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テレビ報道に見る産業・経済月報
(平成29年12月)

「日銀短観・11年ぶり高水準」

 

今月の特徴は1.日銀短観・11年ぶり高水準、2.景気の動向、3.エネルギー関連の動きとなった。

                                                                                                

1.日銀短観・11年ぶり高水準

日本銀行が15日発表した短観で大企業、製造業の景気認識は5期連続で11年ぶりの高い水準となった。好調な海外経済を背景にITや自動車関連の需要が増えた事が要因。一方、大企業の非製造業はプラス23と横ばいだった。特にサービス業では人手不足のため人件費が上がっているとの声が聞かれた。また、先行きについては今の景気がいつまで続くか分からないという慎重な見通しが多く、大企業の製造業、非製造業ともに悪化の予想となった(NHK)。

 

2.景気の動向

今年最後の取引となる大納会を迎えた東京株式市場。日経平均株価の終値は2万2764円94銭となり、今年の初めからは3500円以上も値上がりした。年末の終値としては1991年以来、26年ぶりの高い水準で今年の取引を終えた(TBS)。一方、財務省によると海外との貿易や金融取引などでどれだけ稼いだかを示す10月の日本の経常収支は2兆1764億円の黒字となった。経常収支が黒字となるのは40か月連続となる(NHK)。11月の貿易収支は、中国向けの輸出が過去最大を更新したことなどから1134億円の黒字となり、これは6カ月連続。財務省によると11月の輸出額は6兆9204億円(前年同月比16.2%の上昇)。中国向けの輸出が液晶製造装置やプラスチック原料の伸びで1兆3797億円と過去最大になったほか、米国向けの輸出も10カ月連続で前年同月を上回った(テレ朝)。

 

3.エネルギー関連の動き

12月は原子力発電関連で動きがみられた。新潟県にある東京電力柏崎刈羽原発6号機7号機について原子力規制委員会は「審査書」を正式に決定した。福島第一原発の事故以降、東京電力の原発が再稼働に向けた審査に合格するのは初めてだが、新潟県・米山知事は再稼働に慎重な立場で、実際の再稼働の時期は見通せない状況となっている(TBS)。東京電力は関西電力中部電力北陸電力と送配電事業での連携強化に向け検討をすすめている。太陽光、風力発電など天候に左右される再生可能エネルギーの利用増加の中、電力をより柔軟に融通し合う体勢を強化することや電力調達を効率化し、経費を削減する狙いがあるものとみられる。東京電力は福島第一原発の廃炉などの費用捻出のため、収益力強化を図りたい考えで送配電事業をめぐる連携の動きが今後、さらに広がることも予想される(NHK)。

 

 

●注目点

「トヨタ&パナソニックEVで提携」

イブリッド向けの電池ですでに協力関係にあったトヨタ自動車パナソニックが、電気自動車などに使う電池事業での提携を検討すると発表した。会見したトヨタ自動車・豊田章男社長は「2030年までにグループでの世界販売の半分以上を電動車にする」と明らかにし、「自動車業界は100年に一度という大変革の時代に直面している」と語った。一方、パナソニック・津賀一宏社長は「現状を守ろうとするだけでは生き残ることはできない」と述べた。車載用電池について両社は、業界ナンバー1を実現するとしていて、他の自動車メーカーへの供給も検討する(テレ東)

 

 

●新潮流

「楽天が携帯キャリア会社に参入・通販でビックカメラと提携」

と家電量販大手・ビックカメラが来年2月に新会社を設立して来年4月からネット通販事業を共同で始めることを正式に発表した。楽天の通販サイト上に共同運営サービス「楽天ビック」を設けて家電製品を販売し、自宅などへの配送や設置なども行う。全国約40店舗で買い物した場合に楽天ポイントも選べるようにする。ネット通販の拡大に伴って流通業界で存在感を増しているアマゾンに対抗しようと各社が連携する動きが広がっている(NHK)。一方、楽天は第4の携帯キャリア会社として参入する方針を発表した。いま携帯業界は、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの大手3社がシェアの8割以上を占めている。今後は独自の基地局を整備し、自前の回線でサービスを提供し、ネットショッピング、ネット銀行、旅行業サービスなどで多くの会員を抱える楽天が携帯事業への参入でさらなる利益拡大を狙っているという。佐々木部長は「価格破壊が起こる」と話した。楽天は2019年にサービスを始める予定で、回線設備などに最大6000億円を投じる見込み(日テレ)。

 

 

12月のランキング(企業別テレビ報道CM価値換算一覧全国版より)

「第1位・セブン&アイ・ホールディングス、第2位・ユニー・ファミリーマートホールディングス、第3位・三井不動産」

年12月度のテレビ報道CM換算値は、32億3800万円でセブン&アイ・ホールディングスが第1位に輝いた。具体的には「イトーヨーカ堂のおせち・記者説明・試食会&トークショー」や「セブンイレブンの自転車シェリングサービスステーションの設置」等であった。その他にも新商品等の紹介も数々あった。第2位は「ジム併設のファミマ・来年2月オープン」などの報道で、ユニー・ファミリーマートホールディングスになった。第3位は、「鹿鳴館に劇場…絶景の借景・東京ミッドタウン日比谷・来年3月開業」などの報道で三井不動産が獲得した。第4位は「福島に“ロボット実験”の一大拠点・郵便物とコンビニ商品の自動配送」などの報道で、ローソン、第5位は「H2Aロケット打ち上げ・2衛星を異なる軌道に投入・初めて成功」などの報道で宇宙航空研究開発機構となった。第6位は「楽天・ビックカメラ・ネット通販で提携へ」などの報道で楽天、第7位は「大手自動車メーカー・カーシェアリング参入・相次ぐ」などの報道でホンダ、第8位は「必見!2018年福袋の中身公開」などの報道で.フロント リテイリングとなった。第9位は、「東京ディズニー3割拡張へ、アナ雪アトラクションも…」などの報道で、オリエンタルランド、第10位は「変わる修学旅行の定番・日光の新たな魅力」などの報道で東武鉄道となった。

 

 

12月の人物ランキング

「第1位・日本銀行・黒田東彦総裁、第2位・経団連・榊原定征会長、第3位・スーパーアキダイ・秋葉弘道社長」

第1位・日本銀行・黒田東彦総裁66件(日銀・金融政策決定会合・“金利水準引き上げ検討の必要性”意見もなど)、第2位・経団連・榊原定征会長33件(安倍政権“3%の賃上げ”を要求・経済界はどう対応する!?など)、第3位・スーパーアキダイ・秋葉弘道社長17件(年の瀬・新年迎える準備おおわらわ・それぞれの思いと暮れる年など)、第4位・楽天 三木谷浩史代表取締役会長兼社長16件(携帯料金の引き下げ競争が加速かなど)、第5位・三菱マテリアル・竹内章社長12件(三菱マテリアル子会社・データ改ざん“品質軽視”など)、第6位・トヨタ自動車・豊田章男社長12件(2030年には半分を電動車両になど)、第7位・ソフトバンク・孫正義社長8件(AIの最先端企業にカメラが潜入など)、第8位・日本マクドナルドHD・サラカサノバ社長8件(マック14万人を変えた!カサノバ流「ゲンバ」改革など) 、第9位・西武ホールディングス・後藤高志社長8件(気になる“時間制限”もなし・大満足ビュッフェの秘密!など)、第10位・関西電力・岩根茂樹社長7件(大飯原発1・2号機の廃炉決定など)。

 

 

●テレビの窓

「来年はどんな年に?大納会」

東京証券取引所では大納会が開かれた。2017年の株式市場は北朝鮮問題で値を下げた時期もあったが史上初の16連騰など株高に沸いた1年でもあった。終値は2万2764円で26年ぶりの高値となった(TBS)。東京証券取引所で行われた大納会では囲碁で2度の七冠独占を果たした井山裕太棋士が招かれ、「日本経済いろいろな波があると思うが、いい方向に向かうことを願っている」と述べた(NHK)。一方、年末エコノミスト懇談会が行われ、企業関係者に米国の利上げと日本の景気の関係、賃上げの動向などについて聞いた。「3%の賃上げ」についてカルビー・松本晃会長は「やらないといけない」、オリエンタルランド・加賀見俊夫会長が「できるが3%いくかどうかは別問題」、野村ホールディングス・古賀信行会長が「3%はできるところとできないところがあるのは仕方ない」、オリックス・宮内義彦シニアチェアマンは「ちょっと難しい」、富士フイルム・古森重隆会長は「賃金を上げたいが3%はちょっとね」と述べた(テレ東)。

 

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