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テレビ報道に見る産業・経済月報
(平成29年9月)

「日経平均株価2万円台回復2年1ヶ月ぶりの高値」「日銀短観・4期連続で改善・10年ぶりの高い水準」

 

今月の特徴は1.日経平均株価2年ぶりの高値、2.日銀の景気判断、3.経常収支・貿易収支の動向、4.エネルギー関連の動きとなった。

                                                                                                

1.日経平均株価2年ぶりの高値

9月19日の日経平均株価は勢いよく上昇。終値は389円高の2万299.38円。2年1ヶ月ぶりの高値水準。連休中に外国為替市場で1ドル111円台まで円安ドル高が進んだことや、18日に米国ニューヨーク株式市場でダウ平均株価が5日続けて過去最高値を更新したことが好感され、ほぼ全面高の展開。特に値上がりが目立ったのは選挙関連株。来月にも衆議院選挙が実施される可能性が高まったとの報道を受けて、選挙関連の機材を扱うメーカーや世論調査を行う企業などに買い注文が集まった(テレ東)。

 

2.日銀の景気判断

日銀が発表した短観・企業短期経済観測調査によると大企業製造業の景気判断はプラス22ポイントと4期連続で改善し10年ぶりの高い水準になった。景気が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を差し引いた値は、代表的な指標とされる大企業の製造業でプラス22ポイントと、前回の調査を5ポイント上回り4期連続で改善した。これは10年ぶりの高い水準。スマートフォンや自動車向けの部品の需要が増えたことや、機械の生産が堅調だったことなどが主な要因。大企業の非製造業はプラス23ポイントで「横ばい」だった。一方、中小企業の景気判断は、製造業が前回の調査より3ポイント高いプラス10ポイント、非製造業が1ポイント高いプラス8ポイントで、いずれも5期連続で改善。一方で多くの企業が北朝鮮情勢などを理由に先行きへの警戒感を強めている。国内の懸念材料では人手不足に拍車をかける人口減少や重荷となる財政悪化など構造問題への対応が進んでいないことが挙げられている(10/2NHK)。一方、日銀は金融政策決定会合で現在の大規模な金融緩和策を維持することを決めた。「2%の物価上昇」を目標としているものの、足元は0.5%に留まっているため。新任の片岡剛士審議委員は現在の金融緩和策のもとでの“緩和効果は不十分”だとして今の政策を維持する方針に反対し、欧米の中央銀行が金融政策の正常化に向かう中、方向性の違いが鮮明となっている(TBS)。

 

3.経常収支・貿易収支の動向

財務省が発表した8月の貿易収支は1136億円の黒字で、3カ月連続となる。米国向けの自動車や香港向けの半導体などの輸出が増加したことなどが主な要因と考えられる。また、米国への輸出額は2014年12月以来の高水準となった(TBS)。一方、海外との貿易や金融取り引きなどでどれだけ稼いだかを示す今年7月の日本の経常収支は2億3200億円の黒字となった。経常収支が黒字となるのは37か月連続となる(NHK)。

 

. エネルギー関連の動き

小売りが全面自由化された都市ガスを巡り、業界の垣根を越えた取り組みが模索されている。東京電力、石油元売り最大手・JXTGエネルギー大阪ガスは、都市ガスを製造する設備を川崎市に共同で建設する。設備は3年後に稼働予定で、年間約110万トンの都市ガスを製造する計画。製造した都市ガスは、主に東京・品川にある東電の火力発電所に燃料として供給されるほか、JXTGエネルギーが首都圏の家庭向け販売も検討している。東京電力・火力発電部門・酒井大輔経営企画室長は「ガスの卸しも視野に入れていきたい。それぞれの強みを生かして安定的に事業を推進していきたい」と話した(NHK)。青森・六ケ所村に建設中の使用済み核燃料の再処理工場について、日本原燃・工藤健二社長はトラブルが相次ぎ原子力規制委員会の審査が遅れることから、来年度上期の完成は厳しいという認識を示した。再処理工場では先月、雨水流入などのトラブルが相次ぎ、年内に全設備の安全調査を行う。再処理工場は1997年に完成予定だったが、24回目の延期になりそう。国の使用済み燃料再処理機構は延期による事業費増大について「今の時点では言えない」としている(NHK)。

 

 

●注目点

「東芝・半導体を日米韓連合に売却へ」

は半導体子会社の東芝メモリを米国の投資ファンド・ベインキャピタルが主導する日米韓連合に売却する方針を決定し、近く契約を結ぶと発表。日米韓連合はベインのほか韓国の半導体メーカー・SKハイニックス、米国アップルなどで構成され、買収総額は2兆円となる見込み。陣営にはHOYAなど複数の日本企業も参加して出資し、3505億円を再出資する東芝と合わせて日本勢で議決権の過半数を握ることになる。東芝は来年3月末までに売却を完了し、2年連続の債務超過解消を実現する見通し。売却先候補として最後まで争っていた米国・ウエスタンデジタルは「東芝が起こした行動を遺憾に思う」との声明を発表するなど、対決姿勢を強める可能性がある(テレ東)

 

 

●新潮流

「ソフトバンク・孫社長・ウーバーへの出資検討」

フトバンクグループの孫正義社長は、米国の配車サービス大手・ウーバーテクノロジーズへの出資を検討していることを明らかにした。孫社長は「まだ今、ステップバイステップでこれから検討というところ。新しい時代の交通で大きな革命的な進化が起きると思っている」とコメント。米国メディアは、ソフトバンクなどによるウーバーへの出資額は最大100億ドル(約1兆1000億円)に上り、交渉は今週中にも決着の可能性があると報じている。孫社長は子会社のスプリントを通じた放送通信業界の再編についても「一歩一歩着実に進んでいる」とコメント(TBS)。

 

 

9月のランキング(企業別テレビ報道CM価値換算一覧全国版より)

「第1位・三井不動産、第2位・アップルジャパン、第3位・セブン&アイ・ホールディングス」

月のテレビ報道CM換算値の第1位は、25億7000万円で三井不動産に輝いた。具体的には次のような報道露出があった。まず「ニューヨークに最大規模の高層ビルを建設する事業に参画へ」、続いて「東京ミッドタウン特設会場での催事&移動のコンサートホールの設置」「ダイバーシティ東京プラザでの新ガンダムのお披露目」等があった。第2位は「米国ハイテク株・今後の見通しは」などの報道でアップルジャパンになった。第3位は、「セブン-イレブンが開設・コンビニ従業員向け保育施設」などの報道で、セブン&アイ・ホールディングスが獲得した。第4位は「日光鬼怒川 開運の旅」などの報道で東武鉄道、第5位は「コンビニ秋の陣・カギは健康志向」などの報道でローソンとなった。第6位は「的中率90%・民間気象予報会社ウラ側・原稿なし・台本なし…アドリブ天気予報」などの報道で、ウェザーニューズ。第7位は「ヒートテックがさらに進化」などの報道でファーストリテイリング、第8位は「丸亀製麺・米国本土に進出」などの報道でトリドールホールディングス。第9位は、「深刻化する人手不足・定年延長で対応」などの報道で、すかいらーく、第10位は「缶チューハイ・アジア開拓」などの報道でアサヒグループホールディングスとなった。

 

 

9月の人物ランキング

「第1位・アップル・ティムクックCEO、第2位・スーパーアキダイ・秋葉弘道社長、第3位・JR東日本・冨田哲郎社長」

第1位・アップル・ティムクックCEO43件(「iPhoneX」発表・驚きの新機能とは?など)、第2位・スーパーアキダイ・秋葉弘道社長19件(秋の味覚“マツタケに異変・不作の影響で価格高騰”など)、第3位・JR東日本・冨田哲郎社長15件(首都圏のJRストップ・停電で混乱・山手線など4万人に影響など)、第4位・ソフトバンク・孫正義社長14件(孫正義が作ったサイバー大学・10周年の今…在校生は2000人!?など)、第5位・マザーハウス・山口絵理子社長9件(ヒマラヤの国ネパールで・世界に誇れるブランドをなど)、第6位・ネスレ日本・高岡浩三社長兼CEO9件(日本人初の生え抜き社長・高岡浩三の覚悟と流儀など)、第7位・東芝・綱川智社長9件(半導体子会社の売却先“日米韓連合”に決定など)、第8位・ファーストリテイリング・柳井正会長8件(店で服が売れない?ユニクロ“弟分”に異変など) 、第9位・トヨタ自動車・豊田章男社長8件(トヨタ・新スポーツカーブランド発表など)、第10位・ヤマトホールディングス・山内雅喜社長7件(ヤマト・ドライバーの残業時間半減へなど)。

 

 

●テレビの窓

「アップル社が最上位モデル『iPhoneX』を発表」

ップル社が最上位モデルとなるiPhone10周年記念モデル「iPhoneX」を発表した。「iPhone X」の顔認識システムは、髪型やメークを変えても認識する。さらに読み取った顔の表情をアニメに置き換えるAnimojiという機能もついている。さらに今回、ワイヤレス充電機能が新たに搭載された。予約は10月27日からで、11月3日から発売される。価格はおよそ11万円からという強気の設定でITジャーナリスト・石川温は「正直高いのかなと思う。世界的に見ると10万円を超えるスマートフォンはあまりない」とコメントした。スマホの世界シェア(出典:IDC)を見ると、トップは韓国・サムスン電子でアップルは2位。その後ろから中国勢が猛追している(日テレ)。

 

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