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テレビ報道に見る産業・経済月報
(平成30年5月)

「GDP・2年3ヶ月ぶりマイナス」「経常収支・リーマンショック後最大の黒字」

 

 

今月の特徴は1.GDP・2年3ヶ月ぶりマイナス、2.各社の決算、3.景気の動向、4.エネルギー関連の動きとなった。

 

1.GDP・2年3ヶ月ぶりマイナス

内閣府の発表によると今年1月から3月までのGDP(国内総生産)の改定値は年率に換算した実質の伸び率が-0.6%となった。2年3か月ぶりのマイナスとなった(6/8NHK)。

 

2.各社の決算

5月11日は上場企業の決算集中日となり、上場企業の今年、3月期の決算は前の年度を25%も上回り、最終利益は過去最高となった。好調な日本経済にとって不安材料の一つは「為替」で、SUBARU・吉永泰之社長は「為替の影響を受けているのは事実」と語り、トヨタ自動車・白柳正義専務は「(今年度の予想は)前提為替レートの変動の影響で2300億円の減益だった」と述べた。自動車メーカー各社は、今年度は円高が進むとして、減益を予想している。昨年度は売り上げ、利益とも過去最高となった大手自動車部品メーカー・ケービンも、今年度は減収減益を見込んでいる。ケービン・横田千年社長は「円が110円で安定していたものが、ここにきていろいろな動きをするので不透明になっている」と述べた(NHK)。一方、経営再建中の東芝は4年ぶりに最終黒字を確保した。今年3月期の連結決算で最終損益は8040億円の黒字。過去最高益を更新し、債務超過も解消した。米国原発事業の債券売却益などが一時的な利益を押し上げた形(TBS)。一方、最大の懸案となっていた半導体子会社・東芝メモリの売却について、東芝は独占禁止法の審査をしていた中国当局から売却を承認する通知があったと発表した。今回の承認を受け、東芝は6月1日に東芝メモリを売却する予定で、売却益は9700億円に上り、財務状況が改善されることになる(フジ)。

 

3.景気の動向

2017年度の経常収支は21兆7362億円の黒字(前年比3.4%増加)となった。2007年度以来10年ぶりの高水準で、リーマンショック後では最大の黒字となる。訪日外国人の増加で旅行収支が拡大したことや、日本企業が海外から受け取る配当や、利子が増えたことが、経常黒字を大きく伸ばしている。一方4月の貿易統計で、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は6260億円の黒字(前年同月比30.9%増加)となり、2か月連続の黒字となった。貿易不均衡を問題視する米国に対する黒字額は前年同月比4.7%増え、2か月ぶりに増加した(TBS)。

 

4 エネルギー関連の動き

5月21日、米国から一隻のタンカーが到着した。このタンカーの中身は、東京ガスが輸入した米国産のLNG液化天然ガスで米国のシェールガスが元となっている。東京ガスは、日本企業としては初めて米国でLNGを調達する企業と20年の長期契約を交わした。米国のLNG価格は、米国国内でのガスの価格が基準になるために原油相場の影響を受けない。東京ガスは、米国からのLNG調達でリスクの分散と価格の安定化を図る狙いがある(テレ東)。

 

 

●注目点

「米国・自動車に追加関税・米国・トランプ大統領・最大25%を指示」

ランプ大統領が米国通商拡大法232条を適用し、鉄鋼、アルミニウムについて関税を引き上げたことは記憶に新しいが、今度は自動車に対する関税を最大25%引き上げることを検討している。トランプ大統領にとっては中間選挙へのアピールにすぎないが、日本では自動車産業が産業の柱であり、10人に1人が自動車産業で働いている。今の日本の自動車の関税は2.5%で日本にとっては大打撃となる。発動されれば、日本国内の雇用にも影響しかねない。マツダトヨタにも警戒感が広がっていて、株価も大幅に下落しており、日本を含め各国から一斉に批判の声が上がっている(TBS)

 

 

●新潮流

「日本航空がLCCに本格参入・成田からアジア・欧米へ」

本航空が格安航空会社の新会社を設立することになった。赤坂祐二社長が日本航空本社で会見し、「JALグループが長年培ってきた経験を活用し、客に安全で快適な新しいLCCモデルを提供できるように頑張りたい」と述べた。新会社は国際線の中、長距離が中心。中型機(ボーイング787-8型)を使用し、成田空港などからアジアや欧米など、中長距離の地域へ2020年の就航を目指している。日本航空は経営再建を優先するため、LCC事業への参入は国内線や近距離国際線が中心のジェットスタージャパンへの出資にとどまっていた。日本航空の本格参入で消費者には選択肢が広がりそうだ(テレ朝)。日本航空・西尾忠男経営企画本部長は「JALに乗りたいが値段が高い。そういうニーズが潜在的に多かった」と語った(日テレ)。

 

 

5月のランキング(企業別テレビ報道CM価値換算一覧全国版より)

「第1位・三井不動産、第2位・オリエンタルランド、第3位・すかいらーく」

5月度のテレビ報道CM価値換算値は三井不動産が48億6100万円で第1位に輝いた。具体的には「東京ミッドタウンでのこいのぼりコレクションの開催」や「東京ミッドタウン日比谷」の紹介、更には「ラゾーナ川崎プラザでの和田アキ子の初ライブ開催」などの露出効果が寄与した。第2位は「人生初のディズニーランドに密着!」などの報道で、オリエンタルランドになった。第3位は、「最大の武器は“仲良し”ファミレスを生んだ兄弟」などの報道で、すかいらーくが獲得した。第4位は「三越伊勢丹・最終黒字へ」などの報道で、三越伊勢丹ホールディングス。第5位は「虻ちゃん墨田区ぶらり旅・粋な商店街のデザインおせんべい」などの報道で東武鉄道となった。第6位は「セブンがシニア向け講習」などの報道でセブン&アイ・ホールディングス、第7位は「人気のワケ100円ショップ“出店続々”」などの報道でセリア、第8位は「eスポーツ関連株に資金」などの報道でセガサミーホールディングス

第9位は、「渋谷で提供開始・音声ARで街を散歩の可能性」などの報道でエイベックス、第10位は「スーパー・デパート・子育て世代へのサービス強化」などの報道でユニー・ファミリーマートホールディングスとなった。

 

5月の人物ランキング

「第1位・ジャニーズ事務所・ジャニー喜多川社長、第2位・楽天・三木谷浩史社長、第3位・日立製作所・中西宏明会長」

第1位・ジャニーズ事務所・ジャニー喜多川社長117件(山口メンバー起訴猶予に・今夜ジャニー社長コメントなど)、第2位・楽天・三木谷浩史社長40件(ヴィッセル神戸移籍・イニエスタが来日・年俸は“32億円超”など)、第3位・日立製作所・中西宏明会長21件(原発輸出・英国と最終調整・日立撤退の可能性もなど)、第4位・スルガ銀行・米山明広社長17件(スルガ銀行・行員が改ざん認識・シェアハウス投資問題など)、第5位・日本銀行・黒田東彦総裁17件(景気判断・5ヵ月連続で据え置きなど)、第6位・トヨタ自動車・豊田章男社長16件(トヨタ3月期決算・最終利益が過去最高など)、第7位・スタートトゥデイ・前澤友作社長14件(剛力彩芽交際宣言・お相手はZOZOタウン社長など)、第8位・ソフトバンク・孫正義社長10件(米国・携帯2社の合併・孫社長の手腕に注目など)、第9位・セブンイレブンジャパン・古屋一樹社長9件(セブンイレブン“最短2時間で宅配”など)、第10位・ウエルシアHD・池野隆光会長8件(コンビニより安くて便利!?話題の絶好調チェーン店など)

 

 

●テレビの窓

「メルカリ・来月マザーズ上場・時価総額は想定3000億円超」

リーマーケットアプリを展開する「メルカリ」が、6月19日に東証マザーズ市場に上場することが決まった。東京証券取引所はきのう、メルカリの新規上場を承認。想定時価総額は3000億円を超え、今年最大の上場となる見込み。メルカリは上場で集めた資金を海外で新たに展開するサービスなどに充てるとしている。メルカリ・山田進太郎会長は「これからも『いいプロダクトをつくる』ことにまい進していく」とコメントしている。経済産業省によると、メルカリなどフリマアプリの市場規模はわずか5年で約5000億円まで成長。フリマに出品する客の増加により、別の業界にも経済効果が広がっている。時計や靴などの修理店では、フリマアプリブームで修理の依頼が増加。そのほか、梱包用の段ボールの需要も増加。フリマ市場自体は中古品を扱うため、個人消費としてのGDPには含まれない。GDPでは計れない新しいお金の使い方が広がりを見せているとみられる(フジ)。

 

 

JCC株式会社