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テレビ報道に見る産業・経済月報
(平成31年2月)

「GDP実質1.9%プラス」

 

今月の特徴は1.GDP実質1.9%プラス、2.日銀の動向、3.中国経済失速の影響、

4.韓国徴用工問題の動き、5.春闘の動き、6.エネルギーの動向となった。

                                                                                                

1.GDP実質1.9%プラス

内閣府によると、去年10-12月GDP(国内総生産)の改定値は、年率に換算した実質の伸び率がプラス1.9%となり、先月の速報段階の年率1.4%から上方修正された(3/8NHK)。

 

2.日銀の動向

日銀・黒田総裁は衆議院財務金融委員会で、「物価安定目標の達成のために必要になれば追加緩和も検討していく」と述べた。今後、日米の金利差が縮小し円高、ドル安が進んだ場合について発言したもの。追加緩和の手段については、長短金利目標の引き下げなど資産買い入れの拡大などが考えられると従来の主張を繰り返した。一方、日銀・片岡剛士審議委員は、香川・高松市内で記者会見し「早いタイミングでデフレ脱却するために今、大胆なことをもっとやるべきだ」と述べ、具体的な手段として10年以上の国債金利引き下げなどをあげた。2%の物価上昇目標について「金融緩和そのものだけでは難しい」と述べ、政府と日銀の連携強化の必要性を強調した(テレ東)。

 

3.中国経済失速の影響

中国では米中貿易摩擦により、個人消費が落ち、投資意欲も落ち、設備投資などを控える動きになっている。モーター大手・日本電産・永守重信会長は「変化は尋常ではない。甘く見てはいけない」と警告した。中国経済減速の影響で日本電産は自動車向け部品の生産が3割減ったという。吉本浩之社長は会見で「在庫が相当膨らんでいる」と話した。中国メディアによると28年ぶりに新車販売が前年割れしているという。TDKはスマートフォン関連部品の受注が3割減となり、これについて山西哲司常務は「中国経済減速の影響が出ており、スマートフォン、家電向けの販売などが減少した」としている。三菱電機は産業用ロボットなどの売上高が2割減となり、皮籠石斉常務は「この3か月間設備投資への意欲が後退しており、受注にもこの影響が表れてきた」と語った(テレ朝)。

 

4.韓国徴用工問題の動き

韓国で新日鉄住金に賠償を命じる判決が確定した元徴用工訴訟の原告代理人の弁護士は、東京・千代田区の新日鉄住金本社を訪れ賠償に応じるよう申し入れたが門前払いされた。これを受け代理人弁護士は新日鉄住金が韓国国内に保有している差し押さえ済み株式の売却手続きに入ることを明らかにした。売却手続きには最短でも3か月かかるが、完了すれば日本企業に金銭的な実害が生じることになり、日韓の対立が一層深まるのは避けられない(フジ)。

 

5.春闘の動き

「春闘」のけん引役となる自動車大手各社の労働組合が経営側に要求書を提出した。トヨタ自動車ではベアの要求額公表を取りやめ、一人あたり月額1万2000円の賃上げを要求した。ホンダ日産スバルなどの労働組合は月額3000円の賃上げを要求している。自動車各社などの労働組合で作る自動車総連・高倉会長は都内で会見し「中小企業と大手企業の格差是正につながるよう労使で議論を進めていく」との考えを示した(フジ)。

 

6.エネルギーの動向

茨城・東海村・東海第二原発を運営する日本原子力発電は茨城県に対し、原発の再稼働を目指す考えを伝えた。東海第二原発は、8年前の東日本大震災の津波で被災し運転停止が続いている。去年11月には運転開始から40年を迎え、国から最長20年の運転期間の延長が認められた。日本原子力発電・村松衛社長は茨城県庁を訪れ「自治体、地域住民のしっかりとした理解をたまわりながら、東海第二の再稼働を目指していきたい」と述べたのに対し、茨城県・大井川知事は「県としては、住民説明会の意見も踏まえ安全性の評価を独自に行っている。県の対応に対する軽視とも思える不適切な対応だ」と述べた(NHK)。

 

 

●注目点

「国境またぎデータやりとり・巨大IT企業への課税・OECDが新ルール案」

ーグルアップルなど国境をまたぎデータをやり取りする巨大IT企業。こうした企業への課税について日本などが加盟するOECD(経済協力開発機構)は新たなルールの案をまとめた。本社や支社がない国でも利用者がいれば課税できる仕組みとなっている。OECDは今後企業から意見を聞き、各国間で議論を進め日本が議長となっている6月のG20・財務相・中央銀行総裁会議で状況を報告することにしている。OECDの論点ペーパーによると、「拠点なくして課税なし」という原則の見直しに各国が合意し、国際課税ルールを変えるためのいくつかの提案も各国から出されているという。英国の提案では、巨大IT企業のみが対象となっており、消費者がオンライン契約を結んだりサービスを利用したことが確認できれば、利用実績に応じて課税できる。米国の提案では、幅広い業種が課税対象となっていて、マーケティング活動により上げた利益に課税できるとしている。人口が多く大きな市場を抱える中国やインドも、この案に賛同してくるのではないかとの指摘もある。国際金融当局の幹部は「米国が対案を出してきた意義は大きい、何らかの折衷案を生み出せるのではないか」と話している(NHK)。

 

 

●新潮流

「スタバが“高級”新型店舗・世界5番目・コーヒー業界に“脱デフレ”」

ターバックスが2月28日、世界で5店舗目となる高級路線の新店舗をオープンする。食品メーカーの値上げが相次ぐなか、コーヒー市場にも脱デフレの波が押し寄せている。「スターバックスリザーブロースタリー東京」では、最も安いコーヒーでも通常店舗の倍の価格となっている。日本のコーヒー消費量は、年々拡大傾向にあるが、コンビニの100円コーヒーが市場拡大に火をつけたためだといわれる。ローソンは1月から数量限定で「パナマゲイシャ」を販売。ファミリーマートも去年10月から、100円コーヒーとは別に「スペシャルティコーヒーS」を販売しているが、順調な売れ行きだという。4年前に日本初上陸を果たしたブルーボトルコーヒーが人気となるなど、高価格でも受け入れられるようになった今、スターバックスも高級路線を打ち出し、ブランドイメージを高める狙いがあるとみられる(TBS)。

 

 

2月のランキング(企業別テレビ報道CM価値換算一覧全国版より)

「第1位・宇宙航空研究開発機構、第2位・東武鉄道、第3位・小田急電鉄」

019年2月度のテレビ報道月間CM価値換算ランキングは「宇宙航空研究開発機構JAXA)」が46億5100万円で第1位に輝いた。具体的には小惑星探査機「はやぶさ2」が22日に小惑星「リュウグウ」に着陸する予定であると発表してから降下作業の検討や降下開始、そして成功、さらに高度20キロの宇宙空間に戻ったこと等の発表により大きな露出価値となった。第2位は「東武鉄道全線ほぼ乗りつくし!スカイツリートレイン貸し切りツアー」などの報道で東武鉄道となった。第3位は「駅が『ドラえもん』一色に・小田急線登戸駅を装飾」などの報道で小田急電鉄。第4位は「スシロー2日間“一斉休業”働きかた改革で異例の一手」などの報道でスシローグローバルホールディングス、第5位は「京成最古の路線を堪能」などの報道で京成電鉄、第6位は「業務スーパーの人気と安さの秘密に迫る」などの報道で神戸物産、第7位は「忘れ物・駅ですぐ見つかる?JR東が自動通知はじめる」などの報道で東日本旅客鉄道、第8位は「不二家のスイーツ没メニュー」などの報道で不二家となった。第9位は「イオンモール幕張新都心に来ていた客のファッションを抜き打ちでチェック」などの報道でイオンモール、第10位は「承子さま・世界らん展へ」などの報道で東京ドームとなった。

 

 

2月の人物ランキング

「第1位・ルノー・ジャンドミニクスナール会長、第2位・レオパレス21・深山英世社長、第3位・日産自動車・西川廣人社長」

第1位・ルノー・ジャンドミニクスナール会長75件(ルノー・スナール会長・“実りある交渉できた”)、第2位・レオパレス21・深山英世社長60件(レオパレス施工不良問題・オーナーから不安と怒りの声など)、第3位・日産自動車・西川廣人社長46件(日産・三菱自動車・ルノーが会談など)、第4位・スタートトゥデイ・前澤友作社長36件(ZOZO・前澤友作社長・剛力彩芽・ラブラブ加速!!2人の赤面行動など)、第5位・三菱自動車・益子修CEO34件(3社トップ会談・融和演出も・・・など)、第6位・ホンダ・八郷隆弘社長27件(ホンダ・英国から撤退へ・EU離脱迫る中・衝撃広がるなど)、第7位・ソフトバンクグループ・孫正義会長兼社長11件(ソフトバンクG・孫社長が決算発表・ファーウェイ製品への対応は!?など)、第8位・楽天・三木谷浩史社長10件(新勢力・大手3社に挑む楽天・携帯電話業界が変わる?など)、第9位・アールシーコア・二木浩三社長7件(住宅街に急増!ログハウス・“法の壁”を超える挑戦など)、第10位・スーパーアキダイ・秋葉弘道社長6件(食品値上げ4月以降も一斉に…ステルス値上げも限界に?など)。

 

 

●テレビの窓

「JR東日本が新サービス・忘れ物知らせます」

れ物の全体の件数は3年連続で増加している。JR東日本の2017年度の忘れ物件数は約228万件で、うち所有者に戻ったのは3割しかない。そんな中、JR東日本が新たな取り組みをスタートした。予め購入した専用タグを自分の持ち物につけることによって、タグから出る電波を駅に設置された専用アンテナがキャッチし、紛失物が忘れ物センターに届けられた時点で持ち主のスマートフォンに通知される。自分の持ち物に付けておけばスマホと50m離れた時点で「置き忘れしていませんか?」と表示されるという。18日から首都圏や新幹線の主要な51駅で本格導入された。専用タグは家電量販店やインターネットで購入することができる。システムを開発したMAMORIO・泉水亮介COOは「今後、地方に広げていくほか商業施設や観光地など幅広くカバーしていきたい」と話している(テレ東)。

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