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テレビ報道に見る産業・経済月報
(平成31年3月)

「政府・景気判断を3年ぶり下方修正」

 

今月の特徴は1.政府・景気判断を3年ぶり下方修正、2.日銀の動向、3.米国・FRB・年内利上げせず、4.中国経済減速の影響、5.春闘の動き、6.エネルギーの動向となった。

                                                                                                

1.政府・景気判断を3年ぶり下方修正

政府は3月の月例経済報告で、景気の判断を3年ぶりに下方修正した。中国経済の減速を背景に中国向けの輸出が落ち込み、企業の生産も電子部品など、一部で弱さがみられるためとしている。一方で個人消費と設備投資は増加が続いているため、「景気が緩やかに回復している」という判断は維持した(日テレ)。

 

2.日銀の動向

日銀は15日、金融政策決定会合を開き、現状の金融緩和策を維持していくと発表した。世界経済の先行きへ警戒感が高まる中、輸出と生産の判断について下方修正した。これまで輸出については増加基調にあるとしていたが、黒田総裁は「輸出は足元では弱めの動きとなっている」と述べた。同じく、増加基調にあるとしていた生産についても、「足元では弱めの動きで緩やかな増加基調」と判断を引き下げた。黒田総裁は「日本経済についても足元の輸出、生産の弱さはあるが、内需は堅調。先行きについても所得と支出の好循環が基本的に続いていく。従来の経済についてのメーンシナリオは変わっていない」と述べ、国内の景気判断について強気の姿勢を見せた(テレ東)。

 

3.米国・FRB・年内利上げせず

米国・FRBは、年内の利上げを見送るとの見通しを発表した。FRBは日本でいう日銀に相当し2015年と2016年は1回ずつ、2018年は4回も利上げをしていた。ヨーロッパも利上げを断念し、中国も利上げしない方向に行っている(TBS)。

 

4.中国経済減速の影響

日本に忍び寄る中国経済の減速、最大の懸念は中国向けの輸出。主力の日本製電子部品に深刻な影響が出ている。中国で製造され世界中に輸出されているスマートフォンを分解すると約1400個の部品が現れる。そのうち日本製の電子部品は約1000個。中国経済の減速でスマートフォンの輸出が伸び悩んだ結果、電子部品を中国に納品する日本メーカーに大きな影響が出ている(TBS)。

 

5.春闘の動き

春闘は大企業の回答が相次いでいる。電機や自動車など多くの企業では6年連続の賃金引き上げが実現したが、水準は去年を下回るところが目立ち経済への影響が心配される。一方で新しい時代に向けた社員の能力の高め方を労使で話し合い、取り組みを進める動きも出ている。電機や自動車は定期昇給を確保し、ベア相当分も多くの企業が引き上げた。製造業以外では、人手不足が深刻な業種では大幅な賃上げに踏み切る動きも見られたが、厳しい結果の企業も目立った。日本郵政は一部の非正規社員に扶養手当を支給、日本通運も非正規社員の賃金を正社員と同水準に引き上げた(NHK)。

 

6.エネルギーの動向

米国のイランへの経済制裁で、日本が一時的に適用除外となったことを受けて、石油元売り各社(JXTGホールディングス、コスモエネルギーホールディングスなど)はイラン産原油の輸入を再開している。しかし、除外が延長される見込みが立っていないことから、来月以降再び輸入を停止する方針(NHK)。一方、原発の使用済み核燃料の処理を巡って具体的な計画がない第二再処理工場の事業費を来月から九州電力が電気料金に上乗せする。青森県六ケ所村で建設が進む使用済み核燃料の再処理工場はトラブルなどで工期を24回延長し、事業費が13兆9000億円に膨らんでいる。政府は再処理に必要な資金の支払いを原発を再稼働した電力会社に義務付けていて、関西電力も既に上乗せしている。ほかの電力会社も原発を再稼働すれば上乗せすることが予想される(テレ朝)。

 

 

●注目点

「三菱重工「ロゴマーク」も差し押さえ・韓国「徴用」裁判で」

わゆる「徴用工」をめぐる韓国での裁判で、三菱重工が企業の顔とも言える「ロゴマーク」を原告側に差し押さえられていたことがわかった。韓国の裁判所は25日、原告側の申請を受けて三菱重工の韓国国内の資産を差し押さえたが、その資産に三菱重工と三菱重工グループの「ロゴマーク」の商標権が含まれていることが明らかになった。三菱重工によると、これらの「ロゴマーク」は、社員の名刺や展示会などで使用していたという。今後、原告側が商標権を売却して現金化した場合、韓国国内では「ロゴマーク」を自由に使えないことになる。原告側は、他にもガスタービンなどに関連する特許6件も差し押さえている。韓国の発電所などにガスタービンを納品している三菱重工の事業への影響が懸念されている(フジ)。

 

 

●新潮流

「人手不足が深刻・コンビニの24時間営業見直しの動き」

性的な人手不足がこの先も続きそうな中、今のコンビニのビジネスモデルでは維持していくのが難しい状況になっている。世耕経済産業大臣は、コンビニエンスストアで人手不足や加盟店のオーナーの満足度の低下などが深刻な問題になっているとして、コンビニ大手4社に対して、改善に向けた行動計画を作るよう要請する方針を明らかにした。4月にも世耕大臣が4社のトップと会って意見交換するほか、有識者会議も設ける。経済産業省が実施したアンケート調査によるとコンビニオーナーの6割が従業員不足と回答したほか、24時間営業を原則としたフランチャイズ契約への不満も4年前の調査より増加している。コンビニは全国に5万店以上出来ていて、そのほとんどが24時間営業となっている。働く人も増えておらず、消費もそれほど盛り上がっていない中で、郊外も含め全部24時間にするモデルは限界に来ている。ニッセイ基礎研究所主任研究員・久我尚子は「24時間営業モデルを見直す時期に入っている。人手不足ということももちろんあるが、消費者側でも24時間営業に対するニーズが弱くなっている。コンビニの来店客は高齢化しており、高齢化は人手不足感が特に強い地方で進んでいる。地方の24時間ニーズは弱い。一方、都市部はコンビニだけでなく色んな選択肢が消費者に増えている。全体でみると24時間に対するニーズが弱まっている。この問題は24時間をやめて時短にすればいいということだけではなく、合わせて物流システムの見直しも必要になってくる」と指摘した(テレ東)。

 

 

3月のランキング(企業別テレビ報道CM価値換算一覧全国版より)

「第1位・宇宙航空研究開発機構、第2位・日清食品ホールディングス、第3位・ローソン」

019年3月度のテレビ報道月間CM価値換算ランキングは「宇宙航空研究開発機構(JAXA)」が36億4900万円で第1位に輝いた。具体的には「はやぶさ2の着陸映像の公開」や次のミッションとしてクレーター状の穴を人工的につくる等の取り組みを発表したこと等が寄与した。第2位は「チキンラーメン・朝ドラも描かなかった発明の舞台裏」などの報道で日清食品ホールディングスとなった。第3位は「ローソンコンビニスイーツ・約10年ぶりの新記録!!」などの報道でローソン、第4位は「日産と三菱自が新型軽を発売・6年ぶり刷新・共同開発車で挑む」などの報道で日産自動車、第5位は「営業時間を短く・セブン・脱24時間は…?」などの報道でセブン&アイ・ホールディングス、第6位は「日産・ルノー・三菱自動車・合同会見」などの報道で三菱自動車、第7位は「百貨店が“スーツ売り場縮小”!?伊勢丹は男性化粧品を強化へ」などの報道で三越伊勢丹ホールディングス、第8位は「Suicaに仮想通貨でチャージ!?」などの報道で三井不動産となった。第9位は「アマゾンが新発売・子ども専用タブレットの狙いは!?」などの報道でアマゾンジャパン、第10位は「アップル・iPadの新型モデル発表」などの報道でアップルジャパンとなった。

 

 

3月の人物ランキング

「第1位・ルノー・ジャンドミニクスナール会長、第2位・日産自動車・西川廣人社長、第3位・三菱自動車・益子修CEO」

第1位・ルノー・ジャンドミニクスナール会長119件(ルノー・スナール会長・“実りある交渉できた”)、第2位・日産自動車・西川廣人社長89件(会長職当面の間空席へ・日産ガバナンス委最終報告など)、第3位・三菱自動車・益子修CEO28件(日産と三菱自が新型軽を発売・6年ぶり刷新・共同開発車で挑むなど)、第4位・スタートトゥデイ・前澤友作社長23件(ZOZO・前澤友作社長・剛力彩芽・ラブラブ加速!!2人の赤面行動など)、第5位・レオパレス21・深山英世社長23件(レオパレス本社で独占取材・問題発覚前に“語ったこと”など)、第6位・日本銀行・黒田東彦総裁17件(日銀・黒田総裁記者会見など)、第7位・アマゾン・ジェフベゾスCEO17件(フォーブス世界長者番付・1位は米国アマゾンCEO)、第8位・楽天・三木谷浩史社長16件(高田純次が歩く二子玉川など)、第9位・ファーストリテイリング・柳井正社長14件(米国・フォーブス「世界長者番付」など)、第10位・ソフトバンクグループ・孫正義社長10件(きょうはあの企業が一躍有名になった日など)。

 

 

●テレビの窓

「最先端技術の祭典SXSWが米国で開催」

国・テキサス州で最先端テクノロジーで世界最大のイベント、サウスバイサウスウエスト・SXSWが開催された。主催者によると年々参加者が増えているという。もともとは音楽フェスティバルだったが現在ではなんでもありの祭典となっている。今年目立ったのはAI(人工知能)を使った技術で、AIで筋肉の動きを補助するロボットを開発したロッキードマーティン担当者によると「AIが次の動きを予測していてどこの筋肉を補助すればいいのかを判断してくれる」のだという。またSONYは曲の進行に合わせてAIがメロディを提案し作曲活動を手伝うアプリを開発した。ソニーブランド戦略部・森繁樹統括部長は「AIはなんだかよくわからない存在、ひょっとしたら人間をリプレイスするかもということでちょっと畏れの部分がでているかもしれない。だから技術の注目度も高い」と話した。今年のSXSWの特徴は日本人の存在感があったということ。3Dプリンターを使った未来の寿司などが紹介された。この開発者である電通・オープンミールズ責任者・榊良祐は「食をデータ化して転送するプロジェクト。自分の食べたいものをオンライン上で選んでそれをダウンロードすると家で出力される。しかも完全にパーソナライズされたものが食べられるという世界を目指している」と話してくれた。三菱電機は発した言葉がAR(拡張現実)の中で文字として表示される技術を発表した。日本関連のブースはベンチャー企業だけでなく東京大学の学生や大手企業も参加した。SXSWチーフプログラミングオフィサー・ヒューフォレストは「海外からSXSWに一番やってくるのは日本人。日本には本当に素晴らしい技術や想像性があり来場者もそれに興味を持っている」と話した(TBS)。

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