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テレビ報道に見る産業・経済月報
(平成29年11月)

「GDP・16年ぶり7期連続プラス」

 

今月の特徴は1.GDP改定値・年率プラス2.5%に、2.平均株価2万3000円超え、3.貿易収支5ヶ月連続の黒字、4.エネルギー関連の動きとなった。

                                                                                                

1.GDP改定値・年率プラス2.5%に

内閣府が発表した今年7~9月までのGDP・国内総生産の改定値は、企業の設備投資が伸びた事から、年率換算した伸び率は実質でプラス2.5%となった。ただGDPの半分以上を占める個人消費はマイナス0.5%にとどまった。GDPがプラスとなるのは7期・1年9ヶ月連続で、内閣府が過去のGDPについて最新のデータを反映させ計算し直した結果、7期連続のプラス成長は現在の形で統計を算出し始めた平成6年以降初めてとなった(12/8NHK)。

 

2.平均株価2万3000円超え

9日、25年10か月ぶりに日経平均株価が2万3000円を超えた。エコノミスト・武者陵司は「はじけない好景気がずっと続くという新しい時代の予兆とみてよく、企業が儲かっていることが出発点。日本企業が好調なのは過去4年間で内部留保が100兆円も増加していることからも明らか。しかし企業は儲かった利益を投資や配当、従業員の給料にまわしていない。企業経営者にはリーマンショックのような危機のトラウマがありお金をため込んでおきたい心理が働いている。株価が上がったことによりため込んだお金を前向きに使おうという投資が始まっている」とコメントした。企業の内部留保は過去最大の400兆円を超えているが、好景気を実感できるのは来年だという(テレ朝)。

 

3.貿易収支5ヶ月連続の黒字

財務省が発表した10月の貿易統計によると、貿易収支は2854億円と5ヶ月連続の黒字となった。オーストラリア向けの自動車や中国向けの半導体製造装置の輸出増が要因となった。一方、貿易不均衡を問題視する米国への黒字額は6447億円(前年同期比+11.3%)で4ヶ月連続で増加(TBS)。

 

. エネルギー関連の動き

OPEC・石油輸出国機構とロシアなどの主要産油国の閣僚会合で、協調減産の期限を9ヶ月間延長することで合意した。在庫の削減を進め、原油価格の下支えを狙う。OPECは直前の定時総会で協調減産の再延長を確認していて、非加盟国のロシアなどが足並みをそろえた形。日本ではガソリン価格が、

11週連続で上昇しているが、原油相場の動向によってはガソリンや灯油の他、電気やガス料金などの値上げにつながる可能性がある(12/1テレ東)。一方、関西電力九州電力は、神戸製鋼所の製品データ改ざん問題を受け、大飯原発3号機、4号機と玄海原発3号機、4号機の再稼働をそれぞれ2カ月延長すると発表した。設備に神戸製鋼のアルミ板や銅管などを使用していて、再稼働するには部品の安全性確認に時間を要するとしている。関西電力は再稼働後に実施する電気料金の値下げ時期もずれ込む見通しだとしている(テレ東)。

 

 

●注目点

「三菱マテリアルもデータ改ざん・背景に何が?」

菱マテリアルは東京・千代田区で会見を行い、子会社(三菱電線工業三菱伸銅)がゴム製品や銅製品の検査データを不正に改ざんし出荷していた問題について謝罪した。三菱電線工業は今年2月に不正を把握していたにも関わらず三菱マテリアルに伝えずに、先月まで製品を出荷していた(TBS)。この問題は、主に日本の200社以上に影響するが、一部の製品では中国・米国企業にも輸出されているため、その影響が懸念される。ボーイング社は品質と安全性を最優先としているため、適切な行動を取りたいとしている。米国・ウォールストリートジャーナルは最近の神戸製鋼所のデータ改ざんや日産の無資格検査問題にも言及し、同様の不祥事が相次ぐ背景には日本企業が抱えるガバナンスの問題があると指摘している(テレ東)

 

 

●新潮流

「銀行“大変革時代”の幕開けか!?メガバンクの大幅削減計画が始動・ワンマン店舗も登場」

の低金利政策で収益が伸び悩んでいる大手銀行だが、三菱東京UFJ銀行は有人窓口約100か所を削減し、2023年度までに従業員を6000人削減すると発表、みずほ銀行も約100か所を削減し、2026年度までに従業員1万9000人削減すると発表した。大手銀行が相次いで人員削減を打ち出す中、従業員1人体制で対応する店舗(りそな銀行「つみたてプラザやえす」)が東京・八重洲に登場した。現金業務は一切扱わず、金庫もない。りそな銀行・東和浩社長は「多分日本で最小の拠点になるだろう」と話している。今後、このような銀行のワンマン店舗が増えてくる可能性もある(テレ朝)。銀行の今後について第一生命経済研究所首席エコノミスト・永濱利廣は「無人化、機械化はますます進んでいくが、一方でシルバー窓口のような専用スペースができてくるかもしれない」と話した(フジ)。

 

 

11月のランキング(企業別テレビ報道CM価値換算一覧全国版より)

「第1位・三井不動産、第2位・トヨタ自動車、第3位・ソフトバンク」

11月度のテレビ報道CM換算値では三井不動産が、34億600万円余りで第1位に輝いた。具体的には三井不動産系の「ららぽーと」の紹介や「ダイバーシティ東京プラザ」のアトラクションの紹介、加えて「東京ミッドタウン」のイルミネーションの点灯式などの露出があった。第2位は「トヨタ自動車・With KIROBO mini全国発売記念イベント」などの報道で、トヨタ自動車になった。第3位は、「ソフトバンク・ロボット事業を強化」などの報道で、ソフトバンクが獲得した。第4位は「LINE使って座席譲る実証実験」などの報道で、LINE、第5位は「あべのハルカス・来場者1日約11万人」などの報道で近鉄グループホールディングスとなった。第6位は「密着!新ロボット開発・日本企業に勝機あり!?」などの報道でソニー、第7位は「三越伊勢丹・退職金5000万円プラス」などの報道で三越伊勢丹ホールディングス、第8位は「高級魚が驚きの安さ!“グルメ系回転寿司”」などの報道でスシローグローバルホールディングス。第9位は、「東武鉄道で英語対応サービス」などの報道で、東武鉄道、第10位は「コンビニ業界が熱い!・低糖質商品・実食」などの報道でローソンとなった。

 

 

11月の人物ランキング

「第1位・経団連・榊原定征会長、第2位・日本銀行・黒田東彦総裁、第3位・ソフトバンク・孫正義社長」

第1位・経団連・榊原定征会長52件(経団連会長が異例の謝罪・出身企業・東レがデータ改ざんなど)、第2位・日本銀行・黒田東彦総裁33件(日銀総裁「緩和継続」を強調など)、第3位・ソフトバンク・孫正義社長26件(ソフトバンク・米国・ウーバーに出資で合意など)、第4位・日産自動車・西川廣人社長22件(日産・無資格検査の報告書を提出など)、第5位・ソニー・平井一夫社長20件(密着!新ロボット開発・日本企業に勝機あり!?など)、第6位・ファーマーズフォレスト・松本謙社長14件(沖縄&栃木連合が誕生!?地域連携が地方を救うなど)、第7位・神戸製鋼・川崎博也社長13件(神戸製鋼・検査データ改ざん・過去の複数の役員も認識など)、第8位・東レ・日覺昭廣社長13件(1年公表せず・東レ子会社データ改ざんなど) 、第9位・三菱マテリアル・竹内章社長11件(子会社のデータ改ざん問題・三菱マテリアル社長が謝罪など)、第10位・スバル・吉永泰之社長7件(スバル“無資格検査”受け営業利益を下方修正など)。

 

 

●テレビの窓

「観光盛り上がる沖縄・高級リゾート開発が始動」

市開発などを手掛ける森トラストは、米国のホテルチェーン大手・ヒルトンの関連企業であるヒルトングランドバケーションズと提携し、沖縄に新たな宿泊施設を作ると発表した。目指すのは滞在型リゾートで、会員になると毎年1週間単位でホテルの滞在権を購入できる仕組みになっている。管理の手間がない別荘代わりになるとして人気を集めており、現在、日本での会員は5万6000組にも上る。ヒルトングランドバケーションズにとって森トラストとのプロジェクトがアジア初の取り組みとなる。ヒルトングランドバケーションズ・マークワン社長は「アジアの中で圧倒的ナンバー1は沖縄。必ずこういうハイクオリティのブランドを求める客はいると思う」と話した。

 

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