90年代に現われた大変化
情報通信革命が90年代に入って本格的になるにつれて、上で指摘した要因も大き
く変わってきた。
- 地域情報化を推進する政策主体が、中央省庁から地方自治体に変わり、それ
だけ地域のニーズをくみ上げやすくなった。この背景には地方分権の流れがあり、そ
のもとで地域間の競争が激しくなったため、地域が情報化戦略を活性化策の主要な柱
に採用したことがある。
- 地域やコミュニティのニーズも多種多様になってきた。地域産業の再活性化
問題も、生活にかかわる環境問題も、コミュニティの高齢化問題や教育問題も、どれ
を取っても従来の縦割りの発想やアプローチでは解決できないほど複雑になってきた
。地域のすべての構成員が情報と知恵を出し、ネットワークを組んで解決を模索する
ことが必要になっているのである。
- 地域レベルで人が育ってきた。特に、コンピュータを扱える若者が地域情報
化のために積極的に関与するようになった。NPOやNGOの活動に対する一般の関心が高
まっていることも追風になっている。
- 何といってもインターネットのように分散型で双方向性を持つ情報ネットワ
ークシステムが普及してきたことが大きい。これが多様で規模の小さい地域やコミュ
ニティのニーズによりマッチし、地域による情報発信を可能にした。これこそまさに
地域にとって革命的な変化といえよう。
- 情報インフラの整備も進み、通信コストもかなり下がってきたため、地方の
ハンデがそれだけ小さくなり、地域が情報化を進める上での障害が少なくなってきた。
しかし、このような変化にもかかわらず、地域情報化の進展具合はこれまでのとこ
ろあまり芳ばしくない。まだ以上のような要因の変化が、全国レベルで地域情報化の
うねりを生み出すほどの力をもってきていないようにみえる。
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