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テレビ報道に見る産業・経済月報
(平成30年4月)

「日銀金融政策決定会合・2%の物価目標達成時期を事実上撤廃」

 

今月の特徴は1.日銀金融政策決定会合・2%の物価目標達成時期を事実上撤廃、2.春闘の動き、3.景気の動向、4.エネルギー関連の動きとなった。

                                                                                                

1.日銀金融政策決定会合・2%の物価目標達成時期を事実上撤廃

27日、日銀は金融政策決定会合を開き、展望レポートを発表した。物価の見通しについては「概ね不変」とした上で、現状の大規模な金融緩和策の維持を決定し、これまでの「2%程度に達する時期は2019年度頃となる可能性が高い」という文言が削除された。将来に向けての出口戦略への布石という面があるのかもしれない(テレ東)。

 

2.春闘の動き

経団連は今年の春闘の第1次集計を発表し、大企業の賃上げ幅は月給ベースで2.54%となり、安倍総理が求めていた3%に届かなかったと発表した。集計によると、大手企業のベースアップと定期昇給を合わせた月給賃上げ額は8621円(前年比1466円増)となり、金額ベースでは1994年以来の高い水準となった。業種別でみると、建設業2.92%で、次いで自動車2.91%となっている。経団連は「着実に賃金引上げの勢いは続いていて、年収ベースでは3%を超える企業が多くなるのではないか」とみている(TBS)。

 

3.景気の動向

財務省が発表した2月の国際収支によると、海外とのモノやサービス・投資の取引状況を示す経常収支は2兆760億円の黒字となった。これで44カ月連続の黒字となるが、主な要因は外国人観光客が増えたことで、旅行収支が2月としては過去最高の黒字となったことがある。ただ中国で工場が休みになる春節が今年は2月中旬になり、中国への輸出が大幅に減ったため、経常収支の黒字額は前年同月比では28.7%のマイナスとなった。一方、財務省が発表した昨年度1年間の貿易統計によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は2兆4559億円で、2年連続の黒字となった。ただ原油などの値上がりで黒字額は前年度比で38.2%減少した。対米黒字が2年ぶりに増加したため、鉄鋼やアルミニウム製品の輸入制限を発動するなど貿易不均衡を問題視するトランプ政権が今後、日本に対しどのような対応を求めてくるのかが注目される(TBS)。

 

4 エネルギー関連の動き

伊藤忠商事が2013年に日本、トルコ政府が合意した原発計画から撤退する。伊藤忠は三菱重工、フランスの電力会社などと共に事業化に向け調査を進めていた最中の撤退で、伊藤忠は「渉外など商社ができる主な役割が終わった」などとしていて、原発を取り巻くリスクが直接的要因ではないことを強調しているが、トルコでの原発計画に今後、遅れが出る可能性がある。東京電力福島第一原発事故後に安全対策費が上昇し、想定より大幅に総事業費が増えることなどを考慮した可能性がある(テレ朝)。一方、産業界で電力を広域で一括して調達し、コストを引き下げる動きが出てきた。セブンイレブンジャパンは中部地方や西日本のコンビニエンスストア3000店を超える店舗で地元の大手電力などから、関西電力に切り替えるとしており、地域単位で1年ごとに調達先を見直す方針。原子力発電所の稼働で発電コストが下がる関電が従来より低い価格を提示したとみられ、大手企業の電力乗り換えの動きが広がりそうだ(テレ東)。

 

 

●注目点

「日米で新たな貿易協議・米国は貿易赤字削減圧力」

米首脳会談でトランプ大統領は「貿易不均衡を是正するために取り組んでいきたい」と語った。共同声明発表の際は安倍首相が「TPPが日米両国にとって最善」と述べたのに対し、トランプ大統領は「2国間協議が望ましい」と発言し、報道陣のカメラの前で安倍首相に通商問題での譲歩を強く迫った。米国側はアルミニウムや鉄鋼への追加関税を同盟国の中で日本だけ除外していないことについて「現時点で日本を除外する考えはない」とした(テレ朝)。会談では茂木経済再生担当大臣とライトハイザー通商代表による新たな貿易協議の枠組み設置で合意し、表向きは米国側が求めるFTAの交渉入りは何とか乗り切った格好となった(TBS)

 

 

●新潮流

「北京モーターショー・新エネルギー車続々登場」

国で北京モーターショーが開かれた。存在が際立ったのは中国国内のメーカーによる斬新なデザインのEVカーだった。中国政府の後押しを受け、国内メーカーが急成長し、中国産のEVカーは世界トップクラスの性能を誇っている。中国は大気汚染が深刻化しており、その対策として中国政府は来年から自動車メーカーに対し、一定の割合でEVなど「新エネルギー車」の生産を義務づけている(NHK)。日産は初めて中国で量産する新型EV「シルフィゼロエミッション」を発表した。1回の充電で338キロ走行可能で、今年後半に中国で発売する予定。またホンダは中国市場向けに開発している電気自動車「理念EV CONCEPT」の試作車を披露し、現地ブランド「理念」のモデルとして年内に発売する。トヨタは「カローラ」と「レビン」のプラグインハイブリッド車を初公開した。トヨタは2020年までに10の電動車を中国に投入する。中国では来年から一定割合以上の新エネルギー車の生産・販売を義務づけるため、世界のメーカーは中国を電気自動車の主戦場と位置づけ、相次いで新車を発売する計画だ(テレ東)。

 

 

4月のランキング(企業別テレビ報道CM価値換算一覧全国版より)

「第1位・オリエンタルランド、第2位・ローソン、第3位・三井不動産」

月度のテレビ報道CM価値換算値で第1位に輝いたのは、39億9100万円でオリエンタルランドとなった。具体的な露出内容は「東京ディズニーランド開園35周年イベント」と「ディズニーリゾートの拡張を検討しているとしてミッキーマウスとミニーマウスが都庁を訪問」したこと等であった。第2位は「ローソンが画期的新サービス・レジに並ばずスマホで支払い」などの報道で、ローソンになった。第3位は、「東京ミッドタウン日比谷・芸術の街・日比谷の魅力を世界へ!」などの報道で、三井不動産が獲得した。第4位は「セブン-イレブン・災害時の物流・SNS情報活用」などの報道で、セブン&アイ・ホールディングス、第5位は「楽天とビックが新通販サイト」などの報道でビックカメラとなった。第6位は「GW・予約殺到!復活した日光SL」などの報道で東武鉄道、第7位は「楽天・社債2000億円発行」などの報道で楽天、第8位は「モスバーガーのPVを作る」などの報道でモスフードサービス。第9位は、「ANAホールディングス・営業益最高」などの報道でANAホールディングス、第10位は「スーパー・デパート・子育て世代へのサービス強化」などの報道で高島屋となった。

 

 

4月の人物ランキング

「第1位・日本銀行・黒田東彦総裁、第2位・フェイスブック・マークザッカーバーグCEO、第3位・ソフトバンク・孫正義社長」

第1位・日本銀行・黒田東彦総裁62件(日銀2%達成時期・削除・狙いは?なぜ今?など)、第2位・フェイスブック・マークザッカーバーグCEO51件(米国フェイスブック決算・過去最高益を更新など)、第3位・ソフトバンク・孫正義社長26件(米国通信“2強”に対抗・スプリントとTモバイルUSが合併へなど)、第4位・スタートトゥデイ・前澤友作社長20件(剛力彩芽・初ロマンス・相手は通販サイト運営社長など)、第5位・楽天・三木谷浩史社長13件(楽天の携帯参入を認定など)、第6位・スペースX・イーロンマスクCEO10件(テスラ・マスクCEOの対応に疑問など)、第7位・アマゾンドットコム・ジェフベゾスCEO9件(Amazon・増収増益など)、第8位・鈴廣かまぼこ・鈴木博晶社長8件(伝説の職人技×最新技術・小田原名産極上かまぼこなど)、第9位・ローソン・竹増貞信社長8件(レジ通らず・・・ローソンでスマホ決済など)、第10位・メガネスーパー・星崎尚彦社長6件(目の悩みを徹底解決!感動の出張サービス戦略など)。

 

 

●テレビの窓

「レジ通さずスマホ決済・ローソンが東京都内で試験導入」

ンビニ大手・ローソンが、23日から東京都内の3店舗でスマートフォンを使うことでレジを通らずに自分で決済ができるサービス「ローソンスマホペイ」を試験導入した。商品のバーコードをスマホカメラで読み取り、ネット上で決済する仕組みになっている。支払方法はクレジットカード、楽天ペイ、アップルペイから選択できる。店を出る時には出口に設置している専用端末に決済済みの画面をあてるだけで商品を持ち帰ることができる。また購入履歴から何を買ったかを確認することもできる。ローソンはこのサービスを導入することで日中のレジの混雑解消のほか、深夜帯のレジを無人化し、人手不足解消を図りたいとしている(日テレ)。

 

 

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