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テレビ報道に見る産業・経済月報
(平成30年6月)

「日銀・金融緩和の維持決定」「日銀短観・5年半ぶりに2期連続で悪化」

 

 

今月の特徴は1.日銀の動き、2.株主総会の動き、3.景気の動向、4.エネルギー関連の動きとなった。

                                                                                                

1.日銀の動き

米国やヨーロッパが金融政策の正常化に向けた動きを発表した一方で、日銀は金融政策決定会合を開き、現状の金融緩和策を維持することを決めた。目標とする物価上昇率2%の達成に、いまだに目処はつかないが、目標とする2%の物価上昇率達成に向け強気の姿勢の黒田総裁は、異次元の金融緩和策を続ける方針。しかし、4月の消費者物価指数はプラス0.7%となり前月から伸びが縮小。日銀は4月の決定会合で2019年頃としていた目標達成時期を削除した。さらに日銀が行っている異次元の金融緩和策によって、銀行の収益が悪化しており、その長期化が大きな副作用となりそうだ(テレ東)。こうした中で発表された6月の日銀短観によると大企業の製造業は、前回の調査より3ポイント低いプラス21となり、5年半ぶりに2期連続で悪化した(7/2テレ朝)。

 

2.株主総会の動き

28日は上場企業の株主総会の集中日となり、上場する企業の3割、約700社が一斉に株主総会を開催した。巨額買収や経営統合などを抱える企業では経営陣が株主に対する説明に追われた。日本企業としては過去最大の約7兆円で海外の製薬会社を買収すると発表した武田薬品工業の株主総会では株主から買収に対する賛否両論があったが、買収に反対する株主らが提出した議案は否決された。一方、米国の情報機器メーカー・ゼロックスと交わした買収合意が破棄された富士フイルムホールディングスの総会では助野社長が「買収は最良の選択」と訴え、継続して買収実現を目指す考えを表明した。石油元売り大手・出光興産の株主総会では、創業家の反対で膠着状態となっていた昭和シェル石油との経営統合に向けた協議再開が報告された。経営陣は現時点で決まったものはないとしており、統合時期や方法に関する説明はなかった。改ざんを知りながら数十人の行員が融資をしていた可能性があるスルガ銀行の株主総会では怒号が飛び交い、大荒れとなった(TBS)。ところで、三井住友信託銀行みずほ信託銀行がサポートしている株主総会でスマートフォンでの議決権行使を利用できるサービスの提供が始まった。個人株主の約3分の2は議決権を行使しておらず、利便性を高める事で投票率の上昇を期待しているという(テレ東)。

 

3.景気の動向

財務省によると、日本が海外との貿易や金融取引などでどれだけ稼いだかを示す今年4月の経常収支は、1兆8451億円の黒字となった。経常収支の黒字は46ヶ月連続(NHK)。一方、5月の貿易統計によると、輸出から輸入を差し引いた貿易収支は、5783億円の赤字で、赤字は3ヶ月ぶりとなる。輸出は、自動車や半導体製造装置などが好調を維持したものの、原油価格の上昇などが影響し、輸入が大幅に伸びた。輸入額は1年前と比べ14%増の、6兆9016億円となり、5月として過去最高額となった(テレ東)。

 

4 エネルギー関連の動き

東京電力・小早川智明社長は福島第二原子力発電所を廃炉にする方向で検討することを表明し、福島県内の原発はすべて廃炉となる見通しとなった(NHK)。政府はエネルギーの基本計画について閣議決定し、再生可能エネルギー(風力、太陽光)を22~24%に据え置いた。原発は1.7%に据え置き、これを30年度に20~22%に引き上げるという。今回、基本計画にプルトニウムを減らす努力をするという一文がつけ加えられた(7/4TBS)。一方、日立製作所は英国政府と共に英国中西部・アングルシー島で原発2基の建設を計画している。5月、中西宏明会長が英国・メイ首相とロンドンで会談するなど大詰めの交渉を進めてきたが、焦点となっていた総事業費約3兆円の負担については、2兆円ほどを英国側が融資。残りの約1兆円は日本の電力会社や政府系金融機関の他、日立、英国政府と企業が3等分して投資する方向で検討している。今週、日立は最終的な投資判断に向けた協議に移ると英国政府と基本合意したが、発電した電力の買い取り価格を巡る交渉はまとまっていない。日立は、あくまでも収益性が確保できることを投資の条件として掲げている(テレ東)。

 

 

●注目点

「東芝メモリ売却完了で会見・3年後メドに上場目指す」

芝メモリ・成毛康雄社長は「新しいブランドの構築、3年程度をめどにしたIPO(新規上場)への備えを、今後ベインキャピタルと一緒にやっていきたい」と述べ、社名を変更し、新ブランドを構築し、約3年後をめどに新規上場を目指す考えを示した。東芝メモリは東芝の子会社だったが、親会社だった東芝が米国原発事業で巨額の損失を発生させたことから、今月1日米国ファンド「ベインキャピタル」を中心とした日米韓連合に約2兆円で売却された。東芝メモリは今後、ベインキャピタル主導のもと、新製品の投入を強化し、競争が過熱する半導体業界で韓国メーカーと闘っていくことになる(TBS)。

 

 

●新潮流

「OPEC原油増産・非加盟国も協調へ」

月から原油の資産量を増やすことで合意したOPEC・石油輸出国機構は、原油価格のさらなる上昇を確実に防ごうと、23日、ロシアなど非加盟国と会合を開き、協調して原油の増産を進めていくことで一致した。OPEC最大の産油国サウジアラビア・ファリハエネルギー産業鉱物資源相は、生産能力に余裕のあるロシアやサウジアラビアなどが供給を増やすことで価格を安定させることは可能だと強調した。石油連盟・月岡隆会長は、「今回の決定は石油需給の安定に向けて主要産油国が結束したものと考える。地政学的なリスクが残る中、当面原油価格は現在の水準近くで推移すると思われる」というコメントを出した(NHK)

 

 

6月のランキング(企業別テレビ報道CM価値換算一覧全国版より)

「第1位・三井不動産、第2位・すかいらーく、第3位・宇宙航空研究開発機構」

6月期のテレビ報道CM価値換算値では三井不動産が45億5900万円で第1位に輝いた。主なものとしてはダイバーシティ東京プラザ「都会の庭園・バーベキュー広場」や「三井アウトレット木更津」の紹介、更には「東京ミッドタウン日比谷」の紹介等での露出効果が貢献した。第2位は「外食レジェンドが再び登場・繁盛店を作る裏側に密着!」などの報道で、すかいらーくになった。第3位は、「探査へ・はやぶさ2・リュウグウ到着」などの報道で、宇宙航空研究開発機構が獲得した。第4位は「東京ディズニーシーに新エリア」などの報道で、オリエンタルランド。第5位は「トヨタ最新車に標準装備・コネクテッドカー本格展開」などの報道でトヨタ自動車となった。第6位は「百貨店・化粧品フロアの女たち」などの報道でJ.フロントリテイリング、第7位は「井ノ原快彦×大人気回転寿司!特捜9メンバーも続々参戦SP!」などの報道でスシローグローバルホールディングス、第8位は「民泊スタート・コンビニで鍵受け渡し」などの報道でセブン&アイ・ホールディングス。第9位は、「鉄道11社が取り組み・相互に人材受け入れ」などの報道で東武鉄道、第10位は「ユニーファミリーマートHD・高柳社長・コンビニの未来は?」などの報道でユニー・ファミリーマートホールディングスとなった。

 

 

6月の人物ランキング

「第1位・日本銀行・黒田東彦総裁、第2位・東京電力・小早川智明社長、第3位・SUBARU・吉永泰之社長」

第1位・日本銀行・黒田東彦総裁22件(デフレ脱却できない理由は?など)、第2位・東京電力・小早川智明社長21件(東電・福島第二・廃炉方針を説明など)、第3位・SUBARU・吉永泰之社長17件(不正発覚のSUBARU・株主総会では株主から厳しい声など)、第4位・シルバーウッド・下河原忠道社長13件(認知症と向き合う・驚きのバーチャル体験など)、第5位・トヨタ自動車・豊田章男社長9件(市民レベルで開発に挑む・日本の“空飛ぶクルマ”など)、第6位・東田ドライ・東田勇一社長8件(シミ抜き歴37年の社長は…ロッククライミング歴42年ほか)、第7位・ソフトバンクグループ・孫正義社長8件(ソフトバンクグループ・孫正義社長「戦略的な投資会社に」など)、第8位・アイリスオーヤマ・大山健太郎社長7件(客殺到!格安&便利な新勢力・これが噂の…なるほど家電など)、第9位・スルガ銀行・米山明広社長7件(怒号が飛び交う株主総会など)、第10位・神戸製鋼・山口貢社長6件(神戸製鋼所・株主総会で謝罪など)。

 

 

●テレビの窓

「億り人の極意・相場急変こそチャンス?」

り人とは、1億円以上の金融資産を持つ層のこと。彼らは相場の急変こそチャンスだととらえていることが、調査会社「マクロミル」に依頼し1000人アンケートを行った結果、判明した(日経ヴェリタス)。億り人は専門家に任せず、自分の判断で投資や銘柄を見極め、リスクを恐れない思いっきりの良さを持ち、相場が崩れるサインも見逃さないという。日々の生活は慎ましく、やりくり上手で攻守を兼ね備えている。億り人が懸念する目先のリスクとして最も多かったのが、トランプ政権の外交経済政策が世界紛争のリスクとなること、次いで米国を中心とした世界景気の失速、さらに中国景気の失速、最後に米国の利上げの動向と新興国経済の行方だった。これから買いたい銘柄として50代がメルカリソフトバンクグループ。40代がトヨタ自動車任天堂。20~30代がパナソニックトヨタ自動車。60代が武田製薬トヨタ自動車。70代が日本電産イオンとなっている(テレ東)。

 

 

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