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テレビ報道に見る産業・経済月報
(令和5年1月)

「日銀・大規模金融緩和を継続・長期金利上限0.5%は維持」

今月の特徴は、1.日銀・大規模金融緩和を継続、2.賃上げの動き、3.新型コロナ5類に、4.エネルギーの動向となった。

 

1.日銀・大規模金融緩和を継続

日本銀行は金融政策決定会合を開き、現在の大規模な金融緩和策の維持を決めた。前回の会合では長期金利の変動幅の上限を引き上げ事実上の利上げに踏み切っていたが、今回は変更しなかった。20日に発表された全国の消費者物価指数は前の年より4%上昇。政府、日銀が目標としていた2%を大きく超えているが、安定した賃金の上昇は実現していない。黒田総裁は4月8日に総裁としての任期を迎えるが、異次元の金融緩和からの脱却という課題は後任の総裁に引き継がれることになる(TBS)。

 

2.賃上げの動き

物価高騰で賃上げの機運が高まる中、春闘がスタートした。岸田文雄総理は賃上げに向けて「日本型職務給」への移行を目指すと明らかにした。24日、関係閣僚に賃上げの取り組み強化を指示した岸田総理。経団連連合の「労使トップ」が会談し事実上の春闘がスタート。両者は賃上げに取り組むことで一致した。一方で中小企業の経営者からは「賃上げは厳しい」との声も出ている(テレ朝)。今年の賃上げを表明した企業はサントリーHDが約6%、日本生命が約7%、アサヒビールは約5%、ファーストリテイリングは数%~約40%。町工場の男性社員は「中小零細には『どこの世界の話?』って感じです」とコメント。町工場の男性社長は「大手が発注価格を上げその波及を待つしかない」と話している(TBS)。

 

3.新型コロナ5類に

政府は5月8日から新型コロナウイルスの感染症法の位置付けを2類から季節性インフルエンザと同じ5類に引き下げると決定。大声を伴うイベント収容人数の規制が27日に即日撤廃された。満席でも大声で応援が可能になった。プロ野球やJリーグでも満席での声出し応援を実施する方向で動きがある(テレ朝)。JTBがアンケートなどをもとにまとめた今年の旅行需要によると、1泊以上の国内旅行に出かける人は延べ2億6600万人と去年より8.6%増え、コロナ禍前の2019年の91.2%まで回復すると見込んでいる。旅行需要の喚起策・全国旅行支援の効果もあるとみている。一方、海外旅行に出かける人は840万人と去年の3倍近くまで増えるものの2019年の40%程度にとどまるとしている(NHK)。

 

4.エネルギーの動向

燃料費の高騰を受けて東京電力ホールディングス・小早川智明社長は家庭向けの電気料金のうち規制料金と呼ばれる料金プランについて平均でおよそ3割の値上げの申請を経済産業省に行ったと発表した。火力発電に使う天然ガスや石炭などの価格が高騰していることが主な理由で、平均の値上げ幅は29.31%。ことし6月の値上げを目指すとしている。値上げの申請にあたっては運転計画に新潟県にある柏崎刈羽原子力発電所の再稼働を織り込んでいる。7号機はことし10月、6号機は2年後の2025年4月の再稼働を想定していて、これにより値上げの幅を圧縮させたとしている。値上げが認められれば東日本大震災後の2012年以来、およそ11年ぶりとなる(NHK)。

 

 

●新潮流

「日産・ルノー合意に向けた案で“インド・中南米など事業強化”」

産自動車ルノーが資本関係を対等な立場に見直すための交渉で、新たな協業としてインドや中南米などで事業を強化する検討を進めていることが分かった。両社は詰めの協議を続け、合意を目指している。日産は、両社の資本提携で、それぞれが持ち合う株式の比率が、日産の15%に対して、ルノーが43%となっていることから、これを対等な立場の15%に引き下げることを求めている。両社はこれまでの協議で、ルノーの出資比率の引き下げにあたって、株式を別会社に信託して段階的に売却し、議決権の比率もそろえることや、資本関係の見直しに合わせてルノー側が求めていた、EVの新会社に対する日産の出資について、最大で15%とすることで大枠で合意している。合意に向けた案では新たな協業として「リロードプロジェクト」という名称で5つの項目の計画が盛り込まれたという。両社は詰めの協議を続け、合意を目指している。合意に達すれば、日産の経営危機をきっかけに20年余りにわたって続いてきたルノーに有利な資本関係が抜本的に見直されることになり、両社の関係は、新たな段階を迎える(NHK)。

 

 

●注目点

「日本経済2023・経営トップの本音」

団連日本商工会議所経済同友会が、東京・千代田区のホテルで新年祝賀会を開いた。新型コロナの感染拡大前の約3分の1となる600人余が出席した。ミドリムシの培養などを手がけるベンチャー企業「ユーグレナ」・出雲充社長は、革新的なビジネスで成長を目指すスタートアップ企業を支援する経団連の委員長を務めている。経団連によると時価総額が10億ドルを超えるスタートアップ企業の数は、米国の520社に対し日本はわずか6社。出雲社長は競争力強化に向けた大きな課題だと分析している。こうした中、出雲社長は「新しいものを生み出さないといけない。スタートアップがイノベーションを起こす」として現在約1万社にとどまっているスタートアップの企業数を、5年後までに10倍の10万社に増やすべきと政府や経済界に働きかけを強めている。記録的な物価上昇で直面する課題に今年、日本企業はどう取り組もうとしているのか。素材メーカー大手AGC・平井良典社長は、去年、大幅な賃上げを行った。ことしのキーワードに挙げたのが“変革”。「世界中の経済が苦しんでいる中だからこそ、日本経済は今が復調のチャンスと捉えて変革を進めていくことが必要」と述べた。三井物産・堀健一社長は「“現実解”を提供していくことにこだわっている。将来の低炭素社会に向けた大きな事業、技術開発や投資、同時に時間軸を意識して進める必要がある。現実的な対応が大事」と述べ、賃上げについても、意欲をにじませた(NHK)。

 

 

1月のランキング(企業別テレビ報道CM価値換算一覧全国版より)

「第1位・ローソン、第2位・宇宙航空研究開発機構、第3位・FOOD & LIFE COMPANIES」

2023年1月のテレビ報道CM価値換算ランキングでは、「ローソン」が39億3744万円で第1位となった。具体的には、「ローソン・一部商品価格据え置き増量」「『からあげクン』を子ども食堂に」等によるものであった。第2位は「JAXA・宇宙飛行士の選抜・試験会場の一部公開」等の報道で、「宇宙航空研究開発機構」となった。第3位は「ジョブチューン・スシローvs超一流寿司職人」などの報道で「FOOD & LIFE COMPANIES」。第4位は「東京ディズニーリゾートの開業40周年を祝うスペシャルパレード」などの報道で、「オリエンタルランド」となった。第5位は「ユニクロ・大幅に賃上げ・年収最大40%アップへ」などの報道で「ファーストリテイリング」となった。第6位は「ノルウェーから日本初上陸!スーパーで買える“奇跡の高級魚”」などの報道で「イオン」、第7位は「初登場1位『レジェンド&バタフライ』」などの報道で「東映、第8位は「コックスのプレスルームでファッションセンス格付けバトル」などの報道で、「コックス」となった。第9位は「ニトリホームズ・大人気!ニトリあったかグッズ」などの報道で「ニトリホールディングス」、第10位は「明治神宮外苑の再開発・本格的工事へ準備開始」などの報道で「三井不動産」となった。

 

 

1月の人物ランキング

「第1位・日本銀行・黒田東彦総裁、第2位・トヨタ自動車・豊田章男社長、第3位・サントリーホールディングス・新浪剛史社長」

第1位・日本銀行・黒田東彦総裁174件(黒田総裁交代へ・任期は4月・日銀総裁の後任案来月提示など)、第2位・トヨタ自動車・豊田章男社長47件(トヨタ・豊田社長退任「私はもう古い人間」など)、第3位・サントリーホールディングス・新浪剛史社長29件(トップ直撃・今年の賃上げ・具体的目標はなど)、第4位・東京電力ホールディングス・小早川智明社長28件(電気代・東電が国に値上げ申請・6月から3割負担増へなど)、第5位・大和証券・中田誠司社長25件(「景気全体は緩やかに成長していくと想定している」など)、第6位・ツイッター・イーロンマスクCEO19件(マスク設立のAI会社へ・マイクロソフトが1兆円超追加出資へなど)、第7位・ローソン・竹増貞信社長18件(「賃上げ・前向きに取り組んでいきたい」など)、第8位・三井不動産・菰田正信社長17件(東京ミッドタウン八重洲がフルオープン・「街をつくるという考え方で開発している」など)、第9位・ソニーホンダモビリティ・水野泰秀会長兼CEO15件(ソニーホンダEV新会社・試作車初公開など)、第10位・すかいらーくホールディングス・谷真会長兼社長11件(「需要が膨らむことによる値上げはあるかもしれないが大変健全な形」など)。

 

●テレビの窓

「TOKYO新スポット・外国人観光客が集まる理由」

外国人が殺到するTOKYOの新観光スポットが、なぜ人気になっているのか調査した。東京・江東区・チームラボプラネッツ TOKYO DMMは、最新テクノロジーを駆使した人気の体験型アートミュージアム。関係者によると来場者の約6割が外国人だという。チームラボは海外にも常設展(中国、シンガポール、米国)があり、以前から外国人にも人気だった。去年11月にジャスティンビーバーも、妻・ヘイリーと来日した時に訪問。12月にはオーランドブルームとケイティペリーが来場するなど海外セレブたちがSNSにアップしたことで、チームラボの外国人人気に拍車がかかった。季節により変化するため、外国人のリピーターもいるほどの人気となっている。東京・原宿「カフェリシュー」は、ラテアートの専門店で、写真を見せれば、好きな3Dラテアートを作ってくれる。人気のきっかけはSNSで3Dラテアートの作り方を紹介したこと。外国人が殺到するグルメスポットは、去年10月にオープンした東京・新宿区「龍乃都飲食街新宿東口横丁」。写真を撮りたくなる店内や香港映画に出てきそうな看板やネオン。天井には龍の姿。日本だけでなく、極東アジアの街並みを再現した異次元な空間や中華料理、韓国料理、タイ料理などのアジア料理も人気につながっている(日テレ)。

 

 

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