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テレビ報道に見る産業・経済月報
(令和2年12月)

「東京株式市場・31年ぶり高値水準で取引終える」

今月の特徴は1.東京株式市場・31年ぶり高値水準で取引終える、2.過去最大・来年度予算案106兆円超閣議決定、3.コロナの影響、4.ワクチンの動向、5.エネルギーの動向となった。

                                                                                                

1.東京株式市場・31年ぶり高値水準で取引終える

新型コロナウイルスの感染状況によって大きく乱高下した2020年の東京株式市場だが、年末としては31年ぶりの高値水準で取引を締めくくった。3月には、感染拡大の不安感が広まり、1万6000円台まで落ち込んだ株価も日銀の金融緩和政策や米国の株価上昇などにより、9か月で1万1000円以上回復し、年末としては1989年以来、31年ぶりの高値水準となった。取引終了後に行われた大納会は例年600人ほどの関係者が集まり一年を締めくくるが、ことしは感染予防のために参加者を50人ほどに限定しての開催となった(NHK)。来年については「一部で実力を伴わない高い株価になっている企業がある」と警戒する声が挙がる一方「空前絶後の財政政策と金融緩和が支えになる」と金余りによる株高が続くという予想も多く聞かれる。実体経済の先行きは不透明なままだが、マーケットには強気ムードが漂う中で新年を迎える(テレ朝)。

 

2.過去最大・来年度予算案106兆円超閣議決定

政府は一般会計の総額で106兆6097億円にのぼる来年度予算案を閣議決定した。一般会計の総額が100兆円を上回るのは3年連続で、過去最大を更新した。また高齢化で伸び続ける社会保障費も、35兆8421億円と過去最大を更新した。雇用調整助成金の関係費用に6240億円。防衛費は宇宙、サイバーなど新領域に対応する経費が膨らみ、過去最大の5兆3235億円となった。新型コロナウイルスの影響で税収の回復は鈍く、来年度の税収見積もりは、今年度当初見込みより6兆700億円ほど減り57兆4480億円となった。来年度の新規国債発行額は、43兆5970億円となり、歳入の約4割を借金に頼る厳しい財政状況が続いている(テレ東)。

 

3.コロナの影響

新型コロナの感染拡大で業績が悪化した企業が増資で資金を確保してコロナ後の飛躍を期する企業が上場や増資で成長資金を得た。世界の企業が資本調達を増やし、2020年の増資やIPO新規株式公開による調達額は前年比で6割増え、初めて1兆ドルを超えた。株式市場に流れた緩和マネーが企業の資金繰りを支えている(テレ東)。一方、東京商工リサーチによると、ことしの飲食業の倒産件数は810件となり、東日本大震災のあった2011年の800件を超え、年間の過去最多を更新した。新型コロナウイルスの影響で外食を控える動きが広がり、経営が行き詰まる企業が相次いだことが大きかった。全体の9割を占めたのが零細企業。東京商工リサーチは「年末年始に売上が消失することが倒産などの増加に繋がることが懸念される」としている(テレ朝)。

 

4.ワクチンの動向

ファイザーのワクチン接種が米国で始まった。日本政府は、ファイザーのワクチンについて、2021年6月末までに約6000万人分の供給を受けることで基本合意していて、米国のバイオテクノロジー企業・モデルナと、約2500万人分の供給を受ける契約をし、英国・アストラゼネカとは約6000万人分の供給を受けることで契約している(フジ)。シャープは、臨床検査機材などを手がけるスギヤマゲンと共同で、医薬品を一定温度で運べる容器を開発、発売すると発表した。シャープが手がける「蓄冷剤」を使用していて、3℃の状態を36~48時間保つことができる。超低温の管理が必要となる新型コロナウイルスのワクチンでも、接種直前の配送などでこうした容器が必要になるとしている(フジ)。大和総研はワクチンが2021年後半に普及したとの仮定で日本の実質GDPの見通しが回復するシナリオを描いた。大和総研・熊谷亮丸チーフエコノミストは「ワクチンや感染症の状況次第だが、中長期で見ると菅政権はグリーンとデジタルを2本柱に据えて成長戦略を打っている。グリーンな社会をつくっていけば2040年にかけて240兆円の環境投資が出て毎年日本の国内総生産を1.2%押し上げる」としている(テレ朝)。

 

5.エネルギーの動向

菅政権が掲げる2050年の脱炭素社会に向けた「グリーン成長戦略」が取りまとめられた。温室効果ガスを実質ゼロにすると掲げる2050年には、再生可能エネルギーの比率を50~60%に高める目安を示し、洋上風力発電などの導入を加速するとしている。政府は脱炭素を経済成長の梃にする方針で、民間企業が資金を投入しやすくするルール作りなど、環境整備を進める(フジ)。政府は15日洋上風力発電の官民協議会を開き、2040年までに発電能力を最大4500万キロワットとする計画を決めた。これは原発45基分に相当する。風力発電を再生可能エネルギーの柱にする計画だが、現状は1万4000キロワットに留まっている。発電コストも2030~35年までの間に火力発電並みに引き下げたい考え(テレ東)。

 

 

●注目点

「英国・EU・FTA交渉の行方」

国・ジョンソン首相とEU・フォンデアライエン委員長は、FTA自由貿易協定などの交渉で合意に達したことを明らかにした。合意によって双方の間の貿易に年明けから広く関税がかけられる事態は避けられることになった。フランス・マクロン大統領はツイッターで合意歓迎の意を表明し、ドイツ・メルケル首相は声明を発表し「英国はドイツにとっても、EUにとっても引き続き重要なパートナーであり続ける」としている。今回の合意では日本など域外から輸入した部品を多く使うと対象にはならない。これについて英国とEUは日本メーカーが生産の柱とするハイブリッド車や電気自動車などについては完全な実施まで6年間条件を緩和することを明らかにした。具体的には関税ゼロの対象となる日本などからの部品の使用割合を2023年までは60%まで、2024年から2026年は55%までとし、2027年から本来の45%までにするとしている。日本メーカーにとって来年から一部の車に関税がかかる事態は避けられたが、今後、部品の現地での調達率を引き上げていく必要があり、事業の見直しを迫られることになりそうである(NHK)。

 

 

●新潮流

「漫画・アニメ制作費もGDP算入へ」

-9月期の実質GDP改定値(前期比)は22.9%のプラスとなり速報値の21.4%から上方修正された。GDPの算定基準が5年ぶりに改訂され、映画や書籍といった娯楽作品の付加価値が反映されるようになったことも一因となった。大ヒット中の「鬼滅の刃」などに代表される漫画やアニメ映画は制作費用が将来に渡り利益を生む設備投資と見なされる。今のところ規模は小さいものの今後GDPを押し上げる要素となりそうだ(テレ東)。第一生命経済研究所・永濱利廣首席エコノミスト.によると映画「鬼滅の刃」の経済効果は2700億円だという。アニメ「バッテリー」「DIVE!!」などを手掛けてきたアニメ制作会社は、動画配信の普及が進み制作依頼や相談が増加しているという。これまで漫画やアニメの原本制作に関わる人件費や機材費はGDPからは除外されていたが、今月からは設備投資とみなし計上されることになった。内閣府によると、新しい算出方法での原本制作費は2015年の名目GDP比で全体のGDPを0.2%押し上げることになるという(フジ)。 

 

 

12月のランキング(企業別テレビ報道CM価値換算一覧全国版より)

「第1位・宇宙航空研究開発機構、第2位・NTTドコモ、第3位・オリエンタルランド」

2020年12月度におけるテレビ報道CM価値換算ランキングでは、「宇宙航空研究開発機構(JAXA)」が87億2800万円で第1位に輝いた。内容としては「『はやぶさ2』が小惑星リュウグウの砂が入ったとみられるカプセルを地球に帰還させた一部始終」が大きく取扱われたことが寄与した。第2位は「ドコモきょう上場廃止・NTTが完全子会社化」などの報道で「NTTドコモ」となった。第3位は「来春導入・東京ディズニーランド&シー変動価格制に」などの報道で「オリエンタルランド」、第4位は「スシローvs超一流寿司職人」などの報道で「スシローグローバルホールディングス」、第5位は「ソフトバンク・LINE付き新プラン」などの報道で「ソフトバンク」、第6位は「快挙『鬼滅の刃』324億円突破・歴代1位」などの報道で「東宝」、第7位は「来年夏から毎日運行へ・東武鉄道に新たな蒸気機関車」などの報道で「東武鉄道」、第8位は「テレワーク前提の働き方へ・KDDI・来年から本社座席数4割削減」などの報道で「KDDI」となった。第9位は「ニトリホールディングス・島忠へのTOB成立・完全子会社へ」などの報道で「ニトリホールディングス」、第10位は「日本航空のCAがコールセンターに」などの報道で「日本航空」となった。

 

 

12月の人物ランキング

「第1位・NTTドコモ・井伊基之社長、第2位・ニトリホールディングス・似鳥昭雄会長、第3位・日本銀行・黒田東彦総裁」

第1位・NTTドコモ・井伊基之社長60件(NTTドコモ・新割安プラン・発表など)、第2位・ニトリホールディングス・似鳥昭雄会長21件(業界騒然!驚きの買収劇・知られざる本音を独占告白など)、第3位・日本銀行・黒田東彦総裁16件(日銀議事要旨を読む・ひずみ修正し現状維持?など)、第4位・アキダイ・秋葉弘道社長15件(GoTo停止・食材業者も打撃など)、第5位・三井不動産・菰田正信社長10件(東京ドーム買収・賛成?反対?物言う大株主が初言及など)、第6位・サントリーホールディングス・新浪剛史社長10件(新型コロナ“過去最多”暮らし・雇用は?経済再建は?など)、第7位・ワークマン・小濱英之社長10件(作業服をカジュアルに!?ヒット請負人の大出世物語など)、第8位・GU・柚木治社長6件(“マスク映え”ファッションショーなど)、第9位・JR東日本・深澤祐二社長6件(JR東日本・西武ホールディングス・幅広い分野で連携へなど)、第10位・コメダホールディングス・臼井興胤社長5件(最短でも研修期間3ヵ月!驚き!新人教育の舞台裏など)。

 

 

●テレビの窓

「はやぶさ2・物質の採取に成功」

AXAによると「はやぶさ2」が小惑星「リュウグウ」から持ち帰ったカプセルから採取されたガスを分析したところ成分が地球のものではなく、容器が密封され地球の大気が入っていないことから小惑星リュウグウ由来のものと確認した。地球圏外から気体の採取に成功したのは世界初。はやぶさ2が持ち帰ったカプセルからこれまでに1mmを超える黒い粒子が多数見つかったことが明らかになっている。これらの重さは少なくとも約5.4gあることがわかっている。2回目の着陸の際に採取した物質が入っている部屋から1cm近くある黒い粒子が多数見つかった。JAXAは2回目に着陸した場所の岩盤が固かったため、砕けた粒子が大きくなったのではないかと推測している。これによりはやぶさ2はリュウグウに着陸した2回とも物質の採取に成功したことが判明した。JAXA沢田弘崇主任研究開発員は「ネジを外して中を見ると数ミリサイズのサンプル(砂)がごろごろ入っている。どっさりと入っていて我々は大喜びをした」と話した(TBS)。

 

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