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テレビ報道に見る産業・経済月報
(平成30年8月)

「4月から6月までのGDP改定値・年率プラス3.0%
・2期ぶりのプラス成長」

 

今月の特徴は1.GDP2期ぶりのプラス成長、2.貿易収支2ヶ月ぶりの赤字、3.日銀・異次元緩和政策を一部修正、4.エネルギー関連の動向となった。

 

1.GDP2期ぶりのプラス成長

内閣府は今日、今年4月から6月期のGDP国内総生産を年率換算で3.0%増に上方修正した。速報値の年率1.9%増からの大幅増となる。製造業の設備投資の伸び率が大きく修正されたのが原因(9/10テレ東)。伸び率がプラスになるのは2期ぶりで、日本経済の緩やかな成長が続いている事を示す結果となった。今回のGDPは日本経済が踊り場を脱し、緩やかな成長に入ったことを示す結果となったものの、激化する貿易摩擦など懸念材料も多く、景気の先行きには不透明感も増している(NHK)。

 

2.貿易収支2カ月ぶりに赤字

財務省が発表した7月の貿易統計によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は2312億円の赤字となった。赤字は2カ月ぶりとなる。輸入は原油や医薬品などが押し上げ、1年前に比べ14.6%増の6兆9786億円となった。輸出は3.9%増で6兆7474億円。中でも米国向けの輸出は5.2%減となり、自動車や半導体製造装置、鉄鋼などは2桁の減少となった。財務省は、トランプ政権が輸入制限に踏み切った鉄鋼については、「輸入制限の影響とは一概に言えない」としている(テレ東)。

 

3.日銀・異次元緩和政策を一部修正

日本銀行は金融政策決定会合で一定程度の長期金利の上昇を容認するなど、今の金融政策を一部修正することを決めた。黒田東彦総裁は「長期金利の変動幅については、イールドカーブコントロール導入後の金利変動幅おおむねプラスマイナス0.1%の幅から、上下その倍程度に変動しうることを念頭に置く」と述べ、現在0%程度に誘導している長期金利の目標について、0.2%程度まで上昇を容認するとしている。これは金融緩和の長期化で地方銀行などを中心に、金融機関の経営が圧迫される副作用が大きくなっているためで、その副作用を和らげる狙いがある。日銀は2%の物価目標に向け5年前から大規模緩和を続けてきたが、物価は思うように上がらず長期化が避けられないことから、金融政策の一部修正に追い込まれた形(TBS)。

 

4.エネルギー関連の動向

関西地方を襲った台風20号で、兵庫県淡路市の高さ60メートルの風車が倒壊した。土木学会では2007年に風力発電の風車の基礎部分の設計を強化するように指針を出していたが、今回倒壊した風車は2002年設計のもので、指針に沿った改修などが行われなかったものとみられる(フジ)。欧州では洋上風力発電の大規模化により、風力発電が主力電源にまで成長しているが、海底に杭を打って固定する着床式が主流となっているが、日本では沖合でも海底の深いところが多く、杭を打ちづらいため、浅いところでも設備を浮かべることが可能な浮体式風力発電に注目が集まっている。土台部分がコンパクトで、浅瀬など、設置できる場所が多いのが特徴(テレ朝)。一方、ロシア国営原子力企業・ロスアトムが浮体式原子力発電所を開発した。この原発は従来のものより短期間で建設でき、簡単に移動できるものとして注目を集めている。来年から正式に運用予定で、300人ほどの乗組員が4か月交代で乗り込んで運営するという。中国も今後、20基の浮体式原子力発電所建設を計画し、2年以内に最初の建設を始める予定(テレ東)。

 

 

●新潮流

「日本の急速充電技術チャデモ・中国と共同開発で合意」

国は14億人という巨大な市場を活用し、EVによるクリーンエネルギー革命を起こしたいと考えており、EVに対し国をあげての支援を行っている。EVの課題は多いが、そのひとつが充電技術だ。大容量の電気をいかに速く充電できるかが課題となっている。これまで、EVの急速充電器の規格をめぐっては、日本の「チャデモ」、中国の「GB/T」、ヨーロッパの「コンボ」の三陣営が主導権を争っていた。中国の「GB/T」の設置数は約22万台で、台数においては世界全体の8割以上を占めている。こうした中、日中双方の業界団体が急速充電器の規格を統一し、共同開発を進めることで合意した。今回は中国が市場や資金、開発を主導し、日本は技術的アドバイスを提供していく形で2020年までの実用化を目指していく。この規格統一によって世界シェアは9割を超えることになり、世界のEV界をけん引していく形となる。EVをはじめとした、クリーンエネルギー政策は、今中国が最も力を注いでいるものの一つであり、今後EV車と自動運転技術等に世界の開発競争の焦点が当たってくることは確実であり、国家間の競争が激化してくると考えられる(BSフジ)。

 

 

●注目点

「米国・自動車に追加関税なら日本への影響は深刻?&米国自身も痛手」

本に自動車の追加関税がかけられた場合は、大変な規模になると専門家は指摘している。みずほ総研チーフエコノミスト・高田創は「日本は米国で雇用を作っている事を説明し、追加関税を行った場合には米国にも大きな打撃が及ぶことを説明する必要がある。輸入自動車の価格高騰と同時に米国内での自動車生産コストが上がってしまうため、米国のGDP比で0.4%分の国民負担が生じてしまい結局、自分達にとっても良くないという事を説明する必要がある」と指摘した。日経ビジネス編集委員・山川龍雄は「米国は脅しの材料にしているだけ。特に日本に関しては輸入関税ゼロでやっている。さらに現地生産を進めていて150万人の雇用を生み出しているので、自動車に関してはむしろ堂々としているべき。また米国から中国に一番多く輸出しているのはBMW、その次がメルセデスベンツ。この状態が続けば2社とも中国での現地生産を増やすため、米国での生産が減ってしまう。さらに中国から米国に最も輸出しているのはGM。自国の自動車メーカーを苦しめている」とコメントした(テレ東)

 

 

8月のランキング(企業別テレビ報道CM価値換算一覧全国版より)

「第1位・三井不動産、第2位・ローソン、第3位・バンダイナムコホールディングス」

月度のテレビ報道CM価値換算値ランキングでは、三井不動産が22億9600万円で第一位に輝いた。具体的には、ダイバーシティ東京プラザでのトークイベントや、「三井ホーム」を完全子会社にする等の話題に加え、東京ミッドタウン日比谷でのイベント等が取り上げられた。第2位は「金農パンケーキ・異例の再販売」などの報道で、ローソン。第3位は、「ガンダム専門店が中国初上陸・ニセモノ商品にどう対応!?」などの報道で、バンダイナムコホールディングスが獲得した。第4位は「楽しさ倍増!?意外な楽しみ方・35周年ディズニー」などの報道で、オリエンタルランド。第5位は「話題の恋愛本!6万部突破・好きな人を忘れる方法とは?」などの報道でカドカワとなった。第6位は「夏を涼しく過ごせる買い物がしたい・大型家電店で最新アイテム探し・有楽町ビックカメラ」などの報道でビックカメラ、第7位は「化粧品メーカー・魚谷社長・老舗企業を変革する」などの報道で資生堂、第8位は「大阪王将の売上アップ革命社長の秘策とは?」などの報道でイートアンド。第9位は、「初公開:山手線49年ぶりの新駅 経済効果は1兆4000億円」などの報道で、東日本旅客鉄道。第10位は「独占!復活のシャープ」などの報道でシャープとなった。

 

 

8月の人物ランキング

「第1位・大塚家具・大塚久美子社長、第2位・スタートトゥデイ・前澤友作社長、第3位・スーパーアキダイ・秋葉弘道社長」

第1位・大塚家具・大塚久美子社長36件(米国ファンド・大塚家具の全株売却など)、第2位・スタートトゥデイ・前澤友作社長36件(剛力彩芽と交際中・前澤社長ネットで“ぶっちゃけ”)、第3位・スーパーアキダイ・秋葉弘道社長20件(日本各地で記録的な涼しさ・・・食卓に異変!?など)、第4位・ドンキホーテホールディングス・大原孝治社長14件(大台へ・ドンキ売上高1兆円など)、第5位・ピクシーダストテクノロジーズ・落合陽一CEO12件(「儲けのカラクリ!居抜きビジネス最前線!」など)、第6位・メルカリ・小泉文明社長兼COO11件(メルカリ・小泉文明など)、第7位・ソフトバンクグループ・孫正義会長兼社長10件(営業利益5割増過去最高に・ソフトバンクG“投資”で大幅増益など)、第8位・リクシル・瀬戸欣哉社長9件(ベンチャーから年商1兆円へ!“和製アマゾン”を作った男など)、第9位・ビズリーチ・南壮一郎社長8件(脱・銀行?地銀が人材紹介業に参入など)、第10位・浅野撚糸・浅野雅己社長8件(使うと必ず欲しくなる!“魔法のタオル”陰の仕掛け人など)。

 

 

●テレビの窓

「消えるストロー・代替技術に商機も」

境に悪影響を与えるとの理由で、ストローをはじめプラスチック製品を使わない動きが世界で加速している。スターバックス、マクドナルド、すかいらーくグループガスト、ジョナサンなど)、ヒルトングループなどが現在プラスチックストローをやめると表明している(テレ朝)。イケアも2020年までに、プラスチック製のストローなど使い捨てプラスチック製品の販売をやめることを正式に発表した。さらにイケアは使い捨てのプラスチック製品7種類について紙製に切り替える事などを検討しているという。他のプラスチック製品については2030年までに原料を自然由来、またはリサイクル素材に切り替えるとしている。プラスチックを巡っては海洋汚染が深刻化していてイケア・ヘレン社長は「企業や消費者が一丸となって責任を取る必要がある」と強調している(日テレ)。

 

 

JCC株式会社