不透明感が高まるなか、景気をさらにテコ入れしデフレ脱却にどう道筋をつけていくのか、政府のかじ取りが問われる(NHK)。

 

2.経常黒字・リーマンショック前に回復

財務省が発表した2016年度の国際収支速報。経常収支は20兆1990億円(前年度比13.1%増)となり、リーマンショック前の水準を回復した。ただ、米国・トランプ政権は、対日貿易赤字を問題視しており、今後、高水準の黒字を維持できるかは不透明な状況(NHK)。

 

3. 各社決算関連

多くの企業で決算発表が行われ、中でも自動車業界と、通信業界を牽引する企業の間では対照的な会見となった。2017年3月期決算発表で、トヨタ自動車は東日本大震災の影響があった2011年以来5年ぶりの減収減益となったことを発表した。豊田社長は「何かをやめる、何かを変える決断が必要となっている」と述べた。一方、ソフトバンクグループ・孫正義社長は好調な業績を上げ、決算発表で「事業会社で純利益1兆円突破は日本ではトヨタしかなかったが、我々が2社目となった」と雄弁に語った。ソフトバンクは2017年3月期の連結決算で、国内通信事業が好調。中国通販大手・アリババの株式売却益などにより純利益が1兆4263億円で、初めて1兆円を超えたと発表した(テレ朝)。経営再建中の東芝は、2017年3月末時点で負債が資産を上回る債務超過額が5400億円となる見通しであると発表した。東芝は監査法人の承認が得られず、正式な連結決算の発表を見送っていた。巨額の債務超過に陥るのは、17年3月期の最終利益が9500億円の赤字と国内製造業としては過去最大規模になる見込みのため。2018年3月末時点でも債務超過が解消されなければ、株式が上場廃止となる(TBS)。

 

4. エネルギー関連の動き

5月17日、関西電力は福井県の高浜原発4号機を再稼働させた。3号機についても来月稼働させる。一方、福井県にある大飯原発3、4号機について原子力規制委員会は新しい規制基準に適合しているとする審査書を正式に決定した。再稼働は今年秋以降になる見通し(NHK)。ガス事業では4月から完全自由化がされたが、東京電力が7月から参入することになった。東京電力のプランに加入すると、ガス料金は東京ガスの一般料金より3%お得になるという。東京ガスは4月から割引サービスを開始しており、ガスと電力の自由化による本格的な競争が始まる(日テレ)。

 

 

●注目点

「シャープV字回復の秘策・AIoT戦略とは!?」

ャープが2019年度までの中期経営計画を発表し、反転攻勢の自信を示すように強気な数字が並んだ。シャープは鴻海精密工業の調達力を生かしたコスト削減などの効果で2016年度に3年ぶりの営業黒字化を果たし、今期は最終損益も4年ぶりの黒字となる見通し。黒字転換の先には更なる成長を見据えている。シャープの代名詞であるディスプレイでは4Kを超える高画質の8Kで市場を牽引。さらにIoTにAI(人工知能)を組み合わせたAIoTが新たな成長の柱になると強調した。2019年度までに家庭向けAIoT事業の売上高を現在の倍近い1兆円以上に伸ばす計画だ。戴正呉社長は「他社との連携が可能なら必ずやる」と述べた。事業構造の転換を進めながら高収益企業への変身を図るシャープ。鴻海流の剛腕を振るってきた戴社長の手腕が問われている(テレ東)。

 

 

●新潮流

「日本郵政が、野村不動産ホールディングスの買収を検討」

営化以来初の赤字になった日本郵政が、野村不動産ホールディングスの買収を検討していることが判明した。日本郵政は全国に2万4000を超える郵便局に加え、逓信病院などの医療施設、かんぽの宿などの宿泊施設など多数の不動産を所有。東京駅前の商業施設「KITTE」など一等地にあるものも多く、資産は2兆円を超えるともいわれている。郵便事業が苦戦する中、不動産事業で収益を上げていきたいと長門正貢社長は考えている。経済アナリスト・池田健三郎は「もともとは郵政省という役所であり不動産を有効活用し収益を上げるかということについて、ノウハウを持っている人がたくさんいるわけではない。これからは不動産会社を買収しビジネスをやってもらうということ」と分析(テレ朝)。

 

 

5月のランキング(企業別テレビ報道CM価値換算一覧全国版より)

「第1位・三井不動産、第2位・東日本旅客鉄道、第3位・三越伊勢丹ホールディングス」

月の「テレビ報道CM価値換算」では、企業業績が「過去最高益」であったことや、東京ミッドタウンでの「フラワーアワード開催」「各ららぽーとイベント」等での露出で、38億1100万円で三井不動産が第1位に輝いた。第2位は「豪華列車“四季島”乗客が教える極上おもてなし」などの報道で東日本旅客鉄道になった。第3位は、「大手百貨店4社・免税品2割増収計画」などの報道で、三越伊勢丹ホールディングスが獲得した。第4位は「続々オープン・都市型ニトリ・商品6000点!成長続けるワケ」などの報道でニトリホールディングス、第5位は「東京スカイツリー・開業5年…浅草に商機!?」などの報道で東武鉄道となった。第6位は「要注目・大手不動産を買収か・その狙いとは?日本郵政・長門正貢社長」などの報道で日本郵政、第7位は「2020年に向け新アトラクション続々・東京ディズニーリゾートの新戦略」などの報道でオリエンタルランド、第8位は「ローソン・三菱商事と連携強化へ」などの報道でローソン。第9位は、「日本初!刑務所ホテル・無印良品が参加する狙いは!?」などの報道で良品計画、第10位は「人生で大事なことは〇〇から学んだ」などの報道でくらコーポレーションとなった。

 

 

5月の人物ランキング

「第1位・ソフトバンク・孫正義社長、第2位・東芝・綱川智社長、第3位・日本銀行・黒田東彦総裁」

第1位・ソフトバンク・孫正義社長46件(ソフトバンクグループ・前副社長に349億円余り支払いへなど)、第2位・東芝・綱川智社長38件(半導体新会社の売却めぐり・東芝と米国WDがトップ会談など)、第3位・日本銀行・黒田東彦総裁27件(バーナンキ前FRB議長・2%物価目標「政府との連携を」など)、第4位・高須クリニック・高須克弥院長23件(高須院長が激怒・蓮舫代表らを提訴など)、第5位・経団連・榊原定征会長19件(経団連・榊原会長・独占インタビュー・中国は?世界経済は?など)、第6位・ソニー・平井一夫社長18件(ソニー社長・利益目標達成に自信など)、第7位・アキダイ・秋葉弘道社長15件(週末もカールショック・人気で品薄1袋15万円も…)、第8位・トヨタ自動車・豊田章男社長12件(トヨタ・5年ぶり減益・円高影響など)、第9位・シャープ・戴正呉社長11件(シャープ・東証1部復帰申請など)、第10位・井村屋グループ・浅田剛夫会長7件(“小豆”を極めるプロ集団・創業120年・老舗企業の挑戦など)。

 

 

●テレビの窓

「仮想通貨が急上昇・ビットコインまた最高値」

想通貨ビットコインの価値が1年間で5倍以上に急上昇した。格安航空会社LCCのピーチアビエーション・井上慎一CEOは「ビットコインを活用した決済システムを2017年末までに導入する」とコメント。航空券の購入や機内での利用のほか換金などができるATMを設置予定。就航している北海道などの自治体や企業と提携し、ビットコインが使える加盟店の増加を目指すという。ビットフライヤー・加納裕三社長は「4月1日に仮想通貨法が施行され本人確認の義務があり安心して使える環境が整い資金流入が増えている」とコメントした。4月にはビックカメラが取り扱いを開始するなど導入企業が増えることで信頼度も増しているという(テレ東)。

 

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